男性操縦者の背中には鬼の貌が宿ってる   作:ラウラペロペロ部部長

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更識簪といふ女の努力

「決闘、かぁ……」

 

 湯舟に浸かりながらそんな事を呟く。漫画やアニメでしか見た事の無い法治国家である日本にあるまじき行為――IS学園は日本じゃないけど――に飛び入り参加するなんて……なんというか、力男らしいっちゃ力男らしいかな。

 

「……私は、力男の彼女としてどうすればいいのかな」

 

 応援だけしてればいいのか、それとも何か手伝いをするべきか。

 

 そんなの手伝いをするに決まってる。見て応援してるだけなんてそんなの嫌だ。具体的には言えないけれど……なんか嫌!

 

「ISの事なら私も教えられるだろうし」

 

 そうと決まれば明日から――今日からやろう。

 

 湯舟から出て、髪を軽く絞り、さっと全身を拭いてパジャマを着る。そして脱衣所を出る。

 

「う~~ん……」

 

 部屋では力男が私のお下がりの教科書を前に頭を抱えていた。特に何も言ってないのに自主勉するのはエライ! けど、そこって中1の内容なんだよね……。

 

「ねぇ、力男」

ん~~~~!!??

「唸り声で返事ありがとう……今からちょっと私とISの勉強しない?」

やる!!!!

 

 キラッキラした目で力男は頷く。本当に戦い関連となると目に光が灯るなぁ……凄い単純。

 

 椅子を持って来て力男の隣に置き、そこに座る。私の方が高めの椅子を使っているのに力男の方が圧倒的に目線が高いのはいつもの事だ。これで本気を出したらもっと大きくなるって言うんだから、力男には巨人か何かの血が入っているに違いない。

 

 そもそも普通の人間の身長が、そうジャンジャカ変わってたまるかって話。絶対に人外の血が入ってる。

 

「よし、それじゃあまずはISがどういう風に動くか教えるね」

ウッス!!

「ISは……ACのネクストみたいなもの、って言えばわかる?」

あれだろ? 脳みそと機体をくっつけて動かすってヤツだ!

「そう、そのネクスト」

 

 ISについての知識の下地としてACに触れさせていたのは……どうやら功を奏したようだ。ネクストとかリンクスとかってISの説明にも使い易いからね。

 

「ISはネクストみたいにパイロットの考えを読み取って動くの……今更だけど、専用機はもう持ってる?」

ああ! 持ってるし乗ったぞ!!

「そっか……動かせた?」

いつも通り動けた!!

 

 自信満々に私よりも大きな胸(筋)を張って力男は言う。なるほど、参考にならない。とりあえず基本的なことだけ教えることにしよっと。

 

「分かった。じゃあ話を戻すね? ネクストが約25機で世界征服したように、ISも25機いれば世界征服が可能なほどの超兵器。そして、ネクストと違ってコジマみたいな汚染を広げない」

へー!

「当然、ネクストに例えたんだからリンクスも居る。それが私達みたいに高いIS適正を持つ人間の女性……と、イレギュラーである力男と織斑君2人の男性」

 

 解り辛いかな、と思い近くにあったペンと裏紙を手に取って図に書いて説明する。私ってば家庭教師とか向いてるかもしれない。

 

なるほどなぁ! つまりイレギュラーの俺を殺しに他のリンクスが来るってワケだ

「ちょっとAC世界から戻って来よっか……現実で身体が闘争を求める力男にACは相性が良すぎるのかなぁ

 

 今年発売の新作とかやらせない方が良いかもしれない……なんかもうすでに判明してる内容が物騒だし。やっぱりACはこうじゃないとって感じだったし。

 

「とまぁ、こんな感じでISはネクストみたいなものだねってこと……解った?」

解った!

「それとまぁ、ISを動かすコツも必要ないかもだけど教えておくね。大事なのはイメージ、空を飛ぶのも動かすのも武器を出すのもしっかりイメージをしないとダメ」

へぇ! イメージかぁ!

 

 例えば飛ぶときは前方に角錐を出すイメージをするとか、動かす時は足の延長線上を動かすイメージをするとか、武器を出す時はしっかり武器の形状をイメージするとか……一応いくつかの具体例を出しておいた。

 

 そして部屋の壁に設置された時計を見て、良い時間だからと勉強を切り上げてそれぞれのベッドの中に入ってリモコンのボタンを押して部屋の電気を消した。

 

「お休みなさい、力男」

「おやすみ、簪」

 

 声がデカい力男も良いけど、小さい声の力男も良いよね。ギャップがさ。

 

 そう思いつつ、私の意識は布団に沈んだ。

 

 

 

================

 

 

 

 早朝、目が覚めると珍しく力男が眠っていた。時計を見れば……なるほど、いつも力男が起きる時間よりも30分ほど早い。

 

 いつも力男が起きる時間が5時で、私の起きる時間が5時半なのを考えると綺麗に立場が逆転した感じに思える。今日は私の方が早起きだぞ~と言う気持ちを込めて寝ている力男の頬を突っついた。

 

 ……ちょっと癖になりそうだった。

 

「……とりあえず、朝ごはんを作ろうかな」

 

 何故か女として負けた気になったから朝食を作って女子力の差を見せつけていく。

 

 朝食を作りに通っていた時は力男の朝トレーニング後に作っていたので、こうしてトレーニング前の朝食を作るのは初めてだ。

 

「確かトレーニングの前には糖質が多い食べ物が良いんだっけ?」

 

 一応スマホで調べて、私の知識に誤りが無いことを確認してから朝食作りに着手する。

 

 冷蔵庫の中から食パンとバナナを1房取り出して、バナナの皮を全て剥く。そしたら包丁で5ミリ厚くらいにスライスしていく。端っこの余った小さい部分を味見と称して食べるのはこうして料理を作る人の特権だ。

 

 バナナ1房全てをスライスし終えたら今度は食パンにバターを塗って、その上にスライスしたバナナを並べる。こういうのを並べる時、私はちょっと綺麗に並べたい派だったりする。

 

 バナナを並べ終えたらその上から砂糖を少しだけ振りかけて後はオーブンで5分ほど加熱すれば完成だ。

 

 食パン一袋とバナナ一房で作ったのだから量はかなりのものだ。まぁ、私の分1枚を除いて食べるのは力男なんだけどね、あの度を超えた食いしん坊にはトレーニング前の軽食も量が多い。

 

 さて、そろそろ良い時間だし力男を起こすとしよう。

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