今回は破魔ネキ達の所。
【ようじょ】地方防衛スレ(宮城) その96【行脚】
979:名無しの転生者
ようじょの北神奈川支部支援*1が終わったね……いやあ案の定とんでもねえことやってたなあいつ
980:名無しの転生者
まあ現地の人の実力を試しつつ2人を暫く拘束するだけでレベル50~70の高レベルが10人ぐらいヘルプに入ってたからコスパタイパはいいから……(ふるえ
981:名無しの転生者
あとは横浜派出所ができたりとかもした*2よな。バハネキの地元なんだっけ?
982:バハ
はい、横浜生まれ横浜育ちです。まあ大学は東京の方行ったりしたんでずっと横浜にいたわけじゃないですけどね
まあ、とりあえず里帰りは無事終わってトム君*3を置いてくることになりました。……縁の下に術式で隠蔽した武器隠してたりしたのは見ない振りした方がいいんです?
983:幼女
一応トムは武器使うからなぁ。たしか殺島から凶弾舞踏会伝授されてたぞ
というか大分多芸だからなああいつ。それが護衛に選出した理由でもあるが
984:名無しの転生者
え、あれ使えんの!? いや凄いなシンプルに……ほんとなんでもありだなあいつw
985:カジオー
おーい皆! ちょっとすげー笑える話聞いたんだけど聞く?
986:名無しの転生者
え、珍しいなカジオーネキ。どしたん? 聞く聞く
987:カジオー
いやさ、ちょっと前に英国支部に支援物資贈ったじゃん? そんなかにあたし謹製の真打、『アスカロンⅦ』があったわけですが
それが巡り巡ってなんと現地民のジョージ・ガーゲット君に届いたんだってさ。いやーすげー偶然があったもんだわ。くそわろ*4
988:名無しの転生者
草
そうか……雪車町さんとかいるし村正系のそっくりさんもいるよな、そりゃ。これも運命の巡り合わせかねw
989:カジオー
ちなみにアルトリアちゃんをカッ攫いに来た反逆者なので居合わせたアリスニキに処されたんだと
アルトリアちゃん相手にまあまあ健闘はしたらしいのでアスカロンの性能もあるんだろうけど中の人もそこそこやるみたいだね。まあ死んだけど
990:幼女
ああ、それは私も聞いたぞ。A・T贈ったから調子を聞いた時に。アルトリアには轟の玉璽を送ったんだが、割と予想外の使い方してて驚いた
轟の玉璽はラムジェット理論で加速するために強靭な脚力かある程度の助走が必要なんだが、自分自身の風系スキルで操った空気を叩きつけてしょっぱなからトップスピード出してたそうでな、アルトリアの戦闘センスに脱帽だ
991:名無しの転生者
やっぱあの子もアーサー王として担ぎ上げられるだけの資質はあるんよねえ、それが良いことかどうかはさておくとして
俺らも何かで応援してあげたいところだな。パイプとしてはアリスニキと幼女ネキって面子がいるだけで十分すぎるだろうし
ホビー部としてはガンバライディングの新弾をしっかり仕上げて日本とイギリス同時に実装させたいところです! がんばります!
992:幼女
まあいい事ばかりではないんだがな。アルトリアがイズナからエロ同人誌(アリスニキもの)を送られて、それがモルガンネキやトリ子に露見して家族会議沙汰になったそうでな
何故か私もモルガンネキにガン詰めされたんだ。いや私悪くなくないか?*5 送ったのはイズナだし、描いたのはナマモノネキらしいし。ナマモノネキは処したが
993:カジオー
何やってんのあの子。っていうかそれは幼女ネキの日頃の行いじゃね? 私でさえ三世ちゃん*6と寝る部屋別にしてんのに
幼女ネキの大乱闘スマッシュブラザーズを覗き放題とか性癖が曲がって当然じゃんね。まあ大乱闘というか大乱〇スティックシスターズだけど、あれは
994:幼女
草
ぐうの音も出んな! まあ凰音から苦情も出そうなのでそろそろ何か対策せんとな。結界でも張るか
995:名無しの転生者
いきなりド直球の下ネタブッ込んでくるの人妻としてどうなん?????
996:カジオー
べーつにー? あたしは一蔵君と三世ちゃんから愛されてれば構わねーし?
まあ、この話はこの辺にして。幼女ネキって次何処行くん?
997:幼女
破魔ネキのとこだな。破魔ネキはカルラ*7もあるそうだし、ちょっと楽しみだな!
それに簡易シキガミ技術においては私のライバルのようなものだ、敵情視察といこうじゃないか!
998:名無しの転生者
破魔ネキのとこか、そういや虚刀流がガチで存在してるんだっけ? 破魔ネキの家系がその家系だとかで*8
999:カジオー
らしいね。あ、幼女ネキ、破魔ネキんとこ行くならあたしも行くけどいい?
虚刀流には興味あるし、ホビー部の魔導具とかA・Tカタログ届けたいし、何より先生ネキって姫路出禁じゃん?
誰かしらフォロー入れられる人間が行かないとね。あわよくば劒冑のシェア拡大を狙いたい……!
1000:幼女
お、頼めるか? 行くとき連絡するから孔雀明王の格納庫に来てくれ
1001:カジオー
あいよ。一蔵君と夢澤達に任せてりゃ〇〇町もなんとかなるっしょ、あたしが行くなら先生ネキも〇〇町にいるしね
何より幼女ネキを1人で行かせることの方が危険すぎて心配だわ。なにしでかすかわからんし
1002:名無しの転生者
それはそう
1003:幼女
本当に失礼な奴らだなお前ら。私を不発弾かなんかだと思ってないか?
1004:名無しの転生者
幼女ネキは不発弾って言うか勝手に飛び回るミサイルみたいなもんじゃん
1005:名無しの転生者
幼女ネキは幼女ネキでしょ、不発弾とかミサイルに失礼だから例えるのはやめてさしあげろ
1006:カジオー
草
1007:幼女
ころちゅ
1008:名無しの転生者
自分の行動振り返って?????
1009:幼女
退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!
1010:名無しの転生者
媚びなくても引かなくてもいいから少しは省みなさいよ、またセリリさんに鼻タバスコされるよ?
1011:幼女
あのタバスコ星祭製だから普通に修羅勢以上の耐性貫通してくるんだよな……薄めれば調理用にもなるが
なんかセリリが独自ルート築いてるらしくて私も知らんブツ出してくるんだよな
1012:名無しの転生者
セリリさんも大概謎のコネしてるよな……まあ嫁の中で唯一幼女ネキを抑えられる人材だからな……*9
がんばってねバハネキ。田舎ニキとかお弁当ニキ以外だとバハネキが最後の砦よ
1013:バハ
頑張ります……
1014:カジオー
人魚ネキ曰く抱き上げると大人しくなるそうだから頑張って捕まえてなー。あのようじょ基本鉄砲玉っつーか無限の体力で一日中走り回るからなあ
1015:レン子
最近は結構電池切れになってることも多いらしいんだけどね。幼女ちゃんが健やかに過ごせてるって事だし良い事なんだと思うけど
1016:幼女
そう言えば最近気が付くと寝てることがあるな、まあ元々結構気を張ってたからなー、最近大分気楽に過ごしてるし良い事なんだろう
1017:名無しの転生者
このようじょ宮城でもトップクラスにハードな来歴してるからなぁ……
1018:名無しの転生者
ま、そんな幼女ネキが気兼ねなく昼寝できるようになってるなら良いんじゃね? 寝てる間は周囲に被害いかんし
1019:名無しの転生者
それもそうか。少なくとも暴れたりすることはないもんな。幼女ネキ、たくさんお昼寝するんだぞ
1020:幼女
やっぱこいつら私の事馬鹿にしてないか?
1021:名無しの転生者
馬鹿にはしてねえよ? 安心してるだけ
1022:名無しの転生者
幼女ネキが馬鹿やる度に俺らの胃袋にもダメージが来るので大人しくしててくださいって話だからね
1023:レン子
それはそうと幼女ちゃん、アルトリアちゃんにナマモノネキの同人誌送りつけたってモルガンネキから聞いたんだけどどういう事かしら?
上のログにも残ってるし……モルガンネキに『あの子どうにかなりませんか!?』とか真剣に言われた私の気持ちわかる?
1024:幼女
ぬう、モルガンネキめ余計なことを告げ口しおって! というかそれは私無関係なんだが! ガン詰めしてくるモルガンネキ結構怖かったんだぞ!
アルトリアの性癖が曲がりそうなのも本描いたナマモノネキとモデルになったアリスニキに問題があるので私は悪くない!
1025:レン子
イズナちゃんの保護者としてちゃんと監督してないと駄目よ? そもそもイズナちゃんの性癖がねじ曲がってるの幼女ちゃんのせいなんだから……
1026:名無しの転生者
まあそんな事言ってるレン子ニキも性癖は健全とはちょっといいがたいんだけどな
1027:名無しの転生者
ハスキーさんもいけるとは言えブシ子ちゃんみたいな黒髪ロリがマストなヘキってのはちょっと……うん……
1028:レン子
なんか変な方向から誤射されてないかしら私!?
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「おーっす破魔ネキ、来たぞー」
「幼女ネキってホントどこでもそのノリだよなぁ」
兵庫県、姫路支部。京都沖海戦の参加者の1人、破魔ネキのお膝元にリンとカジオーネキは訪れていた。
元々は別の黒札が支部長を務めていたが、色々あって逃げた後、故郷を守るためにと破魔ネキが支部長を務めることになったらしい。
そんな支部でリンを出迎えるのは薄い水色の髪に女性的なデザインの胴丸鎧を纏った少女。現地の名家、神里家の息女にして破魔ネキの嫁の1人、神里綾華であった。
軽く会釈する綾華に手を挙げて応じ、2人は綾華の案内の元応接室へと向かう。
「紫さんからお話は伺ってます。宮城支部の方だとか」
「破魔ネキには前々からちょくちょく援助してもらってたからな。今回の件も含めて恩返しせにゃおさまりが悪い。
それに簡易シキガミ製造においては私のライバルのようなものだ。敵情視察という奴だな!」
「え、ええと……?」
ふんすと鼻を鳴らすリンに戸惑う綾華だったが、カジオーネキが苦笑しながら補足する。
「あー、綾華ちゃん気にせんでええよ、幼女ネキが勝手に言ってるだけだから。性能はともかく外見と売れ行きなら天地の差がある癖に何故か同列だと思ってる節あるからこの子」
「何をう! てらほくんも島二郎も面白い外見だし性能だって素晴らしいんだぞ! ほら! 見て見ろ綾華!」
などと憤慨しつつリンが渡してくるのは、リン謹製の簡易シキガミ、『てらほくん』と『島二郎』の仕様書。
てらほくんはアイテムを使って一時的にレベル20程に強化でき、使用するアイテムによって特性が変わるという能力があり、平素の状態でもレベル10台の戦闘力を持ち、
島二郎は戦闘力は低めだが霊的食材の調理能力と調達能力、そして自衛レベルの戦闘能力を持ち性能そのもの『は』悪いものではなく、むしろ便利であろう。
しかしその外見がゴリラとゴキブリを混ぜてゆるキャラにしたような外見と、デフォルメ前掛け一枚のオッサンというなんとも言い難い外見であり、反応に困った綾華は思わずカジオーネキの方を向く。
「ほれみろ幼女ネキ、これが正常な反応だぜ? 面白全部でモノ作るのは構わんけど、ちったあユーザーの意見も受け入れんと売れねえよ?」
「ぬぅ……性能は良いのに……」*10
頬を膨らませるリンと、それを苦笑しながら見るカジオーネキと綾華。そうこうしながらも応接室に通され、少し経つと、入って来るのは破魔ネキとリュール。
リンとカジオーネキを見ると、軽くため息をついてリン達の対面、左右からリュールと綾華に挟まれる形で座る。
「お待たせしました、幼女ネキに……カジオーネキでしたっけ? 以前の報酬代わりの件とのことですけど……子供から金を巻き上げる程困ってないですし、別にいいんですけどね。
……まあ、置きメドローアを無断でぶっ放したことについては色々思うところはありますが、そこについてはもうお説教は終えてますし」
「そうは言うがな破魔ネキ、きちんとお礼をしなければおさまりが悪いのだ! 何か手伝う事とかあるか? あ、お土産あるぞ。たくさん」
そう言ってリンが【飛雷神の術】で呼び寄せたのは古式ゆかしい唐草模様の風呂敷。応接室のテーブルの半分を占拠するそれを開けば、出てくるのは様々な形の武具や装飾品。
統一感などない品々であったが、唯一『火』や『月』などの漢字一字が刻まれた球がはめ込まれているのが共通点と言えば共通点か。
「宮城支部製の魔導具だ! 色々あるぞ、せめてこのぐらいは受け取ってくれ」
魔導具。漫画『烈火の炎』に登場するアイテムの再現装備群であり、字が刻まれた玉を核とした霊装の一種である。
宮城支部においてはガイアメモリやメモリガジェットなどの流れを汲む装備であり、リンの嫁の1人、ウカノミタマのタマにもこの装備群の中の1つ、風を操る【風神】が贈られている。
「私のお勧めは……水を刃に変える【閻水】*11や玉の切り替えで弾種を選べる【砲鬼神】*12、6つの形態を持ち切り替える【鋼金暗器】*13……いろいろだな!
あ、この【血種】*14とかどうだ? 福島支部の真人ニキも愛用している逸品だぞ!」
リンがそう言って取り出したのは武器や装飾品がほとんどの魔導具の中では異彩を放つ『玉のついた巨大な心臓』とでもいうべきもの。
余りにも生々しいそのデザインにカジオーネキは爆笑するが、当然ながら綾花は頬を引きつらせ、破魔ネキはため息をついて頭を抱える。
「幼女ネキ、確かに【血種】は便利そうですけど……デザインがあまりにも問題では?」*15
「……それもそうか。まあ、シキガミパーツを応用したもので付け外し簡単、効果が出るまで少しかかるが使用者の血液型限定で吸血・輸血が簡単、ちょっとした傷程度ならすぐ塞がる、血液を用いた攻撃方法も豊富と便利なものだからあって損はないだろう」
「まあ、他にもいろいろあるようですから受け取ってはおきますけど。これ、オーダーとかもできるんですか?」
「出来るよー。あ、これカタログね。こっちがホビー部の製品のカタログ。劒冑とか魔導具とかA・Tとか。いやー幼女ネキのおかげで開発しやすくていいわ。ま、幼女ネキも破魔ネキには色々支援してもらってて恩義あるみたいだからさ、遠慮なく注文してよ!
……何注文されても幼女ネキのオーダーよりデスマーチにはならねーし(ボソッ)」
合いの手を入れながらもホビー部のカタログを渡すカジオーネキ。その最後に呟くように言った言葉に破魔ネキは半眼でリンを見るが、心底不思議そうに首を傾げられた。この野郎。*16
破魔ネキは内心拳を握り締めるが、ため息を一つつくと、リンの持ち込んだ風呂敷を包みなおすと傍らに置く。
「ともあれ、以前の件の報酬として受け取っておきましょう。それで……どうします?」
「あ、私はカルラが見たいぞ! ジグラートもあるらしいし!」
「あたしは虚刀流を学びて―けど……ま、一応幼女ネキのお目付け役として来てっからね、後にするさ。
幼女ネキほったらかしにして姫路支部が吹き飛びましたじゃ笑い話にもならねえ」*17
「この子本当に何しでかすか分かりませんからね……」*18
「……この子人の形した核爆弾かなんかなんですか紫さん……?」*19
目を輝かせて破魔ネキの乗騎『ブラックナイトスコード・カルラ』を見たいと主張するリン、肩をすくめるカジオーネキ、ため息を吐く破魔ネキに今更ながらにリンが割と要注意人物であると気付く綾華。
その後リンが待ちきれず真っ先に応接室を飛び出すが、場所が分からず数秒後戻ってきたりなどしたのだという。
少し後。依頼が入ったため綾華がその場を離れ、リンとカジオーネキ、破魔ネキの3人で格納庫へと向かていた。
その途中、ふと破魔ネキが何かに思い至ったように宙を見つめ、リンへと視線を落とす。
「そう言えば幼女ネキ、以前ギリシャや北欧系の多神連合の居留地に殴り込んだと聞きましたが」*20
「ん? ああ、そういうこともあったな。あの時点ではまだ直接の交流はなかったから声はかけなんだが……
そういえば破魔ネキもあの下半神共の被害者だったな。星杖ニキにも言われたが、次があればそのときは誘うからな!」
「その時は是非。私の時で学習しなかった以上、どうせまたやるでしょうしね……」
「次は人も容赦せんがな。まあ、どっちみちあの下半神共とはそのうちナシを付けに行く予定だが。その時は呼ぼうか?」
「……というと?」
破魔ネキの問いにリンは『あ、やべこれまだ言わんといた方がいい奴だった』と呟くも、頭を掻き、改めて口を開く。
「まあ、あの下半神に直接的に被害に合っている破魔ネキには言うべきであり、知っておくべきだろう。
私は常々、あの下半神にどう嫌がらせをするかを日に五分ぐらいは考えているのだが」
「その労力をもっと別の所に使った方がいいと思いますよ?」*21
「まあそう言うな。あのイキった種馬が苦虫を噛み潰している顔を見るのは最高にスカッとするぞ!
日に五分とは言え私の思考時間を割く価値はあると思う」
「それは……そうかもしれませんね」
「襲撃に加わったあたしが言うこっちゃねーけど、若い子はもうちょっと前向きにモノ考えた方がいいんでないかと40代のババアは思うよ?」*22
からからと笑うリンと頷く破魔ネキ。そんな2人を半眼で見るカジオーネキをスルーし、リンは話を続ける。
本霊が多神連合盟主・魔神ゼウスの天敵ともいえる巨人、テュポーンであるという以前に、その傲慢なやり方をリンは毛嫌いしている。
以前イズナに手を出されかけた件でそれは一層強まり、その際奪取したゼウスの悪魔カードを全書に登録しはしたものの、オリジナルは未だ何かに使用することなく『戦利品』として所持している程だ。
そんなリンがゼウスの面目を潰す手段を日頃考えに考えた末、ある方法を考え出した。それが―――
「テュポーンの高位分霊を宮城に招く。まあ承諾するかは向こう*23の出方次第だがな。どうせあいつは私に対してそう強くは出れん、成功しないとしても精々いい嫌がらせにはなろうさ」
「……なるほど。それなら私もその時は帯同しましょう。以前の事を持ち出して突いてやれば面白い顔が見れそうですからね」
「根性曲がってんなぁこいつら……」
悪巧みをしているリンと破魔ネキを呆れたように見つめながら、その時があれば帯同してやりすぎないようにせにゃなあ……と心に決めるカジオーネキであった。
「カルラだー! やはり現物は迫力が違うな! 確か呉製なんだったか? となるとイカルガのような人工筋肉系とはまた違うのだろうな!」
姫路支部、格納庫。格納庫に鎮座する破魔ネキの乗機『ブラックナイトスコード・カルラ』。騎士鎧を思わせるそのデザインと原作においてラスボスを務めるにふさわしい威容は、リンの琴線を大いに刺激していた。
足元を走り回り、よじ登り、頭の上で満足げに鼻を鳴らすリンを見て、破魔ネキとカジオーネキは顔を見合わせて苦笑する。
「こうしてはしゃいでいるところを見ると本当に年相応ですね」
「まあそのはしゃいでる対象が原寸大MSだけどねぇ。そういや、ノワールさん達は今荷受け中なんだっけ? あたしの三世ちゃんは留守番させて来たけど……今日来てるのはノワールさんとブランちゃん、キャナルちゃんだったかね」
「そうですね。幼女ネキからは以前から簡易シキガミ達の注文を受けてましたから。幼女ネキ以外からの注文も多いので今までかかってましたが。幼女ネキ自身から遅れても構わないと言われてましたしね」
荷受け。元々破魔ネキはリンがナマズオやてらほくんを作り出すより前から様々な簡易シキガミを製作して販売しており、リンが勝手に対抗心を燃やしているだけで年季も販売実績も破魔ネキがはるかに上回っている。
リン製の簡易シキガミも性能そのものはけして劣るものではないが、そもそもの
唯一売れているちびノブ系ですら純粋な売れ行きでは大差を付けられており、ゲーム『魔界戦記ディスガイア』のモブを中心とした美少女系の外見が多い破魔ネキ製の簡易シキガミとの売れ行きの差は歴然である。
ともあれリン自身対抗心こそあるが敵視しているわけでもなく、外見で圧倒的に負けているのは理解はしているので普通に破魔ネキ製シキガミも注文したりしているのだが。
「必要だから買っているというよりは趣味で買いそろえているだけだからな! あとは今現在の環境だとナマズオやてらほくんなんかは表に出せんし……」
ひとしきり見て回って満足したのか、頭を掻きながら話に入って来るリン。確かに服装をどうにかすれば人間でも通る破魔ネキ製と違い、ネタに走った外見であるリン製のものは偽装術式を掛けなければ表には出せない。
一応、リンもその辺りは理解はしているらしい。
「じゃあ普通に人間っぽいの作ればいいじゃないですか。確かお嫁さんの紅蓮さんとか幼女ネキが手作りしたシキガミ体ですよね?」
「普通にかっこかわいいもん作っても面白みがなくてなぁ……ともあれ、破魔ネキ製のデザインそのものは素晴らしいし、私も純粋な人型シキガミを作ってみるべきだろうかなぁ。
メガニケの量産型ニケとか……原神のモブ敵やファデュイ系列とかは私も好きだし作ってみても良いかもしれんな。第一、人型には人間の使う霊装をそのまま転用できるというメリットがあるし」
「メリットそのものは理解できてんじゃん。それにハナコちゃんだって元々学校用の先生シキガミの試作品でもあるんだし、そう言う方向でのシキガミデザインもしとくべきじゃね?」
「ぐうの音も出んな!」
「そこは嘘でも何か否定しましょうよ」
などと言っていると、俄かに入口の方が賑やかになっていた。視線を向ければ、そこにはノワール達を始めとしたリンのシキガミ達3名、カジオーネキのシキガミであり娘でもある三世、そして破魔ネキのシキガミであるリュールとM.O.M.O。
そしてM.O.M.Oに似た顔立ちの、水色の髪をツインテールにした少女……破魔ネキ製汎用シキガミ『量産型百式観測型レアリエン』が格納庫に入ってくるところだった。
駆けよって来るリンの姿を見て、ノワールが柔らかく微笑み、手を振って来る。
「マスター、こちらにいらしたんですね。破魔ネキさん製シキガミ、【氷棲族】【アーチャー女】【盗賊女】【重騎士女】【僧侶男】各5体、既に【トラポート】で宮城に転送済みです。
こちらの『量産型百式観測型レアリエン』はそのまま置いておけと伺いましたので同道させましたが……例の計画のためとはいえ、随分お買い上げになりましたね?」
「おお、ほんとに量産型百式だ、うむ、流石は破魔ネキ、デザインに妥協無しだな! 可愛いぞ!」
「わ、わわ……」
唐突にリンに頭を撫でられ慌てる量産型百式レアリエン。その様子を微笑ましく見つめながら、破魔ネキはノワールの言葉に首を傾げる。
「例の計画、とは?」
「ああ、別に隠しているわけではないのだがな。現在宮城県各地に私直属の動物・人外部隊、百鬼夜行の即応班のアウトポスト……まあ簡単に言えば駐在所のようなものを作ろうと計画していてな。
その駐在所をお好み焼き屋に偽装して宮城県各地に設置しようとしているのだ。今回買った氷棲族以外のやつらはそこのホールスタッフにしようと思っている。美人だしな!
そして表に出ない調理場や裏方業務・クレーマー対応などはクローンヤクザに行わせる。お好み焼き屋にしたのはそこで食事をさせて補給なども行うためだ。私はこれを『ヤクザキッチン*24計画』と名付けた」
「……幼女ネキ、それ『クローンヤクザを店員として使う飲食店だからヤクザキッチンだなガハハ』ぐらいで付けた名前ですよね?」
「うん」
即答であった。
ともあれ、計画そのものは有用なものである。黒札とは言え基本的には人間であり、それ以外の者達も人間である以上休息は必要である。ウカノミタマの一件以降彼女の氏子衆が加わったことによりマンパワーの不足もある程度解消されてはいるが、彼らも人間である以上どうしても休息の問題はついて回る。
シキガミもまた休息自体は必要ではあるが、人間ではない以上ある程度の無理もでき、かつ絶対服従の信頼できる手駒だ。事件発生時の初期対応や応援人員として宮城各地に配備した『ヤクザキッチン』でその穴を埋める、というのがリンの計画なのである。
「それにこの計画が上手く行けば福島などのマンパワー不足の支部などの助けにもなる。今回は初期メンバーとして私の趣味で買った破魔ネキの所の面々を使うが、私の方でも人型シキガミを製作できるようになればもう少し上手く回せるだろう。
ガイア連合所属員用の補給場所としても使えるようにするつもりだし、私とて趣味だけで遊んでいるわけではないのだ!」
「なるほど……まあ、有事の際に即応できる信頼性の高い手駒はあると便利ですね。……そういえば、百式の方はどういう仕様にするんです?
幼女ネキならどのような仕様にも出来そうですけど」
「……ふむ」
破魔ネキにそう問われ、リンは暫し熟考する。
シキガミ『量産型百式観測型レアリエン』は本来電子戦対応のシキガミとして製造される予定だったが、対応するスキルカードのコストから汎用型として作られた経緯がある。
リンとしては元々の仕様どうりの電子戦仕様にするか、と考えていたが、そこでリンが視線を向けた先にいたのは、スレンダーな美貌を持つ白髪の美女。ノワールの『妹』として作ったシキガミ、ブランだ。
元々人懐っこい気性であり、
「ブラン、お前にそいつを預ける。スキル構成と育成は任せるぞ、お前と
「えっ」
「いいんですかマスター!? わーい! 私もマスターのお嫁さんですけど、それはそれとして妹が欲しかったんです!
『三か月分』。それはリンにより伴侶たちへと贈られている結婚指輪代わりのプレゼントの事であり、ノワールで言えば『妹』であり専用装備である
唐突にブラン預かりとなり戸惑う百式、唐突に妹が増えたがむしろそれを喜ぶブラン。そんな対照的な2人を、一同は微笑ましく見守るのであった。
そんなわけで118話でした。破魔ネキの所のシキガミ達はね……欲しくなるよね……!
そして売れ行きでは多分雲泥の差だと思う。ようじょ製の奴だと生産性では優れているけどそもそもの外見がちびノブ以外アレなので。
□解説
・ようじょ
シキガミも大量購入してカルラも見れて大満足だったようじょ。
多分カルラを見てキャッキャしてたあたりで本来の目的を半ば忘却している。
ブラン(とノワール)の妹になった百式ちゃんには手は出さない。(「ブランの」であり「自分の」ではないため)
・カジオーネキ
なんとかようじょが問題を起こさず満足してくれて一安心した人妻。
後々また姫路支部に来て虚刀流を学んでいった模様。
なお、シキガミ「三世」はカジオーネキと一蔵さんの血肉を混ぜて作ったコアをカジオーネキの胎内で育成・出産しているので割とガチの意味で三世とは親子。
・破魔ネキ
ようじょの相手お疲れ様でした。このようじょ目の前にかっこいいロボとか面白そうなおもちゃぶら下げとけば大体ご機嫌で楽しんで帰っていくから……
なお二度三度がないとは言わない。
・ブラン
妹が出来て大満足な白バニー。
基本的に天真爛漫な子なので新たにできた『妹』を振り回しつつも頑張って面倒を見ようとしている。
割と善意でオーダーメイドしたお揃いのバニースーツ(色違い)をプレゼントしたりもした。
・量産型百式ちゃん
ようじょにより『ヴェール(仏語で緑)』と名付けられた。良い子。常識人。
大分常識的な子なので宮城に来てからはようじょの奇行に素で引いている。
でもお姉ちゃん達(ブランとノワール)の旦那様なので馴染もうとはしている。
宮城に着た後、戦闘用のバニースーツ(ノワールとブランの物と同デザインで緑色のもの)を渡されて途方にくれたりもした。ウサミミだけは気に入ってつけている。
〇番外
・真人ニキ
基本医療班なのであまり前線には出ないけど、実は福島有数の剣士。
魔導具が実用化されてからは【血種】の血で【閻水】の刃を形作って戦っている。
回復魔法も得意なので失った血をそれで補ったり手術の際に活用したりもする。
外科の腕そのものは自前。最近胃薬を作る機会が増えて来て薬学にも通じ始めている。