【ようじょ】京都沖海戦専用スレ 2【大説教会】
148:幼女
えー、今回はお集まりいただきありがとうございました。今回は大変ご迷惑をかけて申し訳ない。今後ないように努力はしたい*1
149:田舎ニキ
このようじょ反省してなくない?
150:魔王
でもまあ……実際MVPではあったし……?*2
151:破魔
それでも置きメドローアに巻き込まれかけたことに関して物申しておくべきですよね*3
152:人魚
幼女ネキ、楽しくなっちゃってたのは分かりますけど、それでも皆巻き込むなら一声はかけないと駄目ですよ?
無事に治るとは言っても痛いものは痛いんですし。幼女ネキが世界標準というわけでもないんですからね
153:幼女
あい……まあ確かに怪我したら耐えてるだけで痛いには痛いしな……
今後はきちんと効果範囲内に味方がいて巻き込みそうなら警告はするぞ! ……警告はするが避けられなかったらそれは自己責任だよな?*4
154:人魚
まあ、警告した上で避けられなかったならそうかもしれませんね?
155:はなこ
あ、これそもそもの論点とかそう言うものがズレてるやつじゃな?
156:カス子
しかたねぇよ幼女ネキだもの かすこ
157:脳缶
ねえ幼女ネキにお説教する流れで僕とカス子ネキも一緒にお説教されてたの冤罪じゃない?*5
合体魔法自体には魔王ネキとか無惨ニキとか田舎ニキも混じってたじゃん
158:魔王
私はまさかあんなとんでもないことするなんて聞いてなかったの!
159:田舎ニキ
右に! 同じ!
160:無惨
僕は最小限になるように威力の調整とかしてたしね
161:先生
いやー笑ったよね、あたしが京都沖で湧き潰ししてる間そんなとんでもないことになってんだもん
セリリさんバチギレしてたけど幼女ネキのお尻は大丈夫だった?
162:幼女
尻は大丈夫だったが鼻に濃縮タバスコ注がれたぞ。死ぬかと思った
163:★名無しのデビルサマナー
お、やってるやってる。とりあえず色々ひと段落したし、京都戻る前に色々質問&解説タイムといこうか。何か質問ある?
164:幼女
あ、ショタおじだ。あの推定黒札大丈夫だったか? なんか屍肉呪法*6喰らったような姿になっとったが
165:探求者
一応肉体は元通りになりましたよ。まだちょっと意識は戻ってないですけどね
166:旅人
あ、良かったぁ。意識が戻らないのはまあさっきの今だしね……どんな人なのかとか、分かる?
167:カズフサ
それについては俺から話そうか。名前は有紀凰音(ありき・おうね)、24歳日本人。2・3年ぐらい前までは声優としてブイブイやってたとか? アル社長に聞けばその辺分かるかもな
168:探求者
確かガイアニとも仕事した事ある人でしたかね? 身長199cmの恵体声優とかで当時は有名だったとか
こんな人ですね
[画像]
(セミロングの髪を三つ編みにした、髪にメッシュの入った大柄な女性の画像)
169:カス子
うおすっげ
おっぱいでっか
なんやこれ かすこ
いやほんとでけーなこれ!? ノワールさん見た時と同じ衝撃を受けたわ……片乳だけで幼女ネキ1人分*7ぐらいあんじゃねこれ
170:幼女
ノワールよりでかいな……身長もあるし下手すると人魚ネキの最大時よりでかいのではなかろうか
というかあれだ、なんかヘキに刺さる外見してると思ったらラスオリのアルキュオネ*8だ。この前髪両サイドのメッシュと頭よりでかい乳には覚えがある
171:人魚
はいはい、脱線してますよ。カズフサニキ、お願いしますね
172:カズフサ
ああ。まあ当時は人気で引っ張りだこだったんだが、方針の違いで事務所と揉めたらしくてな。人気絶頂の頃に突然活動休止して傷心旅行に出たらしい
どうもそれで海外行った時にメシア教に目を付けられて実験体になったようだな
173:お弁当
なるほど……ともあれ、今は傷を癒してほしいな。その辺は今回関わった黒札の総意だろうし
174:琉球
そうだな。後で見舞いに行かなきゃな……で、次は……あれか。幼女ネキの
175:破魔
あれですね。幼女ネキが最後に見せたあの大怪獣形態ってなんなんです?
176:カス子
あ、それあたしも気になってた。あんな変身悪魔なかったよな? 見てた感じヌエから変化した感じだったけどさ
っつーか、あれジガだよな? あのジャンプで連載してた怪獣漫画の*9
[画像]
(黒い甲殻の怪獣がバハムートを突き破って出現している画像)
177:幼女
ああ、あれな。テュポーンだそうだぞ。私のヌエはテュポーンの劣化分霊として顕現している形らしいからな。あの時本霊とのつながりが強くなった関係で一時的に発現したんだと
178:人魚
なるほど、私のニュクスのような感じでしょうか?*10
179:★名無しのデビルサマナー
そうだね。なのでよっぽどじゃない限り使用禁止だよ。人魚ネキみたいに自在に変化できるわけじゃないだろうけど
180:幼女
努力はする。というか私自身意識的に変化したわけじゃないし、さっきも変化しようとしたけどヌエにしかなれんかった。まあその辺は後で調べてもらえばよかろう
あ、今回の戦闘のおかげかレベルは92に達したぞ!
181:脳缶
幼女ネキならそのうち使いこなしそうなのがあれだよね
そういえばさー、先生ネキ。サキエルとガギエル、全書から消してくれって言ってたけどあれ何で?
全書から召喚すればTSさせて悪魔しょうかん堕ちさせるとかも可能だよ!
182:琉球
それは俺も気になるな。穢教滅閃*11に使っても良いし、登録しておいた方が色々役立ちそうだが
183:先生
ああ、あれ? まあ消したくないなら別に良いけどね、脳缶ニキの全書だし、最終決定権は脳缶ニキって事でいいよ
ぶっちゃけちゃえばあたしのスタンスかな。メシアンもクソ天使も大嫌いだけど、だからって穢教滅閃だっけ、ああいうのに使いたくないんだよね
どんな形であれアレらを役立てたくない。だから悪いと思ったけど最後横殴りしてトドメ刺したんよね
琉球ニキはメシアンらに対する憎悪が敵意として発露してるタイプだろうし、大半のアンチメシアンはそうだと思う
でもあたし個人としてはどんな形であれあいつらを役立てたくないし、あいつらには無為に無駄に無常に滅びてほしいんだわ。憎悪が無関心とかそう言う方向に向いてるっつーか
もったいないことしてるとは思うけど、それもまたメシアンに対する侮辱や愚弄の形だと思うわけよ
184:カズフサ
なるほど……理解はできるな。個人的感情として納得はしがたいが
185:琉球
そう言う形の嫌い方もあるわけだな。俺も納得はできないが、尊重はしようと思う
186:先生
気にせんでええよ。若いもんのそう言う熱意は眩しく感じちゃうし、見てて微笑ましくもあるし
若人は今を全力で生きなさいな。後悔なんてのはあらかじめできねーもんだし、やるだけやり切るのが人生ってもんよ
187:幼女
そう言えばこいつ四十路手前だったな。肌の張りも髪の艶も20代前半、ともすれば10代後半のそれだが
188:カス子
その上でスタイル抜群の美女だもんなぁ。これで変態でこそなかったらどんだけナマモノネキのエロ同人が描かれていたことか
あのにやけ顔で筆が止まるって言ってたわ
189:幼女
あいつに「あのセンチュリースープ呑んだ小松みたいな顔を描かなきゃなんねえと考えた途端心のち〇ちんが萎むのであの人で本描くの無理」と言わしめた女だ、面構えが違う
ラスオリの慈悲深きリアン*12にムルシエラゴの紅森黒湖*13の人格をインストールした上で女の子を見ると例の小松の顔になるというバグ仕込まれてんの何の悪魔合体だと思った
190:黒死
……普通に気持ち悪いな? いや見ている分には面白いが*14
191:魔王
あ、先生ネキ。伝え忘れてたけどうち(華門出張所)に出禁ね、うちの子達の教育に悪すぎるから*15
192:先生
え゛!?!?!?!?!?!?!?!?!? なんで!?!?!?!?!!?
193:幼女
例の顔?
194:カス子
ナマモノネキに筆を折らせるレベルの発禁顔は他所に出したらあかんでしょ
195:旅人
ボクの所は出禁とは言わないけど、せめて顔が見えないようにフルフェイスマスクか何か被ってくれると助かるかな……
何もしないとは分かっててもシンプルに気持ち悪いし……*16
196:破魔
こっちに来る時も何か被ってもらえると助かりますね。綾華には刺激が強すぎるので
197:先生
世間があたしに厳しいぜ……
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「ん……」
目が覚めたら、そこは知らない天井だった。何か悪夢を見ていたような記憶もあるが、思い出そうとすると頭痛がする。寝起きのぼんやりした頭の中、自分がなぜここにいるのかを思い出してみる。
そして傷心のまま海外旅行に出た後……そこまで考えて、またも頭痛がする。思い出せない。何かがあった気がするが、考えようとすると頭痛が思考を乱す。
体を起こさぬまま周囲を見回してみれば、そこは病室のようだった。自分は病衣を着せられているようで、体を動かそうとすると不思議なことに、上手く動かせない。
「……あれ?」
ぎこちなく動く体を何とか動かそうとしてみれば、胸部に軽い圧迫感。何とかかけられていた布団を避けて見れば、自分の胸に埋もれるようにして、小学生ぐらいの小さな女の子がすうすうと寝息を立てていた。
「すぴー……」
「あの、お嬢ちゃん?」
軽く体を揺すれば、少女は大あくびをしながらも眠たげに目を覚まし、こちらを見る。血のように赤い目が凰音を見据えた。
「……なに……?」
「えっと、その……何してるのかなって」
「ねてた……」
「お名前とか、言えるかな?」
「……りん……」
そう言うと、またリンと名乗った少女は眠りの国へと旅立ったようだ。どうしようかと考えていると、病室のドアが開く。
入って来るのは長い黒髪に、白いマントを羽織った少年、そして緑の髪にエプロンドレスを着た少女。その姿に凰音は覚えがあった。
「ハオにキャナル……? え? 本物?」
「あ、やっぱそう言う反応になるよね。オーケーオーケー、これで転生者確定かな。キャナル、幼女ネキをお願いね。僕は説明するから」
「はい、神主様。ほらマスター、お話の邪魔になりますから、こちらへ」
「んにに……あい……」
少年「ハオ」に言われ、緑髪の少女、「キャナル」が凰音にしがみついていた少女を抱きかかえ、脇に控える。
転生者。その言葉に凰音の心臓がドキリと跳ねる。凰音には前世の記憶があった。今目の前にいる2人を「ハオ」「キャナル」と呼んだのも、前世で好きだった作品の登場人物そのままだったからだ。
目の前の人物たちは凰音の発言からそれを確信したようで、「ハオ」はにっこりと笑うと凰音の傍らに椅子を置き、座ってこちらを見つめてくる。
「さて、有紀凰音さん、だったかな? 戸惑ってると思うけど……まあ、自己紹介から行こうか。僕はショタおじと呼ばれてる。ガイアグループという名前に聞き覚えは?」
「え、あの新進気鋭の大グループですか……?」
「そうだね。僕はそのガイアグループの母体、ガイア連合盟主。ガイア連合は沢山の転生者が所属……というか、僕の呼びかけに答えて集まった、転生者の互助組織だよ。
あ、君の上で寝てたこの子も転生者。君を救出してくれた恩人って所かな」
そこからは、驚きの連続だった。
この世界がゲーム「女神転生」シリーズを下地にした上で、それら全てを一緒くたに混ぜ込んだカオスな世界観である事。
この世界にも悪名高きメシア教が存在しており、ガイア連合と敵対している事。転生者の一部にもメシア教被害者が居り、自分もその1人である事。
この世界はメシア教の手により「終末」へと向かっており、それを防ぐことは不可能。現在は『どう軟着陸させるか』を主軸に活動しているらしい。
その他にも色々聞いた。メシア教と敵対するからガイアなのか、と思えば、にっこりと笑ったショタおじに『安価』*17と言われた時は気が遠くなったが。
「―――ともあれ、そんな感じかな。あとは関係各位から説明を受けつつ馴染んでいくと良いよ。それじゃ……げっ」
「逃がすか本体……お前も仕事*18に戻るんだよ!」
ひとしきり話した後ショタおじは立ち去ろうとしたが、直後現れた別のショタおじ(横にいた『キャナル』に聞くに分身らしい)に引きずられ、連行されていった。
室内には『キャナル』と少女、そして凰音が残される。ちらりと『キャナル』を見れば、すうすうと寝息を立てる少女をあやしながらも会釈を返してきた。
「ええと……その、あなたも転生者、なんですか?」
「キャナルと呼んでください、私の場合、本名ですから。いえ、私は転生者ではなくシキガミ……簡単に言えば使い魔ですね。
この外見なのはマスター……こちらの女の子ですが、この方がそう望まれましたので、そのように作っていただきました。
あなたも、頼めば望む姿のシキガミを作っていただけるはずですよ。人型に限らず獣型、装備型など、多種多様なシキガミが居ますから、製造部の方と相談すると良いです」
「はぁ……」
未だ半信半疑であるため、思わず生返事を返してしまう。その後はまたしばらく沈黙が続くが、今度はキャナルの方から口を開く。
「そういえば、お体は大事無いですか? それと……
「ちょっと体は動かしにくいかな……鈍ってるっていうか、動かし方を忘れちゃってるっていうか。あと、覚えてるっていうのは……?」
「ああ、ちょっと直球過ぎましたね。あなたが目覚める前の事はどのくらい覚えてらっしゃいます? 資料が確かならば、あなたが失踪してから3年ほど経っているはずです」
「えっ……?」
そう言えば、そんなことを『ショタおじ』氏も言っていた気がする。傍らのカレンダーを見れば、確かに今は最後の記憶から3年ほど経っているようだ。
しかし、最後の記憶は海外に行った後、予約していたホテルに泊まろうと向かっていた所で途切れ、そして今に至る。ずきり、と頭が痛む。
「――――――思い出させるな、キャナル。今はまだ、準備ができていない」
そんな声が割って入った。そちらに目を向ければ、先程までキャナルに抱かれて眠っていた少女、リンと言ったか。彼女が床に降り立ち、すっくと立ち上がる所だった。
先程の寝ぼけ眼とは打って変わって、威圧感すらある強い意志を秘めた瞳が、凰音を見据えている。
「お初にお目にかかる。ガイア連合黒札、と言っても分からんか。あんたと同じ『転生者』の鵺原リンと言う。恩着せがましい言い方をすれば、あんたを助けた者、その1人だ。
悪いが、あんたのここ3年ほどの記憶は一時的に封じさせてもらっている。2・3日で戻るだろうが……今は、思い出すべきではない」
「う、うん……リンちゃん、でいいのかな。さっきショタおじさんから聞いた話と総合すると……まあ、碌な目には会ってないんだよね、多分」
「そうだな。まあ、命があっただけ儲けものと思ってもらおう。キャナル、アルネキや探求ネキらを呼んで来い。ショタおじはどこまで話した?」
「通り一遍の事は話されたかと。それでは失礼しますね。マスターこそ、変なことしちゃだめですよ?」
そう言ってキャナルは病室を出ていき、凰音とリン、2人きりになる。
(気まずい……)
なんとなく、気まずさを覚える。元々コミュ力はそれなりにあると自負しているが、それでも会ったばっかりの、それも小さな女の子とどう話していいかなど、凰音の辞書にはない。
ましてや自分と同じ転生者であるのなら、年齢不相応な精神性をしていてもおかしくはない。少し、距離を測りかねていた。
そも、何でこの少女は自分と同じベッドで寝ていたのだろう? せめてもこの沈黙をどうにかせねば、と、凰音はその疑問を口に出してみることにする。
「えっと、リンちゃん。どうして私のベッドで寝てたの? さっきは「寝てた」としか聞けなかったし……」
「ん? ああ……一応あんたに何かあった時のために詰めていただけだ。通り一遍の説明を聞いたというなら、この世界が『女神転生』シリーズの要素がごった煮になった世界というのは分かっているだろう?
その流れで生み出された単位として、レベルがある。ゲームでいうレベルと同じものと考えていいだろう。各々の強さを数値化したものだ。一般人は0。
私は92、
「えっ」
凰音の理解を越えた一言だった。体感ちょっと前まで未覚醒の一般人だった人間が気が付くとそんな高レベルになっていればさもあらん事だろう。
空白の三年間に何があったというのか。リンは思い出すなと言っているが、それでも気にはなる。
「私の記憶がない間に、何があったっていうんですか……? そんなになるような事があったんです……?」
「あった。が、思い出して正気でいられるかが分からん。それでも思い出したいのか? まあ、もはや後戻りなどできんし、今更ではあるが……
先に言っておくが、お前が暴れ出したら手荒な手段で取り押さえるからな、覚悟しておけ」
怖いとは思った。が、知らぬままではいられない。もう後戻りできないというならば、確実に取り押さえてくれるというリンがいる今、知るべきであろう。
「お願い……できるかな。怖いよ。怖いけど……後戻りできないんなら、覚悟は早いうちに決めておきたい。だから、何かあったらその時は……お願いね」
「忠告はしたし言質も取ったぞ」
そう言ってリンが語ったのは、KSJ研究所から与えられた資料、そしてバハムート戦の時に流れ込んできた記憶。
一つ言葉を重ねる度に、頭が痛む。他人事にしか感じ取れない事実を知る度に、視線が揺らぐ。
いつしか、凰音の頭を堪えがたい頭痛が襲っていた。閂を掛けられ厳重に封鎖された記憶が、頭のうちから扉を突き破らんばかりにあふれ出ようとしている。
痛い。痛い。なぜ、どうして。頭の中の扉、その閂にヒビが入った、そう認識した途端、誰かが叫んだ気がした。
――――――否、それは自分だ。開け放たれた記憶の扉から溢れる記憶。思い出してしまったこの3年間の事が、怒涛のように凰音を襲っていた。
「だから忠告はしたんだがな」
傍らでリンがそう言うが、凰音の耳には届かない。声でガラスにヒビが入り、身をよじった拍子に触れた花瓶が粉々に砕け散り、体を揺すっただけでベッドの足が折れる。
「はあ、女を無理やり組み伏せるのは好かんのだがなぁ。ま、やってくれと頼まれたしやるしかないか」
溜息をつきつつ叫び続ける凰音に近寄るリン。反射的に振り回した手がリンに向かうが、それら全てを受け流し、受け止め、凰音の両腕を無理やり掴んで抑え、凰音に跨るようにしてベッドに押さえ込んだ。
泣きじゃくる凰音を、リンの赤い瞳が覗き込む。その赤色に秘められた意志の強さにほんのひと時凰音の動きが止まり、リンは触れている場所から凰音の乱れに乱れた情動、そしてMAGの流れを感じ取る。
覚悟はしていたようだが、こうなる事は予想はできていた。やや方向性を異にするが、かつて自殺未遂を繰り返した自分に近い状態だ。メシア教によって己の行った事、己に行われたことは、転生者とは言え一般人だった凰音には受け止め切ることはできなかったのだろう。
混乱と激情のままに暴れようとしたようだが、覚醒したてでレベルも2か3程だった自分と違い、今の凰音は
また、医療班によってできる限り元のままに戻された肉体であったが、弄り回され、人の形すらなくなった肉塊となっていた物を戻したのだ、気脈も経絡もガタガタであり、そんな体で暴れようとしたのである、その体も止めねば軽い怪我では済まない所だったろう。
一応リンでも組み伏せられる腕力差ではあったが、体躯の違いはいかんともしがたい。このまままた暴れ出せば、乱れた気脈や経絡を流れるMAGは凰音自身を傷付ける。早めに治療をさせるべくリンはキャナルに念話を飛ばした。
(おいキャナル、アルネキと探求ネキはまだか。死にはせんが、早めに気脈の流れを正さんとあまり良くはないぞ)
(あの、それなのですが……アルネキさんはお仕事がもう少しかかるとの事で、探求ネキさんは分身総動員で行っているガオファイガーのオーバーホールがもう30分ほどでひと段落するそうで……
あと、医療部の方々も今ちょっとお忙しいようです。探求ネキさんから、『応急処置は幼女ネキも出来るのでお任せしてください』との言伝を受けたんですが……)
間の悪いことに、処置を行えそうな面々は今大半忙しいようだ。確かにリンにもそれを行う事はできるが……あまり気は進まない。
しかし、やらねばならないだろう、そう割り切って、リンはキャナルに『最低二時間は病室に誰も近づけるな』『最悪責任は取るがどうなっても知らんぞと探求ネキに伝えろ』と念話を飛ばし、
変化や身体操作の応用で髪を伸ばすと施錠した上でドアを物理的に封鎖。改めて凰音に視線を落とす。息は荒いようだが、落ち着いている。暴れ出す兆候は今のところなく、こちらをじっと見つめていた。
「今のあんたは応急処置をせねば、死にはせんがただではすまん状態だ。早急に乱れた気脈と経絡を正す必要があるが……今それができるのは私だけだ」
「……あんまりやりたくはなさそうだね?」
「私は一向に構わんのだがな、少々レーティング的に問題のある方法なのでそちらが嫌がるのでは、という話だ。『下げた』方法もあるが……そちらでは間に合わん」
リンは無言で握り拳を作り、人差し指と中指の間から親指を出す。それで、凰音も何をするのか、何をされるのかを察したようだ。その顔が赤くなり、リンの尻に敷いた凰音の心臓の鼓動が早くなった気がする。
「……やらないと具体的にどうなるの?」
「全身の血管がでたらめに血を流した時のような激痛が走った上で全身が裂けて血が噴き出す」「死ぬよねそれ!?」
凰音の叫びにリンは「一般人ならな」と言ってから、握り拳を解いて凰音を指差した。
「一般人なら出血性ショックで死ぬだろうな。が、こと覚醒者、それも高レベルとなると全身が裂けた程度では死なん。いや、この場合死ねんというべきか。
普通このぐらいのレベルになれば覚悟も決まってるので大したことはないのだがな、今のあんたはメンタリティはほぼ一般人だ。死にはせんが、死ぬほど痛いぞ。狂うかもしれん。
……どうする、貞操と引き換えに応急処置を受けるか、死ぬほどの苦痛や正気と引き換えに貞操を守るか。早めに選ぶことをお勧めする」
究極の二択だ、凰音はそう思った。見た目小学校低学年の女の子の口から発せられているとは思えないが、その真剣な眼差しと口調に嘘はない、ように見える。
自覚はないが、時間はそうないらしい。死にはしないが、死ぬほど痛いことになる。それを避けるために体を……というのも年頃の女子として如何なものかと思うが、そこで、ふと『ここ3年間』の記憶がよぎる。
あの時の記憶では、基本的に有無を言わせずに、筆舌に尽くしがたい目にあった。それに比べれば、自分の自由意志に任せてくれるだけ優しいのであろう。
(――――――それに、
凰音の脳裏にある記憶のうちで、明らかに自分のものでない記憶がある。その記憶がなぜあるのかは分からないが、はっきりと自分のものではない、そう断言できる記憶。
その記憶では、黒い長髪に、赤い目をした女の子が、淀んだ眼、ぎこちない動きをした、まるで
少女は腐っていくその親を見守るしかなく、最終的に襲い掛かって来た親に腹を食い破られた瞬間、猿の様な化け物に代わり逆に食い殺した。
その後元の姿に戻り、血だまりの中立ち尽くしている……そんな記憶だ。そして、その記憶の中の少女は、今目の前にいるリンと名乗った少女、そのままだった。
それはリンが凰音を救出する際、リンに凰音たちの記憶が流れたように、凰音にもリンの記憶の一部が流れたことによるものだが……今の凰音には知るよしもない。
でも、きっとこの記憶は目の前の少女のものなのだろう。そんな確信が凰音にはあった。親が腐っていくのを見続ける日々は、そんな親に食われ、食らい、生き残ってしまったのは、どれほどの苦痛だったろうか。
それでも、この少女は前を向いているのだ。あそこから今までに何があったのかは分からないが、そんな過去があってなお、誰かを助けようとしているのだ。
とても恥ずかしいし正直やりたくはない。が、全身から激痛と共に血が噴き出すよりはマシだし、その二択しかないのだろうという事はリンの表情から伺い知れる。
で、あるならば――――――
「ええと、その……よ、よろしくお願い、します?」
そう言ってぎこちなく笑うと、リンは少しだけ瞑目し、大きくため息をついた後、口を開く。
「……まあ、ほぼ選択肢のない二択ではあったからな。まー、その、なんだ。天井の染みでも、数えているといい」
そう嘯いてリンは凰音に口付ける。そこから火山の様な熱い何かが吹き込まれ、強張り、ぎこちなかった体がほぐれていくような、そんな感覚が凰音を包んでいった。
なお、その後の事であるが。
キャナルによる時間稼ぎが終わった後病室についたアルが、病室内の状況*19に白目を剥いて絶叫した事。
『探求ネキさんがお任せしろと言ったんですからね?』というキャナルの視線に探求ネキが思わず視線を逸らした事。
後に『バハムートネキ』と名乗ることになった凰音の性癖が、木っ端微塵に砕かれた上で割と取り返しのつかない形に再形成されたという事だけを語っておこう。
どっとはらい。
そんなわけで113話でした。おかしいな、京都の方のあれこれがまったく語られてないな?
もう1話ぐらいいるかもしれねえ……
□解説
・ようじょ
やっぱり根本的に反省してないようじょ。レベル90を超え新たな変身形態も覚醒したがまだちょっと使いこなせてはいない。
凰音に対するあれこれも、何となれば自分が押さえ込んでる間に探求ネキにどうにかしてもらおう、と思ったら間に合いそうになかったのでヤった。
なお、結果的に凰音の性癖に致命的なレベルの悪影響があったことに関しては今のところは知らない。
・幼女の行った処置
かつて日向に行った房中術マッサージのR18版。性交と粘膜接触で最高効率でMAGを流し込んで循環させ、ガタガタだった気脈や経絡を正常な形に戻した。
密着して流し込む方法だと間に合わなかったが故の苦肉の策ではあるけど、ようじょはこういう形でどうにかする方法しか知らない。(教えたのがミナミィネキなので)
なお、経絡などは治ったが性癖がぶっ壊れた。まあコラテラルコラテラル。
・凰音(バハムートネキ)
アバター元であるアルキュオネは姉御肌な感じのキャラのようだけど、当人はどっちかというと大人しい系の子。今後はガイアニ所属声優として活動していく模様。
救出時にようじょが記憶を垣間見たように、彼女にもようじょの覚醒前後の記憶が流れ込んでいる。ので、すっげー恥ずかしいけど緊急避難だし、あんな過去がある子が頑張ってるのだから、と体を開いた。結果致命的なまでに性癖がブッ壊れた。
なお、レベルがクソ高いのはバハムート状態で100越えしてたところに人の形に戻す過程でいくらか削ったため。
ほぼ意識ない状態でレベルだけ上げられたので当人の意識が戻った現在、認識が一般市民な高レベル覚醒者。という珍妙な存在になった。
・アル社長
「あの子やっぱり転生者だったんだ……」と思いつつ探求ネキと病室に向かったら、一発キメた直後のようじょと凰音がいたので白目剥いた。南無参。