ハイスクールD×G   作:オンタイセウ

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お待たせいたしました。
今回はなかなかの難産でございました。


VS15  コカビエル

その日、木場祐斗は至った。

神器の力の先、“禁手《バランスブレイカー》”に。

かつて、仲間を失ったすべての原因を生み出した聖剣の研究者、バルパー・ガリレイ。

その男が持っていたのは、死んでいった同志達から抜き取った聖剣使いの“因子”。 もうすでに量産できると、男は木場に最後に残った因子の結晶を放り投げる。

すると、その因子から聖剣計画で処分されたもの達の魂の声が解き放たれた。

それは聖歌。

過酷な生活の中で唯一知った生きる糧。

その中で、木場は悟った。

死んでいった同志たちが望んでいたのは復讐じゃない。

ただ、生きていて欲しかった。

それだけだった。

その心を知った木場は、この世界の中の流れにも逆らうほどの転じ方をした時に至る力に目覚めた。

それが禁手。

解き放たれた怨嗟の鎖。だが、今目の前にいる元兇を放っておくわけには行かなかった。

その研究の成果である、四本のエクスカリバーを統合した剣を持つ、この事件の裏で暗躍していたフリードをついに倒す。

木場の新たの力の名は、“双覇の聖魔剣《ソード・オブ・ビトレイヤー》”。聖と魔の力を有する剣。

そして、統合されたエクスカリバーを破壊したのは、加勢にきたゼノヴィアの本当の得物《デュランダル》だった。

エクスカリバーも破壊し、残るはバルパーを倒し、決着をつけようとする。

バルパーは最後まで、聖魔剣の矛盾した存在に疑問を持っていた。そして、その結論に至ったその時、コカビエルによって始末されてしまう。

そのまま、グレモリー眷属とゼノヴィアは、コカビエルの圧倒的な力に翻弄されてしまう。

勝てない。

聖魔剣の力でも。

デュランダルの力でも。

赤龍帝の力でも。

その力なく、絶望に打ちひしがれる彼らを前に、コカビエルは衝撃の事実を伝える。

それは、先ほどバルパーが至った結論。

聖と魔が共存してしまう矛盾した状況が生まれる最大の要因。

それは、神の死。

三大勢力のトップの一部と、ごく一部のものしか知らないという事実。

それを受け、全員が驚愕した。特に、アーシアとゼノヴィアのショックは酷かった。

これまで信じていたものが、存在していなかった。そのショックたるや、筆舌し難いものであろう。

そしてコカビエルは語りだす。

三つ巴の戦争によって神は死に、それぞれの勢力の組織はズタズタになった。

その現状を受けて総督であるアザゼルは「二度と戦争はしない」と言った。

それでは、コカビエルの目的である「堕天使こそ至高の存在である」ということを世界に証明できない。

だからこそ、ここで魔王と天使たちの長であるミカエルに対して宣戦布告をしようというのだ。

そんな目的のために、自分たちの住む町が消し飛ばされる。当然、イッセーたちは怒り、阻止しようとする。

だが、体が言う事を聞かない。立ち上がろうにもコカビエルから受けたダメージが大きく、戦うこともままならない。

そこへ、コカビエルが冷酷な宣告をする。

 

「そうだ、あの世への手土産に俺のとっておきの戦力を見せてやろう。」

 

そう言って、コカビエルは宙に浮き、その両手から強烈なオーラを地面に注ぎ込む。

 

「悪魔と天使との大喧嘩の前の前哨戦だ!!出てこい、カマキラス達!!クモンガ!!」

 

シィイ……シィイ……

 

チチュウ!チチュウ!

 

その言葉とともに、地面を割って巨大な怪物たちが現れる。

一つは木場や小猫も見たことがあるカマキラス。サイズも以前に見たことがあるのと同じだった。

だが、数が違う。ざっと見ただけでも二十匹以上はいる。

そしてクモンガと呼ばれた巨大な蜘蛛。

これを知っているのはこの場では、ゴジラ映画を視聴済みのイッセーだけだ。

コカビエルとカマキラスの大群だけでも手に余るというのに、クモンガまで現れた。しかもクモンガは映画で見た実物大で。

それだけでも十分すぎるほどの絶望的な状況。だが、コカビエルはダメ押しとばかりに最後の切り札を見せる。

 

「そして目覚めよ!“双鎌の巨虫装《カマキラス・メイル》”!!!!」

 

そのコカビエルの言葉と同時に、倒されたはずのフリードが起き上がる。

だが、その目に生気はない。まるで操り人形のようだ。

そして、その両手に巨大な鎌が現れ、頭部には蟷螂を思わせる甲冑が装着される。

まるで蟷螂の衣装を持った鎧を着込んでいるようだった。

 

『なんだ?あれは見たこともない神器だぞ。』

 

イッセーの中のドライグが訝しむ。

コカビエルはその疑問に答えるかのように自慢を始める。

 

「コイツは堕天使の技術力をもって開発に成功した“怪獣神器《モンスターズ・ギア》”の一種だ!!アザゼルが試験的に運用している人工神器の技術を応用して作られたものさ。正確には盗用だがな。本人にも秘密で仕込ませてもらった。使えなくなった時の保険としてな。」

 

そのコカビエルの言葉に、イッセーにはある疑問が浮かぶ。

 

「おい!怪獣神器ってなんだよ!?その口ぶりじゃあ、まるでゴジラ映画の怪獣達が実在しているみたいな口ぶりじゃあないか!!」

 

悪魔や天使・堕天使、そして各神話の神々が実在しているのまではまだ納得できる。

だが、怪獣は別のはずだ。これらは、映画の中だけの創造物であるはずだ。

 

「赤龍帝の言うとおりさ。怪獣たちは実在する。ただし、人間の手の届かない秘境や、冥界などの異世界に潜んでいるから人間の目に触れることはないし、その存在を知っているのも一部の者だけだ。だが……人間達は違う形で怪獣の存在を知っている。」

 

コカビエルは続ける。

 

「人間が科学技術を発展させる共に、信仰の心は薄まっていった。だが、そんな時に人が自然への恐れを再確認させるモノが現れた。……映画の『ゴジラ』さ。あれは、人間が本能の奥底で怪獣の存在を知っていた証左だ。人間のもつ自然への敬意や恐れが、あの映画を作り上げた。まさか実在するなどとは知らずにな。そして、ある意味で新たな神話が生まれたってことさ。」

 

その壮大すげるスケールの話に、それを聞くイッセーたちは驚愕するしかない。

目の前の強大すぎるコカビエル。そして怪獣たちと怪獣神器を身に纏ったフリード。

もう、イッセーたちには絶望するしかなかった。

そのとき、リアスは結界の一部が緩んだのを感じる。

そして、よく知る人物が現れる。

 

「イッセー!部長!みんな!!」

 

ダイスケだ。どうやって入ってきたのかは知らないが、息を切らしているところから相当急いできたのだろう。

そして、ダイスケは目の前の光景に絶句する。

コカビエルと思わしき男と、カマキラスの大群とクモンガ。

カマキリに意匠を持つ鎧を身に纏った者。

そして、傷付き、倒れ伏す仲間たち。

ダイスケの中に、小さな火が灯った。

その火はダイスケの怒りを燃料に、徐々に強くなっていく。

 

「なんだ、ただの人間か?こんな所に迷い込むとは運が悪かったな。コイツらに踏み潰されて終わりだ。」

 

そのコカビエルの言葉に、ダイスケは反応しない。

 

「……おい。」

 

コカビエルから見て俯き、絶望したかのように見えたダイスケから低い声が漏れる。それは、長い付き合いのイッセーですら聞いたことのない感情を抑えたかのような非常に低い声だった。

 

「……お前か?コカビエルってのは。そして、こんなことをしたのは。」

 

「いかにも。」

 

「……なんでだ?」

 

「そいつらにももう話したのだがな。再び大戦争を始め、堕天使が至高の存在だということを世界に示すためさ。」

 

「……その為に、こんなことを?」

 

「くどいな。もういい。まずはお前から消す。」

 

そのコカビエルの指示により、数匹のカマキラスがダイスケに襲いかかる。

 

「ダイスケ!!逃げろ!!」

 

イッセーの声もダイスケには届いていない。

助けようにも、全員の体がダメージで動けない。

カマキラスの大きな鎌が、ダイスケに向かって振り下ろされる。

思わず、イッセーは目を瞑ってしまう。

恐る恐る目を開けると、カマキラスたちがダイスケのいた場所に殺到している。

殺された。

何もできず、助けることもできず、親友を見殺しにしてしまった。

その罪悪感に、イッセーの目頭に熱い涙が溢れ出す。

 

「ダイスケ……ダイスケェェェエエエエエエエ!!!!」

 

帰ってくることはないとわかっていつつも、その返事を期待してしまう。

その場を静寂が支配する。

目の前で仲間が殺された現実に、リアスたちは瞬きも出来ずにいた。

その時、群がっているカマキラスが青い光の中に消えた。

結界内に現れた光の柱。その光景に、コカビエルも驚愕する。

光の柱の中心にいたのは、無傷のダイスケだった。

 

「ダイスケ、お前……。」

 

涙を拭う暇も喜ぶ暇もなく、イッセーはあることに気づく。

ダイスケの目に、理性がないと。

レイナーレとの時も、ライザーとの一戦の時も、共にダイスケが本気で戦っていたのは間違いない。

だが、今はその時の激情の中の冷静さが見当たらない。

 

「ぅぅぅぅああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」

 

獣の鳴き声にしか思えない、止まらない絶叫。

それと同時に、その両腕に神器が装着される。

だが、それに留まらない。

足にも、胴にも、これまで鎧が現れていなかった部位にも似た意匠の装甲が展開する。

そして、ついに頭部までが鎧に覆われる。

四本の爪。

黒い全身。

3列の背鰭らしき突起物。

尾てい骨部の尾を連想させる物体。

そして、頭頂にある飾りでそれが何を宿した存在なのか、イッセーにはわかった。

 

「ゴジラ……。」

 

その呟きが正解だとでも言うように、ダイスケの絶叫が変質する。

 

ゴァァァアアアアアアウゥウン……

 

映画を見ていないリアスたちでも、すぐにそれとわかる咆哮。

人のシルエットを保った姿で、デフォルメされたデザインの頭部であるため、一瞬見ただけではわからないが間違いなくゴジラをモチーフにデザインされたフルプレートだ。

咆哮が収まるとともに、光の柱も小さくなる。変容が終了したという証なのだろうか。

 

「……赤龍帝。俺の聞き違いであればいいのだが、お前はあれを『ゴジラ』と呼んだか?」

 

コカビエルの問いに、イッセーは無言で頷く。

 

「ありえん。ゴジラは既に今は亡き神によって永遠に封印された。それに、怪獣神器ができたのもつい最近。虚仮威しか。」

 

そう言うとコカビエルは手を振りかざし、己の下僕たちに命令する。

 

「ゆけい!!まずはあの見せかけ倒しの木偶の坊からやれ!!手負いの魔王の妹を相手にするのは後でいい!!」

 

再びカマキラス達が殺到してくる。しかも、今度はクモンガも一緒だ。

ダイスケはそこへ向かって一気に突き進み始める。

一見、自殺行為にしか見えないその行動を目撃したイッセーたちが見たのは、飛び散るカマキラスたちの四肢だった。

本来狩るべき立場であったはずの自分たちが狩られている。言葉を発しないカマキラスたちの目から、そのような感情が読み取れる。

ある者は頭と胴体を引き離され、またある者は背後からの奇襲を敢行するも強力な鞭と化した尾によって一瞬でバラバラにされる。

そうしていくうちに、ダイスケの足元にはカマキラスたちのバラバラ死体が積み重なる。

やがて、最後の一匹がダイスケによって持ち上げられ、胴体を引きちぎられた。

そこへ、クモンガが糸を吐いた。雁字搦めにして動きを封じようというのだ。

飛びかかる糸に向かい、ダイスケは右手をかざして熱線を放つ。

すると、放たれた糸はダイスケを拘束することができずにそのまま空中で燃やし尽くされる。

イッセーは知っていた。この糸は強靭でありながら熱には非常に弱い。映画の中でもライターの火で焼き切られる描写があった。

だが、熱線は糸を焼き切るにとどまらず、吐き出した張本人の頭部を直撃する。

 

チチュウ!

 

火花が散り、相当な深手を負う。

その怯んだ隙に、ダイスケは驚異的なジャンプでクモンガの頭上へ舞い上がる。

体液を撒き散らしながらクモンガはそれを見上げるが、ダイスケが両手を自分に翳したのが最後に見た光景になった。

両手から放たれる熱戦。

それがクモンガの頭を穿ち、胴体をも消滅させる。

残ったのは、八本の巨大な脚のみだった。

続いて、フリードが無言で滞空するダイスケに向かって、背中の羽を広げて飛翔する。

昆虫らしい羽音を響かせながら、右手に仕込めれた鎌を振りかざす。

だが、鋭い一閃を与えようとしたその腕は、易々と捕まえられる。

そして、ダイスケはその腕を掴んだまま地面へと落下。グラウンドに土煙の柱が立つ。

土煙の晴れたそこには、フリードが倒れそれを馬乗りになって殴り続けるダイスケの姿。

やがてトドメとばかりに強烈なボディーブローが入ると、フリードの神器が解除され、腕を力なく横たえた。

悠然と立ち上がるダイスケは、その歩みをコカビエルに向ける。

その圧倒的な力を見たコカビエルが、それまでの余裕を無くして思わず声を荒げる。

 

「……有り得ん。絶対に有り得ん!!!!奴が怪獣王の力を有しているはずがない!!」

 

もはやそれが滑稽な現実逃避にしか見えないのは言うまでもない。

だが、その言葉と共に放たれるプレッシャーにイッセーたちは圧倒される。

反対にダイスケはそれがどうしたと言わんばかりに平然としている。

その態度が気に食わなかったのか、コカビエルは今までに見たことのない怒りの形相を見せる。

 

「その余裕ぶったその態度、俺の最大の力をもって消させてもらう!!!」

 

コカビエルの手に、堕天使お得意の光の槍が生まれる。

だが、それから発せられる光の力は今までイッセーが見たモノの比ではない。

 

「いけない!あんなものが当たれば、余波で私たちも……!!」

 

リアスの言葉に、イッセーは戦慄する。

余波だけで周囲の悪魔をも消し去る光。これが聖書にも記された堕天使の実力ということなのか。

 

「みんな!!私の後ろに!!」

 

そう言うと朱乃が小さいながらも高密度の結界を張る。

その言葉を聞いたグレモリー眷属とゼノヴィアは、傷ついた体を引きずって結界の影に入る。

 

「朱乃さん!!ダイスケは!!」 

 

「……この距離ではもうダメです。この防壁を維持するだけでも手一杯です。」

 

「そんな……!!」

 

朱乃の言葉に、イッセーは愕然とした。

そうする間にも、コカビエルはダイスケめがけて光の槍を振りかざす。

 

「この一撃で消し去れ!!!脆弱な人間が!!!!」

 

「ダイスケ!避け……いや、逃げろォォォォォ!!!!」

 

イッセーの叫びと同時に、光の槍が放たれる。

ダイスケは避けるつもりがないのか、イッセーの叫びを聞いても歩みを止めない。

そして、一度立ち止まったかと思うとおもむろに拳を構える。

一瞬の出来事がスローモーションのように見えるのは気のせいだろうか、とイッセーは思う。

野球でバッターがボールを打とうとした瞬間や、サッカーでシュートを決めた選手の決定的瞬間をテレビで見るような感覚。それがイッセーの動体視力が悪魔になったことで向上した結果なのかどうかはわからない。

まるで達人の妙技を見ているのではないか、とリアスたちも思っていた。

それは、まさに信じがたい光景。

迫ってくる光の槍はまさに神速。それにダイスケの拳が当たった。

当たっただけでは済まされない。その拳は、そのままあれほど圧倒的な力を放っていた光の槍をまるで蛍光灯を割るかのように打ち砕いてみせた。

その光景は、コカビエルにとっても信じられないものだった。

なにせ自分の全力を注いで生み出した自慢の武器があっさりと破壊されたのだ。当然、そのプライドも傷つく。

 

「巫山戯るなァァァァァああああああ!!!!」

 

ついに、激情にかられてダイスケに突撃を仕掛ける。手には先ほどと同じ規模の力を持った光の槍。

その槍を剣のように扱ってダイスケを斬ろうとするも、腕のガントレットでガードされ、再び砕け散る。

 

「ば、馬鹿―――」

 

驚愕の言葉を全て口にする前に、ダイスケの拳がその顔面に突き刺さる。

その衝撃はコカビエルの体のバランスを崩し、地面に叩きつけられるのに十分すぎる力を持っていた。

だが、威力がありすぎたのか、コカビエルの体は大きくバウンドしてしまう。

そこへ、強烈な尾の一撃。

今度は校舎に突っ込む。

地面や建物にぶつかったダメージよりも、ダイスケに直接やられたダメージが効いているのか、コカビエルの骨はすでにバラバラになっていた。

だが、冥界と天界に戦争を起こしたいという最後の執念がその身を立ち上がらせる。

全身から血を吹き出しながら、瓦礫の中から這い出るコカビエル。

崩れた校舎から離れる、というその瞬間に眼前に立ちふさがる影が一つ。

ダイスケだった。

もはや立っているだけでやっとというその体を掴みあげる。

そしてそのまま、空いた手でひたすら殴り続けた。

一撃、また一撃と殴られるたびにその黒い羽が散っていく。

もはや、コカビエルには抵抗する力はおろか、指一本動かすこともできない。

まさに、瀕死だった。

それを察したのか、それとも殴るのに飽きたのか、ダイスケはコカビエルの体を校舎の最も高いところである時計台に投げつける。

その姿は、まるで磔刑にされた者の姿のようだった。

ダイスケがそこへ顔を向けると、顔を覆うマスクの一部がスライドして開かれる。

すると、背ビレが青白く発光をはじめる。

相当な高熱を発しているのか、背びれの周囲の大気が歪んで見える。

それは、ゴジラを見たことのない者でも知っているであろう、熱線発射のシークエンス。

背びれからは放電現象が起き、開かれたマスクの口からも青白い光が溢れ始める。

光が放たれる。

放射熱線だ。

そのチェレンコフ光による青白い光は時計台を直撃し、学園全域をカバーしていた結界をいとも容易く突き破る。

その翌日、駒王町の一部の住人の間で学校から光の柱が見えたという噂が広がるほどの威力。

熱線は雲をも貫き、闇夜に中へ消えた。

時計台は消し飛び、そこに土煙が立つ。

あまりの威力に、誰もがコカビエルが文字通りに消滅したと思った。

だが、土煙が晴れた時、そのリアスたちの予想は裏切られた。

 

「……誰!?」

 

リアスが叫ぶ。

そこには、先ほどまでいなかった者が二名いた。

一人はは沢山のスパイクが生えた盾を構えている。

そして、土煙を払うかのように右手に持ったメイスを振る。

 

「すまないが、こいつを今殺すわけには行かない。」

 

もう一人も口を開く。

 

「しかし、強力な一撃だった。お前の盾と俺の数回分の半減でようやくこれか。……怪獣王、実に面白い。戦いがいがある。」

 

「今はやめろよ。コカビエルとその協力者、そしてエクスカリバーを回収するのがお前と俺のそれぞれの任務だ。」

 

「わかっている。」

 

そのもう一人は、光る翼を持つ純白のフルプレートを装着していた。

赤龍帝の籠手の禁手と同じようなフルプレートメイル。

イッセーたちはひと目でその男が何者なのかわかった。

赤い龍と対を成す“白い龍《バニシング・ドラゴン》”。

 

『アルビオンめ。もう“白龍皇の光翼《ディバイン・ディバイディング》”の禁手、“白龍皇の鎧《ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル》”にまで至っているのか。うかうかしていられんぞ、相棒よ。』

 

イッセーはそのドライグの言葉で確信する。

目の前にいるあの白い奴が自分の宿敵。必ずぶつかりあるライバル。

ゼノヴィアはもう片方のメイスを持った男が何者なのか知っているのか、非常に驚いた表情をしている。

 

「お前は……アーロン・ブロディ!!今更何しに来た!!」

 

アーロンと呼ばれた男はハァ、とため息を吐く。

 

「決まっている。任務遂行のためさ。その為に、堕天使側にいる白龍皇と協力することにした。」

 

「……バチカン直属のエクソシストでありながら、堕天使に与したというのか!?」

 

ゼノヴィアの怒りの声をアーロンはさらりと受け流す。

 

「堕天使とて一枚岩ではないのはわかっているだろう?白龍皇はアザゼル直属のエージェントだ。アザゼルもコカビエルの独断専行を止めたがっていたのさ。」

 

「お互いの利益が一致していたから協力体制を敷いたまでだ。それに、お前も悪魔と組んでいるではないか。共に戦争を起こさないために行動した。それでいいじゃないか、デュランダル使い。」

 

白龍皇の言葉に押し黙るしかないゼノヴィア。

そこへ、アーロンがリアスたちに言う。

 

「それよりも、そいつを介抱してやれ。急激な力の解放に、肉体がまだついて行っていないらしいぞ。」

 

見ると、ダイスケが鎧を解除した状態で地面に横たわっている。

 

「ダイスケ!!」

 

イッセーがたまらず走り出す。

様子を見ると、疲れきったように地面に横たわっている。しかし、気絶まではしていなかった。

 

「ダイスケ!!しっかりしろ!アーシア、頼む!!」

 

「は、はい!!」

 

アーシアが急いで駆け寄るも、ダイスケは手をかざして断る。

 

「俺より……他の皆の治療を優先してくれ。俺は疲れているだけだからさ。」

 

「で、でも……!」

 

「いいから、行ってくれ。おれも、もうチョイで立てるからさ。」

 

しばしアーシアは逡巡していたが、やがて力強く頷いて他のメンバーの治療にあたる。

 

「さて、将来のライバル候補が無事なのは確認したし……。」

 

「お互い、回収しなければならないものはしないと、な。」

 

そうしてアーロンはエクスカリバーの残骸とバルパーの死体を、白龍皇はコカビエルの残骸と気絶しているフリードを回収し立ち去ろうとするが、白龍皇をドライグが呼び止める。

 

『無視か、白いのよ。』

 

その声に合わせるようにイッセーの籠手の宝玉が光る。

 

『起きていたか、赤いの。』

 

同じように、白龍皇の鎧の宝玉が光る。

 

『せっかくこう顔を合わせることができたというのに、この状況ではな。』

 

『構わん。俺達はいずれ再び戦場の中であいまみえる宿命。こういうこともある。』

 

『しかし、白いの。お前の相棒からほとんど敵意が伝わってこないのだが、どうしてだ?』

 

『それはお前も同じだろうに。』

 

『お互い、戦い以外に何か興味がある、ということか。』

 

『まあ、そういうことだ。しばらくは勝手に楽しませてもらう。お前の他にも、面白い奴がいくつもいるだ。そういうのもたまには悪くないだろう?また会おう、ドライグ。』

 

『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン。』

 

赤龍帝と白龍皇の会話。伝説の存在同士の会話は終わり別れを告げる両者だが、イッセーは納得いかない、とばかりに立ち上がる。

 

「おい!お前ら勝手に話を進めるなよ!!お前は……お前は一体なんなんだ!?」

 

そのイッセーの疑問に白龍皇の宿主が答える。

 

「全てを理解するのには時間と力が必要だ。せいぜい強くなってくれよ、未来の俺の宿敵くん。」

 

そう言い残し、白い閃光と化して去っていく。

バチカンのエクソシストもいつの間にか消えていた。

予想外に予想外が続いた戦いの終焉に、誰もが言葉を失う。

だが、全てが終わったのには間違いない。

誰かが聖剣計画を続けるかもしれないし、再びコカビエルのような者が現れるかもしれない。

それに、白龍皇と謎のエクソシストの登場。

不安要素はあるが、この一件にカタがついたのには変わりがない。

取り敢えず、死んでいった同志たちの心を知ることができた木場は、今のほんのひと時の安堵感に身を委ねようとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局あのあと、木場はリアスに笑顔で許され、迎え入れられた代わりに魔力を纏った平手による尻叩き千発を受けた。

それをダイスケとイッセーは、爆笑しながら見てた。さらに小猫からイッセーと匙も同じ罰を受けたことを知り、ダイスケは更に笑いこけた。

魔王の援軍が来たのは全てが終わった三十分後だった。結局、彼らがしたのはメチャクチャになった学園の修復で終わった。

そしてすでに事件解決から数日が経っており、イッセーとアーシアとダイスケの三人はいつものように部室へ入る。

すると、ソファーに後ろ向きで見知らぬ誰かが座っている。

 

「久しぶりだな、赤龍帝とその友人。」

 

ゼノヴィアだった。しかも駒王学園の制服を着ている。

 

「「お前なんでここにいんの?」」

 

思わず二人の声がハモる。そしてゼノヴィアは、その質問の返答の代わりに背中の黒い羽を見せる。

 

「お、お前悪魔になったのか!?」

 

イッセーの驚く声に対し、ゼノヴィアは肯定だとばかりに頷く。

 

「正直自棄っぱちだ。神がいないとなれば、もう私のこれまでの人生はなかったようなものさ。それで人生のやり直しの意味でリアス・グレモリーから騎士の駒を頂いた。デュランダルがあっても、私自信は大した事無いから駒一個の消費で済んだ。あ、それとこの学園にも編入されせてもらった。今日から君らと同級生でオカルト研究部所属になった。」

 

「……部長、いいすか?これ。」

 

いくら神の不在を知ったといっても思い切りが良すぎだ。

 

「聖剣、それもデュランダル使いが眷属にいるのはとても頼もしいわ。これで祐斗と合わせて騎士がふたり揃ったわね。」

 

あんまり本人の出自には囚われないのか、転生をさせた当のリアスはあっけらかんとしている。

確かに悪魔が相手のレーティングゲームでは猛威を振るってくれるだろう。

 

「ああ、そうだ。私は悪魔になってしまったのだ。……いや、本当にこれでよかったのか?ええい!!いつまでも悩むことはない!!もう転生したのだから!!……いや、やっぱり……。」

 

「そこまで思い悩むならよしゃあいいのに。バカだろ。お前バカだろ。」

 

ダイスケのツッコミを受けながら、迂闊にも神に祈ってダメージを受けている。そこでまたダイスケが「だからやめろって」と言いながらゼノヴィアの頭を叩いているわけだが。

だが、イッセーはふとあることを思い出す。

 

「あれ、そういや、イリナは?」

 

「そういやそんな奴いたな。いつの間にかフェードアウトしてたから忘れてたけど。」

 

「まあ、お前は途中参戦だったからな……。」

 

イリナは先の学園での決戦を前にフリードから受けた傷でリタイアしていた。まあ、神の不在を知る機会はなかったのは不幸中の幸いというべきか。

そしてイッセーの疑問にゼノヴィアが答える。

 

「イリナは擬態の聖剣と私が使っていた破壊の聖剣を持って本部に帰った。私にはデュランダルがあればそれでいいからね。木場祐斗と私が破壊したエクスカリバーの芯はアーロンが持ち帰ったから任務完了さ。芯さえあれば、錬金術で再生できるからね。」

 

「錬金術ってあれ?両手をパン!と叩いて等価交換とかの……。」

 

「ダイスケ、それ言ってもわかんないから。ていうか、わかってて言ってるだろお前。……ていうか、デュランダルの持ち逃げっていいのかよ、それ。」

 

「エクスカリバーは教会が管理しているし、他にも使い手は見繕える。だが、デュランダルは使い手がそうそういないんだ。それに、私が神の不在をチラつかせたらタダでくれたよ。まあ、手切れ金みたいなものさ。教会はたとえ聖剣使いでも異端者を徹底的に排除するからな。アーシア・アルジェントの時のように。」

 

自嘲するかのように彼女は笑う。

 

「イリナは運がいい。あいつは私以上に信仰に熱心だった。怪我で途中リタイアしたから、神の死を知らずに済んだのだからな。もしあの場にいたら、どうなっていたか……。」

 

「そうだよな、未だにエル○ィスのファンはまだ生きてるて信じてるくらいだもんな。M○Bでネタにされてたくらいだし。」

 

「ダイスケ。お前、本当にちょくちょくネタ突っ込むな……。」

 

イッセーは呆れ顔をしながらも、幼馴染であるイリナのことを思う。いったい彼女は、どのような気持ちで帰っていったのかと。

 

「まあ、彼女は私が悪魔になったことには残念がってはくれた。それなりに付き合いは長いからな。ただ、神の不在が原因とも言えないからなんとも言えない別れ方になってしまったが……次に会うときは敵、かな。」

 

そういうゼノヴィアの目は、なんだか哀しげなものだった。

少々場がしんみりしてしまったところで、朱乃、木場、小猫が部室に入ってくる。

全員揃ったことを確認すると、リアスは話を切り出した。

 

「教会側は今回のことでこちら側、魔王に打診してきたそうよ。『堕天使の動きが不透明かつ不誠実のため、誠に遺憾ながら連絡を取り合いたい』とね。あと、バルパーのことについても協会側からの謝罪があったわ。」

 

あくまで遺憾。まあ、敵同士だからその態度も仕方がないか。バルパーの事について謝罪があっただけ良しとするべきか。

 

「まあ、魔王の妹二人に命の危機があったのだからな。三大勢力の均衡が崩れるかもしれなかったのだから当然だ。」

 

「え?魔王の妹二人って……この学園の上級悪魔は部長と……ってことはソーナ会長!?」

 

イッセーは自分で導き出した答えに驚く。リアスはそれを肯定するように頷く。

そういえば、とイッセーは思い出す。エクスカリバーを破壊するために匙と組んだとき、彼は「俺の目標はソーナ会長と出来ちゃった結婚することだ」と言っていた。つまり、彼は相当な逆玉狙いということか、と一人で納得する。

 

「それと堕天使の総督であるアザゼルからも連絡が来たわ。事の真相は白龍皇の言った通り、コカビエルの単独行為。他の幹部達を出し抜いてまで、三大勢力の均衡を崩し、再び戦争を起こそうとした罪により“地獄の最下層《コキュートス》”での永久冷凍刑が既に執行されたそうよ。」

 

「コキュートスで永遠の冷凍刑か。永遠な分、ドモ○の親父さんとかコレ○・ナンダーよりきついな。」

 

ダイスケのその言葉はイッセー以外わからなかったが、取り敢えずイッセーにはどれくらい重い刑は伝わったようだ。

その言葉の意味は分からないが、理解することを置いておいてリアスは話を続ける。

 

「とりあえず、ダイスケとアルビオンの介入で事を収めたという形に収まっているらしいわ。ただ、その事でアザゼルがダイスケに異常なまでの関心を示している、ということも伝わってきたわ。」

 

それを聞いて、ダイスケは苦虫を噛み潰したような顔になる。

取り敢えず悪魔側にいる以上、なるべくなら組織間クラスでの接触は避けたかったダイスケだが、今回は迂闊なまでに派手に動いてしまった。

その事でダイスケは苦い顔をするが、イッセーもまた違う理由で苦い顔をしていた。

あの時、白龍皇は既に完全な禁手に至っていた。

あまりにも圧倒的な力量差。それも、相手はいつか必ずぶつかるという宿命のライバル。

せめて、すこしでもその差を埋めることができれば、と思うイッセーである。

 

「それと、これは連絡事項の最後になるけれど……近いうちに天使側、悪魔側の代表を集めてアザゼルが会談を開きたいとの打診があったわ。なんでもアザゼルからどうしても話したいことがあるらしいの。その時にコカビエルについての謝罪があると思うのだけど……問題は会談の内容の中にダイスケのことが含まれているってことなのよ。」

 

ダイスケが心底嫌そうな顔をする。

自分が大好きな話ならいくらでもするが、めんどくさそうな話に付き合わされるのは心底嫌なタイプなのだ。

 

「あぁぁぁ、もう!!こんなんなら助けに入らなきゃ良かったぁぁぁぁ!!!!!」

 

『オイ。』

 

その部員全員を見捨てるべきだったというダイスケに、全員からのツッコミが入る。

兎に角話を続けるために、リアスが咳払いをする。

 

「コホン……それでその場に私たちも招待されたわ。事件に関わってしまったことだし、その報告もしなければならないから。」

 

「マジっすか!?」

 

驚いたのはイッセーだけではない。全員が驚いた。日本人で言えばG8のサミットに首相と同席しろと言われているようなものなのだから。

 

「それに、個人的に気になっているのがアザゼルがダイスケのことを『怪獣王』って呼んだことなのよ。イッセーが変身したダイスケのことを『ゴジラ』って言ったこともね。ねえ、イッセー。あれはどういうことなのかしら。」

 

「いや……自分でもよくわかんないですけど、パッと見て「ゴジラみたいなデザインだな」って思った程度なんで。」

 

頭を掻きながらイッセーは答える。

 

「そんなにゴジラっぽかった?自分じゃよく覚えていないからな……。」

 

「ああ、お前の好みが出てたせいか大分、仮○ライダーっぽかったけど。」

 

「これがそんな感じしたのか?」

 

と言って、突然なんの前触れもなくダイスケが変身する。

 

「おぅわ!!いきなりやるなよ!!心臓に悪い!!!」

 

「ダイスケ、あなたその状態にいつでもなれるの!?」

 

リアスの驚いたような問にダイスケは答える。

 

「はい。あのあと家で何回か試してみたら自由に変身できるようになってました。制限時間とかもないみたいですし。」

 

「マジでか!?高性能すぎじゃね!?」

 

『実力を積んで持続時間を延ばす俺たちとは大違いだな。』

 

イッセーとドライグが驚くのにも無理はない。

イッセーがこの前見せた禁手化は限定的なもので、完全に至ったわけではない。

それに木場の双覇の聖魔剣のように物体を生み出す神器ではないので、持続時間があるはずなのにそれがないとは、ほぼ反則と言っていい。

完全な禁手に至った白龍皇ですら、相当な鍛錬をしているはずだろうから尚更だ。

 

「なんにせよ、変身できるようになったらポーズをどうするか考えなきゃな……。」

 

「ダイスケくん……君が気にするところってそこなの?」

 

木場が呆れたように聞いてくる。

 

「お前、何言ってんだ!!変身ポーズは重要だろ!?」

 

そういってあーでもない、こーでもないと一人悩み続けるダイスケに、木場はあはは……と乾いた笑いをするしかない。

 

「こうなったら、少しでも理解を深めるために映画を観ないとね……。」

 

「それでは、早速全作品のDVDとブルーレイを注文しておきますわ。」

 

「え!?全部見るんですか!?今のところ30作品近くあるんですよ!?」

 

イッセーが驚くが、リアスはしれっとした顔で答える。

 

「夜と休日を利用すればなんとかなるわ。注文の方、よろしくね朱乃。」

 

「はい、部長。」

 

上級悪魔の経済力恐るべし。

特撮好きのダイスケですら、HDDの録画と過去に見たビデオの記憶と映画を見たときの記憶で妥協しているというのに。

見終わったらねだろうか、と思ってしまうダイスケである。

 

「そうだ、やらねばならないことが一つあった。……アーシア・アルジェント、キミに謝らせてほしい。主がいないのなら、愛も救いもないのは当然だった。それなのに、わたしは……。本当にすまなかった。気が済むのなら、私をいくらでも殴ってくれて構わない。」

 

ゼノヴィアは深く頭を下げる。

変わっていない表情なのでわからないが、その心は態度で本物だとわかる。

 

「……頭を上げてください。私は今この時のなかで、皆さんと一緒にいられるだけで幸せなんです。だから、それでいいんです。」

 

そう言って、アーシアはゼノヴィアの手を取る。

ゼノヴィアが恐る恐る顔を上げた先には、アーシアの聖母のような笑顔があった。

神の存在を否定されたとき、彼女は精神の均衡が危うかった。イッセーとリアスのフォローにより何とか取り留めたものの、未だに辛いものがあるだろう。

ゼノヴィアも、一時的に本部に帰った時に異端者扱いをされた。その時にようやくアーシアがどういう心境だったのか理解できた。

そのことを鑑みても、アーシアが受けた心の傷はゼノヴィア以上のものだったろう。その彼女が笑って許してくれたことで、逆にゼノヴィアの心が少し軽くなった。

表情を見せないゼノヴィアが、その硬い表情を緩ませる。

 

「ありがとう、アーシア・アルジェント。……私はここで失礼させてもらう。この学園に転入するに至って、知らなければいけないことが多いからね。」

 

手を解き、部室を後にしようとするゼノヴィア。

 

「あ、あの!!」

 

ドアノブに手をかけたゼノヴィアをアーシアが呼び止める。

 

「今度の休日に、みんなで遊びに行くんです。よろしければ……ご一緒に行きませんか?」

 

屈託のないアーシアのその笑顔に、ゼノヴィアは少し驚いたような表情になるが、苦笑する。

 

「すまない、今回は興が乗らないかな。でも……。」

 

「でも?」

 

「今度、学園の中を案内してくれないか?」

 

「……はい!」

 

笑顔で答えるアーシアを背に、ゼノヴィアも笑顔で退出していった。

どうやら、悪い奴ではないようだ、とダイスケは思う。

出会いは最悪の印象だったが、なんとかうまくやれそうだ。

後日、予定通りにイッセーたちは遊んだ。

遅刻してきた松田を元浜、イッセー、ダイスケ、桐生の四人でしっかりとシめたあと、まずは四ゲームもボウリングをしたあとにカラオケと洒落こんだ。

ただ、意外だったのが木場がノリノリで熱唱していたことだった。

問題が解決し、少し余裕ができた証であろう。

一緒についてきた小猫もQ○EENの曲を熱唱し、桐生が「男子相手に売れるから」と言って写真を撮りまくっていた。

彼らにとって、本当に充実した時間だった。

ただ、一つだけ問題が起きた。

桐生が流したイッセー、ダイスケ、木場が3人で歌っているところの写真が流れた時、三人のBL的三角関係説に拍車がかかった。

これにより、校内の腐女子グループとダイスケ個人の敵対関係はより明確なものになった。

戦いは、まだ終わってはいない(しょうもない戦いだが)




ということで、とうとう主人公が本格覚醒いたしました。
新オリキャラも出てきましたので、どう転がすかこれから自分でも楽しみです。
それだはまた次回!!いつになるかはわかりません!!
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