艦隊これくしょん ─態度と乳と乗艦がクソデカいタイプの転生者─ 作:物凄く強い美少女×戦艦はいい文明
西暦2387年。
地球から57光年の距離にある惑星ホーソーン。
そのLPO(惑星低軌道)に当たる空域……高度1200km上空。
宇宙空間を飛ぶ物体があった。
それは直径300mはある、天使を思わせる異形の存在だった。
美人の背に翼が生えたものではない。
歪な球体の表面には不揃いに埋め込まれた多数の目。
背面には4対の翼が羽ばたくことなく巨体を飛行させている。
100はある目がぎょろぎょろと動き眼下を睨むと、そこから一斉に光が放たれホーソーンへと降り注ぐ。
ほぼタイムロス無く地表で無数の爆発が連鎖する。
再び目から光を放とうとする寸前、横合いからビームが放たれ天使に命中する。
展開された障壁に弾かれるが、天使の注意は発射元に向いた。
そこには急上昇してくる11機の戦闘機。
「こちらオーガヘッド1! ターゲット確認!エンゲージ!」
無線で報告しながらミサイル発射ボタンに手をかけるパイロット。
「FOX3!!」
次々と発射された22発の大型のミサイルは天使へと蛇行しながら突き進む。
対して天使は目から光線を放ち次々とミサイルを撃墜していく。
それでも残り5発となったところで障壁を突破して本体へ到達、猛烈な爆炎が膨れ上がる。
「どうだ!?」
パイロットが叫ぶが、次の瞬間には失望の溜息に変わる。
直撃を受けたはずの天使は無傷のままそこに浮いていたのだ。
『隊長!やはり我々の火力では歯が立ちません!』
ビーム砲を連射しながらも僚機が悲鳴を上げる。
「くそっ!! 全機散開!!」
隊長の命令に従い、天使をからの光線を回避すべく機動する戦闘機隊。
悠々と飛行し続ける巨体を忌々し気に睨み付けるパイロット達。
その時、無線機から高笑いが響く。
『オーッホッホッホ!真打登場ですわぁ!』
高飛車を音にしたらこうなるという声。
でありながら天上の調べとも思える聞き惚れる程の美声。
そして急上昇してくる人影。
驚くべきことに少女が不敵な笑みを浮かべながらその身一つで飛翔しているのだ。
絶世の美貌を誇る長大な金色の髪をツーテールに纏めた少女。
体には鮮烈な赤の薄いレオタード状のボディスーツを着ているだけ。
大きく張り出した乳房も、見事なまでに細く括れた腰も存分に見せ付けるような衣装だ。
腕部と脚部にはパワードアーマーを思わせる防具を纏い、背中には翼を思わせる装備を背負っている。
金の瞳孔に赤の虹彩の不思議な色の瞳を湛える鋭い目やメリハリの利いた美体から大人っぽく見えるが年の頃は17を超えていない。
街中で見掛ければ誰もが見惚れるであろう美貌の少女は身の丈を超える両刃の直剣を携え一直線に天使へと突撃する。
しかし、相手はそれを見逃さなかった。
天使の翼が大仰に広げられ、少女に対して光が放たれる。
目から撃たれるそれとは比べ物にならない高出力ビーム。
しかし、天使の放った光線は少女に届くことなく手前に展開された障壁によって完全に防がれる。
『あら?随分とお粗末な攻撃ですわね?』
少女は嘲笑と共に、お返しとばかりに剣を振るい衝撃波を放つ。
天使は肉眼で見えるほどの高出力の障壁を張って弾こうと構えるが、光の壁は薄紙のように切り裂かれた。
同時に左の翼が全て斬り落とされ、白亜の巨体が苦痛にのたうつ。
それを前に情けなどかける訳もなく、少女は大剣を振りかぶった。
『さあさあっ! 踊りなさいな!』
大剣が振られる度に300mを超える巨体が大きく斬り裂かれ弾き飛ばされる。
吹き飛ばされた先には既に少女が待ち構え、天使の巨体を容赦なく斬り、殴り、蹴る。
天使も反撃しようと試みるが、目や翼からビームを放とうが巨大な腕で殴ろうが少女は小揺るぎすることなく攻撃を続ける。
ものの数十秒で天使の巨体は質量のほとんどを吹き飛ばされ盛大に血飛沫……ではなく黒い霧のような物をまき散らしながら崩壊していく。
「ふふん♪ この「姫乃・H・ノイシュタット」にかかれば、この程度のアープなんてイチコロですわね」
自信満々で高笑いする少女……姫乃。
おっとり刀で追い付いて来る、航宙戦闘艦をチラ見する。
「やれやれ、相変わらずホーソーンの軍隊はのんびり屋ですわね」
呆れたように呟きながら艦隊を先導するように降下を始める。
既に敵個体は無く、追い付いて来た艦隊は所在なさげに姫乃に追従する。
短時間の降下の後、惑星シールドに守られた結果無傷の市街地が雲の合間から姿を覗かせ姫乃を安堵させた。
人類とアープの戦い……最早日常と化したその一つは一先ず幕を下ろしたのだった。