ようこそ原作クラッシャー(モブ)のいる教室へ 作:ゆうき35
『白い…』
目を開けるとそこには白い世界が広がっていた。これが死後の世界なんだろうか。
どこにでもある平凡な一般家庭に生まれた。可もなく不可もなく成長し、そこそこの大学を卒業。サラリーマンとなり、28歳の時に合コンで知り合った女性と結婚した。二人の子供にも恵まれ、子供達が独り立ちしてから20年。私は死を迎えた。全く後悔のない人生だったと言えば嘘になるが、幸せな人生だったと断言できる。長年連れ添った妻には先立った事に申し訳なく思うが、これからは好きに生きてくれたらと願う。
そんな事を考えていると三途の川を渡る順番がきたのか背中を何度か叩かれた。私は一歩踏み出そうとするも体が思うように動かない。なんとか声を出そうと試みたところ…
「おぎゃ〜。おぎゃ〜」
それは前世の記憶をもったまま生まれ変わった事を理解する第一歩となった。目や耳が成長してくると段々とまわりの状況が把握できるようになる。ラノベや転生物の書籍を読み漁った事もあり、最初はこの状況に期待感を膨らませていた。だが、どう見ても私が過ごした現代日本そのままである。剣と魔法の世界や時代逆行の可能性はすぐに否定された。戦国時代に転生…内政チート・歴史改変に期待してたんだけどなぁ〜。織田信長に会いたかった。そして、魔法の可能性!さす御兄様の世界に最後の希望をかけ、体内のサイオンを探るもいつまでたっても魔法は発現しない。転生した意味がわからん。周りをみても髪の毛の色が鮮やかではあるが、それ以外は特に変化のない世界だ。
月日は巡る。なんの目的もないまま前世の反省を活かし自己研鑽だけはする毎日。そして迎えた中学の入学式で私はやっと転生した世界を理解する。
1年✕組 櫛田桔梗
1年Y組 堀北鈴音
『よう実』かぁ~。そうきたかぁ〜。
ここで前世の記憶をもって生まれた理由を考察しよう。
俺の名前は『西園寺義隆』。よう実の登場人物で同じ名前の生徒に記憶はない。モブって事だ。その世界で俺の使命はなんだ?
そうか!本作はチートキャラ【綾小路清隆】が活躍する物語だ。そして、俺がこの世界にいる理由。つまり、【綾小路清隆】ハードモード。間違いない!モブの立場から主人公の邪魔をする。これがこの世界に転生した俺の生きる理由だ。間違いない!
高度育成高等学校に入学する事は確定だ。そうでなければ転生した意味がない。では、どのクラスで入学するか?
Bクラス一択だな。AクラスはドSロリ銀髪の奴隷になる未来しか見えない。Cクラス…ドラゴンボーイとは多分あわん。そして、自由がない。Dクラスでは綾小路の常時監視下で暗躍できる自信がない。原作の櫛田でもあの結果だぞ。となれば、取るべき手段は1つだ。可もなく不可もないちょっと優秀な中学生活を送ればOK。間違いなく没個性の良い子ちゃんクラスにまわされるはずだ。そして、櫛田・堀北と同じ中学のアドバンテージを活かす。櫛田とは同じ高校に進学しても排除されない程度の好感度を稼ごう。学級崩壊阻止?そんな事して、俺に何のメリットがある?なお、ツンドラ堀北には関わりようがない。高校入学後、櫛田と対立してもらわんと困るしな。
すぐに携帯電話は契約解除だ。表向きネットには関わらない生活を送る事にした。掲示板?なにそれ?美味しいの?これで善意の第三者ポジションが確約されるはずだ。
そして、親友と呼ばれる人間にも決して秘密は話さない。秘密と言っても『実は前世の記憶をもって転生したんだ。この世界の未来を俺は知っている』と話した所で厨二認定されるだけだがな。あとはそこそこ優秀な生徒を演じていればいいだろう。
運良く三年進級時に櫛田と同じクラスになった。掲示板事件が起きるまで、クラス全員と均等に関係を深めつつ、勃発後は常に櫛田の味方にまわった。学級崩壊後も当たり前のように櫛田を肯定し続ける。ちょっとやり過ぎたかもしれんが、やつは承認欲求の塊だ。どんなときでも自己肯定してくれる人間は排除対象にはならんだろう。
そうして、15歳の春。俺はよく知る物語の世界に踏み出していった。
【西園寺義隆】
(自己評価)
学力:C+
知性:C+
判断力:C+
身体能力:C+
協調性:C+
(学校評価)
学力:B+
知性:A
判断力:A
身体能力:B+
協調性:C−