艦隊これくしょん ─態度と乳と乗艦がクソデカいタイプの転生者─   作:物凄く強い美少女×戦艦はいい文明

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端話1 この戦艦は

高坂基地 司令官執務室

 

「入るぞ」

 

ノックと共に大工の棟梁を思わせる服装の背の低い少女が入室する。

 

「前々から言っているがな華二尉、せめてこちらの返事を聞いてから入って来てくれないか?」

 

小鳥遊一佐は不服といった様相で少女……妖精技官であり高坂基地の工廠責任者である華 りう二尉に苦言を呈する。

 

「見られて困るようなモン持ち込んじゃいねェだろ?気にすんねェ」

 

対してりうはあっけらかんとした様子。

 

「……君も大概失礼だね。自分こう見えてこの基地の司令官だよ?」

 

「まァまァ、良いじゃねぇか。アンタも別に偉ぶる気も無ェんだろう?」

 

「全く、それとこれとは話が別だよ。で、あの大和型はどうだった?」

 

義一の言葉にりうは苦笑を浮かべた。

平行世界の未来から転移してきたという少女姫乃。

彼女が同時にこの世界に持ち込んだ大和型戦艦の諸元を確かめるべく、ここ数日りうは部下の妖精や人間の技官を率いて姫乃協力の元調査を行っていたのだ。

わざわざこうして報告に来たということは、それが一段落したということである。

 

「正式な書類は後で上げるが、ざっくりとした報告はしとく。オレの所感だがな、大分ちぐはぐな印象を受けた」

 

「ちぐはぐ?」

 

「おうよ。色々噛み合ってないっつうか、無理矢理辻妻合わせてる感じがするゼ」

 

「どういうことだ?」

 

「それは追々分かる。……っと、それと大半の結果は非破壊検査だからそれを前提に聞いてくんな」

 

義一が頷くのを確認してから、りうは端末を取り出すと製作した資料を表示する。

 

「まずあの艦だが、正確には大和型じゃなかった。いや、大和型っちゃ大和型なんだが」

 

「?」

 

「恐らくだがよ、「111号艦」がモデルだ。艦首甲板の所謂大和坂が緩やかになって凌波性が向上してるのと、装甲の最厚部分が垂直400と、水平190になってやがった」

 

「確か、大和型より10ミリ薄いんだったか」

 

「ああ。ま、あくまでモデルってだけだがナ。まず目立つ違いとしては高角砲が全部シールド付きになってるのと機銃が増えてるとこだな。艦橋やら後部指揮所やらにくっついてる機銃にもシールドが装着されてるし、錨甲板の左右にシールド付き機銃が4基、艦首先端にシールド無しが2基増やされてるな」

 

「ふむ、僅かながら対空火力が増強されているといったところか」

 

「他はほとんど中身の違いになるな。艦橋下の艦内にデーンとCICみたいな……というか未来のCICだな。それが設置されてた。カメラも無いのに外部を全周モニター出来る文字通り魔法のCICだ。理力っつー超能力があるとあの艦を手足みたいに動かせるみてぇだな。そこの部屋だけなら80cm砲の徹甲弾が命中しても貫通しねぇだろうよ」

 

「はちじゅ……」

 

「理力ってのも見せて貰ったが、何もナシに空飛びやがるし装甲板指先で引き裂きやがるし、重機関銃生身でも弾くってんだから完全にバケモンだなありゃ」

 

「自分も見たがまるでアニメみたいだったな。あれで全力出せていないらしいし、幻想衛士ってのはとんでもないな」

 

「だな。んで、その出せてない全力の内の幾らかはあの艦の燃料に使われてる…らしい」

 

「らしい?」

 

「こっちにゃ理力とやらを測れる機械が無ェからな、嬢ちゃんの証言が全てになっちまう。何にせよ何もない空間から熱を取り出してるのは事実だ。機関の外見は艦本式の蒸気タービンだが、内部構造はガスタービンに近い。おかげで加減速も自由自在だナ」

 

「水偵が観測した時は34ノットは出していたと艦隊からの報告はあったが……」

 

「いんや、負荷掛ければ39まで出る。安定して出すなら36だな」

 

「39ノット!?「島風」の元の艦と同じくらいじゃないか!?」

 

「船体形状は大和型だからな。もっと設計が洗練された船体なら同じ排水量でも43は固いだろうよ」

 

「どんな出力なんだ……」

 

「しかも喫水線より下の船体が未知の手段でスタビライザーになってやがる。大時化でもなけりゃ36出しててもほぼ揺れねぇ。そのうえ艦首にも副舵が装備されてて機動力もかなり改善されてるな」

 

「……なんだそれは」

 

「スタビライザーに関しては、嬢ちゃんが言うには西暦2200年代の初め頃に似た技術が開発されてたらしい。格安の貨物宇宙船が大量に出回ったせいで水上船舶そのものが衰退しちまってすぐ廃れたってんで実際にはほとんど見たことないそうだがな」

 

「色々と頭が痛くなる話だな……」

 

「で、その船体だが構成金属は未知のそれだった。特に装甲帯は相当頑丈だな。あくまで予測だが水平装甲……190ミリの方に至近距離から20インチ砲の弾が垂直に当たっても貫通しねェだろう」

 

「な…そ…」

 

「艦底は五重底になってた。長魚雷が艦底爆発なり直撃なりしても大したダメージは食わねぇと思うゼ」

 

「…に…ん…」

 

「しかも再生機能のオマケ付きだ。水偵の報告じゃ戦闘時に魚雷が命中したことになってるし、嬢ちゃんから提出された戦闘詳報にもそれは書かれてたんだが、そんな跡は全く無かった。川内に協力させてデモンストレーションして貰ったが、93式の3型4本ぶち当ててもケロッとしてたうえに5分掛からず穴が再生しちまった。隔壁や排水機能も優秀でろくに浸水もしねぇ」

 

「……どうやったら沈むんだ」

 

「そーだな……片舷に10本ずつ3分おきくらいに酸素魚雷当て続ければ何時かは沈むんじゃねぇかな。ちなみに船体だけじゃなくて武装やら電子戦装備やらも再生可能だそうだ。被弾しても文字通り戦闘力の維持が可能な訳だな」

 

「…………」

 

「で、だ。レーダーは電波使ってなかった」

 

「……なに?」

 

「タキオンは知ってるか?」

 

「光よりも速い物質のことだろう?……おいまさか」

 

「光速の27倍の速度で周囲を探知出来るタキオンレーダーを装備してるんだよなぁ。精度も対妨害強度も電波式より遥かに優れてる。しかもどれもフェーズドアレイレーダーみたいなもんで三次元全方位同時探知式、最大200目標を同時追尾可能だ。21号電探の方が312kmまでの対空監視及び対空射撃管制用。13号の方が84kmまでの低空監視及び水上目標の監視と射撃管制用。コイツで探知した目標のデータを各射撃指揮装置に送って、射撃指揮装置はこれまたタキオンを使った指向性の強いビームを目標に照射することで照準するようになっている。射撃管制には他にもイメージやら電波やら熱やらで多重捕捉して訳分からん世代のコンピュータが制御してるみたいだ」

 

「……未来の技術は凄いな」

 

「だが、あくまでコイツらは「レーダー」だ。どんなに高性能でも水平線より下は探知出来ねぇ。精度こそ今のより遥かに上だが水上目標は元の大和型と同じく21kmまでしか探知出来ねェんだよ」

 

「……艦載機は?」

 

「積んでない。格納庫は空っぽだった」

 

「ちぐはぐだな」

 

「ちぐはぐだろ?ソナーも水中用のタキオンレーダーになってて精度こそバケモンだが20kmまでしか探知出来ない。あくまで個艦防衛用だな」

 

「強力な火器も狙えないなら何の意味も無い。装甲にものを言わせて接近して殴り合うしかない艦な訳か」

 

「そういうことだ。で、肝心の武装だが……細かいデータは後で確認してもらうとして……」

 

「として?」

 

「旋回速度が特に異常だ。一番鈍重な主砲でも1回転に3.4秒、最大俯角から最大仰角まで0.9秒しかかからんのだ」

 

「……高角砲や機銃に至ってはほぼタイムラグ無しに照準可能という訳か」

 

「まさしく戦艦としては究極的だな。だが、強いて言うなら……」

 

「強いて言うなら?」

 

「これを実現出来る技術力があんなら、オレならレ級を作るね」

 

「……確かに。使われている技術に対して結果はあくまで「優秀な砲撃プラットホーム」でしかない。確かにちぐはぐ、歪だな」

 

「嬢ちゃんの証言が事実だとして、こんな戦艦に押し込められて全盛期の力が振るえねェんならこれ程歯痒いことはねェだろうなぁ」

 

「…………」

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