今回は前回のすぐあと、という想定の話。恩返し行脚とは関係ない話ですがずっと書きたかった話です。
雑談スレ(山梨) その〇〇
266:名無しの転生者
なんか今あの幼女ネキがこっち来てるらしいな
267:名無しの転生者
あっ馬鹿そう言う事言うんじゃない、影が差すだろ
268:名無しの転生者
言うて情報共有はしておくべきだし……
269:名無しの転生者
幼女ネキって誰よ? 今こっちにって事は地方勢なん?
270:名無しの転生者
簡単に説明すると
・宮城支部所属の黒札・レベル90越え
・努力を尊び怠惰を嫌う生粋の修羅勢、山梨の幹部や修羅勢、他支部の面々とも交友がある
・喧嘩を売るべきではない相手上位ランカー
・八歳女児
こんな感じ?
271:名無しの転生者
八歳女児って情報必要だった? いやまあ幼女ネキって名前の由来なんだろうなとは思うが
喧嘩売らなけりゃけっこう付き合いやすい良い子だぞ? 上で警戒してるのは巻き藁連中じゃねえかな
272:名無しの転生者
巻き藁って?
273:名無しの転生者
ああ!
という冗談はさておき、幼女ネキの新技とか新武器の試し打ちの的になってるやつらだな
なお選出理由は幼女ネキに喧嘩売った奴らだから割と同情の余地もないっていうね
幼女ネキ自体、メシア教のあれこれで家族亡くして、地方行ったのも地獄みたいな環境から宮城支部長に救い出された恩返しだって言ってたし
274:名無しの転生者
そんな子の家族を侮辱したりすればそりゃあ恨まれるよねって話
正直な所ざまーみろとしか言えねえ
275:名無しの転生者
ちょっと突っかかったぐらいで殺しにかかって来る方にも問題があると思うんだが!?*1
276:名無しの転生者
いや無いでしょ、俺本人にその辺聞いたことあるけど、メシアン無関係の天使を嫁にしたこととか元メシアンとは言えしっかり禊済ませた子を迎え入れた事に難癖付けたり、
幼女ネキの嫁になった日本神とか、その間に生まれた娘さんとか、なんだったらメシア教施設から救出したメシア教被害者で天使人間にされた子の事とかに文句付けたらしいじゃん?
まあ報復が過激だとは思うが……家族を失った子がやっと手に入れた家族に文句言ったら命があるだけ有情よ? ただでさえ故あれば*2多神連合の居留地襲撃してぶっ殺して回ったりする子なんだからさ
俺らみたいな木っ端転生者に遠慮するような子じゃねーだろ
277:>>275
だからってさあ……毎度毎度異界に連れ込まれて射的の的にされるの結構神経削れるんだぞ!?
ショタおじに行っても何ともしてくれないしさぁ……*3
278:名無しの転生者
お前、それたぶん心底反省してないからだと思うぞ? 俺も一応元巻き藁勢だが、そのあと色々あって元メシアンの子供を引き取ることになってな?
なんとなく幼女ネキの言う事は理解できるようになったんだよ。そんで幼女ネキにガチ謝罪して許されたりしたんよね*4
お前、どっかで『元メシアンなんて信用ならねえ』とか『日本神や現地民なんてカスや』とか思ってないか? そう言う点を見抜かれてんじゃないの
それ以前に家族を侮辱するような奴とか完全アウトやろ
279:幼女
まあ私が言う事は大体言ってくれたから私が言う事はないな。会話で収めるラインを越えたならもう戦争しかないのだぞ
黒札はみな平等、などという寝言を言っている馬鹿もそこかしこにおるが、功績をあげている者は優遇されてしかるべきだ。黒札の間でもそこは変わらん*5
私とて無意味に周囲に殴りかかったりはせんぞ。私が拳を振り上げるのは常に理由があればこそだ。殴られたくないなら隅っこで大人しくしてろ
弱いくせに一丁前に口を出すから痛い目を見る。他人に物申したいなら道理を通せ。己の意を通したいなら力を付けろ。それができんから貴様らは巻き藁程度にしか役に立たんのだ
280:名無しの転生者
うわでた
281:幼女
>>278
ああ、あの時のやつか。引き取った奴は元気か? 何か足りないものがあれば言え。後払いで用立ててやろう
282:278
あ、大丈夫。そのぐらいは俺の稼ぎで何とかなってるからな。でもほんとにやばい時は頼む……というか、今宮城に移籍するつもりで申請出してんだよね
幼女ネキんとこの〇〇町には幼女ネキの嫁さんの一神教調和派の教会あるだろ? うちの子も一神教信者なのは変わんないからさ、できればそこに行きたいんだよな
283:幼女
構わんぞ、好きにしろ。天は自らを助けるものを助けるというからな。自助努力が出来るのならばとやかくは言うまい
284:名無しの転生者
よ、幼女ネキが他人に親切にしている……めずらし……
285:名無しの転生者
まあでもこの子暴れん坊でもあるけど基本的に義理堅い子だからなぁ。基本身内には鷹揚だぞ?
ロボ部ホビー部で宮城に移籍するやついるのも何か分かるよな
286:虚空
あ、幼女ネキ、例のお三方見つかりましたよ。なんか即逃げようとしたので捕縛しましたが。あ、私宮城ホビー部の虚空ネキです
[動画]
(黒札らしきやつら3人がえっちゃん×4に囲まれて『死にたくなーい! 死にたくなーい!』と叫んでいる動画)
287:名無しの転生者
なぁにこれぇ(しろめ
288:名無しの転生者
三馬鹿ラス*6やん。被害の少ない方の三馬鹿の。こいつらまたなんかやったんか
289:海魔
いえそれがよく分からないんですけど、幼女ネキが呼んでますよって声かけたら即逃げ出しまして。あ、私も宮城ホビー部の海魔ネキです。虚空ネキの姉です。双子ですが
幼女ネキ、あの人たち何かやったんです?
290:幼女
はて、覚えがないな。この間凰音の爆乳神社*7作ってたのはロシアンルーレットさせて落とし前付けさせたし……
[画像]
(巨大な祭壇を作り一息ついている三馬鹿ラスとようじょ)
[画像]
(三馬鹿ラスにセミオート拳銃を手渡すようじょ)
[画像]
(泣きながら銃口を自分に向けて引き金を引かせられるヨロイニキ)
[画像]
(泣きながら銃口を自分に向けて引き金を引かせられるサスケニキ)
[画像]
(泣きながら銃口を自分に向けて引き金を引かせられるクロマニキ)
291:名無しの転生者
これはひどい
絵面もだけど爆乳神社って何さ
292:名無しの転生者
セミオートでロシアンルーレットさせる意味なくない???? 毎回弾出るよね?
293:幼女
失敬な。きちんとランダム要素は入れてるぞ? 弾はぞれぞれ違う属性の弾入れてるから運が良ければ生き残れるぞ。まあ、とどめは刺したが
294:名無しの転生者
このようじょ殺意しかねえ!
凰音ってこないだ救出されたらしい有木さんだよな、そうかようじょの嫁になってたんだよな……なんであのバカ共そんなガソリン被って火打石使うような真似を
295:幼女
気持ちはわかるぞ、あんな常識外れにどでかいブツを見たら崇めたくなるのは分かる。私もカス子ネキもキノネキも破魔ネキも拝んだからな
だがそれはそれ、これはこれ。私の嫁や友人で不埒な事を考えたのだ、命で償ってもらわねばな
私基準で不埒というだけであいつらどういう訳か下心なく純粋な信仰心でやってただけだからこれで手打ちとしたが*8
まあ私の知らんとこで何かやってたのかもしれんな。私が今回探してたのはあいつらの知り合いに用事があったので繋ぎを取って欲しかったんだが
お前らドクターネキ*9って知ってるか?
296:名無しの転生者
あー、知ってる。なんかちっちゃいゾイド作ってる子だろ? 俺は受けなかったけどなんか依頼出してたらしいね
297:虚空
あ、それ聞いたら落ち着きましたよ。とりあえず今いる場所送ったんで来てくださいね、縛ってますんで
298:幼女
ほいほい、今行くぞ
それでも逃げようとしたら膝を砕いてくれて構わん。どうせぶん殴れば余罪出て来るからそれでノーカンだろ、余罪がなくても治せばいい
ロシアンさせた時もちゃんとぶっ殺してから蘇生したから私的にはノーカンだ
299:名無しの転生者
なんぼあいつらでもここまでされる謂れある?*10
300:名無しの転生者
でもあいつらだぞ? いくら夜の生活がエンジンオーG12*11という破天荒に過ぎるフリーダムようじょでも、小学生に処女かどうかの確認をしに行くようなやつらだしなあ……
巻き藁共の扱い考えるとこれでも大分有情というか折に触れやらかしてぶっ殺されてるけど巻き藁に加わってない方がおかしいのがあいつらだし?
301:幼女
あいつら本当に不思議なことに悪意や性欲で聞いて来たんじゃないんだよな……ただ純粋に疑問に思ったから聞きに来たという。教えてやらんかったがな
本当に理解が出来ないがまあおもろいアホ共なので野放しにしてる感じだな。ちひろネキに聞いたが不思議なことにドクターネキと仲がいいんだよなあいつら
だからコンタクトを取るのに仲介してほしかったんだが……何で逃げたんだろうな?*12
302:名無しの転生者
そりゃ幼女ネキ自らの呼び出しだぜ? 何もしてなくても幼女ネキ視点で何かやったと思われて殺しに来られたのかもしれんし、逃げるでしょ普通
303:幼女
せやろか
304:名無しの転生者
せやで
305:名無しの転生者
せやな
306:海魔
ワイトもそう思います
307:虚空
ラドンもそうだそうだと言っています
308:幼女
まあいいか。何か手土産持ってった方がいいかな、お菓子でいいか?
309:海魔
ちっちゃい女の子らしいですしお菓子とか良いんじゃないです?
とりあえず私達は「なるまん」持ってきましたけど。栗が入ったお饅頭ですね。故郷が鳴子の方なんで*13
310:虚空
あとはホビー部のカタログと製品交換チケット10枚綴りを持ってきましたよ。これ1枚でカタログに載ってるホビー部製霊装1個と交換できるギフト品です
ホビー部で制作物作ってる人間にしか発行されないレアものですよ
311:名無しの転生者
うわ、普通に欲しい奴だそれw メカ系だと呉とかロボ部が最大手だが、デザイン性重視の霊装系や対魔玩具になるとホビー部の独壇場だもんなぁ
エア・トレックとかカッコいいもんな
312:幼女
ギフト券、私もスポンサー特権で貰ったが全部娘の友達とか舎弟にやったなぁ。私はスポンサーでもあるし製品には金を出さねばな
313:名無しの転生者
幼女ネキってそう言うとこ結構義理堅いよね
314:名無しの転生者
言動ですっげー山梨でも好き嫌い分かれてるけど、なんだかんだ上位陣や地方勢に可愛がられてるのはこういうとこしっかりしてるからなのかねえ
315:名無しの転生者
少なくとも嫁と娘とその友達とを全員抱え込んで世話できる甲斐性はあるもんな、そうそう真似できんわ
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「……なんだ、それなら最初から言ってくださいよ幼女ネキ。また何かしてて殺されるかと思ったじゃないですか」
「私とて何もしてない相手に殴りかかるほど乱暴ではないぞ。第一説明する前に逃げたそうだしな、お前らが悪い。
そもそも思い当たる節がなくとも逃げる位お前らが私に対して馬鹿やってるのが一番の原因だろうが」
「それ言われると何も言えねえ……」「だな……」
山梨支部、居住区。ドクターネキの自宅までの道を、リンと天堂姉妹(とそのシキガミ達)、そして忍者装束、鎧武者、魔法使いのような外見をした少年3名。
彼らこそ、リン・脳缶ニキ・カス子ネキを指して『被害が大きい方の三馬鹿』と呼ばれる中その対極にいる『被害は少ない方の三馬鹿』*14と呼ばれる名物黒札トリオ。
サスケニキ・ヨロイニキ・クロマニキの3人、通称『三馬鹿ラス』であった。
「それにしても、ドクターネキは騎乗可能なサイズのゾイドを制作しているとか? 一応製作系黒札としては噂には聞いてたので現物を見るのが楽しみですね」
「ゾイド……いいですよねえ。原作サイズの搭乗式も良いものですが、連れ歩けるサイズのものは唯一無二では? ホビー部としては是非お話を伺いたいですね」
ホビー部らしく頷いている天堂姉妹。その言葉にリンが振り返り、ぐっと拳を握って見せつつ口を開いた。
「ロマンあるよな乗れるゾイド! 第一原寸大はかさばるし、連れ歩けるというのは素晴らしい発想だ! 私も是非作ってもらいたい!」
「幼女ネキは何作ってもらうつもりなんだ?」
「ほんとチョイスが渋いんだよなこの8歳児……」
即答するリンにややげんなりするヨロイニキ。そうこうしている間にリン一行はドクターネキの家である洋館の前絵と到着し、サスケニキが入口のチャイムを押す。
『はーい。どうしたのお兄ちゃんたち?』
「ドクターネキ、今大丈夫か? ネキに会いたいって奴を連れて来たんだが」
『え。……あ、幼女ネキ、かな? うん、ちょっと待ってね、片付けるから!』
「――――――だってさ。多分研究開発してて散らかってんじゃないかな。……どうした幼女ネキ、難しい顔して」
ドクターネキからの返答をリンに伝えるサスケニキだったが、リンは難しい顔をして何事かを思案しており、少しの後『忘れ物をした、暫し待て』と言い残して天堂姉妹共々一度その場を去るのであった。
「ンナナ(すまんな、待たせたかドクターネキ)」
「……えぇ……? ボンプ、だよね……? 幼女ネキでいいのかな」
「ンナンナ(そうですよ。今私達が遠隔操作してます)」「ンナ~(理由は分かりませんが)」
暫しの後。ドクターネキ宅の応接間では、デフォルメしたウサギのようような何かがいた。リン謹製簡易シキガミの1種『ボンプ』が3体、ソファに座ってドクターネキと向かい合っていた。
左右にヘルメットを被った黒い『ゴアンゼン』が1体づつ、中央左右に狐の様な耳をした『ミヤビボンプ』。あの後唐突に孔雀明王へと帰ったリンであったが、天堂姉妹をも巻き込んでその場にあったボンプを遠隔操作するような形で舞い戻って来たのだ。
なお、内訳はリンがミヤビボンプ、天堂姉妹がゴアンゼンを操作している。
「ンナッ(大丈夫だ、問題ない)。……ンナナ。ンナーナナナ(というわけで改めて自己紹介をしておこう。宮城支部所属、鵺原リン。幼女ネキで通っている)」
「ンナ~(宮城支部所属ホビー部の天堂海です。海魔ネキとお呼びください)」
「ンナー(同じく宮城のホビー部、天堂空です。虚空ネキと呼ばれてます。あ、こちらお土産のくりまんです、どうぞ)」
「うわぁなんかンナンナとしか言ってないのに意味が分かるぅ……変な感じ……」
お土産を受け取りつつなんとも言えない顔をするドクターネキ。
リン謹製の簡易シキガミシリーズの最新作、ボンプ。ゲーム『ゼンレスゾーンゼロ』の小型ロボットの再現シキガミである。
作中でも『ンナ』二字を基軸とする二進数めいた暗号言語を用いており本来は翻訳機を用いて会話するのが一般的らしい。
しかしリンは制作時その辺りを考慮し、『翻訳機は不要だが特徴的な鳴き声は残すべきである』と一考。
リンの万能会話の権能を超低レベルで複製・改造し『「ンナ」としか発言しないが言わんとしていることの意味は伝わる』というスキル『【圧縮言語(ボンプ)】』を搭載した。
もっともリンの様に国籍・種族問わず伝わるのではなく基本的に日本語としてしか伝わらないため、そこは言語理解系のスキルを別途(実費で)投入する必要があるが。
なお、そのせいで性能としては変身能力を持たないてらほくん程度の性能だが、簡易シキガミ系最高額のてらほくんと同等か少し上ぐらいのコストに落ち着いている。
また、今までのナマモノ共と比べるとちびノブとツートップを張るぐらいに売れていてこれまたリンは釈然としない顔をしていた。
「ンナッンナッ(私の権能を超劣化複製した圧縮言語系スキルを搭載しているからな。日本語でしか伝わらんのが欠点だがそこは購入者の実費でアップデートしてもらうことになっている)」
「なんかもう気にしない事にするよ……ところで、今日は私のゾイドを注文したいって話でよかったのかな、待ってる間お兄ちゃんたちから聞いたけど」
「ンナンナ! ン~ナッ!(うむ! お前が連れ歩けるサイズのゾイドを制作していると聞いてな! 是非注文させてもらえんかと思ったんだ!)」
「わあすごい食いつき……ところで、ゾイドの種類は何かリクエストとかあるのかな」
「ンナ!!!!!!(サイカーチス3機とダブルソーダ1機を依頼したい! 開発資材・建造資金はこっちで持つ! なので是非に……!)」
ものすごい食いつきに思わず三馬鹿ラスを見るドクターネキ。三人揃って『いや無理』とジェスチャーを返された。この野郎。
ちらりとリンの左右にいる他の2人を見る。
実際、リンの食いつきが異様なだけで話としては資材・資金がクライアント持ちという非常に有り難い話でもある。断る理由はない。しかし、ドクターネキには少々気がかりなことがいくつかあった。
「その……受けるのは良いんだよ? でも、納期ってどのぐらいになるかな……幼女ネキって報酬は惜しまないけど鬼納期で依頼してくるって噂が……」
「ンナナナナナン(誰だそれ言ってんのは。私は別に鬼納期を迫った覚えはないぞ。善意で逃げ道潰してくるとはよく言われるが……宮城ロボ部のデスマーチはあれ自主的にやってるだけで強制はしとらんぞ? まあ、週刊連載感覚で持ち込んでくるから自分のやりたいことやるために自主的にデスマってるそうだが)」
一応、事実ではある。リンとしては資金・資材は調達しようと思えばいくらでもできるのですぐさま用意してるだけなので、納期をさほど厳しく設定してはいない。
ただその運命力から仕事を持ち込んでくる頻度が週刊連載感覚、と言われる鬼スケジュールにならざるを得ず、結局自分達の研究時間などを確保するためにオラシオニキらが自主的にデスマーチをしている、という話になる。
「まあ、宮城の人達は幼女ネキのロボの整備とかもやってるだろうからなぁ……ともあれ、了解したよ。最後の質問なんだけど、その、何で今日、1回引き返したの?」
当然の疑問である。用事があると呼ばれてみれば当人は用事が出来たと一度引き返し、そして戻ってきた。ボンプを遠隔操作して。
自分の技術力や作品を見せたかったのだろうか……とも思ったが、当のリンからはその辺り何も言及がない。
リンはその問いを受けると、ンーナと腕組みして悩み、離れた所で座っている三馬鹿共へと視線を向け、マッカを数枚放る。
「ンナナ、ナナナン(それを話すには少し長くなるぞ。おい馬鹿共、おつりはくれてやるからポテチとコーラを人数分買って来い。そのマッカを換金すれば金は足りよう)」
「え? 私達が行くんですか?」
「ンナン(さっさと行け)」
唐突にパシッってこいと命令されたクロマニキが首を傾げるが、直後ドスの利いたンナ語を叩きつけられ、ぶつぶつ文句を言いながらも三人連れ立って部屋を出ていく。
3人組の足跡が聞こえないぐらいに遠ざかったのを確認してから、リンは改めてドクターネキに向き直りンナー、とため息を吐いた。
「ンナナ、ンナンナ(お前、人間苦手だろ?おそらくカメラで私を見たタイミングで、お前の声に怯えの色が混じった。だからこうしてボンプを介して会おうとしたわけだ)」
「え……どうして、分かる、の?」
思わず声が上ずる。ドクターネキはその過去から、人型の物体に本能的に不信感を抱いてしまうというトラウマを持っている。
昔に比べれば大分マシにはなってきているが……それでも、初対面の、しかも暴れん坊として有名な幼女ネキだ。勤めて抑えようとはしたが、どうしても混じってしまったのだろう。
「ンナンナ、ンナ……(聞けばわかる。自分の意志でもどうにもならんものを抱えてるやつの声色だった。ちょっと前に死ぬほど聞いた声色だし、今も私が口を開くたびに聞いている声色だ)」
リンはそこで一拍置き、ため息を一つ。
「ンナナンナンナ(私もそうだ。お前と方向性は違うがな。ガイア連合に救出された直後は、死にたくて仕方がなかった。でも死ねなかった。生きるしかなかった。死にたかったのに)」
その言葉は、非常にフラットで感情というものが感じられなかった。どこまでも平坦で、静かで、ンナ語に変換されてもなお、隠し切れないどこまでも深い絶望の色だけが、ドクターネキには感じ取れた。
「ンナンナナナ、ンナンナ(だから、お前の気持ちは少しだけわかる。だからこそ、せめて人型からいくらか離れたボンプの姿でなら気安く話せようか、とな)」
「そっか……」
考えてみれば、幼女ネキはまだ10歳にも満たない子供なのだ。その子供が、命を懸けて斬った張ったを繰り返す最前線で大暴れする、そこに理由がないわけはないのだ。
「ンナンナ(まあ、これでも大分マシにはなってきている。昔は眠る事すらできなかったが、今では気楽に昼寝も出来ている。ガイア連合の皆のおかげだ)」
「……私もそうだよ。色々あったけど……いろんな人たちに、助けてもらったよ。ゾイド用のシキガミコア作るのにもお兄ちゃんたちに手伝ってもらったりもしたし!」
「ンナナナ、ナナン(あのアホ共でもたまには役に立つんだな、普段はアホの煮凝りみたいな度し難いなんかなのに)」
「それは言いすぎだよ! ……とも言えないのが微妙なラインかな……うん……そういえば、お兄ちゃんたちを買い物に行かせたのは、知らせないため?」
「ンナンナ(あいつらそう言うの知ったところで挙動バグって変な気遣いしだすだろうしな、知らぬが仏だ)」
だよねー、と同意するリンとドクターネキ。天堂姉妹は『あの人たち挙動が予測不可能で有名ですからねえ』と肩をすくめる。
そうこうしている間に三馬鹿達が戻り、『技術者であるドクターネキに自分の技術力を見て欲しかった』という表向きの理由を語りながら、一同は暫し歓談。
ゾイド4機の依頼を済ませ、リンは上機嫌でドクターネキ邸を後にするのであった。
「ンナナ。ンナナナ!(今日はいい気分だ。 友人も増えたし、なにより噂の連れ回せるサイズのゾイドを注文できたからな! 感謝するぞアホ共)」
「感謝と同時に罵倒されてんだけどこんなことある?」
ドクターネキ邸からの帰路。天堂姉妹(入りボンプ)と三馬鹿達を引き連れて、上機嫌で鼻歌を歌う
「ンナナ(事実だろ。ドクターネキに私やキノネキ、破魔ネキらにやったようなことかましたら今度こそ巻き藁だからな)」
「やりませんて。流石に僕達もその辺の線引きぐらいは弁えてますからね?」
「ンナ(バリゲーターにワニの交尾動画見せた奴らの言葉を私が信用すると思うか?)」
「「「何も言えねえ」」」
そのまま歩くことしばし。居住区を離れ神社との間の森林地帯に差し掛かったあたりで、サスケニキがふいに口を開く。
「そういやさ、俺らが言う事じゃないと思うんだけど……ありがとうな幼女ネキ。ドクターネキに積極的にかかわろうとしてくれてさ」
「ンナ? ナナンナ、ンナナ?(どうした藪から棒に? あいつもなんかあったんだとは思うが、別にそこは重要ではないぞ?)」
「それでもですよ。いやまあ幼女ネキも大概だとは思いますが……いくら僕らでも何となく察しはしますよ、色々あったんでしょうし。あの子も幼女ネキも」
「ナナン(だろうな)」
追従するクロマニキに、言葉少なに返答するリン。浅慮・短慮・発想が斜め上所かゲッター機動で抉りこむような急角度を攻めてくる三馬鹿と言えど、一応は現代日本に産まれた男子高校生である。
ガイア連合に所属しているという時点で何となく何かがあった、程度には察するし、それを聞くことはしない程度の優しさはある。
良くも悪くも『俺ら』であり『男性』というよりは『男子』、というべきノリの連中、それがリンの三馬鹿評であった。
「ンナンナ、ンナーン(多少なり過去に同情もしたが、それでも私はドクターネキの意志と努力をこそ評価している。努力は報われるべきだ。それが正しい努力ならな。そういう意味では、馬鹿をやりながらにせよ積極的にレベルを上げようとしているお前らもまあ、それなりに評価はしているぞ)」
「そりゃまあ有り難いことだけどな。俺らだって差し迫ればレベル上げに勤しむぐらいはするさ」
溜息をつくヨロイニキ。基本的に見てる分には面白い珍獣のような感じで遠巻きに見られている三馬鹿であったが、一時期黒札から付け狙われていた時期があった。
日頃の行いから、ではなく、リンの友人でもある探求ネキから知識を教えてもらったことで、それを記した本を奪われそうになったことが何度もある。
幸か不幸かあの手この手で逃げ回り、下手人たちを『三馬鹿ラスに一杯食わされた恥晒し』として良き恥を晒させたりもしたのだが、それでもその知識を狙うものはいなくなったわけではなく、その自衛のため。
また、ある意味で盟友という出会いもあり、今後もそれを続けて行きたいという思いもまたレベル上げのモチベーションとなっているのだろう。
日頃のあれこれはともかくとして、目的のため努力をしている、という点ではリンから見れば、巻き藁連中や引きこもり共よりはよほど評価できる者達であった。
「ンナナナン、ナナ(それでいい。目的のために努力をする、それができてこその人間だ。『出来ない』のならば考慮するが、『出来るがやらない』というのは唾棄すべき怠慢だからな)」
「海魔ネキに虚空ネキ……でしたっけ。幼女ネキだいたいいつもこんな感じなんです?」
「ナンナン(そうですねえ。幼女ネキは一事が万事こうですよ)」「ンナンナ(私達としても出来る努力をしないで他人の成果をかすめ取ろうとしてるようなのは嫌いですし)」
思わず海魔ネキ・虚空ネキに問うクロマニキと、短い手足で器用に肩をすくめる
そうしている間に孔雀明王の停泊している地点まで到着し、三馬鹿とリン達は別れ、三馬鹿達はそのままレベル上げへと向かうのであった。
―――その夜。レベル上げ帰りの三馬鹿ラス達を、物陰から見つめる一団がいた。3人はそれに気づきもせずにやいのやいのと騒ぎながらも帰宅の途へと付いている。
そして、一団の目の前を通り過ぎ、一団が一歩踏み出そうとしたその時。
『『領域展開』』
目の前に漆黒が広がり、一団を包み、消えていった。三馬鹿達に、それを気取られることなく。
「―――っ!? なんだ、今のは!?」
一団の中の1人が周囲を見回すと、そこは巨大なコンサートホールであった。自分達は客席に散り散りになっており、慌てて合流するも、状況は不明。
ざわつていると、周囲のスピーカーがホワイトノイズを垂れ流し始める。直後、うす暗かったホールの各所から色鮮やかな色彩のライトが立ち上り、スポットライトがステージを指し示す。
そこには、銀髪の、アイドル衣装にスピーカーのようなユニットを背負い、エレキギターを持った少女が人差し指で天を指し、ポーズを決めていた。その後、少女がこちらへ視線と共に指を向けると、今度は自分達もがスポットライトで照らし出される。
混乱する一同に、少女のものと思しき声がスピーカーから聞こえて来た。
『えー、この度は私の領域、【
「こ、ここはどこだ!? 何で俺達がここに!? その口振りからするとお前も黒札なんだろ!? なんで俺達を!」
一団の中の1人である青年がそう問えば、海魔ネキ&虚空ネキと名乗った少女は首を傾げる。
『おや、自分達が今何をしようとしたか、お忘れで? えっと、ああそうだ、サスケニキさん、ヨロイニキさん、クロマニキさん達を襲撃しようとしてましたよね? あの人達は一応辛うじて今日知り合ったばっかりですが私の友人なので。さて、ご返答は如何に? 正直にお答えください』
「お、俺達はあいつらが持つには相応しくない探求ネキの知識をもらい受けようとしただけで……まて、おかしい、なんで俺は簡単に口を割って……!?」
思わず口を塞ぐ青年。おかしい、こんな本当の事を言うつもりはなかったのに、言葉が
一団はかつて三馬鹿達の持つ探求ネキから授けられた知識を奪おうとし、会えなく逃げられた者たちであった。今回そう言った者達の一部で徒党を組み、3馬鹿達を襲撃しようとしていたのだ。少女は一通り質問すると、一同ではない誰かに向けて、声を上げる。
『……だそうですよ幼女ネキ。一応こっちでも証言は録音してますが』
「―――ふん、予想通り過ぎてつまらん話だな。つまりはあの馬鹿共に一杯食わされたカス共が性懲りもなく仕掛けて来たというだけか」
その言葉と共に、一同の目前に人影が降り立つ。小さなその影は観客席の椅子の上に着地すると、両腕を組んで仁王立ち。
艶やかで長い黒髪を空調の風になびかせ、吊り上がった深紅の眼差しで一同を射竦めている。そう、言わずと知れた、我らが
ついでに言えば、ステージに立つ少女は海魔ネキと虚空ネキが合体した自称『謎のアイドルX〔オルタ〕』であり、身に纏う装備はシキガミ『海えっちゃん&空えっちゃん』が変形したものだ。
一団を閉じ込めたこの空間は天堂姉妹の【領域展開】。コンサートホールを模したこの空間の中では、2人の言霊使いとしての能力が最大限に発揮される。先程から一団が質問に悉く答えてしまったのも、天堂姉妹の言霊によるものだ。
当人たちもすでにレベル70を超えており、その2人が1つとなり、瞬間的に能力を倍増させたうえで放つ言霊である。それなりのレベルとは言え、三馬鹿にあしらわれる程度の者達が抵抗できるものでもない。
事ここに至って、一団もようやく事態の不味さを悟る。隠し事は出来ず、目の前にいるのはガイア連合でも屈指の核弾頭こと幼女ネキ。一手間違えれば致命的な事態になるのは自明だろう。
「ま、待ってくれ! 俺達は別にあんたらと事を構えようとしたわけじゃ――――――」
「黙れ。お前らがあの馬鹿共が探求ネキから貰った知識を奪おうとしているのは既に分かり切った話だ。そも、私はお前らがあいつらの周りをチョロチョロしていたことにはとっくに気が付いていた。
自分達は大した努力をせず、人様のものを奪って楽に強くなろうとしている貴様らの魂胆なぞ見え透いている。分かりやすく言ってやろう、貴様らのその魂胆が不愉快だ。死ね」
『あ、逃げちゃだめですよ。全員全力で幼女ネキと戦ってください』
「い、嫌だ、死にたくない! 助け……ぐぶぁっ!?」
そこからは、控えめに言って蹂躙だった。天堂姉妹の言霊による命令で逃げずに抗う事を強要された一団だったが、そもそも徒党を組んだところでレベル90台後半に差し掛かるリンを止めることなど不可能。
端から潰され、殺されても蘇生させられ、全員の心が完全に折れるまで叩きのめされ続けたのだという。
そして、その後の事だが。ちひろネキを含む上層部から多少のお叱りは受けたものの、元々問題行動のある人物達であり、結果的にはほぼお咎めなしという結果に収まる。
当人たちも心折れ、引きこもり、シキガミ遠征で日銭を稼ぐような状況になったこともあり、リンから巻き藁にする程の価値もないとして、襲撃未遂の罰を与えた後は半ば忘却し放置し、一件は落着する。
余談だが、罰の一環としてボンプの体に意識だけを放り込み、アスレチックのような構造にした異界をゴールするまで強制的に歩かせる光景を録画したものを配信チャンネルに投稿した所それなりに人気を博し、あらためてルールなどを整備し、参加者を募る事となる。
これがこの後定期的に開催され終末後も視聴者・参加者共に大人気の『ヤードポンド法とDレベル撲滅委員会』内企画『ボンプでGO!』*18のきっかけとなるのだが、それをすっかり引きこもってしまった襲撃者達が知ることはないのであった。
そんなわけで120話でした。ドクターネキと話したりする話ずっと書きたくて……
恩返し行脚終わってからだと時間かかりすぎるので強引にねじ込みました。
□解説
・ようじょ
たまには他者を気遣う事をする八歳児。
基本的に納期設定は緩いが持ち込んでくる頻度がクソとよく言われている。
評価的には三馬鹿ラス>ナマモノネキ>>>越えられない壁>>>巻き藁
ぐらいの認識。
・天堂姉妹
珍しく言霊使いらしいことをしたレズ姉妹。本霊が言霊関係なので領域展開もそっち系。
なお、今回は合体状態で使用したが天堂姉妹単体でも使用できる。印は弥勒菩薩印。2人で協力して領域を展開するなんてこともできる。
領域の出力としては姉妹単体、2人協力、合体状態の順。協力する際はお互いの手でそれぞれ印の左右を構成する。
JKなので三馬鹿ラスと同年代ぐらいだと思われる。
・三馬鹿ラス
ようじょ的に見てて商い珍獣三人組。折に触れぶっ殺してはいるが。
一応努力する姿勢も見えるし、やらかし自体も悪意はないのでギリギリ許されている。
ようじょが狙ってきた奴らの一部を再起不能にしたことは知らない。
・ドクターネキ
すごい書きたくて……! ようじょ的にはすげーもん作ってるすごいやつという認識。
ようじょてきには友達だという認識なので折に触れ遊びに行ったりするようになる。
宮城に来ないか? という勧誘もちょいちょいしている。
・襲撃者達
三馬鹿ラスの持っている探求ネキの知識を狙って一度となく逃げられたやつら。
徒党を組んで襲撃しようと付け狙ってたが運悪くようじょに露見したのでぶっ殺された。
奪おうとせずに『知識を見せてくれないか?』とかやってたら許されていた可能性はある。
こいつらが強制参加させられたボンプアスレチックのおかげで後の『ボンプでGO!』があるのでちょっとぐらいは役に立った。
・ボンプでGO!
ようじょの配信チャンネル内企画。中身入りボンプ(参加者が足りない時は中身入ってないこともある)がわちゃわちゃやってる様が微笑ましいと人気の企画。
参加賞もあるし中身入りが好成績残した場合は賞金や商品もある。きりたんやアマッカスの事をどうこういえる義理ではなくなってきたが、『絵面と参加者の尊厳は考慮している』とようじょは強弁している。