君は不完全で凡庸のクソボケ   作:フルポッポー

6 / 8
前書きって何書けば良いのかわかんね。
多くのコメントありがとうございます!


第6話

<side.アイ>

 

 

私は夜に眠る事が苦手だった。

 

 

母親からの愛という名の暴力。母親が私や何かに向かって叫ぶ罵声。玄関が壊れるんじゃ無いかというぐらい大きなノック。

 

 

そんな環境の中で眠れるわけもないし、眠れたとしても叩き起こされる毎日。何時からか私は眠る事が出来なくなっていた。

 

 

それは施設に入ったことで改善するわけもなく、職員さんが廊下を歩く音、夜ふかししている子に怒る声は止まらなかった。

 

 

今ならそれが悪意から来るものではないと分かるのだけど、当時の私は怖かったのだ。

 

 

けれど、今は優に抱きついて、抱かれて、優の鼓動だけを感じることで眠る事も少しは出来るようになった。

 

 

それでも、私の中にトラウマは残り続けている。

 

 

「貴方みたいな気持ち悪い孤児がさぁ、優くんに近づいて良いと思ってるわけ?」

 

 

「星野、先生として言わせてもらうが、お前は優に悪影響を与えている。だからさっさと教室から出て行くんだ。」

 

 

「アイちゃん。優くんのお宅に迷惑をかけるんじゃありません。あの子は貴方と違って良い子だから幸せに生きてるのよ。貴方が一緒にいて良いわけないでしょ。」

 

 

「星野ちゃん。やっぱり貴方を養子に迎え入れるの辞めるわね。あんなに私の自慢の息子である優にベタベタしてて気持ち悪いわ。サッサと出て行って?」

 

 

おまえはふさわしくない。

 

 

友達に、先生に、職員さんに、お義母さんにいろいろな人に否定される。

 

 

分かっている。これは悪夢だ。特にお義母さんがそんな事言う訳がないのは私がよく知っている。

 

 

...本当に?

 

 

目が覚めた。優の頭越しに置き時計を見ると午前4時。当然まだ起きるのには早い時間だ。

 

 

身体中汗まみれで眠ることもできない。私のせいで優も寝づらそうになっている。ごめんね。

 

 

悪夢の中に優自身が出てくる事は一度もない。

 

 

夢は無意識からのメッセージ...みたいな事をこの前優が読んでいた本に書いてあった。だから私は無意識の中で、友人にも先生にも職員さんにもお義母さんにも信頼を置くことは出来ないのだろう。

 

 

だけど、優には無意識の中でも信頼を置く事が出来ている。そんな事実に私は嬉しくさせられる。

 

 

こんな悪夢を見たせいか、度々母親に引っ張られた、暴力を受けた耳が、全身が悲鳴を上げている。

 

 

「優、ごめんね?」

 

 

器用に優の下に潜り込み、私の耳が優の口元にあたるようにする。

 

 

ガリッ

 

 

母親につけられた痛みも優に上書きしてもらう。もっと、私のトラウマを全て取り除いて欲しいが、優は寝てるし、全てを晒すのは覚悟出来てるけど恥ずかしい。それに、私からじゃなくて優から求めてきて欲しいなぁ。

 

 

<side.優>

 

 

いつも通りアイに抱きつかれながら眠っていた。が、体全体が汗ばんでいるような不快感、口の中に広がる異物感。

 

 

何が起きたのかと寝ぼけた眼を擦って起きようとするが、アイの頭が視界に広がり、アイ頭からする良い香りが鼻をとおる。そして、口の中に広がる骨ばった感覚とすこしの塩気。...俺は寝ぼけてアイの耳でも噛んでしまっているのだろうか。

 

 

アイが起きているのかと不安になったが、流石に耳を寝ぼけて噛まれていたら気付くだろうと思い、口を手前に引いてそのままもう一度寝ることにした。

 

 

モゾモゾ

 

 

...朝になって起きた時もまだ俺はアイの耳を噛んでいた。

 

 

寝る時に噛み癖でもあるのだろうか...。後でアイに相談してみると顔を真っ赤にしていた。

 

 

やっぱり、俺には噛み癖があったのか...。

 

 




優:寝る時に噛み癖があることが発覚して悲しい。

アイ:バレてて恥ずかしいけど知って欲しい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。