ハイスクールD×G 作:オンタイセウ
ですが、更新はしっかり続けていく予定ですので……見捨てないで!!!
その日のオカルト研究部の定例会が行われたのは、イッセーの家の部屋だった。
この日はたまたま旧校舎の大規模な清掃が業者により行われているため、急遽イッセーの部屋で行われることとなったのだ。
因みに、今この場にダイスケの姿はない。野暮用とかで来るのが少し遅れるらしい。
しかし、その定例会もイッセーの母のとある差し入れでなあなあで中断された。
イッセーの過去の写真をオカルト研究部の全員に見せたのだ。
これは効果てきめんで、リアスなどは幼いイッセーが風呂上がりに全裸で牛乳を飲んでいる姿を見て「小さいイッセー可愛い。可愛いイッセーハァハァ」とかなりヤバイ状態になっていた。
そこへ、ダイスケが入ってくる。
「すんませーん、遅れましたー……ってイッセー、お前何塞ぎこんでんの?」
「過去の恥ずかしい写真を見られたら、誰だってこうなるよ……。」
「おお、昔の写真見てたの。じゃあ、丁度いいや。いい機会だから家から持ってきましたー。」
その一言で全員がダイスケが手に持つ“ソレ”に視線を向けた。
「イッセーの黒歴史を集めたアルバムでーす!イッセーには塞ぎ込むだけでなく、泣き叫んでいただきまーす!」
『いよっ!待ってました!!』
イッセー以外の全員が拍手喝采を送る。しかも、イッセーが他のみんなの手にアルバムが渡るまいと動く前に、リアスたちの手に渡っていたのだからもう絶望するしかない。
「ねぇ、ダイスケ!このイッセーが芝生の上で四つん這いになっているのはなんの写真!?」
早速リアスがある写真に食いついた。
「それはですね、小六の時に遠足で牧場に行った時の写真ですね。あ、イッセーの顔の真下あたりをよーく見てみてください。」
そう言われてリアスはその部分を凝視する。
「なにこれ……。白い液体?」
「その液体……イッセーが飲みすぎて吐いた牛乳です。」
『ええェェェェェ!?』
リアス含め、他のメンバーも驚く。それに対し、イッセーは部屋の隅で耳を抑えてうずくまっている。
「こいつね、牧場の牛乳飲み放題だってんで、相当な量の牛乳飲んだんですよ。しかも、記録に残ったら記念品が貰えるって言うんで張り切ってたんです。で、その結果がイッセーリバースとなったわけなんです。」
ダイスケの説明でその様子を思い浮かべ、普段滅多に表情を出さない小猫まで腹を抑えて笑っている。ほとんど呼吸ができていない。
「しかもね。ほら、その下の写真。別の場所で吐いてるでしょ。やり直そうってんでまた性懲りもなく飲み直したんですよ。で、また吐いて。それを延々と繰り返して行くうちに、誰かが牛乳が飲んでは吐かれてを繰り返す様を見て『兵藤を通じて大地へ還る』なんて格言が生まれましてね。」
その言葉でまた皆の腹筋に大ダメージが入った。小猫に至ってはもう過呼吸気味だ。
「おい、小猫。これでダメージ受けてたら先に進めないぞ。まだまだあるんだから。」
そう言ってアルバムを開いていくと、出るわ出るわイッセーの黒歴史。
その写真を見てオカ研メンバーは次々と腹筋を崩壊させていく。それとは対照的にイッセーの生気はみるみるうちに失われていく。
「なんで母さんもダイスケも余計なもの持ってくるんだよ……。」
母とダイスケから十字砲火を受ける結果となったイッセーは、ただただ二人を呪うしかなかった。
「ダイスケ君はともかく、いいお母さんじゃないか。」
「どこがだよ!!」
意気消沈するイッセーに、慰めの言葉をかける木場。その手にはイッセーの母が持ってきた方のアルバムがある。
「こんな家族がいるって、とてもいいことだよ。」
「……そういや木場、お前ん家って……?」
そのイッセーの疑問の言葉に、木場からの回答はなかった。その代わり、木場の視線がある写真に止まったとき急に木場の声のトーンが変わった。
「ねえ、イッセー君。この写真だけど……。」
その写真は、洋風の内装の家の中に幼いイッセーと友達であろう亜麻色の髪をした子供が一緒に写っているものだった。
「ああ、これか?その男の子は近所の子でさ、昔はよく一緒に遊んだんだ。小学校に入る前に、親の転勤で海外に行っちまたんだ。名前は確か……。」
「……この剣の方に見覚えはある?」
木場が興味を惹かれたのは、イッセーと共に写っている子供の方ではなかった。その後ろの壁に立てかけてある、鞘に収められているロングソードの方に目が行っていた。
「いや、ガキの頃の話だから、あんまり……。」
だが、イッセーの言葉は既に木場の耳には入っていなかった。
その目は長年探し求め続けていた“ナニカ”をようやく見つけたような目だった。
「これはね……聖剣だよ。」
「木場、お前……?」
イッセーが木場の変わりようを感じたその時。
「ダイスケ先輩。この古そうな写真はなんなんですか?」
小猫がダイスケの持参したアルバムの中から、一枚の古ぼけた写真を見つけ出した。
「あ、俺この写真こっちのアルバムの中に入れてたのか。いや、これはうちの祖父さんが巫山戯て作った合成写真だよ。」
その写真を見て、一同は驚いた。
「なにこれ……。日本兵と……恐竜!?」
リアスの言う通り、その写真には笑顔で立っている日本兵と明らかに肉食恐竜と思われる巨大な生物がツーショットで写っていた。
「あらあら、なかなか凝った合成写真ですわね。」
朱乃の言う通り、合成写真にしてはかなり鮮明かつ不自然さのない写真である。そこに恐竜が写っている点を除いては。
「ダイスケ、これってどこの写真なんだ?」
「祖父さんの話だと、終戦間近に派兵されたマーシャル諸島のラゴス島って島の写真らしい。元々は陸軍中野学校でスパイの養成を受けたたんだけど、卒業後しばらく経ったら戦局が悪化して前線に駆り出されたんだと。」
イッセーの疑問にダイスケが答える。
「ダイスケ君、お祖父さんはこの写真をなんて?」
木場も写真に興味を持ったのか、質問をぶつける。
「俺は合成だろって言ってるんだけど、「これは紛れもない本物だ」っていって聞かないんだよな。他に確認できる人もいないし……。」
と言いかけたところであることを思い出す。
「……あの人なら、何か知ってるかな。」
*
その夜、ダイスケは駅前に来ていた。
目的地はある屋台のラーメン屋である。
「こんばんは。」
ダイスケは暖簾を潜り、主人である池畑益吉に挨拶をする。
「おう、ダイちゃんか。久しぶり。」
カウンターの客の相手をしながら、主人は挨拶を返す。
「ダイちゃん、悪いんだけどあっちの席の方にしてくれねぇか?カウンターがご覧の通りいっぱいでさ。」
主人が指さす先には少し離れて置いてある長机と長椅子がある。
「カウンターで食うと雰囲気出るんだけど……まあいいか。おじさん、チャーシューとんこつ大盛りでね。」
「あいよ!」という威勢のいい言葉を背に受けて、ダイスケは長椅子の方に座る。
ここの主人は小さい頃からの馴染みで、もともとは祖父の戦友という縁で知り合った。
なんでも、戦時中に戦地で祖父に命を救われ、同じ街の出身ということでそれ以来60年以上の付き合いを続けているのだという。
戦後、一度博多の方でラーメンの修行をし、ダイスケが小学生になったあたりに駒王町に帰ってきたのだという。
店の名前は「らごす」という。
どこの戦地で一緒に戦ったのか長らく聞くことも、疑問に思うこともなかったので唯の戦友という認識でいたのだが、今日あの写真を見たときに「祖父とここの主人が一緒にいたのはラゴス島だったのではないか」というふうな仮説ができた。
「はい、チャーシューとんこつ大盛りお待たせ。」
主人がラーメンを持ってやってきた。
ダイスケはここのとんこつが非常に好きだ。幼い頃から知っている味だというのもあるが、本場の味を長年研究し忠実に守られたこの味に勝るとんこつをダイスケは知らなかった。
「いいかい?」
主人は「いただきマース」と言うダイスケの向かいに座り、煙草の箱を見せる。
「いいですけど、店は?」
「いや、あの人らはビールさえあればそれでいいから。」
会社帰りのサラリーマンであろうカウンターを占拠した集団のことである。
なるほど、とダイスケが言うと主人は煙草をくわえ、紫煙をくゆらせる。
「最近どうだい、春雄さんは。元気でやってるかい?」
「元気もなにも、元気すぎですよ。この間も暴走族を一人で壊滅させてたし。あれは、あの世からのお迎えも腕力で撃退しているクチですね。それに今日は釣り仲間の飲み会で、温泉に三泊ですよ。孫一人置いといて何考えているんだ。」
「ハッハッハ!春雄さんらしいな!」
ここでいう「春雄」とは、ダイスケの祖父「宝田春雄」のことである。
「しかし、今日は一体どうしたんだい。珍しくこんな時間に来て。いつもは土日だろう。」
「……おじさんに、どうしても見て欲しいものがあって来たんです。」
そう言ってダイスケは例の写真を見せる。
「……ああ、あの人まだ持っていたのか。」
「単刀直入に聞きます。これは本物なんですか?」
その質問に、主人は一度煙を吐いてから答える。
「……紛れもなく、本物だよ。私も実物をこの目で見た。」
信じられなかった。よりにもよってこの人あたりのいい主人が、祖父の戯言と思われていた写真の内容を事実と裏付けたのだから。
「でも、なんで……?」
「それを知るには、ラゴス島で起きたことを知る必要がある。」
そう言って一度主人は席を離れ、会計を済ませようとするサラリーマン達の方へ行った。
マーシャル諸島のラゴス島。
そこで一体何が起きたのか。
戻ってきた主人は話を続ける。
その内容はこうだ。
終戦間近の頃、マーシャル諸島の守りを固めるために、若き頃の主人と祖父は小さな島であるラゴス島に配備された。
完全なる無人島と思われていた島には、実は住民がいた。それは写真の恐竜だった。
恐竜は大人しく、島に入ってきた日本兵を敵とは認識せずにそのまま受け入れた。
中には餌付けをしようとして成功した者もいるくらいだった。
その中でも一際なついていたのは、ダイスケの祖父である宝田春雄だった。
特になにもしていないが、お互い波長があったのだろう。任務の合間には良く連れ立っていたそうだ。
そんなある日、アメリカ海兵隊の攻撃を島は受けた。
連日飛来する砲弾の雨。島の密林は尽く破壊され、皆恐竜はもう死んでしまっただろうと思っていた。
ついには隣のクエゼリンとルオットからの通信が途絶え、玉砕したという最悪の知らせが届いた。
ラゴス島守備隊隊長である新堂靖明少佐は、その翌日にアメリカ軍への玉砕覚悟の抵抗を決定する。
その翌日、戦火は切って落とされた。
上陸をした海兵隊の戦力は強大で、次々と仲間がその銃弾に倒れていく。
そんな中でも、祖父は果敢に戦った。
中野学校でエリート教育を受け、いくつかの諜報、防諜任務を経験したあとに激戦地を転々とした祖父の戦いようはまさに鬼神の如しだったという。
だが、相手の物量は圧倒的だった。
海兵隊は島のような要所に攻め込むための特殊訓練を受けている、揚陸戦のエキスパートだ。それ相応の装備も充実している。
対して守備隊の持つ弾薬の量は少ない。既に補給線を米海軍に絶たれていたからだ。
もう、ここで終わりだ。
若き益吉はそう思ったその時、島中にけたたましい叫び声が響いた。
あの恐竜だった。恐竜は、島に降り注ぐ砲弾の雨の中を生き延びていたのだ。
その生命力に感嘆する間もなく、恐竜は上陸したアメリカ兵を襲った。
島を荒らしまわった張本人たちが誰だか分かった上で、彼らを蹂躙した。
海兵隊員の持つM1カービンやM1919、BARなどの重・軽機関銃はおろか、バズーカの直撃にも屈せず猛然と海兵隊を襲った。
優勢であったはずの米軍は、たった一頭の恐竜のために上陸地点である海岸にまで押し戻されていった。
しかし、砲声とともに恐竜の胸に穴があく。艦砲射撃だった。歩兵の携行武器では傷一つ付かなかったその身体が、いくつもの砲弾を受けて血を流す。
そしてついに恐竜は地に伏した。
ただその様子を見ているしかできない守備隊をよそに、米兵たちは倒れた恐竜に群がる。
が、ここで終わらなかった。死んだと思った恐竜は再び立ち上がり、残った全ての米兵たちを踏み潰した。
島を荒らしたものを粗方駆逐し終えたのを確認すると、恐竜は森の中へ帰っていった。
米軍もこれ以上の被害を恐れてか、島にこれ以上上陸することもなく撤退していった。
そして、本土への引き揚げの日。
彼ら守備隊の面々は虫の息の恐竜をどうすることもできなかった。
ただ、傷が癒えるのを祈るしかない。そして、感謝の気持ちを込めて、最敬礼をもって恐竜と別れた。
それが、すべての顛末だった。
「……そんなことが、本当に……!?」
「ああ。実際、米兵どもがやられていく様は実に痛快だったよ。……だが、あいつが守ったのは俺たちじゃない。島だったんだ。ただ、それだけのことさ。」
「あの、ラゴス島の記録って……。」
「両隣のクエゼリンとルオットが壮絶な玉砕を遂げたんだ。あんなちっぽけな島の連中がのこのこ帰ってきましたって、記録に残せるもんか。……だがまあ、アイツのお陰で二度と踏めないと思っていた本土の土を踏むことができた。あいつには感謝してもしきれんよ。」
そう言うと、益吉は再び紫煙を吐き出す。
だが、引っかかっていることが一つあった。
「でも、それじゃあ映画の『ゴジラVSキングギドラ』のまんまじゃないですか!?」
「ああ、わしも後からそのこと知ったんだが……いやぁ、偶然の一致てのはあるもんだと思うほかないよ。そういえば、アイツのことを大戸島の出の奴が島の伝説になぞらえて“呉爾羅”なんて言ってたな。守備隊の生き残りの誰かが、映画会社に入ったとしか思えないが、そんな奴いたかどうか……。」
ダイスケの頭の中はますます混乱してきた。
映画の中の出来事が実際にあった事件で、目の前にどころか自分の祖父がその当事者だなんて。
だが、もし映画の中の怪獣たちが実際にいるのだとしたら?そうすればこの前、堕天使たちがカマキラスを使役していたのも説明がつく。
「まあ、何を悩んでいるのかは知らんが、今は目の前の一杯のことだけを考えてくれ。伸びちまうぞ。」
そう言われて、ダイスケは自分で注文したラーメンのことを思い出し急いで麺をすする。どうやら伸びる一歩手前までラーメンのことを忘れていたらしい。
ようやくスープも飲み干し、いざ会計へ向かう。その勘定の最中、益吉はある事をダイスケに教えた。
「ひょっとしたら、あの人も何か知っているかもしれんな。」
「あの、誰です?」
「新屋嘉明元少佐。今は帝洋グループの会長さ。」
未だ、答えを手にできそうにもなかった。
*
球技大会が近づいているある日の昼休みの屋上。
そこには今、イッセーとダイスケしかいない。
ダイスケはイッセーに、昨晩に起きたはぐれ悪魔討伐の顛末について聞いていた。そして、木場がその場で不覚を取ったことと、昨日木場が見入っていた聖剣と木場との関係も聞いた。
それは文字通り、胸糞の悪くなる話だった。
聖剣。それは、神による祝福を受けた対アンチキリスト的存在に対する絶対兵器。それに触れただけで邪なる存在はたちまちその身を焦がし、消滅させる。
代表的なものは、アーサー王の『エクスカリバー』、ローランの『デュランダル』、聖ゲオルギオスの竜退治で有名な『アスカロン』。
また、イエス・キリストを処刑したローマ兵、ロンギヌスがキリストの死の確認のために脇腹に刺した所謂『ロンギヌスの槍』も聖剣をはじめとした対アンチキリストの聖具として有名だ。さらに、これは神滅具の代表選手でもある。
だが、誰にでも扱える代物ではない。聖剣に対する適正を持つ者のみが扱えるものであり、実際に使いこなせるものが現れるのは数十年に一人なのだという。
そして木場は、エクスカリバーと適応するために人工的な調整を受けた者の一人だった。
これは教団の一部が行っていた『聖剣計画』と呼ばれるものの一端だった。
だが、木場は聖剣に適応できなかった。それどころか、同時期に養成された者たちも皆適応できなかった。
それを知った計画の遂行者たちは、木場ら被験者たちを『不良品』として処分した。
木場は、その虐殺の中で生き残った唯一の人間だった。それをリアスが拾ったのだ。
正直な話、食事中にするものではない。
だが、同じオカルト研究部の仲間としてイッセーもダイスケも知る必要のある話として、イッセーからダイスケに教えるようにリアスは言った。だから話した。
「しっかし、あれだな。そういう話聞いてると“隣人愛”ってなんなんです?って言いたくなるな。」
「部長も言ってた。教団の人間は悪魔は邪悪な存在だっていうけど、本当に邪悪なのはそういう人間の行いのほうだって。」
「まあな、確かにうちの部長のほうがよっぽど人間味が溢れてるよな。悪魔なのに。」
食事を終え、屋上から階段で下に降りていく二人。昼食を済ませたら、オカ研のメンバーは全員部室に集まることになっていた。
部活動対抗の球技大会のための最後のミーティングを行うとのことだった。
リアスはライザーとの一件以来、彼女は勝ち負けに関しての強いこだわりを見せるようになっていた。あの時の状況は、確かにリアスたちにとって劣勢だったのは確かだ。それでも負けたという事実ののものが、彼女のプライドを傷つけた。だからこそ、どんな勝負事にも積極的に勝ちを狙うようになっていった。
「おう、お前ら今日も部活の集まりか?」
松田が購買で買ってきたパンが入った袋を持って、二人とすれ違う。松田の隣には元浜も一緒だ。
「ああ、球技大会に向けて猛練習中。」
「かー、オカ研がボール競技かよ。でもさ、お前らんトコって全員身体スペック高いよな。」
「まあ、俺らもそうだけどな。」
中学時にダイスケの祖父から強制的に受けた地獄の特訓の日々を思い出す。
イッセーとダイスケは、まだ幼い頃からシゴキを受けていたためまだマシだったが、大変だったのはそれについて行かなければならない松田と元浜だった。
それでも、春雄から教わった諜報術の応用で覗きなんかをやっているのだからどっこいどっこいだ。
「しかしな、イッセーよ。お前最近変な噂が流れているから気をつけろよ。」
突如として、眼鏡をくいっと上げながら元浜が切り出した。
「あ?なにがよ。」
「美少女を取っ替え引っ変えしている可能性ならぬ性欲の獣イッセー。駒王学園に大お姉さまの秘密を握り、毎夜毎夜の鬼畜変態プレイを強要し、「ふふふ、普段は気品あふれるお嬢様が、俺の前では卑しい顔をしおって!このメス○タが!!」と罵っては乱行に次ぐ乱行。」
「はぁぁぁぁあああああ!?なんじゃ、そりゃあああああああああああ!?」
あまりに酷い風説に某ジーパン刑事なみの叫び声を上げるイッセー。
「まだ続きがあるぞ。ついには学園のマスコット塔城小猫ちゃんのリータボデーにまでその毒牙が向けられる。小さな体には収まりきらない激しい性行為は天井知らず。まだ未成熟の青い果実を貪る一匹のケダモノ。「先輩……もうやめてください……」と切ない声を上げるも性欲の野獣の耳には届かない。そして、ついには転校したての一人に天使までもが餌食となる。転校初日にアーシアちゃんに襲い掛かり、「日本語と日本の文化をこの俺が放課後の特別補習でその体に叩き込んでやろう」と黄昏時に天使は堕天していく……。ついに自分の家の中に囲い、狭い世界の中で繰り返される終わりのない調教。鬼畜イッセーの美少女食道楽は止まらない……とまあ、こんなところか?」
「……え、マジ?俺そんな風に見られてるの?」
チラリと廊下を見渡せば、そのイッセーに向けられる視線はなにか形容し難い汚物を見るような目であることに気づく。
「まあ、俺たちが流してるんだがな。」
「そうそう。」
松田と元浜が悪びれた様子もなく堂々と告白する。
恐らく、春雄から学んだ謀略術を応用してこのデマを広めたのだろう。
本当に友達かどうか自信がなくなった二人に対し、イッセーは躊躇することなくその腹にボディーブローを叩き込む。
「痛いぞ、鬼畜。」
「そうだそうだ、俺たちに当たるなこの野獣め。」
「因果応報だ!!おい、ダイスケ!!このバカ共を置いて……ってあれ?」
すぐ隣にいたはずのダイスケの姿が見当たらない。すると、先ほどボディーブローを受けたふたりがイッセーの足元を指差す。
そこには笑い転げて呼吸困難になっているダイスケの姿があった。
「き、鬼畜イッセーとか!!マジで最高だわ!!ブッ!グワハハハ!!ヒィヒィ!!アヒュ!アヒュ!!イーヒヒヒヒヒ!!!」
「おまえ、そこ普通笑うか!?」
「笑うに決まってんだろ!こんな最高のネタ、他にねぇわ!!!」
ほんとにコイツも俺の友達なのか、と自信を無くしていくイッセー。どうやら男は、周囲の女の子の人口が増えるたびに男友達の人数が減っていくらしい。
「因みにイッセーと木場のモーホー疑惑も流している。これがまた、一部の女子にうけててなぁ。」
「きゃー、受け?攻め?どっちぃ?」
「お前らそのうち呪い殺すぞ!?」
ついにホモ疑惑まで流されたイッセーは、いい加減この二人との付き合いをやめようかと本気で考え始める。
そんなイッセーを無視し、元浜はまだ笑い転げているダイスケに申し訳なさそうにある話をする。
「それはそうと宝田よ、本当はお前を巻き込む気は毛頭なかったのだが……実は非常にまずいことになっててな。」
「ヒッヒッヒッヒッヒ……へ?なに?」
ようやく呼吸が整ったダイスケが元浜の言葉に興味を持つ。
「実は、木場とイッセーとのホモ疑惑を流すのには成功したがな、何故かいつの間にかお前を交えての三角関係になってきてるんだ。」
「……はい?」
そこに松田も追加説明を加える。
「いや、お前って俺たち以上にイッセーとの付き合いが長いだろ?そしたら木場×イッセー×ダイスケの図式が学園のソッチ系の女子たちの間で出来上がっちまったんだよ。なんか、オカルト研究部が「新手のホモ集団」なんて言われているらしくてなぁ。」
「……巫山戯んなぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」
今度はダイスケが激怒する番だった。
こっちはイッセーのように美味しい目にあっているわけではない。それなのになぜこのような仕打ちを受けねばならないのか。
身の危険を察知した松田と元浜はその瞬足でその場から逃げ出す。
結局この日、ダイスケはオカルト研究部のミーティングには参加しなかった。“敵”を排除しに行ったからだった。
はい、ということでVS12でした。
今回の話のせいで内容訳わかんなくなっちまったじゃねーか!!というそこのアナタ。
きっと、最後まで見れば全ての意味がわかると思いますよ(ゲス顔)。
それだはまた次回!!いつになるかはわかりません!!