ドラゴンの歴史は時の開闢にまで遡りますが、その真実は伝説の彼方へと消え去っています。以下の内容はコーヴェアの歴史研究家の認識となります。
虚無の中に強力な3体のドラゴンの闘争から世界は生まれました。全ての魔法の根源たる黄金のシベイ、生命の根源たる誠実なるエベロン、秘せる知識の根源たる冷酷なるカイバーの3体の創造竜達の闘争です。この闘争の中で漏れ出した力から宇宙が形成されました。
当初創造竜達は協調して行動し、まず13の次元界を構築しました。この中で闇たるカイバーはより貪欲になり、高貴なるシベイは強硬に反発していくようになります。結果この世界創造の中でもより自分自身の影響力を増そうと活動していきます。ダンビー、フェルニカ、イリアンにはシベイの印が刻まれます。キスーリ、マバール、ゾリアットにはカイバーの印が刻まれます。エベロンはどちらにも加担しませんでしたが、2人の断絶の橋渡しをすることもできませんでした。
創造の最終段階である中心世界(いわゆる物質界)の創造に際して2人の対立は決定的なものとなります。
カイバーはシベリスを切り裂き致命傷を与え、その黄金の鱗は空に撒き散らされます。エベロンはカイバーが次に攻撃を受けることが自分であることを知っていました。しかし、優しきエベロンはそれでも姉妹と争うことを良しとせず、自らの肉体でカイバーを包み込むことを選択しました。これによりエベロンは狭間なるドラゴンとして大地となり樹木や生物を生み出します。カイバーは地下へと封印され地下なる竜となり、シベイは世界を覆うリングとなり、その鱗は星となったと言われています。
創造の戦いが終わり世界に生命が生まれます。シベイはその身を失いましたが、その血に宿る力は世界に留まり魔力の精髄としてエベロンに降り注ぎます。そして魔力と生命が結びつくことで創造の力を宿した生命が生み出されます。これがドラゴンです。その力が集って生まれた雲からシルバードラゴンが生まれました。その雲から高峰に雪が振りホワイトドラゴンが生まれました。このようにして全てのドラゴンが生まれました。かくしてドラゴンはシベリスの誇りと力、そしてエベロンの生命の力を授かったのです。
更に巨人など現在にも残る種族の原型となる生物が生まれていきます。この時代にドラゴンと相対できる存在はサウロナ大陸に住まう翼ある蛇コアトルぐらいでした。ドラゴンは力あるとは言え定命の存在であり生死のサイクルを回しながら力をつけていきました。コアトルは不死の存在で伝説によればシベイの血より直接生まれた存在であると言われています。
しかし、ドラゴンが絶対無二の覇者である時代は長くは続きませんでした。
地下に封じられたカイバーよりラクシャーサや異形、オーバーロード達が現れ地上へと侵攻を始めたのです。この組織的な攻勢に対して個々として生きてきたドラゴンには成すすべもなくフィーンドによる悪夢のような帝国が数百年から数千年続いたと言われています。この時代誇り高きドラゴンはオーバーロード達に隷属し搾取される存在となっていたのです。これに終わりを告げるのはコアトルのヘザリパとブルードラゴンのオウレナロナスティクス/Ourelonastrixが龍の予言を見つけるその時まで続きます。彼らはこれをエベロンとシベイの叡智であると考え、ここから現実の情報が読み取れることに気が付きます。このことからオーバーロードの弱点を見つけ出したドラゴンとコアトルの連合軍は反旗を翻し数千年に渡る戦争が始まります。
この時ドラゴン達は長老を中心に戦略を立てる組織としてコンクラーヴェ/Conclaveが生まれます。現在でもコンクラーヴェは残っており、グレートワームクラスのドラゴンが複数所属しドラゴン全体の活動を指揮しています。このコンクラーヴェでは議論の末には投票により行動を決定します。
コンクラーヴェの下位組織にクロネプシスの瞳/the Eyes of Chronepsisがあります。瞳は全ドラゴンやロードオブダストを監視下に置きアルゴンネッセンや竜の予言に影響を及ぼすような存在を見つけ出し排除することを目的としています。
オーバーロードを撃破できるようになった結果、それらが本当に不死であり殺すことはできても滅ぼすことのできないことが判明します。そして生半可な呪文では彼らを封印することすらできないのです。
そんな中コアトルのヘアリパ/Hezcalipaはオーバーロードの対策を丹念に調べていきます。この結果オーバーロードの対処法こそ見つかるもののコアトルという種族の存続をかけたものでした。にも関わらずヘアリパを中心にコアトル達はオーバーロードを封印するための準備を勧めていきます。そしてコアトルを不死たらしめている魂を純粋なエネルギーに変換しオーバーロードを封じる枷としたのです。これにより多大な犠牲を払いながらもドラゴン達はオーバーロードに勝利したのです。
このデーモンの時代に最も恐れられていたオーバーロードにティアマト/Tiamatがいます。彼女はカイバーの娘と呼ばれています。彼女の力はドラゴンの中に残されたカイバーの汚染された力を呼び起こします。この力は色彩竜により顕著に効果を及ぼしますが金属竜にも影響を及ぼします。現在の彼女はコアトルによりアルゴンネッセンの地下に封印されています。しかし、この封印には綻びが見られており、彼女の信徒である教団ティアマトの鉤爪が更にこの綻びを広げようと暗躍しています。そして竜の予言にも彼女復活の兆しが見られています。唯一の救いはこのティアマトが神格そのものではないということぐらいかもしれません。
デーモンとの戦争が終わった際にはドラゴン達は傷つき滅びの瀬戸際にまで追い込まれていました。このためドラゴン達はまず傷を癒やしていくことを目指しアルゴンネッセンに聖域を形成し初期のドラゴン議会を形成していきます。ドラゴン達はデーモンと相対するために組織化され、戦争前よりも魔法への理解を深めていたのが不幸中よ幸いと言えるでしょう。この雌伏の時は一万年程続いたと言われています。
そして約六万年前、ドラゴン達は他の大陸への再進出をはかります。そして下級種族の研究がてらに各大陸に文明を起こします。コーヴェアのゴブリンやドワーフ、ゼンドリックのタイタンやジャイアント、サローナのシフターといった形です。
中にはオウレロナスティクスもおり、これらの文明の発展を助けるために魔法の秘密を提供しました。
しかし、この文明の育成は多くのドラゴンにとってゲームあるいは競技と見なされます。結果的に友情での繋がりがライバルとなり、それは深刻な対立へと繋がっていきます。そしてついにドラゴン同士の闘争へと発展し血が流されることになります。
この混乱の背後にはアルゴンネッセンの地下ピット・オブ・ファイブ・ソロウ/The Pit of Five Sorrowsに封じられたティアマトの汚染が広がった結果でした。アルゴンネッセンが滅びかねない状況ながらかろうじてネプロシスの瞳の監視網により汚染されたドラゴンは捕捉されアルゴンネッセン軍であるシベイの光/The Light of Siberysにより汚染されたドラゴン達は討ち滅ぼされます。
コンクラーヴェはアルゴンネッセンの地下にある大空洞に竜の予言に関する資料を集約し予言の研究を進めています。その中でティアマトの力の増大とドラゴンの影響の増大が相互に関係していると考えており、再びドラゴンはアルゴンネッセンの戻るべきだと考えるものもいます。
古代にドラゴンを除いて最も発達した魔法技術を身に着けたのはジャイアント達です。彼らはドラゴンの伝統的な魔法を自ら改造して新たなる魔法の行使法を編み出していきました。そして、ジャイアント達が十分な力を身に着けた時にドラゴンは伝統によりがんじがらめにされており、ジャイアント達は同じ轍を踏まぬよう活動をしていきます。このために古代に滅び去ったジャイアントの帝国、クルサー帝国とエルフのグループはオウレロナスティクスの指導の下、より闇の側面のある鮮血魔法の研究を推進していきます。
そんな中ダルクォーレよりクォーレがエベロンに到来します。彼らは自分達の次元界の崩壊から逃れてきたいわば難民だったのですが、ジャイアント達は侵略者と考え戦端が開かれます。そして最終的にはゼンドリック王の放った極大魔法によりダルクオーレとの接続を断ち切り戦争は集結します。この戦争によりアルゴンネッセンの予言研究家は次元界そのものが揺らいでいると警告していたようですが、コンクラーヴェはこの戦いへの介入は行いませんでした。しかし、この呪文はエベロンの屋台骨自体を揺るがすことになりました。更にこの戦争により奴隷種族であったエルフ達がジャイアントへと反旗を翻します。この対応に苦慮したジャイアント達はダルクオーレに放った魔法を再度行使しようと試みます。前回の呪文の影響が予言にも影響を及ぼしたことを重く見たコンクラーヴェはゼンドリックに対してシベイの光を派兵しゼンドリックに存在した文明とそれを担うジャイアントやエルフなどのクリーチャーを討ち滅ぼし再びジャイアントが危険な魔法を行使できないように呪いをかけます。この災害はドラゴンがジャイアントに魔法を授けなければ教えなかったことは明白です。このためにコンクラーヴェでは、この事件をウレオンの失態/kurash Ourelonastrix—Aureon’s Follyと呼んでいます。この結果ドラゴン達は下位種族への魔法の提供を禁じることになります。
とは言え、ゼンドリックの破壊には相応の時間がかかり、この結果ゼンドリックより逃げ延びた種族もいます。エルフ達の一部はゼンドリックの崩壊から逃れエアレナルに新たなる国家を築きます。エアレナルでは、数千年に及ぶ死霊魔術の研究とアルゴンネッセンの力を利用して創り出された不死宮廷は古代のオーバーロードに比肩するものでした。この不死宮廷の力を軸としてエルフはドラゴンに戦争を仕掛けます。ところがアルゴンネッセンにまで攻め込む力のないエルフは限定的にエアレナル近郊に来たドラゴンと戦闘を行う散発的なものでした。このことからドラゴンは不死宮廷がジャイアントの轍を踏まないかの監視とシベイの光の軍事教練として戦争をしていたと考えられています。これによりエアレナルのウィザードの魔力は研ぎ澄まされ、ヴァラナーエルフの下になったタエダナルの戦闘力は増大しました。
ドラゴンとエルフは交渉の場を設けてはいませんが唯一ヴォルの血統に関する行動のみ共に動いています。ヴォルのエルフとグリーンドラゴンの間でドラゴンハーフが生まれこの血統を滅ぼすためにドラゴンとエルフは同盟を結びましたが、臨時の同盟に過ぎませんでした。
その後ドラゴンは下級種族への知識の伝授を禁忌としてきましたが、ゾリアットの侵攻に際して最初のゲートキーパーに魔法の教えを授けたのは、この禁忌を侵したブラックドラゴン、ヴヴァラークです。彼女はシャドウマーチのオークやリザードマンにドルイド魔法を与えゾリアットを封印する礎を築いたのです。ヴヴァラークの最後は伝わっていませんがヒューマンフォームのまま怒り狂うクロネプシス瞳から逃げ切りヒューマンとしてキュバーラにて死んだとも言われています。
数千年前にドラゴンマークが発見された時ドラゴン達に激震が走ります。竜の予言がドラゴンにではなく人型種族へと発現したのです。過激派はドラゴンマークを討ち滅ぼす事を主張し、コンクラーヴェはエベロンの意思に耳を傾けるべきであると告げ、若いドラゴン達は下級種族へと干渉することで未来に干渉すべきだと主張します。
長い議論の末若いドラゴンの主張は認められチャンバーが設立します。チャンバーはドラゴンマークの変化やロードオブダストの動きを監視するために活動することになります。
参考文献
Dragons of Eberron (3.5)
https://www.dmsguild.com/product/54307/Dragons-of-Eberron-35
クロネプシス/Chronepsis
クロネプシスは世界の創造者と言われるドラゴン、イオの子であり中立を司ると言われる竜神。バハムートやティアマトの兄弟。
ブラックドラゴンでアウトランズに住むと言われている。