【ようじょを】地方防衛スレ(宮城) その88【見張れ】
205:幼女
おっすおっす、私だぞ。今京都にいるんだが
206:名無しの転生者
何でまた? そう言えば親戚が京都方面にいるとか言ってたが、その関係?*1
207:幼女
それもあるが、伏見稲荷の方に来ててな。以前からタマがタマの上司のウカノミタマに絞られてるんだが、その詫びを入れにな*2
208:名無しの転生者
詫び? ヤキじゃなく?
209:名無しの転生者
流石にやらんだろ……やらんよな?
210:幼女
私を何だと思ってんだお前ら
211:名無しの転生者
ようじょ(ヤクザのすがた)
212:名無しの転生者
暴君
213:名無しの転生者
肉体言語(暴力)をコミュニケーション手段だと思ってるようじょ*3
214:幼女
ころちゅ
215:名無しの転生者
まあまあ落ち着け幼女ネキ、事実だろ。でも実際何でさ? 幼女ネキが頭下げに行く理由がよくわからんのだが
216:幼女
いやまあ、伏見稲荷のウカノミタマがウマノミタマというか、稲荷神の元締めみたいな立ち位置らしいんだが、つまりタマの上司であるし、一応稲荷神であるイズナの上司でもあるんだよな*4
まあどっちも私を通さないで干渉はできん様にしているのだが。そのせいか伏見稲荷の……めんどくさいな、以後伏見稲荷と呼ぶが。あっちからすると頭痛の種筆頭らしいんだよな*5
217:名無しの転生者
そら(ようじょの関係者だもの)そうよ
218:名無しの転生者
残当ですね……
219:幼女
ほんと失礼な奴らだなお前ら。まあそんなこんなで、だいぶ前に文を殺しかけた時にキツめに絞られたのちにもちょいちょい苦情が来てたそうなんだ
そんでこないだの多神連合の襲撃、あれでタマがブチきれて暴れてたんでその件も含めてちょっとツラ貸せや、となったわけだ
220:名無しの転生者
まあ幼女ネキもだがタマちゃんもガチ目にキレてたもんなぁ……向こうに非がある事とは言えタマちゃん的には許せることでもないし*6
221:幼女
まあ謝罪する気はないにせよ、一応迷惑かけたようだしと顔出しに来たのが今日の話だな。一応人魚ネキんとこの黄金の林檎を手土産に持参したぞ
流石に写真は撮れんから許せ。流石に実況するわけにもいかんかったからな
222:名無しの転生者
そらそうよ。んで、どうなったん?
223:幼女
うむ、私もタマも襲撃に関しては一切譲る気はないし頭も下げなかったんだが、話を聞くに伏見稲荷、メチャ多忙らしいんだよな
デスマーチしてるロボ部とかショタおじみたいでかわいそうになったから今後控えようと努力はすることにした*7
224:名無しの転生者
まあそりゃお稲荷さんってそこら中にあるもんよ、それが全部分霊として、それらを管理してんだから多忙よね
225:名無しの転生者
そんな中で高位分霊に育ちつつあるタマちゃんが(ようじょ関連で)騒動起こす上、宮城方面はほぼほぼアンタッチャブルな領域だもんな*8
そりゃあタマちゃんとしては幼女ネキに巻き込まれてる被害者とは言え、伏見稲荷としては頭の痛い問題だろうて
226:幼女
実際日本神解放直後ぐらいは本霊とのリンクが回復したのもあって、現実社会で言うと回線パンクしそうにもなってたらしい
ま、タマが文に加護与えて私にぶっ殺されたのその辺らしいからあの時はガチめに絞られたらしいがな!
227:名無しの転生者
伏見稲荷かわいそ……ほんとご愁傷様やね
228:カジオー
そういや幼女ネキ、なんか日本神共の上の方から伏見稲荷がせっつかれてるんじゃなかったっけ?
229:幼女
そう言えばそんな話もあったが知った事ではないな。私は伏見稲荷に申し訳ないと思うから頭を下げに行っただけだ。きちんとアポイントを取った上で手土産も持参してな
向こうが何か言いたいことがあるんなら向こうからアポイントを取ったなら話をしてやらんでもないが
230:名無しの転生者
本音は?
231:幼女
行けたら行く
232:名無しの転生者
ぜってえ行かない奴じゃん
233:幼女
行く理由ないしなあ。別に私は日本神に恩義なんぞないから礼を尽くしてやる道理もないが?*9
234:カジオー
言うと思った。ま、いいんじゃないの? あたしも元を辿ればヨーロッパ系*10だし、日本神に恩義は大してないしね
235:名無しの転生者
等と申しておりますが、同志レン子ニキ
236:レン子
どうして幼女ちゃん関係の人達はこう我が道を行く感じなのかしら……いやまあ、別に日本神や多神連合と敵対的ってわけでもないけど*11
237:幼女
私は別に連中と敵対する意図はないぞ? 向こうが悪魔の論理で結果的に敵対とみなされる行動を取っているだけで
人に関わるのならば人の論理で考えるべきだし、特に日本神はうちらの活躍で復権したのだから向こうが下手に出るべきだ
238:名無しの転生者
じゃあ幼女ネキも悪魔の論理で考えるべき時もあるんじゃない?
239:幼女
うむ、なのでそういう時は拳で語るわけだな。言う事を聞くまで殴ればこちらの要求を呑んでくれる。シンプルでよいな!
240:名無しの転生者
……等と申しておりますが、同志レン子ニキ
241:レン子
幼女ちゃん、胃薬っておいしくないのよ?*12
242:幼女
良薬口に苦しという事だな! あとで医療班に出資して美味しい胃薬を作ってもらうとしよう
探求ネキがアダマントス合金木を美味しく食べられるようにした時の要領なら美味しい胃薬も出来るかもしれん
243:名無しの転生者
レン子ニキが胃薬必要な状況に陥らないように自重しなさいって言ってんのよこっちは!w
244:名無しの転生者
お労しやレン子ニキ上……
245:幼女
だって私悪くないだろ、悪いのは馬鹿やって来る連中が悪いだけで。こっちは(当時は)友達を殺されかけたり、娘やその友達に手を出されかけたりしたから報復しただけだ、被害者だろ*13
だいたい日本神も私に直接アポ取ってこないんだから向こうが悪い。悪路王異界のスサノオだって私に言えって返事してるんだから、話がしたいなら向こうからアクションすべきだ
こっちからは別に用事もないんだからこっちからアポイント取る必要ないしな
246:名無しの転生者
あれ、でも以前アマテラスの悪魔カード買って使うとか言ってなかったっけ? その件とかでも話あんじゃない?
247:幼女
あれは脳缶ニキの全書から買ったデビチル版の奴だし、O.S.用の悪魔カードとして使ってるから別に契約してるわけでもないが?
第一そっから多少なり信仰流れるんだから文句言われる筋合いはないぞ。私はきちんと脳缶ニキにマッカを払って手に入れてるのだし
さっきも言ったが今回伏見稲荷に詫び入れに行ったのは多忙な中負担をかけて申し訳ないと思ったからだぞ
248:名無しの転生者
一応アマテラスとかはその上役だと思うんだけど……
249:幼女
別にあいつが全国の稲荷神を統括してるわけじゃないだろ。タマみたいに豊穣神として現地で動いてるわけでもなし、セツニキんとこのコノハナサクヤみたいに氏子行脚したわけでもなし*14
第一私らが今この世界に転生したのはあいつらが原因なのだし、私が生後すぐに親と引き離され養い親を失うような目に合う事になったのはあいつらが私をこちらの世界線に引き込んだからだろう
恨む筋合いはあれど感謝する筋合いなと塵屑ほどもありはせんぞ。感謝されたいなら感謝される様な事をしろ。タマだってやらかした後はきちんと反省して豊穣神として頑張っているんだぞ?
私の見えんところで何かやってたとしても私に関わりがないなら私が感謝する道理はないのだからな
250:名無しの転生者
いやまあ……そりゃそうなんだけどさぁ……
251:名無しの転生者
これはまた近いうちになんかやらかすでしょこのようじょ
252:名無しの転生者
せめて伏見稲荷に負担がかからない方向でおねがいね?
253:幼女
善処はする。善処は
254:名無しの転生者
善処してくれるだけマシかなぁ……*15
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「――――――じゃからのう、少し行動を手控えてほしいものなのじゃが?」
「そんな事言ったってねえ……言いたいことは分かるし申し訳ないとも思うけど、あたしにリンを制御しろって言われても無理よ?
そりゃあまあ、あいつの嫁の中で唯一子供産んでるってのはあるけど……あいつ基本嫁に序列付けてないし?」
京都、伏見稲荷神社。その祭殿で、狐耳に九つの尾を持った金髪の美女が2人、向かい合って話していた。
上座に座っている方がこの伏見稲荷の主祭神であり、全国六桁に上る稲荷神の総元締め、宇迦之御魂神。
下座に座っている方が宮城県の稲荷神を統括する豊穣神にして黒札・『幼女ネキ』鵺原リンの嫁の1人、愛称をタマ。
タマは宇迦之御魂の部下にあたる下位の分霊であり、一応は宇迦之御魂の統括する稲荷神の1人である。
元々はレベルにして28程の分霊であったが、リンと関わった後に紆余曲折あった末リンの子を産み、その妻の1人となった。
その後からめきめきと実力を伸ばし、今ではレベル60に達する、高位分霊と言って差し支えないレベルの存在へと成長した。
その娘イズナも稲荷神として、聖獣ウカノミタマの分霊としての特性を持ち、黒札の娘というのもあり
しかし。
当のリンが基本的に誰に対しても努力を尊び筋が通らないことを嫌う性格であり、神サイドからの干渉を拒絶し、彼女の論理で無法を働いていると認識されれば即座に報復を行う苛烈な性分を持つ。*17
かつてタマが起こした一件でも、氏子を締め上げタマを襲撃した末、殺傷と蘇生を数度繰り返し、保護者である宮城支部長の説得でようやく矛を収めた。
その際宇迦之御魂直々にタマにお説教をしこってりと絞るという事もありタマ自身も大人しくなったが、リンの性分もあり依然として宇迦之御魂からすればトップクラスの頭痛と胃痛の種である。
更に、タマも高位分霊と言って差し支えないレベルになり、イズナも超一流の高レベル覚醒者となった今でも依然としてその性分は変わらず、日本神からすると非常に魅力的なものの、絶対に手出しのできないアンタッチャブルな領域でもある。*18
その上で、近頃『他神連合の干渉に対し向こうが謝罪をするまで全国の居留地に襲撃をかけ続ける』という報復を行い、報告を受けた宇迦之御魂の胃に穴が開いた。*19
一応申し訳ないとは思っていたらしく今回手土産付きで詫びを入れに来たが、詫びこそ入れたものの報復に関しては『必要な事だった』と頑として譲らず、こうして宇迦之御魂とタマによる会談へともつれこんでいた。
なおリン当人は一応気を遣ったのか席を外し、今はタマの傍らにある別荘の収められた壺洞天の中で昼寝をしているらしい。
「先の多神連合への襲撃事件も、お主自身も率先して暴れていたと聞くが?」
「そりゃそうよ、可愛い娘に手出されようとしてたのよ? その件についてはあたしも譲らないわよ。相手が
日本神敵に回して勝てる自信はないけど……神として以前に、母親として最大限抵抗はするわよ」
「おぬしも変わったのう……」
大げさにため息を吐く宇迦之御魂。タマはウカノミタマの分霊としてはかつてはそこそこ止まりの分霊であり、浅慮で迂闊な所もあるため分霊としても上位の存在ではなかった。
それが子を産み、黒札に見初められて後めきめきと実力を伸ばし、こうして話している今でも、しっかりと神としての威厳を備えたひとかどの存在となっている。
その成長が上司としては嬉しくもあり、日本神としては頭の痛い問題でもあり、宇迦之御魂は内心非常に複雑な心境であった。
「まー、あたしも子持ちになったし、ちょっとは威厳出してかないとね」
「その威厳をもうちょっと
「それがリンとイズナのためになるならね? というか、あたしには決定権ないし……上からせっつかれてるの申し訳ないと思うけどさぁ。
今回、
「いやまあ、手土産までもって頭下げに来たのは妾も驚いたが。恭順する気がないのはもう諦めたがのう、もう少し大人しくならんか……?」
「それが出来たら苦労はしないのよ。あいつガイア連合の親玉にも故あれば噛みつく狂犬よ? きちんと努力すれば評価してくれるだけマシ。*20
祟り神みたいなもんなんだから利用しようと思うだけ無駄だと思うわよ、ほんと申し訳ないけど」
「あの娘本当に人間か?????」「分類学の敗北よね……」*21
頭を抱える宇迦之御魂に、しみじみと頷くタマ。その時、不意に瓢箪の口が開きリンが出てくると、寝ぼけ眼で周囲を見回し、タマを見つけるとその尻尾の中に潜り込んだ。
「……今のは?」
「昼寝して起きたら誰も居なくて寂しくなって出て来たんじゃないかしら。こいつ寝起きは年相応だし……」
「いくつか質問があるんじゃが……起きとるのか?」
「半分? 今はあんまり頭動いてないけど、言う事は偽らざる本音よ? 後でこういう事があった、とは伝えておくし……質問してみる?」
そう言ってタマが尻尾を揺らすとリンが転がり出て、タマがそれを抱きかかえる。
宇迦之御魂は若干引きながらも少し思案し、口を開いた。
「では……いくつか質問や頼みがあるのじゃが。今回、詫びを入れに来てくれたのは嬉しく思う。じゃが……正直、お主とそちらのウカノミタマには常々頭と胃を痛めておるのだ。
やめろとは言わぬが、もう少し大人しくはできぬものか? なぜそこまでするのだ?」
「……やだ」
即答であった。苦笑するタマ、かぶりを振る宇迦之御魂。そんな2人を尻目に、リンはうつらうつらと舟をこぎながら、ぽつぽつと呟く。
「そしたら、だれがわるいやつをこらしめる……? ともだちをいじめるやつも、かぞくにてをだすやつも、みんなきらい。わるいやつ。
がんばれるのにがんばらないやつも、じぶんだけらくをしようとするやつも、がんばってるやつをいじめるやつも、みんなきらい……」
「大分端折ってるけど、こういう奴よ、リンって。出来るからやる、やりたいからやる。気に入らないからぶん殴る。それでここまで来てんのよ。
そんで、リンは何よりも努力を尊ぶ。自分が弱いから、皆を守りたいから、金が欲しいから。努力のための動機は人それぞれでしょ?
トラウマとか、霊質とか、
その点、
あたしはその場にいなかったから伝聞だけど、大分ひどかったそうじゃない? 解放完了の宴会の時」
「む……」
ついに寝息を立て始めたリンをあやしながら言うタマの言葉に、渋面を作る宇迦之御魂。
かつてガイア連合が自衛隊と共同で日本神を解放した折、解放を祝す宴での日本神達の「根願寺を切り捨てろ」「今の帝都は裏切り者しかいないから滅ぼせ」などという物言いの数々。
その言動に怒りを覚えた黒札も居り、元々出来る限りの努力はしていると根願寺を評価しているリンもまた傲慢な日本神には悪印象を持っている。
それでも自分や新潟のキクリヒメを始めとする、リン基準で『頑張っている』者達には協力を惜しまず、好意的に接していた。
「許せないと思った時に拳を振り上げる事を、こいつは躊躇しないのよ。逆に、助けるべきと思った相手に対して助力を惜しまないし。
……知ってる? こいつ、家族がいなかったのよ。生まれてすぐにメシア教から逃がされる形で捨てられて、拾ってくれた養い親も死んでる。
しかもただ死んだんじゃない。過労死して屍人になってた養い親に殺されかけて、それに対して反撃して殺す形で覚醒してる。*22
だからなのかしらね、こいつは基本的に家族に、愛情に飢えてるみたい。だからまあ……支えたくなるって言うか。あたしも最初は打算づくだったけど、今じゃすっかりベタ惚れよ?
こんなことリンが起きてる時にはぜっっったい、言わないけど!」
「……本当に、変わったのう」
「自分でも驚いてるわよ……ま、何が言いたいかっていうと、こいつは理由もなく拳を振るう奴じゃないってことね。
だからまあ……何やらかすにしても、そこには絶対原因があるのよ。許せなんていう気はないけど、そこだけ、理解して。
さっきも言ったけど、あたしじゃこいつ制御するなんて絶対無理だし、力づく以外で止められる相手なんてガイア連合でも一握りらしいわよ?」*23
「……はぁ。まあ、分かった。分かったが……努力はしてくれ。あと、一度でよい。かの方と話をしてやってはくれんか?
かの方も、面と向かって話せばこの娘が特級の劇物なのを理解しようて」
「まあ、言ってはみるしやってはみるけど……期待はしないでよ? こいつ『向こうが話をしたいなら向こうが約束取り付けて来るべきだ』つってるし」
そう言い合い、視線を合わせて深々とため息を吐く宇迦之御魂とタマ。
これからもリンの行動は宇迦之御魂の頭と胃を痛め続けるのだろうし、タマはリンの制御はできないだろう、そんな予感が、2人にはしていたのだという。
「――――――っていう事があったのよ」
「なるほど、だいたい分かった。なーんかぼんやり記憶があるような、ないような」
少し後。逗留している伏見派出所の一室へ向けて歩きながら、タマはリンに先程のことを話していた。
一応推定最高神が関わる事でこそあるが、リンの性分からして本当に向こうがアポを取らねば会おうとすらしないだろう。
そんな態度が丸わかりのリンを見て、タマは本日幾度目かの溜息をつく。
「比較的はっきり受け答えしてただけあってぼんやり程度には記憶残ってんのね。まあそんなわけだから、先方から申し出が来たら、1回ぐらいは会って欲しいわけ。
こっちに来るみたいな話も聞いてたけど……どうする? 来るまで待つ?」
「誰が待つか。あの引きこもりのクソ犬と違って私は忙しいのだ。第一私はアレと会談することにメリットを見出しておらん。まあ、向こうが頭下げてきたら行けたら行く、という奴だな」
「それ絶対行かない奴よね?」
そんな益体もない話をしながら歩いていくと、進路上に人影が見えた。一目で高級と分かるスーツを着込んだ、温厚そうな壮年の男性だ。
この伏見派出所の代表者、富豪俺らの1人藤野槇雄。*24リン達を見るとにこやかに笑い、こちらへと向かってくる。
「お、マルコーニキ*25だ。おっす、会談終ったぞ」
「おお、幼女ネキ。お疲れ様。ウカノミタマ様もご足労戴き有難うございます」
「別にいいわよ、あたしは一応ここのウカノミタマの部下にあたるし、前はあんたにも苦労かけたしね……」
苦笑するタマと藤野。かつてタマがやらかした際、伏見近辺のまとめ役である藤野が事態の収拾に動いていた縁で2人(とリン)は知己であり、折に触れ連絡を取り合っていたのだ。
その後リンが壬生一族の出自と判明した後、一族の者達を纏めている派出所の所属として受け入れたりなどもしている。
「ああ、そうだ幼女ネキ。例の件、明後日あたり時間が取れるそうなんだが、大丈夫かな?」
例の件。それはリンの祖父、壬生楼幡の父方、倉橋家*26の事だ。元々紡績業で利益を出してそれを元手に方々に進出し、今では関西でも有数の一大企業体となっていた。
そして終末も近づきつつある昨今、グループや親類の保護と引き換えにガイアグループ傘下に入ることになっている。
その辺りのやり取りや、リンの叔祖父にあたるグループ会長との会談のセッティングを、宮城を代表してレン子ニキ、京都を代表して藤野が行っていたのだ。
「おお、大丈夫だぞ! 私の親類の事だからな、忙しくとも時間を作るぞ。……お土産何がいいだろうか。大人だから酒とか……?
いや孫娘がいるらしいしな……だが私に任せると肉! お菓子! おもちゃ! とかになるから全く分からんぞ、困った。
……マルコーニキ、マルコーニキん所で一番うまい酒を用意できるか? 出来れば樽で。関西有数の酒造メーカーの酒とかなら外れはあるまい、多分」
「この気遣いがなぜ日本神に対してできないのだろう……まあ、気持ちはわからんでもないのだが」
「だってリンだし……多神連合の主神クラスに拷問*27するようなやつよ? 日本神話の最高神にだって気なんて使わないわよ。あっちが頭を下げれば別だけど」
推定最高神の話をしていた時とは打って変わって真剣な表情で悩み始めたリンを見て、藤野とタマは顔を見合わせ、処置無しとばかりに肩をすくめる。
その後リンが伏見稲荷を訪れたと聞き日本神話最高神、天照大神が伏見出張所を訪れたのだが、その頃には既にリンはタマやノワールらを伴い逗留している部屋を引き払った後。
『え? 我主神ぞ? 最高神ぞ? 来るって言ったよね? なんであいつおらんの?』*28と首を傾げる天照大神に、藤野と宇迦之御魂の胃が痛んだのだという。
どっとはらい。
そんなわけで102話でした。ようじょも悪いと思えば頭を下げる。
京都編というか関西編はいずれやりたかったのでようやくです……
■解説
・ようじょ
謝るべきと思えばきちんと頭を下げるようじょ。逆に言うと自分が悪いと思わばければ相手がだれであれ頭を下げることはない。
流石に伏見稲荷には申し訳ねえと思ったので手土産もってお詫びしに来た。面倒をかけていることを詫びに来ただけで襲撃事件とかについては一切謝る気なかったけど!
・タマちゃん
一応伏見稲荷の部下にあたるので基本的には頭が上がらない相手。
でもようじょを制御しろっつったって無理だし、襲撃に関してはようじょの次ぐらいにキレてたのでこっちもその事だけは謝らない。
元々打算有りで嫁になったけど、今ではなんだかんだようじょの事を愛している。
本人の前で口には絶対にしないけど皆にバレてる。
・伏見稲荷のウカノミタマ&藤野さん
今まで散々ようじょに悩まされてきたし、これからも多分悩まされるであろう人達。
一応ようじょなりに気は使うようになったけど、気の使い方がようじょなので今までよりはマシ、程度に収まると思われる。
・アマ公
『一応行くから待ってろよ?』という意味でようじょと話す目的で来訪を伝えてはいたが、ようじょが『知るかボケ話たけりゃアポを取れ、相手の都合を考えろ』と馬鹿リンいとっとと他所行ったので空ぶった奴。
ようじょからは結構嫌われている。