ハイスクールD×G 作:オンタイセウ
感想のほうにあったモスラ云々のトコについては後々に書いていく予定です。
あぁ、どうしよう……。
「おい、イッセー……。彼女が出来たってどういうことだゴラァ!!」
「これは……夢だ。よりにもよってイッセーに出し抜かれるなんて……。宝田氏、俺の顔を一発殴ってみてくれ。」
「おう。」
ボゲシッ!!とかなり痛そうな打撃音がする。
「痛ッてェェェェェ!!!夢じゃねェェェェェ!!!!つーか、やりすぎだ!!」
「殴れって言ったの元浜じゃん。」
「ははは!まあ、紹介するよ。天野夕麻ちゃんだ。」
「はじめまして。天野夕麻です!皆さん、イッセー君の彼女としてよろしくお願いします!」
なんとも爽やかな感じのする美少女である。
そして本人の口から「彼女」という単語が出てきた以上信じる他ない。この美少女は正真正銘イッセーの彼女なのだ。
その悲しい現実に、松田と元浜の二人は絶望を感じずにはいられない。
だが宝田の反応は違った。
「ふーむ……。俺は宝田大助。イッセーのダチだ。ところでさ、天野さんはどうしてイッセーの事を好きになったの?そこ聞きたいな。」
「えっ……、理由ですか?」
「そう。俺らってさ、ほかの学校の奴らにも知られているくらいのエロ馬鹿カルテットなんだよ。その一角の一人に惚れるって、どういう事なのかなっていう個人的な興味。」
「え、えぇ……。」
「おいおい、夕麻ちゃんの気持ちを疑うのか?」
当のイッセーは宝田の疑惑をいぶかしむ。他人の自分への好意を否定されたのだから尚更だ。
「いや、だから単なる興味だって。で、どうなの?天野さん。」
「実は……一目惚れだったんです。街中でたまたま見かけて、それで、どんな人なんだろうってどんどん気になって。」
「……なるほど、そういうことか。いや、変なこと聞いて悪かったね。こいつ結構なバカだけど、いい奴には間違いないんだ。イッセーのことよろしく頼むよ。」
「はい、こちらこそ!じゃあイッセー君、わたしは学校に行くから。明日のデート、忘れないでね。」
「うん、じゃあ。」
そう言って天野夕麻はイッセーたちと別れた。
「と、いうことなんだ。これからお前らとの付き合い悪なるかもだけど、そんときゃごめんな!!なっはっはっはっは!!!」
いかにもな勝者の余裕をイッセーは振りまく。それに対して松田と元浜は「チキショォォォォォ!!!」と悔しがる他ない。
「まあ、松田と元浜はこの様子だけどさ、俺は素直に祝福させてもらうよ。喧嘩とかするんじゃあないぞ?」
「大助……。さっきは何言ってるんだろうって思ったけど、やっぱありがとうな。」
先ほどの疑惑も晴れ、イッセーの心はこれまでにないくらいに喜びで満ち溢れていた。
エロくてバカだとわかっていつつもここまで育ててくれた両親。
最高に可愛い彼女。
そして目の前にいる悪友たち。
こんな人たちに囲まれている自分はなんて幸せなのだろうと、彼は人生で初めて心の奥底からそう思った。
「いやぁ、しかしほんとに可愛かったな。天野さん。」
「そうだよな!大助もそう思ってくれるか!!俺は嬉しいよ!」
「ああ、そうだよな……。」
まるで人間じゃあないみたいに……と心の中で大助は続けた。
*
二日後、状況が変わった。
イッセーが「天野夕麻ちゃんのこと覚えていないか!?」と登校中の松田・元浜・宝田に聞いてきたのだ。
自分の彼女のことを覚えていないかと聞くとは誠に異なことである。
「は?だれだそれ。元浜、知ってるか?」
「俺はそんな人間知らんぞ松田。宝田、お前はどうだ?」
「え?……あぁ、俺も知らないな。」
「な、何言ってるんだよ!!昨日、俺の彼女だって紹介しただろ!?大助だって、祝福してくれたじゃあないか!!!」
その一言を聞いて三人は一度顔を見合わせ「ダハハハハ!!」と嗤う。
「お、お前に彼女!?おいおい、今日はエイプリルフールじゃあないぞ!!」
「な、なんだよ!!松田だって昨日悔しがってただろ!!」
「どうせ、日頃のエロ妄想が生んだ幻覚か白昼夢でも見てたんだろ。」
「も、元浜まで……。で、でも実際、携帯のアドレスだって……あれ、無い!?」
まさかと思った。
会ったその日に交換したはずの携帯の電話番号も、メールアドレスも携帯の電話帳から消えていた。
動揺するイッセーに宝田が話しかける。
「まあまあ、順を追って考えようぜ。イッセー、お前はこの間その彼女とやらを俺たちに紹介してくれたんだよな?それは何時ぐらいだ?」
「今と大体同じくらいの時間だった……はず。」
「よし。それでその後は普通に学校に行って、俺らと一緒に過ごしてたよな。」
「ああ、間違いない。」
「ふむ。で、昨日は祝日で学校は休み。イッセーは昨日なにしてた?」
「その、夕麻ちゃんとデートを……。」
「で、その後は。」
するとイッセーは頭を抱え始める。
「あ、あれ?たしか、いろんな所を夕麻ちゃんと回って、公園で……ダメだ、なんか記憶がフワフワしてる。」
何故だろう。間違いなく自分には天野夕麻とのデートの記憶があるはずだった。
であるのに、まるで靄が掛かったのようにその記憶が見えなくなっていく。
「おいおい、イッセー大丈夫か?」
「ごめん、大助。何か自分でも夢だったんじゃないかって思えてきた……。」
やはり自分の頭がおかしくなっていたのか。そう思ってしまいイッセーの気力はみるみる落ちていく。
「まあまあ、イッセーも彼女ができないストレスで幻覚でも見てたんだろう。疲れてたんだよ、心が。」
「松田……。」
「それでは放課後にウチに集まって、秘蔵でーぶいでーの鑑賞会でもするか!兵藤の励ましも含めて。」
「元浜……。」
確かに不可解なことだらけだ。しかし、自分の心をいたわってくれる悪友二人の優しさが、今のイッセーには嬉しかった。
「俺、元浜の秘蔵でーぶいでーより『ゴジラVSメカゴジラ』のDVD見たいんだけど。」
「……大助、お前の特撮好きはホントにブレないな。」
そしてもう一人の親友の空気の読まなさっぷりにも、ある意味感動していた。
「でも、メカゴジラだったら俺は『メカゴジラの逆襲』がいい!!」
「おお、イッセー。それは俺もだ!!」
「松田氏。それはサイボーグ手術シーンのおっぱいが見たいということかな?俺もだ!!」
だははは!!とイッセー・松田・元浜の三人は笑う。
色々あったが、とりあえず今日一日は乗り切れそうだ、とイッセーは思う。
解らない事だらけではあるが、この悪友たちのお陰で天野夕麻の事も振り切れそうだ。
しかし、そこへ宝田が水を差す。
「盛り上がってるとこ悪いけど、あれは作り物だぞ。」
「「「ヴェ、マジで!!??」」」
……聞かなきゃよかった。
*
おかしい。
兵藤一誠は戸惑う。
体が非常にだるい。
日光を浴びるとクラクラする。
普段であれば考えられない事だった。
放課後、元浜の家に四人で集まって件の秘蔵でーぶいでーを鑑賞していたが、その時にも異変を感じていた。
普段、この手のでーぶいでーを観賞するときは雰囲気を出すために室内を暗くしている。
であるはずなのに、まるで電気を点けているかのように明るく見える。
お陰で肝心のでーぶいでーの内容はちっとも頭に入らない。その為、三人を置いて早々に切り上げてしまった。
「おかしい、昼間よりも元気になってきてる……。昼夜逆転したみたいだ。」
昼間感じていた気だるさはもう無い。その代わり、不気味に思えてくるくらい活力が湧いてくる。
すると不意に、子供の声が聞こえてくる。辺りを見回しても子供らしき影はない。
「ちょっと待て、あんな遠くの声が聞こえているのか……?」
見れば500m以上先にひと組の親子連れがいる。その声が聞こえていたのだ。本来、聞こえるような距離ではないのは誰の目から見ても明らかだった。
「何なんだよ……。俺、何がどうなっているんだよ……!」
例の天野夕麻の件といい、この二日間だけで不可解なことが多すぎる。
そう思い悩むうちに、いつの間にか昨日来ていたはずの公園に着いていた。
何を思ったわけではないが、中央の噴水へと足を進める。
「そうだ。俺、ここで夕麻ちゃんと……。」
―死んでくれない?―
ズキン、と頭が痛む。
「なんだよ、今の頭に響いた声。もしかして、夕麻ちゃんの?」
何かを思い出しそうになる。
まるで自分で押し込めてしまったかのような記憶。
すると不意に、背筋がゾッとする感覚に襲われる。まるで蛇に睨まれた蛙の気持ちになったかのような、そんな気分だった。
「これは数奇なものだ。このような所で、お前のような存在に出会うとは……。」
黒いソフト帽にトレンチコートの男が現れる。
間違いない。イッセーの体と本能は、この男に得体に知れない恐怖を感じている。
「……フン。」
今までで感じたことのない、一昨日女子たちから放たれたものとは比べ物にならない殺気。
心臓を素手で掴まれたか、はたまた尻の穴にツララを突っ込まれたかのような恐怖。
今まで体験したことのないその感覚に、思わずイッセーは後ずさる。すると、
「え?うわっ!」
ほんの数歩後ずさっただけのはずだった。それなのにイッセーの身体は跳躍し、5m以上も後ろにジャンプしている。
「……なんだ、逃げ腰か。」
つまらなそうに男は言う。
「クッソ、訳分かんねぇつうの!!」
たまらず走り出す。
訳がわからないことは確かだが、イッセーは己のカンに従い逃げ出した。
「黒い、羽根?」
走るイッセーの眼前に、黒い羽根が数枚舞い落ちる。
するとどうだろう、強い風が巻いたかと思ったら、目の前にあの男がいる。それも、背中に黒い翼を生やして。
「うわ!」
驚いてしまったせいで頓き、尻餅をついてしまう。
「下級の存在はこれだから困る。主の気配も仲間の気配もない。消える素振りも見せず、魔法陣も展開しない。……お前は“はぐれ”か」
男は意を決したように俯き、手を横にかざす。
そしてその手には、“光でできた槍”が生まれた。
「ならばお前を消しても問題はあるまいて。」
(なんだよおい、こんな目に遭うんだったらこんなおっさんより、美少女相手の方がマシだぜ!!)
そう思いイッセーは再び逃げ出す。
だがその刹那、腹部に猛烈な痛みが襲う。あの男の投擲した光の槍が、背中から腹部へ突き刺さっているのだ。
だた刺されているのとは違う。毒を流し込まれているかのような猛烈な痛みが全身に行き渡り、体に力も入らなくなってしまっている。
「仕方あるまい、“光”はお前たちにとっては猛毒。止めを刺したかと思ったが……意外と丈夫にできているのだな、お前は。」
その言葉と同時に突き刺さった光の槍は消える。しかし、突き刺さっていたものが無くなったせいで出血と痛みは更に酷くなる。
「このままでは苦しかろう。ひと思いに……楽にしてやる。」
再び光の槍を振りかざす男。
しかし、それを邪魔するかの如く、男の足元に青白い光弾が着弾する。
「な、何!?」
突如自分を襲ったパワー。小さな炸裂であったが、自然とそれに畏怖してしまっている男。すると、その力を発したであろうものが現れた。
「まったく、様子がおかしいと思って跡を付けて来てみれば……ずいぶんとヘビーな状況になってるな、イッセー。」
「だ……大助!?」
そこにいたのは紛れもない兵藤一誠の親友、宝田大助だった。
「このはぐれの仲間か?ならばまとめて……!」
「大助来るな!コイツはおかしいんだ、お前までヤられちまう!」
訝しむ男と、制しようとするイッセー。両者の思惑を読み取った宝田は不敵に笑った。
「安心しろイッセー。お前は、俺が助ける。」
宝田は右手を構える。しかし、普通ではない。爬虫類を思わせるような黒いガントレットが付いている。
「大助、お前……その右腕。」
イッセーは目の前で起きたことが信じられなかった。
「ああ、なんか最近こんな風になった。」
おどける余裕さえ見せる宝田に、イッセーは自分が今瀕死の重傷を負っていることも忘れかけていた。
「ハッ、虚仮威しがッ!!」
男は再び光の槍を構えると、目の前の謎の存在に投擲する。
「ヤバイ、逃げろ!!」
腕の形が変化した親友に驚きつつも、光の槍の威力も知っているイッセーである。思わず叫んでいた。しかし、
「フンッ。」
右手で軽くいなしてしまう。
「ば、馬鹿な!」
自慢の武器を軽々といなされた。それどころか寄ってくる蝿を払うかの扱いをされた。当然の如く激昂する。足元のイッセーの存在も忘れる程に。
すると宝田は爆発的な突進で黒翼の男に突っ込む。それを寸ででよける黒翼の男。
しかし、宝田の狙いは突進による攻撃ではない。そのままイッセーを引きずり離れ、距離を取る。
「!?しまった!」
全く予想外の行動に動揺する男。先ほどの怒りとあいまって、更に出し抜かれた口惜しさからイッセーと鉢合わせした時の余裕はすでに消えていた。
「っ痛ぇぇぇ!!」
引きずり出された衝撃からおもわず呻くイッセー。
「悪い、悪い。あいつから引き離すのが最優先だったからさ。」
「い、いや、それはいいけど、どうすんだよ?」
傷のこともある。どうにかしてこの状況を打破しなければならいのは確かだ。
「お前の傷のこともあるからな。とりあえず「そこまでよ!!」
不意に女の声がした。
すると空中に浮く自分たちの先輩、リアス・グレモリーがいた。ほかにも数名の仲間と思わしき人物もいる。
「貴様、その赤い髪……。グレモリー家の跡取りか。」
「そう、次期グレモリー家当主、リアス・グレモリーよ。ここは私の管轄地。そしてあなたが殺そうとしたその子は私の眷属。つまりどういうことかわかるわよね?堕ちた天使さん。」
「なるほど、それならば確かに私のほうに非があるな。しかし、下僕の放し飼いはせんことだ。散歩がてらににうっかり……ということもありうるぞ?」
「ご忠告ありがとう。でも、もしそんなことがあれば今度は全力で叩き潰すのでそのつもりで。」
「その前に俺が叩き潰してやんよ、クレイジーハードボイルドマン。つーか、俺のこと忘れて話進めるんじゃねえよ。イッセー助けたのは俺だぞ、先輩。」
いつの間にか蚊帳の外に出された宝田は、思わず自分の先輩に突っかかる。
「あら、ごめんなさい。でもありがとう、この子を助けてくれて。」
にっこりと宝田に向かって微笑む。
「……ダチなんだから当然だよ。」
恥ずかしそうに俯く宝田。この男、女子からの好意的な言葉には慣れていないのだ。
「それでは私はここで失礼させてもらう。我が名はドーナシーク。再びあいまみえないことを願う。」
その言葉とともに、黒翼の男ドーナシークは消え去った。
宝田は手にしているイッセーを見る。痛みとストレスで気絶しているようだった。
「とりあえずなんとかなった、って感じですかね。グレモリー先輩。」
「ええ、でもその子が危険な状態にあるのは変わらないわ。」
すると白髪ショートカットの小柄な少女がイッセーの体を診る。
「……このままだと死にます、部長。」
「そんなことさせない。この子は絶対助けてみせる。」
リアス・グレモリーは固い決意を持った目でイッセーを抱きしめる。
「二年の宝田大助君だったわね。」
「……はい。」
「この子を私に預けて。必ず助けるから。私はその方法を知っている。」
宝田はリアス・グレモリーの目を見る。確かな決意を感じさせる瞳をしていた。
「わかりました。先輩を信じます。イッセーのこと、よろしくお願いします。どうかこいつを助けてやってください。」
本来なら救急車なりを呼ぶべきなのだろう。しかし今回の状況は普通じゃあない。ならば事情に詳しいらしい彼女に任せるのが正解だと思ったのだ。
そして宝田はリアス・グレモリーに深く、頭を下げた。
「意外ね。あなたの学校内の評判だと、違う反応を見せそうなのだけど。」
「テメェのイメージ云々より、ダチの命の方が何倍も大事です。」
「……わかったわ。この子の事は私に任せて。明日詳しい話をしたいから、あなたを呼ぶわ。その時は迎えが来るからよろしくね。それじゃあ。」
そう言って、リアス・グレモリーとその仲間たちは魔法陣の彼方へ消えてゆく。
宝田だけが、その場に取り残された。
「この右手のことも、明日になったら何かわかるのかなぁ……」
*
翌朝、駒王学園に激震が走った。
「おい、見ろ!!」
「そ、そんな馬鹿な……。」
「ありえない!!」
『あのリアス・グレモリーとあの兵藤一誠が同伴登校!!!!????』
「いや、ほんとどういうことなの……。」
そう呟かずにはいられない宝田であった。
ほんとにチラッとしか出てきませんでしたね。主人公の能力。
正直なところを言うと、本格的な主人公の活躍は月光校庭のエクスカリバーあたりです。
それまでどうか見捨てないでください!!
それだはまた次回!!いつになるかはわかりません!!