ハイスクールD×G   作:オンタイセウ

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一週間空いてしまいました。
なんか、どんどん間隔が空いていきそうです。


VS14  木場祐斗(その3)

 

「なんでこうなっちゃうんですか。」

 

思わずイッセーはリアスに問う。

さっきまで自分たちは、部室内で教会のエクソシスト二人との会談をしていたはずだった。なのに、何をどうしたら自分の親友と仲間がその二人を相手に喧嘩をしないといけないのだろう。

 

「それはダイスケと祐斗に言いなさい……。」

 

今、彼らは運動場の一角に結界を張り、そこをバトルフィールドとしている。

その中央には聖剣を構えるゼノヴィアとイリナ、そして魔剣を携える木場と神器を展開したダイスケがいる。

先刻のダイスケによる言葉の絨毯爆撃によって自尊心をずたずたにされた二人が、ダイスケに喧嘩を売った。それにエクスカリバーを破壊したい木場が乗っかった。

それをリアスが「教会の人間と悪魔が手合いする」という条件でガス抜きをしようとした。

 

「ダイスケ君、邪魔はしないでね。」

 

「人の喧嘩に乗っかっといて、なにが邪魔するなだよ。なんだったら、先にテメェからヤってやろうか?」

 

「イリナ、例え片方が人間でも、奴だけは徹底的にやるぞ。」

 

「ええ、ゼノヴィア。あの背徳者に信仰の力を見せ付けてやりましょう。」

 

お互いに殺気ムンムン。

しかも片方はタッグだというのに、仲は険悪。しかも仲間討ちしかねない雰囲気だ。

 

「いいこと?これは一応ただの“手合い”よ。相手を殺すのはダメ。それも、悪魔も協会も関係ない私的な決闘。何度も言うけど、殺し合いは絶対にダメよ。わかっているわね、四人とも。」

 

リアスの言葉に、四人は答えない。

 

「……暗黙は了承と受け取るわよ。……はじめ!!」

 

その言葉を切っ掛けに、四人は闘いをはじめる。

木場はゼノヴィアに、ダイスケはイリナへ向かう……はずだった。

 

「取り敢えず、お前は寝てろ。」

 

「―――なッ!!」

 

ダイスケはいきなり、木場の顎に強力な一撃を与える。その衝撃で脳震盪を起こし、木場は一撃で気絶する。

 

「ダイスケ!!何やってるんだよ!?」

 

イッセーが驚いたのも無理はない。タッグを組んでいるはずの仲間をノックダウンさせたのだから。

 

「これは元々俺の喧嘩だ。そこに木場が割り込んできただけだろ。」

 

唐突すぎる展開に、エクソシストの二人も足を止める。

 

「それに、木場の神器で生み出す魔剣はオリジナルの聖剣や魔剣には敵わない。コイツが自分で言ったことだ。勝ち目のない戦いに、何の策もなく立ち向かうのはバカのやることだ。」

 

そう言ってダイスケは、木場の体を小猫に向けて放り投げ、小猫はそれを見事にキャッチする。

 

「……それだけですか?」

 

木場をキャッチした小猫は、ダイスケに問う。

 

「まあ、木場の奴にエクスカリバーに負けて余計なショックを受けて欲しくないってのもある。自分の実力がまだまだなのに、強い相手に立ち向かってボコボコにされるのって本当に辛いからな。」

 

それはダイスケが、イッセーとともに受けた祖父のトレーニングが理由だ。

あるときダイスケは修行に耐え切れなくなってやめると言い出した。それを春雄は「儂に一撃でも加えられたら辞めてもいい。」と言った。

それでイッセー立会いの下、ダイスケは祖父に立ち向かった。

結果は惨敗。

ダイスケが放ったどの手も返され、躱しきれない反撃を受ける。それの連続だった。

それ以来、ダイスケはただ祖父に一撃を決めるために練習を続けた。

そして中1の夏、その願いは叶った。その時は春男も嬉しそうにしていたのが、ダイスケには忘れられない。

だが、トレーニングそのものはまだ暇を見つけて続けている。学業と両立させるために仕方なく、だ。

この出来事のおかげで、ダイスケは類稀な身体能力を身に付けることができた。

しかし、木場の場合はやや状況が違う。

ダイスケは驕った為に負けた。だが、木場は自分の至らなさを知っていながら尚、エクスカリバーに立ち向かおうとしている。

それも、聖剣で斬られた悪魔は消滅してしまうというリスクがある。

だからダイスケは、木場の行動が積年の恨みによる自棄っぱちに思えて仕方がなかった。だから止めた。

 

「小猫、後で俺が「悪かった」って言ってたって伝えておいてくれ。」

 

「嫌です。そういうのは自分で言ってください。」

 

その言葉を聞くと、再びダイスケはイリナとゼノヴィアに向かう。

 

「いいのか?二対一になったぞ?」

 

「そこののびている彼に手伝ってもらったほうがいいんじゃない?」

 

「心配ねぇよ。なんでか知らないけど、「お前らには絶対に負けない」って勘でわかるんだ。」

 

「だったらその勘―――」

 

「―――間違ってるって教えてあげるわ!!」

 

同時に斬りかかるゼノヴィアとイリナ。

その二つの剣戟を両手のガントレットで受けるダイスケ。

 

「これで両手が塞がれたな。イリナ!!」

 

「もっちろん!!」

 

そう言うとイリナは、擬態の聖剣を紐に変えてダイスケを捕縛しようとする。

 

「ハァ!!」

 

だが、ダイスケが気合を入れるとガントレットのスリットから光と衝撃波が発生する。

 

「クゥ!!」

 

その衝撃波でイリナとゼノヴィアは擬態の聖剣ごと吹き飛ばされる。

飛ばされた先で二人は体制を整えようとするが、ダイスケはそこへ突っ込んでいく。

 

「オォォォォラアァァァァァ!!!」

 

容赦のない拳が、まずゼノヴィアを襲う。

彼女はその一撃を破壊の聖剣で防ごうとするが、完全にパワーで競り負けまたも吹き飛ばされる。

 

「ウゥワァあああ!!」

 

「ゼノヴィア!?コイツッ!!」

 

イリナは擬態の聖剣を今度は鎖鎌に変える。

そして分銅を左手に巻きつけることに成功する。

 

「よし!捕まえたわ!!」

 

だが彼女が喜ぶのもつかの間、鎖鎌ごとその体は振り回され地面に叩きつけられる。

 

「カハッ……!」

 

衝撃によって肺から空気が抜け出す。

 

「もうお止めなさい!勝負はついたわ。」

 

リアスの言葉がグラウンドに響き、ダイスケが止めを刺そうとする足を止める。

 

「……もうちょっとやらせてくれてもいいでしょうに。」

 

「これはお互いの力量を知るためのものよ。このままいったらあなた、事故に見せかけて止めを刺しちゃうでしょう?」

 

その指摘に「チッ」と舌打ちをするダイスケ。図星だったようだ。

 

「なるほど、大口を叩きだけの事はあるということか……。」

 

聖剣を杖がわりにその身を支えるゼノヴィア。

イリナも身支度を整え、二人はこの場を立ち去る気が満々だ。

 

「ま……まて!」

 

そこへ意識を取り戻した木場が、二人を引き止めようとする。

 

「『先輩』、次はもう少し冷静になって立ち向かってくるといい。彼に止められたのは正解だった。頭に血が上った状態で勝てるほど、エクスカリバーは弱くはない。リアス・グレモリー、先程の話、よろしく頼むよ。」

 

朱乃は既に結界を解いている。もう戦いを続けるわけにはいかない。

木場は憎々しげにゼノヴィアを睨む。それを無視し、ゼノヴィアはイッセーに視線を向ける。

 

「兵藤一誠だったか、赤龍帝の宿主。君に一つ言っておこう。『白い龍』は既に目覚めている。気をつけておけ。」

 

その言葉に衝撃を受けるイッセー。

だがその姿を歯牙にもかけず、二人はこの場を立ち去った。

その姿が完全に見えなくなっても、残されたオカルト研究部のメンバーは黙っているしかない。

その内、木場が立ち上がってダイスケの胸ぐらを掴んだ。

 

「あい、木場!やめろ!!」

 

「祐斗、放しなさい!!」

 

イッセーとリアスの言葉も、木場の耳には入っていない。

 

「なんで、僕の邪魔をしたんだ……!?君も聞いているんだろう。僕がエクスカリバーを憎む訳を!!」

 

普段の木場からは想像できない激昂した姿。

それを見て、イッセーは止めようとするその足を思わず止めてしまう。

だが、ダイスケの顔はそんなことどこ吹く風だ。

 

「聞いてるよ。そんで、お前の気持ちもわかる。」

 

「だったら、なんで!?」

 

「……お前の同志は、お前を全力で助けた。それはなんでだ?お前に生きていて欲しかったからじゃないのか?復讐のためじゃない。お前が彼らにやってやらなきゃならないことは、本当に復讐か?」

 

「そんなこと、あの場にいなかった君に分かることじゃない!!」

 

「そうだな。お前の言うとおりだ。復讐だって、別に悪いことじゃないさ。それでお前の中で納得と決着が付くんならな。だけど、今のお前で勝てる相手か?せめて冷静になってからだ。」

 

その言葉を聞くと、木場は悔しげにダイスケの胸倉から手を離す。

そして、その場から立ち去ろうとする。

 

「待ちなさい。どこへ行こうというの、祐斗。」

 

木場はその言葉に一度立ち止まるが、またすぐに歩き出す。

 

「待ちなさい、祐斗!私の元を離れるなんて許さないわ!あなたは私の『騎士』なのよ。はぐれになってもらっては困るわ。……留まりなさい!!」

 

「……僕は同志たちのお陰であそこから逃げ遂せた。だからこそ、彼らの恨みを僕の魔剣に込めなければならないんだ……。」

 

それだけ言うと、木場はその場から姿を消した。

 

「祐斗、どうして……。」

 

そのリアスの顔を、イッセーは見てはいられなかった。

そして同時に、彼の胸の中にある決意が芽生える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の休日。

駅前で支取蒼那の兵士、匙元士郎は暴れていた。それを小猫が逃さないように押さえている。

 

「いぃぃぃやぁぁぁぁだぁぁぁぁぁぁぁ!!!俺は帰るんだァァァァァ!!!!あいうぉんとごーほーむ!!!」

 

悲鳴を上げて逃げ出そうとする匙。

彼が人目も憚らずに悲鳴を上げているのには、正当な理由があった。

それは、彼を駅前に呼び出したイッセーがゼノヴィアとイリナと協力して、エクスカリバーを破壊しようと提案してきたからだった。

ちなみに小猫はこのことをすぐに快諾した。イッセーからしたら以外だったが、木場のために、とすぐに察したからだった。

だが、匙はそれを聞いてすぐに顔を青ざめて逃げ出そうとし、小猫に捕縛された。

 

「なんで俺がお前らと一緒に行かなきゃならないんだよ!?俺はシトリー眷属なんだ!お前らとは関係ないだろォォォ!?」

 

「お前ぐらいしか他に手伝ってくれそうな悪魔を知らないんだよ。それに、お前だって神器持ちなんだろ?駒四個消費の。」

 

「そりゃそうだけどさ!だからってお前の協力をする義理なんて俺にはない!!大体、聖剣が相手なんて命がいくつあっても足りねぇよ!!!殺される!!聖剣以前に会長に殺される!!」

 

「そんなに厳しいの?会長って。」

 

「お前ん所のリアス先輩は厳しいながらも優しいだろうが!でもな!ウチの会長は厳しくて厳しいんだ!!」

 

「あーそうか、そりゃよかったな。」

 

「良くねぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

匙は抗議を続けるが、イッセーと小猫は全く聞く耳もたない。

イッセーがゼノヴィアとイリナに協力しようとするのには訳がある。

彼女たちは言った。

 

『上はエクスカリバーが堕天使に利用されるくらいなら、全て消滅してしまってもいいと決定した。私たちの役目は、最低でも堕天使の手からエクスカリバーを無くす事』

 

つまり、最悪エクスカリバーを破壊して回収すということだ。イッセーはこれに乗ろうとした。

この奪還作業を手伝い、木場がそのうちのひと振りでも破壊できれば、少しでも想いを遂げられるだろうという寸法だった。

片方はエクスカリバーを破壊し、自分と過去の仲間の復讐を果たしたい。

片方は堕天使からエクスカリバーを破壊してでも奪還したい。

意見は一致。一挙両得だ。

だが、これを完遂するにはリアスや朱乃に知られてはいけない。

三竦みの関係を壊しかねないデリケートな話だ。そんな危険なことに、リアスは自分の下僕に首を突っ込んで欲しくはないだろう。

アーシアを奪還しに行く時もかなり反対していたほどだから、尚更だ。

アーシアにも知られてはいけない。彼女は嘘を突き通すのが苦手な上に、すぐに顔に出るタイプだ。それに、イッセーが危険なことをしようとしたら全力で止めるだろう。

 

「ひょっとしたら、話し合いがこじれて俺らは喧嘩を売る結果になるかもしれない。その上、関係が悪化するかもしれない。そうなったら命懸けでなんとかしなきゃならなくなる。だから、最悪ふたりとも危なくなったら降りてもいい。」

 

「いや、今すぐ逃げさせろォォォォォ!!そんな三大勢力の情勢に関わりそうなこと勝手にしたら、会長に殺される!!最低でも拷問だァァァァ!!」

 

「いや、もしかしたら交渉がうまく成立するかもしれないだろ?そんときは力を貸してくれ。」

 

「勝手なこと言うなやァァァァァァ!!!」

 

その匙の狼狽ぶりをよそに、小猫は強く宣言する。

 

「私は絶対に逃げません。仲間の、祐斗先輩のためです。」

 

その強い言葉に、イッセーは頷く。だが、匙が恨めしげにつぶやいた。

 

「だったらよぉ……お前のダチの宝田にも声かけりゃいいだろ?アイツ、フェニックス家の三男とその眷属相手に大立ち回りしたんだろ?だったら俺よりいい戦力じゃないか。」

 

その言葉に、イッセーは少しどもる。

 

「匙、あいつは悪魔じゃない。あの時だって、俺はあいつの厚意に甘えていた。でも、今回は状況が違う。悪魔同士の内輪もめじゃない。違う種族どうしの問題なんだ。今回ばかりは、あいつに頼るわけにはいかない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

ダイスケは駒王町にある駅前の歓楽街に来ていた。

本来なら補導の対象だ。本人もそれを承知している。

だが、どうしても来なければならない理由があった。

いつも釣り場で会うあの外人に、携帯で呼び出されたのだ。

ダイスケは何度も電話で断った。「自分はまだ未成年だから、そんなところに行くわけには行かない」と。

だが、「来たらこの前見せてたあの高いロッドとリールをやる。プラス、何か欲しい物なんでも買ってやる」と言われてしまったのだ。

しかも、来なければ今後一生ねだられてもやらないと言われれば行くしかなかった。道徳心よりも、物欲が優ってしまった。

 

「ここで合ってるよな……?」

 

ダイスケが足を止めたのは、明らかにチャージ料だけでいいロッド一本か、仮面ライダーの変身ベルトと武器をセットで買えそうな額に行きそうな店だった。

店の入口のドアを開けると、そこは明らかな異世界。

煌びやかな内装と、七色に光る照明。今まで嗅いだことのないような、なんかいい匂いもする。

 

「失礼ですが、あなたは未成年ではありませんか?この店は未成年のご来場は固くお断りさせていただいているのですが。」

 

突然、背後からタキシードに身を包んだ男が現れる。この店のウェイターかなにかだろうか。

しかし、その顔はあまりにも端正でホストでもやっていけるんじゃないのか?と思ってしまうほどの美形だった。

 

「あの、『アゼル・ウォッチャーズ』って人にここに来るように言われたんですけど……だ、ダメですよね。直ぐに帰りま―――」

 

ダイスケは「この名を言えば通してもらえる」と本人に言われた名前を持ち出すが、すでに逃げる気満々だ。しかし。

 

「ああ、あなたがですか。お話は承っております。ご案内いたしますので、こちらへどうぞ。」

 

ホントに通った。

その衝撃に、思わずダイスケは顎が外れそうになる。

そしてウェイターに先導されるまま、店の奥へ奥へと案内される。

展開される光景は、多分一生縁のないであろう大人の遊び。いかにもな金持ちの男が、美女を侍らせ酒を喰らう。

しかもその内の、グラスに注がれている液体を見てダイスケは驚愕した。

淡いピンクの気泡を放つ液体。俗に言う『ピンドン』。

自分の住んでいる町に、こんな代物があったのかと圧倒されっぱなしだ。

そしてダイスケは最奥の“VIPROOM”と金文字で書かれた個室に通される。

扉を開いた先にあったのは、かの外人とこれまた綺麗な女性たちが楽しそうに談笑している様子だった。

 

「おう、来たな!まあ、こっちに座れや。」

 

そう言われ、座らされたのは向かいの席。そして両脇をお姉さん方にガッチリとホールドされてしまう。

 

「え、あ、あの、ちょ!!」

 

「ねえねえ。君、アゼルさんとどんな関係なの?」

 

「あ、何飲む?アルコール以外にも、オレンジジュースとか、トマトジュースとかもあるど。」

 

おそらくカクテルを作るのに使うのであろう。いま、ダイスケが考えられるのはその程度だった。

なにせ、異性とここまでの密着をしたのは幼稚園のマイムマイム以来。それも日本人離れした美女に迫られたとあっては狼狽するほかなかった。

 

「あ、あの、み、み、水で、い、いいでひゅ……。」

 

『あーん!!もう、かわいーい!!』

 

可愛いと言われ、余計に顔を赤くしうつむくダイスケ。だが、それにとどまらず、ボディータッチをしてくる始末。普段、部活でも女子メンバーと話す機会があっても基本的に女性への耐性を持っていないダイスケには拷問だった。

そこにアゼルと名乗った男が助け舟を出す。

 

「おいおい、そんなにいじめちゃ可哀想だろ。ちょと、コイツと話がしたいからしばらく席を外してくれないか?また呼ぶからさ。」

 

えー、と言いながら渋々席を離れる女性たち。これでこの個室にはアゼルとダイスケだけになる。

 

「いやー、なんか悪かったな。こんなとこに呼び出して。コーヒーショップとかでもよかったけど、二人っきりで話がしたかったもんでな。」

 

「だったら、場所なんかいくらでもあるでしょうよ。こんなんだったらね、まだ駅前のリア充どもが集まるゲーセンで、衆人環視の中、一人でガンバラ○ジングし続けた方がマシだわ!!」

 

「じゃあ、その店行かなきゃいいだろ。」

 

「……その店の方がレアカードの排出率が高いんですよ。経験上。」

 

ようやく落ち着いたのか、ダイスケは机上のグラスの中にある氷水を一口飲む。水も氷も、明らかに水道水ではない。どこぞの天然水なのか、非常に美味しかった。目から大量の涙が出てしぼんでしまう、というほどではないが。

 

「ようやくアンタの名前がわかったかと思ったら、一体なんなんですか。これでつまんない用事だったらすぐ帰りますからね。補導員の目もあるし。」

 

「おうおう、それでその要件なんだがな……これについてさ。」

 

そう言ってアゼルが懐から取り出したのは、一枚のDVD。

 

「54年版のゴジラですか?」

 

「そう、お前さんに聞きたかったのはコイツのことさ。いやな、最近日本の怪獣特撮にハマってよ、色々と見始めたんだ。」

 

そして、アゼルはそのDVDを机の上に置く。

 

「いやあ、確かに日本特撮界の金字塔と言われるだけのことはあるな。半世紀以上前の映画だなんて思えない。」

 

「そりゃそうですよ。日本映画界の巨匠たちと、当時の五億円の予算がかかってますからね。」

 

いったい何を聞きたいんだ、と少々イラついて水を飲むダイスケ。

 

「それでだな、前に特撮好きって言ってたお前に一つ聞きたいことがあるんだ。こればっかりは何度見てもわからなかった。」

 

「何がです?」

 

「ゴジラが“日本に”来る理由さ。原水爆実験をやったのはアメリカだぜ?それなのに、なんで無関係の日本を襲うんだ?」

 

その質問に、ダイスケは拍子が抜ける。

 

「そりゃ、日本の映画だからでしょ。」

 

「いや、そういう大人の事情とかじゃあなくてさ。」

 

しばし、ダイスケは考え込む。

 

「……まあ、ゴジラからすれば国だの何だのは関係ないですからね。やったのは人間。それで十分ですよ。日本に来たのだって、船を襲い続けた先にたどり着いた結果でしょうからね。」

 

「なるほどな。じゃあ、そのあとの個体も日本に現れ続けるのはなんだ?2001年版のやつじゃあ、オリジナルの解答が出てたけどさ。」

 

「多分、元々ゴジラは日本かその近海にすんでいたんじゃないんですか?キングコングの時にだって、ゴジラは帰巣本能に従っているって言ってましたしね。84年のもでしたけど。」

 

「ふふん、それじゃあ大戸島の伝説もそれに基づいたものだと。」

 

アゼルは乾き物をぱくつきながら話を進める。

 

「そういう解釈でいいんじゃないですか?そんでもって、昔と違って科学を弄ぶようになった人類に対して怒っているとか。」

 

「日本が人類代表で怒られてるのか。」

 

「まあ、日本は戦後に直接な戦争をしていないとはいえ、金の力で遠ざけてたフシはありますからね。とばっちりとも言えないですよ。それに、日本がある意味じゃあゴジラにとっては人類の試金石になっているのかもしれませんしね。」

 

「そうか……。じゃあ、その人類を作った奴がいたとしたら、ゴジラはどうするかね?」

 

「神サマに対してってことですか?……カチコミかけるでしょうね。「こんなことしたヤツの親でてこい!!」って感じで。」

 

その答えに、アゼルは大笑いをする。ダイスケも、自分で何を言ってるんだと少し恥ずかしくなった。

 

「ハハハハハ!!そうかもな!いい参考になったよ。」

 

「……こんなんでいいんですか?」

 

「ああ、面白い話だった。」

 

「まあ、確かにこんな話、コーヒーショップで話す内容じゃないですよね。こんなところで話すことでもないけど。」

 

空になったグラスに水を注ぐダイスケ。先程までの緊張感も嘘のように消えていた。

少し余裕ができたのか、ダイスケも乾きモノに手をつけようとする。

 

「……あ。こういうところのつまみって、滅茶苦茶高いんでしたっけ?」

 

「気にすんな。全部俺の奢りだ。好きなもん……ってまあ、アルコールはダメだけど何でも頼んでいいぞ。」

 

「いや……一学生なんでそれはちょっと……。」

 

「遠慮すんな、遠慮すんな。あ、もしもし?料理適当にいくつか。あと、話済んだから女の子達も呼んで。」

 

「ハァ!?ちょ、またあの人たち来るの!?」

 

そうして、ダイスケが解放されたのはその約二時間後だった。

その間、ダイスケは文字通りにもみくちゃにされた。

その様を見て、アゼルは大いに笑った。ダイスケが帰途についた今、一人で静かに飲んでいる。そこに、例のウェイターが入ってきた。

 

「失礼します。只今確認が取れました。ヴァーリは今、この周辺にはいません。彼をここに匿っている間はなんとかごまかせたそうです。」

 

その報告を聞いたアゼルは、満足そうな顔をする。

 

「そうか。それじゃあ、俺が大急ぎで作ったジャミング装置はうまく働いてくれたってことか。」

 

「はい。彼も、我々の正体には気づいていないようでしたから、両方にうまく働いてくれました。」

 

「俺は自分の気配は断てるが、他の連中はそうはいかないからな。あいつに怪しまれずに済んでよかったぜ。」

 

はぁ、と両者ともに軽い溜息をつく。

 

「しかし、ヴァーリにも困ったものです。『コカビエルを探すついでに、怪獣王に接触してみる』などとは……。あのバトルジャンキーのことです。接触したが最後、所構わず即戦闘ですよ。」

 

「だよなぁ……。あの一言を聞いた瞬間、思わず焦っちまった。」

 

そう言いながら、アゼルはグラスを傾ける。その姿を見て、ウェイターは続ける。

 

「それにしても、『アゼル・ウォッチャーズ』とは。即興で考えたにしてはうまいネーミングですね、アザゼル様。」

 

「おう。……でも、あまりにも直球すぎるからなぁ。偽名で正体がバレるんじゃないかって内心、ヒヤヒヤもんだったよ。」

 

「外国人の名前としたら十分ソレっぽいので大丈夫ですよ。……それよりも問題は、彼がこのあとコカビエルに接触する可能性ですが……。」

 

「……まあ、大丈夫だろ。見たところ、本格的な覚醒までは秒読み段階だ。恐らく、コカビエルほどの奴に接触すれば自然と目覚めるはずだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイスケが帰途につく途中、異常なものを目撃した。

駒王学園を包む光のドームのようなもの。それは、前に見た結界そのものだった。

学校全体が結界で覆われている。なにか異常事態が起きているに違いない。

そう思い、ダイスケは学園へと急いだ。

学校に近くの公園まで来たとき、数人の生徒がいるのを確認する。彼らはみな、魔法陣の上に立って空中に浮き、背中からコウモリのような翼を生やしている。学園の悪魔たちだ。

その中に匙元士郎の姿を確認した。ということは、彼らはシトリー眷属だ。ならば、あの生徒会長もいるはず。

 

「宝田君!?あなた、どうしてここに!?」

 

案の定、会長はそこにいた。

 

「どうしたも、こうしたもないっすよ。一体、なにがおきているんですか。」

 

「この中にコカビエルがいる!エクスカリバーを四本も持ってな!奴さん、三つ巴の戦争の続きをしようとしていやがる!!あんな奴が本気出したら学園はおろか、この町が軽く吹き飛んじまう!!」

 

「今、中ではリアスたちが戦っています。魔王様の援軍が来るまでの、一時間ほどの時間稼ぎです。その被害を外に出さないように、私と眷属たちで結界を支えています。」

 

ダイスケの疑問に匙と会長が答える。

 

「そんな……相手は堕天使の幹部でしょ!?いくらなんでもみんなには荷が重すぎる!!」

 

「援軍が来るまで一時間と言いましたが、その前にコカビエルが事を起こすかもしれません。時間稼ぎはしなければ。私も、止めはしたんですけどね……。」

 

その会長の言葉に、ダイスケは決心を固める。

 

「……俺、行きます。」

 

その言葉に、匙と会長は驚く。

 

「な、何を言っているのです!神器を宿しているとはいえ、あなたはただの人間です!中に行けば怪我では済みません!!」

 

「お前なぁ!イッセーはお前が人間だから今回のこの件には深入りさせないようにってしてたんだぞ!?あいつの気持ちをフイにする気か!?」

 

「は?何の事?……さてはあの野郎、俺に内緒になんかしていやがったな。」

 

ダイスケの反応に「あ、やべっ」と漏らす匙。だが、ダイスケは前に進む。いつの間にかその両手には神器が展開している。

 

「待って!中ではもう戦闘が始まっています。今、結界を緩めたらどうなるか……!」

 

「だったら上手いこと俺がひとり入る分の穴をブチ開けますから、すぐに閉じてください。」

 

「滅茶苦茶言うなや!そんな器用なことできるわけ……ってオイ!?」

 

止めようとする二人をよそに、ダイスケはその歩みを止めない。そしてついに、結界の一歩手前までやってくる。

 

「オラァァァ!!!」

 

その右から放たれた一撃は、見事に人一人入れるほどの穴が空き、ダイスケはその穴の中に入っていく。

匙と会長は急いで魔力を送り、結界にあいた小さな穴を塞ぐ。

 

「本当に行きやがった……。」

 

その有言実行さに、匙はただ驚くしかなかった。




未成年の方は絶対にキャバにはいかないでね!!
オンタイセウとの約束だよ!!!
それだはまた次回!!いつになるかはわかりません!!
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