ウマ娘達が俺のことを無視しようとしている?   作:R.T

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前、後編の2部構成です。


ウマ娘達が俺のことを無視しようとしている?「トウカイテイオー 前編」

 

 

「それではトレーナーさん、これをつけてください」

 

 

そう言うと、たずなさんは俺の胸ポケットにペンを入れた。

 

 

「これは?」

 

 

「ペンタイプの小型カメラです。そこの蓋に付いているレンズが、映像や音声を記録し、リアルタイムで私に届けてくれるんです。もしものことがあった場合、すぐに私が助けに行けるための保険として、持っておいてください。」

 

 

なんかサラッとすごいもの渡されてしまった。たづなさんのことだから、本当に俺のことを心配しての行動なんだろうが…。

 

 

「心配してくれてありがとうございます。ですが、流石にたづなさんが止めに入るようなことは起こりませんよ。安心してください」

 

 

「それならいいのですが、やはりトレーナーさんの身が1番大事ですからね」

 

 

そういうとたづなさんは目を伏せ、悲しげな表情をしてしまった。

 

 

「あー、えっと…今日会いに行くのはテイオーでしたっけ?部室棟にいるってさっき聞きましたけど」

 

 

無理やり話を切り替え、本題に入る。今日会いに行くのはトウカイテイオー。俺との付き合いはかなり長く、お互いに気の知れた仲だと俺は思っている。

 

 

「はい、そうです。テイオーさんには、シンプルに無視され続けた結果、トレーナーさんが怒った。という形でいきましょう」

 

 

「あ、もうプランも決めてるんですね。ですが、1番目がテイオーなのは、やり易そうでありがたいです。もしかしたらあいつ、最初の段階で無視することが我慢できなくなるかもしれませんからね」

 

 

「その場合でも、ほんの少しは怒ってみてくださいね。付き合いの長い間柄にこそ、礼儀というものは必要なんですから」

 

 

俺達は笑い合う。実際に俺は、部室に入った瞬間に、全てを忘れて、いつものように挨拶してきたりして、無視とかなんだったんだって、後でたづなさんと談笑会でも開こうと考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな風に、始まる前は余裕を見せていた俺だったが、この後に何が起こるのか分かっていれば、例えたづなさんの願いとはいえ、断っていたのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ、て」

 

俺は理事長室を出て、自分の部室棟にやってきた。この中にはテイオーが1人でいるというのは既に知っている。俺がやるべきことは、今からここに入り、テイオーから無視され、そして頃合いを見て怒る。文字にするとなんかよく分からなくなってきたな。

 

 

「けどまぁ、テイオーならそんなに気を背負う必要もないか。何とかなるだろ」

 

 

2、3回ほど大きく深呼吸をして、体を落ち着かせる。1発目の声がもし震えてたりなんかしたらかっこ悪いからな。

 

そして俺は意気揚々と部屋の扉を開け、中に入った。

 

 

「あれ、テイオーだけか?」

 

 

部屋に入って周りを見渡し、テイオーしかいないことを確認し、声をかける。

 

 

「……………」

 

 

おぉ、流石に最初から返事をしたりはしないか。だが、分かっていても結構くるな。もしたづなさんから伝えられていなかったら、普通にやばかったかもしれない。

 

 

「テイオー?聞こえてるか?今日はまだ他の奴らはきてないのか?」

 

 

普段通りにテイオーに声をかけて、俺は自分の席に腰を下ろす。テイオーには視線を向けず、あくまでも日常会話をしているように話しかけていく。

 

 

「……………」

 

 

入ってきた時より少し大きな声で話しかけてみるが、当然これにも返答はない。まるで俺のことなんて見えていないかのように雑誌を読んでいる。

 

 

「…?テイオー、どうした?音楽でも聴いているのか?」

 

 

あくまでも少しだけ気になったかのように俺は立ち上がりテイオーのところまで歩いて行く。そして耳にイヤホンを付けていないことを確認すると。

 

 

「なんだ、何もつけてないじゃないか。どうしたんだ?何かあったのか?」

 

 

肩に手をやり揺さぶる。少し弱めに、あくまでも俺はここにいるという報告もするためだ。

 

だが、俺のその手はパシンと甲高い音を立てて弾かれた。

 

 

「……え?」

 

 

思わず素の声が出た。まさか叩かれるとは思っていなかったからだ。

 

その場を立ったり、身を捩るとかはするだろうと考えていたが、かなり強めに叩かれるというのは、ほんの少しも考えていなかった。

 

 

「テ、テイオー?どうしたんだ、何かあったのか?」

 

 

少し腫れた手を抑えながら前に回り込み、テイオーの顔色を伺う。

 

あくまでも、いつも通りの俺を装うようにしているが、正直もう、演技とか忘れてきている。それほどにさっきの振り払いは効いた。

 

 

「……………」

 

 

しかし、正面から見ても、テイオーは何も反応を示さない。まるで目の前には何もいないかのように普段通りに過ごしている。

 

 

「テイオー、さっきからどうした?何かあったのか?俺には言えないことなのか?」

 

 

テイオーは普段から気分家なところがあった。故に、不意に不機嫌になったり上機嫌になったりする。

 

そういう時は強く刺激したりせず、テイオーの話を聞いてあげるのが、いつの間にか当然の対応になっていた。まるで猛獣のような扱いだな。

 

 

「……………」

 

 

しかし、返ってくるのは無言という冷たい反応だけだった。

 

…、少し、いやかなり辛いというのはある。流石にここまで完全に無視されるとは俺も思っていなかったからだ。

 

もっと軽いものかと思っていたが、蓋を開けてみると予想の何倍も重く、そして苦しかった。

 

たづなさんから知らされてなかったら、耐えられたかどうか分からない。

 

 

「…?テイオー?」

 

 

その時、不意にテイオーが自分の携帯に手を伸ばした。雑誌も読み終わったからネットでもするつもりなのだろうか。

 

 

「…あ〜暇だなぁ。皆早く来ないかな〜」

 

 

「…え?」

 

 

今日初めて聞いたテイオーの言葉はあくまでも俺のことなんて眼中にないかのような発言だった。

 

もしかしたら本当に俺という存在が認識できていないんじゃないか?ということすらも考えたが、先程手を叩かれたのを思い出した。

 

 

「なんだ、テイオー…。体調が悪いってわけじゃないのか?本当にどうしたんだ?」

 

 

他の皆の到着は心待ちにしているのに、今この場にいる俺のことには一切関心がない。演技だと分かっていてもこれはかなり精神にくる。

 

舌の根が乾き、口内の唾液が蒸発していく。

 

 

「…俺には、話せないことなんだな。分かった、マックイーン達が来たら俺は外に行くから、その時にあいつらに話すといい」

 

 

ふと、俺ではなくマックイーン達のことを求めているんだと言うことが重くのしかかったが、すぐに考えるのやめ、俺は自分の席に返った。

 

友達同士でないと話せないことなんだと、あくまでも仕方なく俺には言えないことだから、話をしたがらないんだということを考えて、俺は席に座った。

 

だが、次のテイオーの言葉は俺を演技だとかそういうのを全て捨て去らせるには十分すぎる言葉だった。

 

 

「…ほんと、ひっつき虫だなぁ。ボクのお飾りのくせに」

 

 

「……………え?」

 

 

今、なんて言った?…ひっつき虫、お飾り?誰が、誰のだ?いや、分かっている。これはテイオーの演技だと。少し度が過ぎた悪戯なんだと。頭では理解している。だけど、体がついてこない。まるで俺の周りだけ真冬になったかのように気温が消える。

 

うまく息が吸えない。苦しい。痛い。

 

 

「テ、テイオー?今なんて」

 

 

「……………」

 

 

俺の問いにテイオーは答えない。

 

もう、いいんじゃないか?テイオー。これ以上はいくらお前でもやりすぎじゃないのか?さっきのは少し言い過ぎなところはあるが、全部冗談だったと、いつものように笑いながら言ってくれれば、俺はそれを怒るだけで済むんだ。

 

だから、もう…これ以上は。

 

 

「テイオー?なぁ、もう」

 

 

「はやく新しいトレーナーに変わってくれないかなぁ」

 

 

………俺はしばらく、呼吸をすることが出来なかった。テイオーは今、なんて言った?新しい…トレーナー…?

 

俺は今、ここにいるんだぞ。俺というトレーナーの前で、新しいトレーナーを求めるということがどういうことか、お前は本当に分かっているのか?

 

分かっている上でその発言をしたのか?テイオー。

 

お前のそれは、もう悪戯でもドッキリでもない。お前は、俺達の今まで積み上げてきたもの、それら全てを自分自身の手で壊しているんだぞ。

 

 

「……………」

 

 

そして依然として、俺のことなんていないものとして扱い続けるテイオー。

 

……なぁ、テイオー、お前のさっきの発言はひょっとして全部本心なのか?

 

悪戯やドッキリという、便利な言葉を隠れ蓑にして、本当はずっと思っていた俺への気持ちを今、吐き出しているのか?

 

これはもうドッキリなのか?もし仮にドッキリなんだとしても、俺はどうしたらいいんだ?当然のように俺達の全てを否定したこいつのことを、俺はどうすればいいんだ?

 

全てを怒って、そして許して、またトレーナーとしての責務を果たさなければならないのか?俺にそこまでする義務があるのか?全てを壊したこいつに、俺は…おれは。

 

その時、テイオーが立ち上がり、こっちにやってくるのが見えた。…なんだ、なんなんだ?テイオー、お前はなんで、どうして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなに恐ろしい顔で笑っているんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんふふ〜ん」

 

 

トレーナーのことを待ちながら、ボクは部室でゆっくり雑誌を読んでいた。

 

この後トレーナーが、ボクがいないと生きていけない体になるって考えると、とてもワクワクする。

 

 

「ま、まぁ…その為なら多少酷いことしても許されるよね。トレーナー優しいし、謝れば絶対許してくれるもんね」

 

 

今からボクはトレーナーのことを無視する。

 

といっても、トレーナーのことが嫌いだからそんなことするんじゃない、むしろ逆だ。大好きだからこそ、無視する。

 

 

「あはは、考えてみると、よく分かんない理由だね」

 

 

1人可笑しく笑ってると、この部室の前歩いてくる人の気配がする。トレーナーだ。少し重心が前に偏ってるこの歩き方はトレーナーしかいない。

 

そして扉の前に立つと、何やら深呼吸をしているのが分かった。何してるんだろう、早く入ればいいのに。

 

まぁ、その間に計画をもう1度練り直しておこう。

 

まずトレーナーが部室に入ると、ボクがいるのを確認して、声をかける。ボクはそれを無視する。そうするとトレーナーは、不審に思ってボクに近づく。その後も無視し続ければ、やがてトレーナーはボクとお話がしたいがために、謝ったりしてくるだろう。

 

その時にネタバラシだ。そうしたらきっとトレーナーはボクのことを、今以上に大切な存在だと認識するはず。ってなったら、これから先もず〜っと一緒にいられる!よ〜し、少し不安だけど頑張るぞ〜!

 

ボクが気合を入れると同時に、部室の扉が開いた。

 

 

「あれ、テイオーだけか?」

 

 

思った通り、トレーナーはボクを見つけると、声をかけてくる。いつもならここでパタパタとトレーナーに抱きつきに行くけど、今日はグッと我慢する。

 

 

「テイオー?聞こえてるか?今日はまだ他の奴らはきてないのか?」

 

 

聞こえてないと判断したのか、さっきよりもトレーナーは、ほんの少しだけ大きな声で話しかけてくる。

 

ウマ娘の聴力はかなり優れているから、いつも聞いてる音楽などでも、少し音を大きくするだけで耳が痛くなる時もある。

 

トレーナーはそんなボク達のために、最低限の声の大きさで会話できるように、誰も見ていないところでいつも練習してる。そういうところがほんとに大好きだ。

 

 

「…?テイオー、どうした?音楽でも聴いているのか?」

 

 

それでも聞こえていないボクを不審に思い、トレーナーは少し心配そうにボクに目を向ける。聞こえてない理由を音楽のせいだと思っているみたいだ。

 

かわいいな〜、もし音楽を聞いていたとしても、トレーナーがボクを呼ぶ声を聞き逃すわけがない。例えレースで走っている時だろうと、トレーナーのボクを応援してくれている時の声は全て聴こえているんだ。

 

この時、少し昔のことを考え過ぎてしまっていた。だから、トレーナーの手がボクの肩に近付いているのが分からなかったんだ。

 

 

「なんだ、何もつけていないじゃないか。どうしたんだ?何かあったのか?」

 

 

ビクリ、体が震えるのと同時に、ほぼ反射で肩に触れた何かを払い除けた。無意識だったからか、少し強めに叩いてしまったそれが、トレーナーの手だと気付いたのはその後すぐだった。

 

 

「……え?」

 

 

すぐにボクはやっちゃった!と後悔した。すぐに謝って、叩くつもりなんてなかったんだって言おうとした。

 

もちろんその場合はボクの計画もパーになっちゃうけれど、ここでトレーナーに変な勘違いされる方がボクは嫌だった。

 

そして叩かれたというのに、すぐにトレーナーはボクの前に来てくれた。後はボクも謝って仲直りすればそれで終わりだった。

 

 

でもボクはその時、トレーナーの顔を見てしまった。

 

 

 

「テ、テイオー?どうしたんだ、何かあったのか?」

 

 

 

そこには、今まで見たことがないほどに怯えたトレーナーがいた。今までふざけて殴ったりしたことはあったけど、あくまでもふざけて、だ。本気なんか絶対に出さない。けど、さっき叩いたのは無意識のせいでかなり本気だった。

 

トレーナーの手は少し赤く腫れていて、違う方の手でそこを押さえていた。

 

ボクはそれを見て、言いようのない不安と、体全身から湧き出る興奮に襲われた。

 

トレーナーを殴ってしまった。赤くなってるから謝らなきゃいけない。という感情と、トレーナーがボクを見て怯えてる。今まで見せたことのない表情をボクだけに見せている。という2つの異なる感情。

 

決して混ざることのない2つの想いが、ボクの体を休むことなく巡り、不思議な高揚感が身を包む。

 

 

「テイオー、さっきからどうした?何かあったのか?俺には言えないことなのか?」

 

 

ボクの様子を変に思ったのか、少しずつ下がりながらトレーナーはボクに尋ねる。

 

なんだかその動きもかわいくて、笑ってしまいそうになる。まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。

 

ボクは今、食物連鎖の上にいるんだということを理解してしまった。

 

 

「…?テイオー?」

 

 

そんな認識がボクを少し変にしてしまった。

 

トレーナーの怯えた顔をもっと見たい。トレーナーをもっといじめたい。トレーナーの今まで見たことがない顔をもっと見たい。

 

だからボクは、ついこんなことを言ってしまった。

 

 

「…あ〜暇だなぁ。皆早く来ないかな〜」

 

 

トレーナーのことを無視しているのに他の皆が来るのを心待ちにする。それは無視されている立場からしたら、とても辛いことだろう。ボクはこれを分かってやったんだ。トレーナーの反応を見るために。

 

 

「…え?」

 

 

でも、トレーナーはいつもとあまり変わらなかった。ボクがもしこんなことを言われたら、きっと辛くて悲しくて、どうにかなってしまうのに。

 

 

「なんだ、テイオー…体調が悪いってわけじゃないのか?本当にどうしたんだ?」

 

 

どうやらトレーナーは、悲しいという感情の前に、ボクが喋ったということに意識を向けたみたいだった。少しばかりホッとしてるようにも見える。

 

こんなことをされても、ボクのことを気遣うそのトレーナーの姿に、ボクはまたしても不思議な感覚に襲われた。

 

 

「…俺には、話せないことなんだな。わかった、マックイーン達が来たら俺は外に行くから、その時にあいつらに話すといい」

 

 

だけど、トレーナーは少しすると、ボクが自分ではなくマックイーン達のことを求めていると分かったのか、少し悲しそうな顔をした後に、自分の席に戻ってしまった。

 

だけど、足りない。そんな顔じゃボクは満足できない。もっと、もっとボクの知らないトレーナーの顔を見たい。

 

…そしてボクはついに、決して言ってはいけない、最悪の言葉を口にした。

 

 

「…ほんと、ひっつき虫だなぁ。ボクのお飾りのくせに」

 

 

言った後から、流石にこれは言い過ぎたかなと、自分でも反省した。

 

ひっつき虫だなんて微塵も思ってはないけど、トレーナーの見たことがない顔を見れるのであれば、言う価値はあると思ってしまったんだ。

 

そしてその時のトレーナーの顔は。

 

 

「……………え?」

 

 

あ、あぁあ!!すごい、すごいよトレーナー…。そんな悲しそうな顔今まで見たことがない。

 

信頼してた相手に突然こんなこと言われたらショックだよね。

 

でも安心して、後でいっぱい慰めてあげるから。

 

 

「テ、テイオー?今なんて」

 

 

酷いことをいっぱい言った代わりに、その分たくさん慰めてあげるから

 

 

「テイオー?なぁ、もう」

 

 

だから、もう少しだけ…あと1回だけ、いいよね?

 

 

「はやく新しいトレーナーに変わってくれないかなぁ」

 

 

遂に、言ってしまった。例え何があろうと絶対に言ってはいけない言葉を、さっきのひっつき虫だなんて霞むほどのナイフをボクは口にした。

 

トレーナーはきっと、自分が何を言われたのか理解できていないだろう。

 

今まで一緒に、夢を叶えるために2人3脚で走ってきた相手から最も酷い形で裏切られたんだ。

 

きっと、とてつもない感情がトレーナーの体を襲っているはずだ。

 

だけど、正直これは、ボク自身もあまり興奮は得られなかった。

 

トレーナーが何を言われたのか分からないって顔をしているのもそうだけど、それ以上に、ボクは、トレーナーと今まで頑張ってきたことを、例え嘘でも全て壊してしまうようなことを言ってしまったからだ。

 

そこまで間違った感情で興奮したりはしないんだな、と認識して安心した。

 

だってボクとトレーナーはこれからもずっと一緒だからね。これから先、もし離れ離れになるようなことがあったらどうにかなっちゃうだろうし。

 

と、そろそろネタバラシした方がいいかな、トレーナーすごく怖かっただろうし、いっぱい慰めてあげないと。それに、これだけ酷いことを言われて、全部嘘だったって分かればきっとすごい安心するはずだ。

 

そうなったらきっとトレーナーは今以上にボクのことを大事にしてくれるに違いない。

 

そう考えて、ボクはいつものように、ほんとにいつものように、トレーナーが可愛いと褒めてくれる笑顔でトレーナーに近づいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう全てが終わった後なんだということに、いつまでも気付かないまま。

 

 

 

 

 

 

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