ハイスクールD×G 作:オンタイセウ
あと、明日からドライブ放送開始ですね。楽しみです(取って付けたリアルタイム感)。
「おまたせ。ブラックでいいんだよな?」
「うん。てつをの方。」
そのダイスケの返答に困惑しつつも、アザゼルは買ってきた缶コーヒーを手渡しベンチに座る。
ダイスケはアーロンと別れたあとに、偶然にもアザゼルと鉢合わせした。そして、「話がしたい」というので近所の公園のベンチで話すことにした。
幸い、休日であるのに公園には人がいなかったので心置きなく話ができる。
公園に缶が開けられたことによる圧力が抜ける音が二つ響く。
ダイスケの口のなかに、缶コーヒー独特の金属っぽいかつほろ苦い液体の味は広がる。普通のコーヒーとは違うが、嫌いじゃない。
「さっきは妙に辛気臭い顔してたな。どうした?なんかあったか?」
相手は堕天使の総督。しかも、これまで正体を隠して接してきた胡散臭い相手だ。それがまるで近所の気のいい兄ちゃんのように接してくる。
「いままで正体隠してきた奴に言ってもねぇ……。」
「悪かった、悪かった。なるべく直にお前さんが知りたくってな。あとは俺の茶目っ気だ。」
「茶目っ気って自分で言うかよ……。」
ハハハ!とアザゼルが笑う。
正直なところ、ダイスケにはこのアザゼルという人物が測れないでいた。
組織のトップだというのに、自ら事態の最前線に顔を出す。自らに降りかかりうるリスクをものともせずにだ。
それでいて、己の正体をばらすことなく知りたいことを知ることのできる器量と技量には感嘆する他ない。
そして、正体を知られた後も堂々と姿を現す豪胆さ。
確かに、アザゼルは人の上に立つのに理想的な人物かもしれない。
だが、どこか信用できない。というか、胡散臭い。
それなのに、この男なら自分の胸の内を明かしてもいいのではないかと思えるから不思議だ。
「まあ大方、怪獣神器についてだろ。」
「……正解。」
やはり見抜かれていた。
「望まずに力を得てしまった者が、往々にして突き当たる不安さ。よくある話だよ。」
「普通はねえよ。そんなん、レアケース中のレアケースだわ。」
「それは言えてる。だがまあ、力を持ってしまったがゆえの苦悩とか孤独とかは……特撮好きのお前さんならわかるだろ?」
「わかるけど、まさか自分がそうなるなんて思うわけねえって。」
ダイスケは頭を抱え込む。
「とりあえず話してみろや。少しはスッキリするかもしれんぜ?」
アザゼルの言う通り、ダイスケは喋った。
先刻のアーロンとの会話。
グレモリー眷属たちとのこれからの関係。
そして、自分の中にある力への恐怖。
全て喋った。
確かに少しはスッキリしたかもしれない。だが、それはほんの一瞬で、すぐに胸の奥に黒いものが渦を巻き始める。
リアスたちが自分よりもイッセーを優先するは分かる。
ハーレム王という、バカバカしいが本気の親友の夢を叶えるのを手伝ってやりたいと思うし、彼女たちの恋路も応援してやりたい。
そのためなら、汚れ役を買ってもいいとも思える。
だからこそ、今日はダイスケは身を引いた。
だが、もしそれを自分自身が壊そうとしたら?
もしも、自分の力によってほかの仲の良い人間達も離れていったとしたら?
祖父だって、いつかは死ぬ。
その時、ダイスケは世界の中で一人ぼっちになるのではないか?
イッセーですら、自分の力を恐れて離れていくのではないか?
そうなったら、自分はどうなる?
味方が一人もいない世界。
自分の力を恐れ、世界中が恐怖し、敵視する。
それこそゴジラと同じだ。
誰からも受け入れられず、その存在を否定される。ただ、力があるというだけで。
そして、そのフラストレーションが行き着く先は破壊しかない。
自分を認めない者への怒りと憎しみ。完全なる負の連鎖。
その先にある未来は――――
「おい!しっかりしろ!!」
アザゼルの声で、ダイスケはハッと我に返る。いつの間にか、手に持っていたコーヒーの空き缶がそれとは分からないほどに握り潰されている。
身の上相談をしているうちに、いつのまにか思考の海の中で溺れかけていたのだ。
普段ならば、こんな事はないのだが。
「お前さん、だいぶ思いつめてるな。いや、一度堰を切ったがために今まで考えたこともないようなことまで藪蛇で出てきちまったか。」
アザゼルの言う通りだった。
今まで考えた事もないような事が次々と思い浮かんできて、自分の心を蝕んでいく。河豚が自分の毒で死んでしまうほど滑稽だ。
だが、ダイスケの場合はシャレにならない。現実に起こりうるかもしれない上に、下手をしたら世界の滅亡にもつながりかねない。
「……悪かったな。俺が迂闊だった。」
「勝手に喋ったのは俺っすよ。俺が勝手に変な方向に考え過ぎちゃって……。」
お互いに押し黙ってしまう二人。
だが、その沈黙をアザゼルが破る。
「実はな、お前にプレゼントがあるんだ。」
唐突に話題を変えるアザゼル。だがまあ、同じ話題をし続けても暗くなる一方なので正解ではあるだろう。
彼が取り出したのは手のひらサイズの黒い物体。頭には逆U字の部品がついているので錠前のようにも見える。
「コイツは俺が開発した携帯用二輪車の《ロックビークル》といっ「アウトォォォォォォォ!!!!!!」
ダイスケが慌ててアザゼルの口を手で塞ぐ。
「あんた、何とんでもないもの作ってるんだよ!?財団Bに命を狙われるぞ!!」
「HAHAHAHAHA!!財団Bってなんだい?コイツは俺のオリジナルさ。鎧○とかニ○アサとかは全然関係ないんだZE!」
「なんなんだよ、そのアメリカンなウェットの効いた喋り方!?つーか、さっき言った二つの単語が出てくる時点で完全にダウトだよ!!!」
見た目も玩具で市販されているソレとほぼ瓜二つ。訴えられたら即アウトだ。
「まあまあ、お前さんの為に作った特注品なんだ。試してみろよ。」
言われるまま渋々とダイスケは錠前状のそれを受け取ると、劇中よろしくロックを解除するためのスイッチを入れる。
「……無言だな。」
「そんな性能まで必要じゃないからな。」
尤もなことを言うアザゼルの答えを受けて、ダイスケは錠前を空中へ軽く放り投げる。
すると、質量保存の法則を完全に無視した変形を経て、錠前は見事にバイクに変形した。
「モトクロスじゃなくてアメリカンチョッパーかよ……。」
「だって、ゴジラってモトクロスのイメージじゃあないだろ?」
「確かにそうだけどさぁ……元ネタに対する敬意がさぁ……。」
重厚な印象のゴジラに対して、確かにモトクロスバイクは合わないだろう。だが、見た目以上にこれを使うのには問題がいくつもある。
「第一、俺まだ免許なんて持ってないぜ?」
「安心しろ。堕天使の製造物に人間の法律は適応されない。だいたい、これは非常時用の移動手段として作ったんだ。公道で走る機会はないさ。」
「……燃料は?」
「お前さんの持つゴジラの核エネルギーだ。だから、燃費とか気にしないでいいぞ。」
「……いや、やっぱ著作権。」
「この物語はフィクションであり、実在の事件、人物、団体等とは一切関係ありません。」
「……あんた、どこぞのデップーと一緒で第四の壁の破壊でも出来るの?」
「そういうお前も、だいぶ壊しているぞ。」
「……もういいや。ありがたく受け取っておくよ。」
これ以上の問答は、世界観を崩壊させかねない。いい加減にやめたほうがいいだろう。
「ああ、元に戻すのは燃料タンクのキャップ的なスイッチな。」
言われた通りにすると、バイクは錠前の姿に戻った。
すると、アザゼルはある提案をしてくる。
「実は名前がまだ無いんだ。お前が名前をつけてやってくれないか?」
「俺が?」
正直なところ、ネーミングセンスに関してはダイスケは全くといっていいほど自信がない。
小学生の時にクラスで飼っていたウサギの名前の候補に《小林義雄》と入れたくらいである。
しばし考え込んだあと、もっとらしい候補が頭の中に浮かび上がる。
「安直だけど、《Gアタッカー》でいいかな。」
「影響されてんなぁ、おい。」
「うっせ。」
指摘されて、ダイスケの顔が赤くなる。
だが、ダイスケが変身した姿がヒーローチックなのは確かだし、それに合ったネーミングも必要であろう。
「だけどさ、いいの?俺だけこんなものもらっちゃって。」
「いいんだよ。今度の会談を開くにあたって、お互いに贈り物をしあっているんだ。悪魔側へのプレゼントの一つだと思ってくれ。」
手をひらひらと振って答えるアザゼル。ダイスケはこの男とそれなりに長い付き合いだが、気風の良さも正体を知ってからも変わらずのようだ。
「取り敢えず、俺の用件は済んだから今日はこれで失礼するよ。――――ああ、そうだ、これだけは言っておこう。」
立ち去ろうとしかけたアザゼルが言い直す。
「ゴジラの力は、俺たちの予想をはるかに上回る大いなる力だ。そのことで辛いことや苦しいこと、悲しいことも起こるだろう。」
だが、とアザゼルは続ける。
「俺や、ここにはいないがサーゼクス、そして天使たちの長であるミカエルは全力でお前さんを支えていくことにすでに合意している。なにかあったら誰でもいい、俺たちを頼ってくれ。今回のはその一環だ。」
「それは俺に暴れて欲しくないから?」
「それは確かにある。だけどな、お前さんに触れることでお前がどんな人間なのか俺も大分解った。情がうつったと言っていい。だから、力が原因で一人ぼっちになってほしくないって思うようになったのさ。たまたま力を持て生まれてきただけだってのに、それだけで辛い人生を送るなんて損だろ?」
普段はただの巫山戯た中年といった目のアザゼルだが、今は違った。
今まで見たことのない真剣な目をしている。
「今まで正体を隠してきたせいで信じてくれないかもしれない。でも、これは俺の本心だ。そこだけはわかってくれ。そうだ、ついでにお前の神器の名前もつけといてやろう。」
うーん、としばし考え込んだアザゼルは天啓を受けたかのようにハッと顔を上げる。
「怪獣王の力を持つ鎧だから、“怪獣王の鎧武《キング・オブ・モンスター=アサルトメイル》”ってのはどうだ?イカスだろ。」
「うん。俺もうなにも突っ込まない。」
「ぼやくな、ぼやくな。なんかあったら、いつでも連絡くれや。」
じゃあな、と言ってアザゼルは去っていき、ダイスケ一人がベンチに残される。
ふと携帯を見ると、メールが六件来ているのに気付く。
送り主はイッセーを除いたオカ研メンバー全員。
内容はみな、今日のオカ研限定プール開きでダイスケに気を利かせて席を外してもらったことへの感謝だった。
「……損な役回りだな。」
それぞれイッセーと距離を縮めることができたことや、アプローチが上手くいったことの報告が書かれているメールを見てそう思う。木場も送ってきているという点については無視するべきなのだろうが。
ダイスケだって思春期男子。可愛い女子とお近づきになりたいと思うこともある。
だが、怪獣神器の影響の事もあるし、その興味の対象が他の男となるとやはり一歩引いてしまう。
それでも、その興味の対象たる男が親友ならばその手伝いをしたいと思うのがダイスケだった。
そんなことを思っていると、つい先刻イッセーに対して引け目を感じていた自分が情けなく思えてきた。
「……まあ、いいか。女に嫌われるのは慣れてるし。」
そう独り言を呟いて、返信のメールを打っていく。
「なら、今度礼ぐらいしろ。いつでもいいから……っと。うっへっへっへ。イッセーと楽しんだ分は、キッチリと俺も楽しませてもらいますよっと……。」
さあ、果たして主人公はどのような報復手段に打って出るのか。
ただ一つ言えることは、誰であろうが泣き出すような所業です。
それだはまた次回!!いつになるかはわかりません!!