ハイスクールD×G   作:オンタイセウ

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やべえ。ドライブとGレコが面白い。
そのせいで全然筆が進まねぇ(マテ


VS18  セラフォルー・レヴィアタン

今日は授業参観がある。

かといって、小学生ではないのでみんなハイテンションになったりはせず、落ち着いたものだった。

逆にほとんどの生徒のテンションはダダ下がり。折角学校では親と離れられるというのに、そこへ親がやってくるのは萎えるものがあるのが思春期の高校生だ。

教室内ではどの生徒もこれから親がやってくる、ということで嫌そうな顔をしていた。

だが、皆の心持ちが重いのはそれだけではない。

この駒王学園の授業参観には中等部の学生が授業の見学にも来れる。さらにその保護者も見学可能な、いわば「公開授業」なのだ。

未来の後輩の目の前で誰も恥をかきたくないので、皆が余計な緊張をしてしまうのも無理はなかった。

だが、アーシアは違っていた。

 

「イッセーさんのお父様とお母様にいいところを見せられるように今日は頑張ります!!」

 

「父さんと母さんも、俺よりアーシアの授業を受けているところを見たがっていたからなぁ……。」

 

「それはそれで辛いものがあるな。まあ、ウチみたいに学校の同窓会でこないっていうのもなんだけどさ。」

 

ダイスケの祖父はなんでも今日、学校の数少なくなった同期生との同窓会でいない。無論、陸軍中野学校の同窓会だ。

 

「孫よりも、生きてる人がもう爺さんあわせて5人しかいない同窓会優先だもんなぁ……。まあ、こっちは気が楽だからいいケド。」

 

そこへ松田と元浜が口を挟む。

 

「でもさ、来なくて正解もしれんぜ。」

 

「確かにそうだな。あの爺さん、悪い人ではないが近所の人間からは敬遠されているからな。」

 

「あー……たしかにそうかもな……。」

 

二人の言葉に、イッセーは納得する。

なにせ、近所を合わす暴走族をひとりで壊滅させたり、公園で遊ぶ小さな子ども達に戦時中の自分の武勇伝を生々しく聞かせて子ども達にトラウマを植えつけたりと逸話に事欠かない人物なのだ。

他の保護者から白い目で見られるのは確実だった。

 

「ダイスケさんのお祖父さまって、そんなに変わったお方なのですか?」

 

「うん。正直、アーシアには会わせたくないくらい。」

 

自分の祖父だが、これが正直な意見だ。ただでさえ純粋なアーシアに変な影響は与えたくないというのがダイスケの意見だった。

 

「イッセー。」

 

そこへ、ゼノヴィアが入ってくる。

 

「昨日は驚かせてしまってすまなかった。君のことも考えずに突っ走ってしまった。許して欲しい。」

 

と言いながら、彼女はイッセーに頭を下げる。

当然、周りの人間は何を謝っているのか皆目見当もつかなかったが、当人であるイッセーは事情を把握していた。

 

(ああ、昨日の子作り云々についてか。)

 

何を隠そう、先日のオカ研限定プール開きのおりにゼノヴィアがイッセーに対して迫ったのだ。肉体関係的な意味で。

当然イッセーは驚きはしたものの、当人としてはそれ自体は順序さえ踏むのであればOKだ。

だが、目の前にダイスケ達がいるこの状況で事の真相を明かそうものなら即刻殺される。だから、イッセーはあえて深くは答えない。

 

「ああ、いいんだよ。気にしなくても。」

 

「ありがとう。だが、やはりぶっつけ本番は難しいだろう。だからこそ―――」

 

ゼノヴィアが懐から小袋を取り出す。

昔の言い方だと「鉄兜」とか「突撃一番」。

ぶっちゃけコンドーム。

 

「私のいた世界では、これの使用にひと悶着があっt「アウトォォォオオオオオオオオ!!!!!」

 

言いかけたゼノヴィアの顔面に、ダイスケの音速の拳がクリーンヒット。

そのままゼノヴィアは黒板へ文字通り飛んでいき、激突。チョークの粉をモロにかぶる。

 

「バカじゃないの!?お前、ほんとバカじゃないの!?つーか、バカじゃないの!?」

 

ゼノヴィアの暴挙で事情を把握したダイスケは、遠慮呵責のない罵声を浴びせる。

他のクラスメイトたちも、ゼノヴィアの行動とダイスケの一撃に驚き、ざわつき始める。

事態の中心にいるイッセーですらついていけなくなって唖然としている。

ただ、そういう教育を今まで受けていなかったアーシアだけが首をかしげて頭上にハテナマークを上げていた。

 

「お前、本当にバカか!?なんつーモンを大衆の面前で取り出してるの!?」

 

脳のエラー状態から回復したイッセーも、ゼノヴィアに対して諌め始めた。

そのダイスケとイッセーからの集中砲火を浴びて、ゼノヴィアは鼻血を垂らしながら弁明し始める。

 

「やはり間違いのない子作りを遂行するためには練習が必要だ。だが、数をこなそうにも行為が行為だ。万が一、女の悦びを知る前にデきてしまっては大変だ。だからこそのフェールセーフだ。」

 

その弁明にイッセーが反論する。

 

「だからと言って、人前で出すな!!俺とお前がそういう風に見られ……てもいいんだけど、時と場所をわきまえてくれ!!イッセー君からのお願い!!」

 

「大体、高校生の身分でどうやって調達したんだよ!?つーか、何回ヤる気だ!?」

 

ダイスケの質問に答えるように、ゼノヴィアはポケットの中の残りを取り出す。

 

「一応、これだけ持ってきたんだが。」

 

そう言って、ゼノヴィアは機関銃のベルトマガジンのごとく繋がったコンドームの小袋を広げた。

 

「お前は、一体どこのモッコリ大好きな新宿のスイーパーだよ!?」

 

「そう、一滴残さずに一網打尽にするという意味では……スイーパーだな。……フッ。」

 

「なにが、フッだよ。全然うまいこと言ってねぇよ!!なにそのドヤ顔!?顔面にもう一発喰らわすぞ!?」

 

「どうせなら、お前ではなくイッセーに、それも顔面ではなくナカに一発欲しいところだな。」

 

「おい、イッセー。お前のハーレム要員だろ。早く何とかしろよ。」

 

「いや、これはどうすることもできねぇよ……。」

 

もはや、将来の旦那であるイッセーにもどうにもならないレベルである。

普段のゼノヴィアは、容姿端麗、文武両道を地で行くクール系美少女として名を馳せているが、やはりアーシアと同じで閉鎖的な環境で育ったせいか常識というものがない。

勉強が出来て馬鹿な子というが、ゼノヴィアがいい見本だろうと思うダイスケである。

 

「ああ、そうだ。アーシアにも渡しておこう。イッセーとの練習に使ってくれ。」

 

イッセーとダイスケが止める間もなく、ひと箱がアーシアに向かって投げ渡されてしまった。

しかも、アーシアはそれをナイスキャッチ。

 

「あ、あの……桐生さん、これって一体なんなんですか?」

 

おい、バカやめろと止める前に桐生が眼鏡を光らせる。

 

「ふっふっふ。アーシア、しっかり教えてあげるわ。それはね……。」

 

こっそりと耳打ちされた桐生の情報に、アーシアの顔を見る見るうちに赤く染まる。

 

「……きゅう。」

 

アーシアの脳内のキャパがオーバーしてしまい、ゆでダコのような顔で卒倒してしまう。

 

「うっひっひっひ。相変わらずアーシアの反応はウブで可愛いねぇ。いじりがいがあるわ。」

 

女版イッセーとも言われる脳内エロ思考娘の桐生が嗤う。

ダイスケはその頭を即興で作ったハリセンで一発殴ると、イッセーと共に倒れ込んだアーシアを介抱する。

 

「アーシア!!しっかりしろ!傷は深いぞ!」

 

「アーシア、桐生に惑わされるな。これはな、軍隊で使うラテックス製の携帯式水筒だ。この大きさで水が一リットル以上も入るんだぞ。」

 

「そーなんですかー。これってへいたいさんがつかうものなんですねー。」

 

先ほどのショックもあってか、現実逃避気味にダイスケの説明に納得するアーシア。

だが、桐生が水を差す。

 

「いやいや、どこぞの高校生軍曹じゃないんだから。流石にそれは無理があるわ。」

 

「アーシアは純粋なんだよ!せめて段階を持って性教育をするべきだ!!」

 

「でも、近いうちにイッセーとしちゃうわけだし?」

 

「高校生の内は絶対にダメ!!責任取れるわけねぇんだから!!!」

 

その言葉で、桐生は「はぁ……」と溜息をつく。

 

「時々思うんだけど、あんたってバカルテットの一員の癖にそういうところはお堅いのよねぇ。あっちの硬さは未知数だけど。」

 

「お前はそっち方面に話を持っていかねえと気が済まないのか。」

 

「当然。言っとくけど、私の《男の誇りの大きさスカウター》はあんたの股間も捉えて離さないのよ?みんな、聞いてー!!実はダイスケのアソコってねぇ――――」

 

言い切る前にダイスケのハリセンが炸裂。直に殴られたゼノヴィアとはえらい扱いの違いだが、桐生は一応人間だ。加減はしてやらねば。

 

「―――学園の中で一番理想に近い形状だって、みんなに教えてあげようとしてたのに。」

 

「やめてくんない?そういうのに縁がないってわかってるから、余計に悲しいものがあるんだけど。」

 

怪獣神器の副作用、即ち、異性に避けられてしまうという特性のことについてはイッセーたちにも話していない。

だからこそ、こういう話題になると相手に悪気がないとわかっていても自然と気が重くなるようになってしまった。

 

「……わりぃ、ちょっと顔洗ってくる。」

 

「いや、もうそろそろHR始まるぞ!?」

 

適当な言い訳をして、イッセーの制止も振り切って教室を出ていくダイスケ。

 

「……なんか最近、ダイスケのやつおかしくねぇか?」

 

「うむ。いつもより近寄りがたいオーラが滲み出ている気がする。イッセー、お前なにか知らんか?」

 

松田と元浜に訊かれるが、イッセーにもそれは答えられない。

昨日何かあったのだろうか?とイッセーは疑問に思う。

先日、イッセーが白龍皇・ヴァーリと遭遇したように何者かのコンタクトを受けて何らかの情報を吹き込まれてあのようになってしまったのか?

だが、ダイスケが誰かになにか吹き込まれた程度のことで動揺したりするものなのだろうか、とも思う。

 

「いや、俺は何も……。」

 

せいぜいそう言うので手一杯だ。

 

「そういえば、ここ最近のアイツと一緒にいると妙なプレッシャーを感じる時があるのよね……。」

 

「え?桐生さんもですか?」

 

アーシアが驚く。

桐生の言葉は、まさにアーシアが最近ダイスケから感じるものそのものを指していたからだ。

 

「?アイツは元々ああいうのじゃなかったのか?女であろうが容赦なくブチのめすような奴だから、女からすれば元々とっつきにくい奴だろうに。」

 

「ああ、ゼノヴィアっちは最近知りあったばかりだからね。前は日常会話程度ならほかの女子ともするし、普通のクラスメイトである分はとっつきやすい奴ではあったんだけどね。なのに、今は自分で壁を作っちゃてる。」

 

「私も、出会った頃はダイスケさんイッセーさんと同じように接することができたんですけど、最近は壁を作られているような感じがして……。」

 

アーシアがまさかここまで言うとは。イッセーが驚く。

正直な話、イッセーにはダイスケの変化が感じられない。これまでと同じようにしか思えないのだ。

ひょっとして、先日のプール開きの時にダイスケだけが来なかったのもそれが原因か?とも勘ぐってしまう。

自分が気付かずに、周りの人間だけが感じる親友の異変に一抹の不安を抱きながらも、HRが始まる合図であるチャイムが鳴る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み時間の廊下に起こる大量のフラッシュとシャッター音。

廊下の一角に人だかりが出来、完全に通行の邪魔となっている。

いわば、人間がモデルになった動脈硬化の図のようだ。

だれも好き好んでこんなに人口密度が高いところに来たくはないが、オカ研一行はこの場にいた。

理由は、自販機に飲み物を買いに行ったイッセー、アーシア、ダイスケが偶々自販機の前でリアスと朱乃に出会ったところから始まる。

そこへこれまた偶然、木場が通りかかった。

 

「あら、祐斗。あなたもお茶?」

 

リアスが尋ねると、木場が廊下の先を指さした。

 

「いえ、魔女っ子が撮影会をしていると聞いたので。」

 

撮影会?

魔女っ子?

およそ学園生活に似つかわしくない単語の羅列に全員がポカンとなった。

さすがに気なってきてみればこの有様。先頭にいるイッセーとダイスケは思わず顔をしかめる。

 

「おいおい、なんでうちの学校内にこんなにカメラ小僧がいるんだよ。」

 

「まるで夏と冬の祭りの風景みたいだな……。」

 

カメラを持った男どもの熱気で、気のせいかこの廊下の一角だけ湿度が高いような気がする。下手したら上空に熱気で雲ができているのではないだろうか。晴海時代のように。

人が気をかき分けた先に、イッセーとダイスケにとって見覚えのある格好が飛び込んでくる。

深夜に放送しているアニメ『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』の主人公のコスプレをしている美少女だ。

彼らが普段見ているのはイッセーのお得意様、心は乙女、肉体は世紀末覇王のミルたんのコスプレ姿だった。

いつもは鍛え上げられた圧倒的密度の筋肉美を彩る薬味にしか見えなかったその衣装も、美少女が着ることでここまで印象が違ってくるものなのかとダイスケは思う。

カメラ小僧となった生徒たちに囲まれ、要求を受けるままに次々とポーズを変えていくコスプレ魔女っ子。

その度にフリフリのスカートが翻り、ダイスケにとって前人未到の白い聖域が見え隠れ。思わず目をそらすが、気になってまたチラ見してしまう。

人垣をくぐり抜けてきたリアスがイッセーの隣に到着。

 

「イッセー、どうな……ブッ!!」

 

普段のリアスからは想像も出来ないリアクション。

その様子を見たイッセーは驚きを隠せない。

 

「おうおうおう!天下の往来で撮影会たぁ、いい度胸じゃあねえか!!」

 

狼狽するリアスをよそに、匙が生徒会役員としての責務を果たすべくやってくる。

 

「今日は中等部から授業見学に来ている生徒もいるんだ!ほら、公開授業の迷惑になるから散った散った!!」

 

他の生徒会員にも促され、カメラ小僧たちが解散していく。

イッセーが匙の仕事っぷりに関しているうちに、いつの間にやらその場にはオカ研メンバーと匙たち生徒会員、そして件の魔女っ子が残される。

 

「はい、あんたもとっとと帰る……ってもしかして父兄の人?それにしてもTPOを弁えてくださいよ。勝手に学園内をコスプレ会場にされたら困りますよ。」

 

「えー、だってだって、これが私の正装なんだもん☆」

 

匙の注意にもコスプレ少女は可愛らしいポーズで聞く耳持たず。その聞き分けのなさに匙も苛立つ。

すると、匙はその場にいるリアスの存在に気づく。

 

「あ、リアス先輩。ちょうど良かった。只今魔王様と先輩のお父上様に学園のご案内をさせていただいていたところでして。」

 

匙が振り返った先には、ソーナに先導されたそれらしき赤髪の男性2名。

 

「どうしました?サジ、問題は迅速に解決なさいといつも……。」

 

ソーナの視線がふとコスプレ魔女っ子に行ったとき、言葉が止まる。

その表情は、まるでインキーしたと知った某ディレクターのように口をあんぐりとあけたものになった。

 

「わーい☆ソーナちゃんみーつけた☆」

 

周りを気にせずにソーナに抱きつくコスプレミルキー。

 

「あれ?なんか似てね……?」

 

イッセーの言う通り、二人の顔立ちはよく似ていた。

片方は厳格な顔立ちで、もう片方は快活そうなので一瞬わかりにくいが確かに似ているとダイスケも思った。

そこへいつの間にやらそばに来ていたサーゼクスがミルキーに声をかけた。

 

「やあ、セラフォルー。君も来ていたのか。」

 

「うん!妹のためならいつでもどこでも駆けつけるよサーゼクスちゃん☆」

 

……はい?

一瞬、ダイスケ、イッセー、匙の思考がシンクロした。

サーゼクスにタメ口+魔王の妹であるソーナが妹の公式から出る答えは唯一つ。

だが、心のどこかで「そんなわけない」と思っている。

だって、おかしいもの。

コスプレ少女じゃん。

威厳もクソもないよ?

そう思う三人に、リアスは残酷な現実を告げる。

 

「……信じられないでしょうけど、このお方がソーナの姉君、そして魔王のお一人でいらっしゃるセラフォルー・レヴィアタン様よ。」

 

「「「……え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!???」」」

 

三人の絶叫が廊下に木霊する。

なにせ、三人の予想とは全くかけ離れていた、というか予想の斜め上すぎた姿だったのだ。無理もない。

女の魔王といえば、一般的なイメージならフェロモン漂う官能的かつ妖艶な美女を思い描くだろう。

だが、現実はコスプレ美少女。

確かに美人であることには変わらないが、イメージとのギャップがありすぎる。もうちょっと大衆の持つイメージも大切にして欲しいものだ。

 

「……セラフォルー様、お久しゅうございます。」

 

「あーリアスちゃん☆おっひさー☆元気にしてた?」

 

可愛らしい声で返事をするセラフォルー。やはり、このキャラのままでいくのか。

 

「は、はい。おかげさまで。今日はソーナの授業参観に?」

 

困惑しながらも答えるリアスだが、当の本人はそんなこと気にもとめない。

 

「うん☆でもね、ソーナちゃんったらひどいのよ?今日の事ずーと黙ってたんだから!お姉ちゃん、ショックのあまりに天界あたりにでも攻め込もうとしちゃったんだから☆」

 

「いや、そりゃ黙ってるだろ。こんな姉が相手じゃ……。」

 

「ダイスケ、シッ!!」

 

ダイスケの言葉は正論だが、個人的理由で天界に喧嘩を売ろうという人物が相手だ。リアスがすぐさま口止めする。

 

「ん?そこの彼、なんか言った?」

 

「いえ、なにも!!!」

 

慌ててフォローを入れるリアス。こんなところでシスコン発揮された上で戦闘でもおっぱじめようものならたまったものではない。

 

「ゴホン!……イッセー、新人悪魔なのだからご挨拶なさい。」

 

そのリアスの言葉で放心状態から回復したイッセーは慌てて自己紹介をする。

 

「は、はい!お初にお目にかかります!リアス・グレモリー様の兵士をさせていただいています、兵藤一誠です!よろしくお願いします!!」

 

「はじめまして☆私、魔王のセラフォルー・レヴィアタンです☆気軽に『レヴィアたん』って呼んでね☆」

 

(い、言えねぇぇぇぇえええええ!!!!言えるわけねぇぇぇぇえええええ!!!)

 

イッセー心の叫びである。

 

「ねぇねぇ、サーゼクスちゃん。ひょっとして彼が噂のドライグちゃん?」

 

「そう、彼が赤龍帝を宿す者、兵藤一誠君だ。そして、その隣にいる彼が……。」

 

「ああ、今上級悪魔の上役さんたちの頭痛の原因さん?」

 

セラフォルー自身に悪気はないのだろうが、その言葉がダイスケの胸に刺さる。

 

「あ、あの、サーゼクスさん。俺、そんな問題になっているんですか?」

 

「ああ、君にとっては身に覚えがなことだろうけどね。」

 

苦笑いするサーゼクスだが、正直笑えない。

下手したら悪魔勢力全体がダイスケの敵になりうるかもしれないのだから。

 

「だが、安心したまえ。少なくとも私が魔王の座にいる内は、君を全力で守らせてもらう。」

 

不安に思っていたダイスケだが、サーゼクスは真剣な顔でハッキリとそう言った。

 

「……不束者ですが、どうかよろしくお願いします。」

 

「ダイスケ、それじゃプロポーズを受け取ったみたいだろ。ですけど、サーゼクス様。ダイスケの立場ってそんなに危ういものなんですか?」

 

イッセーがサーゼクスに問うと、少し苦々しい顔をする。

 

「ああ。と言っても、彼自身が悪いわけではない。ダイスケ君の宿す怪獣王の力を一方的に恐る者が多いのさ。」

 

「そのような理不尽から若人を守るのは我々大人の努めだ。いつでも頼ってくれたまえ。」

 

そう言って身を乗り出してきたのは見覚えのある赤髪のナイスミドル。

 

「「ぶ、部長のお父さん!?」」

 

そういえば、前に会ったのは婚約披露パーティをぶち壊した時。最も迷惑をかけてしまった人の一人だ。

 

「「あ、あ、あの!あの時は本当にすいませんでした!!」」

 

「いやいや、謝ることはない。君達のおかげで私たちは過ちを犯さずに済んだ。礼を言うのはこちらの方さ。」

 

どうやらそこのあたりのことは心配しなくても良さそうだ。二人はほっと胸を撫で下ろす。

だが、そんなわりかし真剣な話をしている横で、しょうもない争いが起きていた。

 

「ねえ、ソーナちゃんどうしたの?お顔が真っ赤ですよ?せっかくのお姉さまとの再会なのだから、もっともっと喜んで☆なんなら「お姉さま!」「ソーたん!」って抱き合いながらの百合ん百合んな展開でもいいのよ、お姉ちゃんは!!」

 

「お、お姉さま。ここは学び舎であり、私はここの生徒会長を任せられているのです。いくらお姉様でもこのような行動と格好は容認できるものではないかと……。」

 

「えー!!ひどい!ひどいわソーナちゃん!あなたにそんなこと言われたらお姉ちゃん悲しい!それに、お姉ちゃんが魔法少女に憧れているって、ソーちゃんも知ってるじゃない!私にリリカルでマジカルな魔法で天使も堕天使も滅殺しちゃうんだから☆」

 

語尾に☆を付けるような内容ではない。

その様子を見ていたイッセーがあることに気づく。

 

「な、なあ、匙。この前コカビエルが襲来してきたときに会長はセラフォルー様を呼ぼうとはしてなかったけど……仲が悪いからってわけじゃないんだな。」

 

「ああ、その逆だ。聞いた話だと、セラフォルー様は妹である会長を溺愛しすぎているから、何しでかすかわかんないってさ。自分の妹が堕天使に殺されるってわかったら、即戦争だよ。あの時はサーゼクス様を呼んで大正解だったんだよ。」

 

「外交担当の魔王がそれでいいのかよ。私情で戦争勃発とか最悪じゃねぇか。」

 

ダイスケの言葉にサーゼクスも苦笑するが、まだまだ姉妹の諍いは止まらない。

そしてついに、ソーナがたまらなくなってきてしまった。

 

「も、もう、耐えられません!!」

 

顔を俯かせて、ソーナはその場から逃走する。

 

「あ!待って!ソーナちゃ「待て。」ぐぇ!」

 

セラフォルーはソーナを追いかけようとするが、ダイスケがその首を即座に掴んで引き止める。

 

「げほっげほっ!な、何するの!?ソーナちゃんを追いかけなきゃならないのに!!」

 

セラフォルーは先ほどまでの表情から一転、真剣な顔つきでダイスケを睨む。

 

「気持ちはわかるけど、今はそっとしておいてあげなさいよ。そんなんだから避けられるんだって。」

 

「避けられてないもん!!」

 

「どう見たって避けられてるだろ。過度なスキンシップは距離を離すだけだぞ。」

 

ダイスケのその言葉でリアスは一瞬ビクッとなる。

 

「い、イッセー?ひょっとして、私の今までのスキンシップは迷惑だったかしら……?」

 

「いえ!!常に感謝感激の極みです!!!」

 

イッセーの間髪いれない答えに、ホッと胸をなでおろすリアスだが、ダイスケとセラフォルーの争いはヒートアップし続ける。

 

「君には私がどれだけソーちゃんのことを愛しているのかわからないわよ!!私たちのことを知りもしないくせに!!」

 

「ああ、知らないね!!だけど、会長のことも考えろよ!?思春期なら誰だって知り合いの目の前で家族に抱きつかれたくないわ!!大体、その格好なんだよ?それで魔法少女になったつもりか?俺から言わせればまだまだだね!!」

 

「はぁぁぁあああ!?君が、私の魔法少女道を語るの!?魔法少女のまの字も知らなさそうなのに!?」

 

方向性がおかしくなってきているが、頭に血が行っている二人が気がつくはずもない。そのままさらにヒートアップしていく。

 

「俺の知り合いに見た目は世紀末覇王の魔法少女がいるけどな、あっちの方がよっぽどお前より魔法少女になんたるかがわかってたわ!!」

 

「な、なんですって!?なんでそんな世紀末覇王より私の方が下なのよ!?」

 

ああ、ミルたんのことか、とイッセーは思い当たる。

だが、あの筋肉ダルマといっていいあの人物にセラフォルー以上の魔法少女らしさがあっただろうか?精々その衣装と言動だけだ。

 

「教えてやるよ。あんたのそのスカートだ!」

 

「なっ!このフリフリのスカートのどこがいけないって言うのよ!」

 

セラフォルーの言う通り、ひらひらのスカートのどこがいけないのだろうか、とイッセーは思う。

むしろ、ミルたんの方にこそスカートを履くのをやめてほしいくらいである。

 

「あんたのそのスカートなぁ……動くたびに、その……中が見えちゃうんだよ!!そして魔法少女は……絶対にパンチラはしない!!!」

 

その一言で、まるでマンガのように『ガーン!!』とショックを受けるセラフォルー。

言われてみれば、魔法少女アニメは低学年の女の子が観るもの。思いつくどの作品も、そこのあたりを意識してパンチラシーンは作られていないはずだ。

そして、あのミルたんもイッセーの記憶の限りでは一度もパンチラをしたことがなかった。……されても困るが。

 

「そ、そんな……!そんな大事なことに気付けなかった私って……。これじゃあ、ソーナちゃんに合わす顔がないわ……。」

 

だったら、そこ格好をやめろよと言いたいが後が怖いので誰も言えない。

 

「いや……それに気付けたんなら、それだけで上等さ……。」

 

崩れ落ちるセラフォルーの肩に手を置くダイスケ。

なんで、こんないい話風に持っていこうとするのか、当事者を除くその場にいた全員が思ったが雰囲気的に誰も指摘できない。

 

「ほら、このメモにそのミルたんの住所が書いてあるからいろいろ教えてもらいに行ってきな。会長とも、時間を空けてから会ったほうがいい。」

 

スッと手渡されたメモ書きを見て、セラフォルーの表情は明るくなる。

 

「ありがとう!私行ってくる!!」

 

言うが早いか、すぐさまセラフォルーはその場から立ち去った。

 

「ふう……これで面倒なのはいなくなったな。匙、会長のところに行ってフォローしてやってくれ。」

 

「お前、まさかこのためにセラフォルー様に喧嘩売ったのか……?」

 

あたぼうよ、と答えるダイスケにイッセーは驚愕する。

下手したら、魔王の一柱を相手に大立ち回りしなければならなかったのだ。よくもここまで持ち込んだものだ、と感心せざるおえない。

そして、匙はチラリとサーゼクスを見る。

すると、サーゼクスは頷いた。

 

「行ってあげなさい。自らの主のために。」

 

その一言を受け、匙はサーゼクスとリアスのリアスの父に深く一礼し、ソーナの後を追っていった。

 

「しかし、よくもあそこまでうまく彼女とソーナ君を引き離せたね。下手をしたら、この場で彼女と即戦闘だよ?」

 

関心したかのようにサーゼクスが言う。

 

「まあ、最悪ぶん殴ってでも止めましたよ。」

 

「それだけはやめて頂戴……!」

 

リアスが切羽詰った顔でダイスケに懇願する。

 

「リーアたん。お前も中々大変そうだね。」

 

「お兄様!?」

 

イッセーはこの時わかった。

ああ、魔王ってみんな変わった人ばかりなんだな、と。




ということで、前回言ってた主人公の報復はちょっと持ち越しです。
感想ではヒロイン候補によく押されているセラフォルー初登場でしたが、下手したらミルたんとくっつくかも……。
それだはまた次回!!いつになるかはわかりません!!
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