副題『巻き藁の破滅』。
余談ですが、FGO終章クリアしました。本当に良い話だった……来年も楽しみだぜ……
重ねて余談ですが、鈴原るるさんが復帰したそうで。嬉しい限り。
雑談スレ(山梨) その〇〇
581:名無しの転生者
そういえば幼女の巻き藁共がまた馬鹿やった*1んだって?
582:名無しの転生者
幼女ネキへの嫌がらせに幼女ネキの親友の黒札(9歳)を悪魔のエサにしようとして居合わせた黒死ネキに処されたとか?
583:名無しの転生者
うわ、ソレは引くわ。シンプルにカスじゃん
馬鹿な事するなあ、良く幼女ネキキレなかったね? 事前に処されたから?
584:幼女
いや、そういう訳ではないんだがな。無論キレたしぶっ殺そうとしたけど、レン子ニキに止められてな。今度こそ山梨が吹き飛ぶとかで*2
585:名無しの転生者
あ、やっぱそうなんだ。まあ止めるよな……幼女ネキの気持ちも分かるけど、一応処されたし、何らかの罰は受けるんだろ?
586:先生
せやね。あ、宮城ホビー部の先生ネキだよ!
レン子ニキが方々に回状回して逃げ道潰した上で追い込みに追い込んでからぶっ殺す予定だよ
なんであいつらあの子(名は伏す)に手出して幼女ネキ以外が怒らないと思ったんだろうね?
今までは幼女ネキがキレてるから抑えに回ってただけだってのに*3
587:カジオー
同じく宮城ホビー部で幼女ネキんちの近所に住んでるカジオーネキってもんだよ
幼女ネキの友達なんて黒札じゃなくても守る対象だし、何より幼女ネキもあの子も宮城支部全員の妹みたいなもんなのにな
つーかガイア連合成立前からメシア教とバチバチにやり合ってた現地名家のボスの義妹、その親友を悪魔に食わせようとしてタダで済むかって言うとね?
ちなみにショタおじには苦言を呈されたけどレン子ニキの返答はというと
[動画]
ショタおじ『いやぁ……流石にこれはよして欲しいんだけど』
レン子『じゃあショタおじはこんな無法を容認するのね? 年端も行かない、一度本当に死んで蘇った子を悪魔に食わせる行いが正しいというのね?
幼女ちゃんの行いが正しいとは言わないわ。でもね、幼女ちゃんの家族を侮辱して、幼女ちゃんからだけのリンチで済ませてるだけまだ温情なのよ?
あの時の幼女ちゃんやラプンツェルさん達への物言い、頭に来てるのが幼女ちゃんだけだと思ってる? 宮城支部全員、巻き藁してる子達には怒り心頭なのよ?
ショタおじは黒札を大事に思っているのは知っているわ。でもね、(伏字)ちゃんも黒札、幼女ちゃんも黒札。巻き藁にされてるのは巻き藁たちの自業自得。
巻き藁たちの行いを罰さないというのなら、幼女ちゃんの行いも罰してはいけない。当然私達がこれからする事にも、ショタおじは文句を言ってはいけないのよ。
あいつらは全力で潰す。これは宮城支部所属黒札全員の総意なの。止めたいならご自由にどうぞ。どれだけの被害を出してでも、あいつらは社会的にも物理的にも破滅させる。
それはもう決まった事なのよ。ショタおじ、これは認可を求めているわけじゃないの。『もう決定したから報告しておく』その程度の話なのよ』*4
588:名無しの転生者
うわぁ
589:名無しの転生者
レン子ニキマジギレじゃん……そりゃな、レン子ニキからしたら幼女ネキは義妹みたいなもんだし、その親友を殺そうとしたらブチキレるよな
590:幼女
なんだったらあいつ、色々あって1回ガチ死亡した後に復活してるからな。レン子ニキらがバチギレしてるから私も冷静になっているというだけだし
591:名無しの転生者
えっまじで? そうか……口ぶりからするとサマリカームでもなんともならんかった感じか。良かった……とは言えんのだろうが、仲良くな
592:幼女
ああ。勿論だ
593:カジオー
幼女ネキが晩飯残すなんて天変地異の前触れかと思ったしねぇ。この子も表に出力されないだけで凹むときはあんだよ?*5
ちなみに今回の件でうちの旦那と幼女ネキの舎弟たちがめっちゃ殺気立ってる。そういや先生ネキ、処刑方法決まった?
594:先生
全盛期の悪路王異界を再現して三日以内にお堂から出口まで脱出出来たらお咎めなし、巻き藁解放だってさ。ちなみに再現した上で有志数名の全力の妨害が入る。幼女ネキファミリーは参加不可だよ
幼女
そうか。まあ、実際に目の前にしたら本当にぶっ殺しそうだしな。任せた
596:名無しの転生者
……ちなみにこれ難易度としてはどんなもんなの? 幼女ネキチーム参加不可ってことは宮城の最高戦力はおらんのだよな
597:幼女
……無理ゲー? 正直私もレン子ニキ率いる宮城黒札相手で対多数戦はしたくないぞ、勝てはするがシンプルにめんどくさい
そりゃ一般黒札はいいとこ10~30ぐらいで巻き藁と同格ぐらいだが、私が90台で最高レベルってだけで幹部勢はそろそろ70に届いてるやつらもちらほらいるし
仮にリンクニキも参加するなら瞬間火力でレベル100オーバーの戦闘力を発揮するからなあの全裸のええケツ
参加面子ってどんなんなってんだ先生ネキ
598:先生
レン子ニキ(60越え)とあたし(70越え)とカジオーネキ(70越え)と神社ニキ(40ちょい)
それに対して巻き藁がおおよそ30~35ぐらいかね
599:名無しの転生者
うわぁ、巻き藁共も弱いわけではないにしろ洒落ならん戦力差……ちなみに悪路王異界の全盛期って言うのは?
600:幼女
全盛期って言うのは私らが悪路王異界を攻めた時の事だな
異界中にオニ・ツチグモ・モムノフ・イヌガミ・ヘアリージャックが溢れてひしめき合って殺し合いをしてる。なお侵入者を見ると結託して殺しにかかって来る
601:名無しの転生者
オイ
オイ
オイ
602:名無しの転生者
死んだわあいつら
603:先生
殺すつもりだもんよ。ちなみに異界の外にはカジオーネキの旦那(レベル60越え)+幼女ネキの舎弟(レベル40越え複数名)が待機してて出てきた所をバラす手筈になってる
604:名無しの転生者
殺意しか感じねえ!? ていうか異界から出れたらお咎めなしになるんじゃないの?!*6
605:レン子
『ガイア連合山梨支部としてはお咎めなしとする』というだけの話よ? 宮城支部として許すつもりは一切ないし、ここで完全に心を折って二度と手出しどころか部屋から出れないように呪術契約書かせるつもり
それに、雪車町さん達は現地民であって黒札じゃないもの。ちょっと先走って襲っちゃうこともあるわよね? あとはそこから裏社会に懸賞金がかけられる可能性もあるわね
まあ、二度と山梨の自分の部屋から出てこれないなら安心じゃないかしら。ショタおじ的にも出来れば全黒札にそうしてほしい所はあるようだし、万々歳ね?
606:名無しの転生者
ご 本 人 登 場
607:幼女
宮城県を牛耳る現地名家のボスかつガイア連合宮城支部のボスのご登場だぞ、控えろ*7
というかガチでキレてるレン子ニキに近寄りたくないから私は行かんぞ
カジオーネキと先生ネキというだけでも近接戦で相手したくないのにそこに攻城弓バスバス撃って来る射手とか私でも手こずる
しかもレン子ニキってテル*8を着てなくても弓矢を誘導ミサイルみたいに撃てるからすげー嫌なタイミングで援護射撃差し込んでくるしなんなら殺りに来るからな
608:レン子
もう、幼女ちゃんそう言う言い方は駄目よ? まるで人をヤクザの親玉かヒットマンみたいに*9
あ、カジオーネキに先生ネキ、そろそろ異界で待機しててね。デビルマン軍団から巻き藁の捕縛完了の報告来たから
609:先生
あいあい。ちなみに各々のシキガミもアリなので黒札と式神で合計10数人いるよん
610:カジオー
了解。七花八裂の二世村正崩しバージョンの試し打ちには丁度いいやねえ
611:名無しの転生者
うわーほんと殺意しか感じねえ……
っていうかカジオーネキさん? それ聞くと虚刀流の奥義七連発を重力操作できるツルギでぶっ放すように聞こえるんですけど?
612:カジオー
破魔ネキんとこで虚刀流覚えて来たからねえ、それをあたしなりにアレンジした技さね
原作だと改良前も後も『奥義七連発』でしかないけど、あたしはそこを【竜の眼光】と二世村正の【グライ】系魔法を併用して一瞬で七連発、体感的にはほぼ七発同時に着弾する技になんのかな
ブラックホールの中では時間の流れが極端に遅くなる現象の応用? みたいな? 幼女ネキ開発の【簡易領域】で展開した領域内の時間を加速するのも併用して着弾誤差0.05秒の技になったよ
本当なら因果操作まで行って放った時点で七発が全く同時に放たれるようにしたかったんだけど、まだまだ改良が足りんね
『虚刀流奥義「七花八裂」が崩し、飢餓虚空・落花繽紛*10(ブラックホール・フラワーストーム)』とでも名付けるかな、んー、やっぱネーミングセンスじゃオリジナルには及ばんね
613:名無しの転生者
え、えげつねえ……原作のあれだって改は極限まで隙を潰した技だってのに
614:カジオー
ま、趣味のブツだしその辺はおいおいかね。邪魔して悪かった、幼女ネキ、後任せていい?
615:幼女
うむ、了解だ
じゃあ何を話そうか……あ、そうだ。こないだ娘のイズナを福島の方に課外授業に出したんだが、あいつ変なもん拾ってきてなあ
[画像]
(画面中央で胸を張って誇らしげにするイズナと、その左右で苦笑する浅葱色の羽織を着た長髪の青年と、ウェーブのかかった髪の青年。青年たちの羽織の袖にはだんだら模様が施されている)
616:名無しの転生者
誰!? 誰なの!?
617:名無しの転生者
そういえば子供いるんだよなこのようじょ……にしてもそこのお二人は新撰組ルック? 野生の黒札でも拾ったの?
618:名無しの転生者
いや、これ近藤勇と斎藤一じゃねえか!? FGO版の! 何でいんの!?
619:名無しの転生者
……幼女ネキ、もしかしてこの2人って人間じゃなかったりする?
620:幼女
うむ、どうも会津にある斎藤一の墓と近藤勇の墓でダークサマナーが悪さして呼び出したはいいものの生前同様の精神性だったから即刻切り捨てられてさまよっていた、所をイズナが拾ってきてなあ
いやあ笑った笑った。赤兎馬もFGO使用だったがまさか新撰組が生えて来るとは。一応英傑コンドウイサミと英傑サイトウハジメ、レベルは40ぐらいだっただろうか
契約してるヴァンパイアのミディアが叩きのめした時そんぐらいだったな
621:名無しの転生者
そういえば斎藤一の墓と近藤勇の墓が会津にあるって聞いたことあるなぁ……近藤さんのお墓はご遺体は収まってないそうだが*11
622:名無しの転生者
そっかぁ……そういや幼女ネキ自体結構色んな変な連中拾ってくるって宮城支部のダチがいってたなぁ
血は争えんという事か。イギリスいったらレッド・ラ・ビット見つけてきそう。今は割と気軽にイギリス行って帰ってきたりしてるんだよな?
623:幼女
ぬ
624:名無しの転生者
ぬ?
625:名無しの転生者
おいまさか
626:幼女
[画像]
(西洋甲冑を纏ったFGOの赤兎馬っぽいなんか)*12
627:名無しの転生者
なんでいるんだよ!!!!!!
628:名無しの転生者
そっかぁ……いるんだぁ……
629:幼女
妖精レッド・ラ・ビット*13、アーサー王の騎馬ドゥン・スタリオンに連なる由緒正しい妖精馬だそうだ。真相は知らんし知りたくもないが。赤兎馬と同じぐらいには強いぞ
[画像]
(胸を張るリンの左右に並んでがっしりを握手し合う赤兎馬とレッドラ)
630:名無しの転生者
ほんとこのようじょどっから拾ってきたのって感じのトンチキ仲魔拾ってくるね……
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「おや、幼女ネキ殿。ご友人とお散歩ですかな?」
その日、定期検診を終えてリンとセツナが廊下を歩いていると、ふと目の前に影がかかる。見上げて見ればそこには、和服を着た男性。
とは言えその印象は和装という言葉から受ける落ち着いた雰囲気とは程遠く、髪は左右で白黒に分かれところどころ跳ねていたりワラビの様に渦を巻いていたり、
なんなら着ている和服すら片肌脱ぎにしており脱いだ側の腕には赤白の縦縞の袖、袈裟のような部分には黄緑と赤の模様がついているなど、道化師と和装をこちゃまぜにしたような様相であった。
それを着ている当人もリンの倍ほどもある筋骨隆々の巨躯であり、ネコ科の猛獣を思わせる印象を受けた。
「ん、リンボニキか。定期検診が終わったからな、ノワールらやラムダの調整が終わるまで天使部にでも顔を出すかと思っていた。……どうしたセツナ、いきなり後ろに隠れて」
「え、いや……いきなり目の前に道満が来たから……」
「まあ確かにリンボニキは外見や言動は完全にFGOの道満だがな。福島支部所属なんだが、福島でも屈指の善人だぞ。まあ外見は胡散臭さの極致だが」
「福島支部はその手の人材に事欠きませぬからなぁ……拙僧も装束はそっくりだからと仕立てていただいたものですが、物言いは産まれついてのモノゆえご容赦なされよ」
『Fate/Grand Order』の『蘆屋道満』そっくりなこの青年はリンボニキ。リンとも縁深い福島支部所属の黒札であり、今回リンがイズナを福島支部の応援に向かわせた際の一件の報告に山梨へ来ていたのだという。
今こそ比較的マシになっているが、かつての福島支部は黒札の数が少なく、在籍していた黒札も大半が善人だが悪人面か胡散臭い外見の連中であり、中々新規の黒札がいつかなかった。
その時期の事を思い出し、遠い目をするリンボニキ。しかしはたと我に返ると、ごほんと咳払いをすると改めて口を開く。
「それでは改めて自己紹介を。福島支部所属、
拙僧、こう見えて探偵をやっておりますれば、失せ物失せ人、何なりとご依頼をば」
「あ、はい、よろしくお願いします……」
「実際、腕は確かだぞ。専門は陰陽術と密教系の術だから本当にその手の調査がめっちゃ得意なんだよな。体格に見合って肉弾戦もすげー強いし」
「元々はしがない住職をやっておりましたが、
そう言うとリンボニキはおもむろに髪を掴みとそれを取り去る。何の抵抗もなく取り去られた
それを見たリンは爆笑していたが、セツナは口角をひくつかせて苦笑いを浮かべるのみであった。
「……おや、これはイズナ殿や福島の皆にも大ウケの鉄板ネタなのですが」
「爆笑しといてなんだが身長2mで筋骨隆々の猛獣みたいな男が唐突にヅラ脱いだら普通はドン引きするからな?」
「ンンンン―――、これはしたり。幼子との距離感をもう少し勉強せねばなりますまい。
さて、ご両人。お疲れではありませぬか? 良ければ拙僧の肩をお貸ししましょう」
「え……あ。その」
「丁度いい、大方きくりネキかレン子ニキあたりから私とセツナを見ていろと言われているのだろう? 遠慮なく肩を借りるとしよう。あ、髪は掴むなよ、ヅラが落ちるからな」
「おや、見抜かれておりましたか。丁度手空きが拙僧しかおりませぬでな、まあ、耳でもお掴みください。拙僧、頑丈なれば」
そう言って屈みこむリンボニキ。リンがさっそく片側に乗りセツナを招くと、セツナもおっかなびっくりもう片方に乗り、落ちないように軽く支えながらも立ちあがる。
その際、自分の首の後ろ越しに伸ばされたリンの手を、セツナが握り返すのを感じながら。
その後、リンボニキに連れられ天使部に顔を出したり、ホビー部で対魔ホビーのテストという体で遊んだり、食堂でるるネキと共にジャンニキの料理に舌鼓を打ったり、思う様楽しんだ。
そして―――
「――――――あれ?」
セツナがふと気が付くと、そこは何もない真っ黒な空間だった。しかし暗闇という訳でもなく、不思議なことにどこまでも真っ黒な空間が続いているのだけは理解できた。
記憶を辿ってみても、天使部の部屋でリンとゲームをやっていたのと、他の天使部の皆が所用で席を外し、気を使ったリンボニキが部屋の外で番をすると出て行ったのは覚えている。
周囲を改めて見回せば、少し離れた所に光が見えた。目を凝らせば、それは古いブラウン管テレビの光のようだ。その前には人影。だるだるのジャージを着て、ぼさぼさの髪をした、控えめに言って
「……あの」
「……は? 何でここに君が来るんスか?」
「私の事を知ってるの?」
「そりゃあ、まあ。……ま、炬燵どうぞ。ここに暑さ寒さの概念はないッスけど」
赤少女がそう言って炬燵の残る三辺を指し、セツナはそれに従い炬燵に入る。少女はセツナをちらりと一瞥するが、すぐに画面に視線を戻した。
不思議な少女だ。自分を知っているようだが、自分に彼女のような知り合いはいない。だが、それでも嫌な気分ではない。どことなく、リンに似ている気もする。顔ではなく、雰囲気が。
「それで……ここって、何処なの? あなたは?」
「ここは……まあ、リンの夢の中って思えばいいっスよ。厳密には表層意識と深層意識の間というか、心の海の岸辺というか……色々あるらしいんスけど。
そう言うのを考えるのはボクの
「リンの夢の中……じゃあ、あなたも、リンなの?」
「そうでもあるし、そうでもないッス。ボクは鵺原リンという個人であるけれど、厳密に言えば、リンの持つ無数の自分……まあ、ペルソナの1つみたいなもんッス。
ざっくり言えば、セツナちゃんが知ってる『鵺原リン』はボクらの上にいる、いわば主人格。サブ人格な連中はボク以外にもやまほどいるッスよ、ボクはそのうちの1人ッスね。
ま、ややこしいし……この外見同様、ジナコって呼んで欲しいッス。まあ、アバターみたいなもんッスけどね」
「あ、Fateの……」
画面を見つめたままで、ジナコはセツナにつらつらと話す。自分達はリンが物心ついたころからずっとリンの内からリンを見守って来た。
ジナコ以外にも『リンのペルソナ』は無数におり、その中でも特に確立した自我を持つ者達がリンの心を内側から支えているのだという。
「そういえば、復活おめでとうッスよ。いやー、アメリカから帰って来た時はビビったっすよ。リンの心の中大荒れで。あんなマジ凹み、文ちゃんが死にかけた時もしなかったっス。まあ、あれはギリギリ助かったから良かったッスけどね」
「……そっか」
自分が復活した時、リンは確かに喜んでくれていた。あんなに喜色満面だったリンを見たのは初めてだったかもしれない。
しかし、自分が『死んだ』時の事は、僅かに伝え聞くのみだ。ただ、『リンが夕飯を残した』というのは確かに類を見ない異常事態だとは思ったが……
眉をひそめたセツナを見て、ジナコは上を指さす。つられて上を見れば、そこには周囲同様真っ黒な空間を大きく引き裂くような、亀裂のようなものが走っていた。
「
リンが覚醒した当初は本当に大荒れも大荒れで、人魚ネキの子守唄が無かったら、多分リンは壊れてたか自殺してたと思うッスよ。
その時に匹敵する暴風雨だった、といえば、リンがどれだけ悲しんだか、分かってもらえると思うッスけど」
「想像しかできないけど……なんとなくは」
「何となくでも理解してくれれば嬉しいッスよ。リンが好ましいと思う人は、ボクらも好ましいと思ってるっすからね。
ああ、そうそう。リンが目覚めたら一緒にセツナちゃんも目覚められると思うっスよ。お互い眠っちゃってたのと、リンが心を開いてるから入ってこれたんじゃないッスかね。
……まあ、一番は
「あいつ?」
「ああ、こっちの話っス。ま、リンが目覚めるまではおしゃべりでもするっスよ。どうせ目覚めたら覚えてられるかも怪しいし。
ボクら……そうッスね、便宜上『
何かを誤魔化す様に笑ったジナコが、頷いたセツナをまたも一瞥し、画面を見ながらぽつぽつと呟く。
ジナコを含む『名前持ち』は数人。それぞれリンの心の内を守る事を己に課し、日々リンの行動による心内環境の整理や安定のために活動しているのだという。
「まあ、別にリンが特別って訳じゃないッスけどね。誰の心にもある、心を安定するための生理現象っス。ボクらの場合は……リンにペルソナ使いの才能があったからなんスかね?」
「それは聞いたことあるかも……デビルシフターじゃなかったらペルソナ使いに目覚めてたかもって。リン自体、すごいメンタル強固だし……」
「だからボクらの自我もこうしてはっきりしてるやつが出て来るんじゃないか、って『巌窟王』が言ってたっス」
「――――――俺を呼んだか」
不意に、男性の声が響く。見れば、セツナの対面に影が―――否、影のような青年が立っている。
黒い帽子に黒い外套、色白の肌に白髪、その金色の瞳には、強い意思と輝きを秘めているように見える。*15
「呼んではいないッスけど、お客さんが来てるッスよ」
「ほう、珍しい。だがセツナならば……リンも心を開いている、そう言う事もあるだろう。
誇るといい、リンに近しい者の中で、ここまで入ってこれたのは恐らくお前だけだ。―――今の所はな」
「いまのところは……?」
「おっと、喋り過ぎたな。だが、代りに解説しておこう。オレの事は……まあ、巌窟王でいい。
ジナコから聞いているだろうが、オレ達はリンの
今のような自我を確立して後、オレ達はリンが心安らげるように腐心している。オレ達のみではそれを成せんのが悔しい所だがな」
巌窟王の語る所では、リンの心の中は見るものによって姿を変える。この空間が真っ黒に見えるのは、セツナがこの場所を『分からない場所』と最初に定義したかららしい。
巌窟王からすればここは石造りの塔の中に見えるし、ジナコにすれば畳敷きの部屋に見えている、との事。
ジナコ言う所の『名前持ち』は七人。それぞれリンの心の中で己の役目を果たしており、ジナコは『思い出を繰り返し見る事で忘れない事、記憶を薄れさせない事』、巌窟王は『リンの心に溜まる負の念を燃やし、消し去ること』を任じているのだという。
その後も一通り語ると、巌窟王はセツナを見つめ、真剣な表情で呟く。
「セツナよ。お前は凰音とはまた別の意味でリンと最も近しい黒札だ。だから、出来る限り側にいてやってほしい。近くに居ればリンもお前を守れようし、側にいるだけでリンは心が休まる。悔しいが、俺達のほとんどは外に出ることも叶わぬ身。頼むぞ」
「……うん」
セツナをまっすぐ見据えて放たれる言葉。リンとはまるで違うが、ジナコ同様にどこかリンのような雰囲気を持つその言葉に、セツナは力強く頷く。
「あ、話はまとまった感じ? そんじゃ、リンのやつ起きそうだし、お帰りはあっちだよ」
「誰ぇ!?」
唐突にセツナの背後に現れそう発現したのは、茶髪にサイドテール、白い制服のような物を着た少女……のような何か。*16
ジナコ達とは違い人間を漫画的にデフォルメしたマスコットのような姿で、やはりリンの心の住人であるのか、度し難いことにどこかリンに似た雰囲気を漂わせている。
巌窟王たちを見れば、どちらも沈痛な面持ちで頭を抱えている。
「アイアム『ぐだ子』、ジナコや巌窟王とおんなじネームドってやつだよ。さ、行った行った。こんなとこに外に人間が長居するもんじゃないよ。ま、どうせすぐ戻ってくることになるだろうけどね」
「え? それはどういう……」
「待て、しかして希望せよ! ま、そんなわけで、グッバイ☆」
「えええぇぇぇ~~~~~!?」
『ぐだ子』はセツナの襟首をつかむと、そのままあらぬ方へと全力で投擲する。
『おい貴様オレの台詞をパクるんじゃない!』『いいじゃん減るもんじゃなし』『あーもーめちゃくちゃっスよ……』という3人の声を尻目に、セツナは悲鳴の尾を引いて彼方へと飛んで行き……意識が途切れる。
「……あ」
気が付くと、そこは天使部の部室だった。夢を見ていた気もするが……ぼんやりと、誰かと話していた夢だったような、度し難いナマモノを見たような、そんな気がする程度だった。
傍らを見れば、セツナの手を握り寝息を立てるリン。――――――そして、見知らぬ人影。
「……おや、起こしてしまいましたか? でも、お静かに。大分眠りが浅くなったようですが、リンがまだ眠っております」
「……あなたは?」
不思議な人物だった。外見は『Fate』のジャンヌ・ダルク、それもオルタの方。しかし、その表情は穏やかで、静かな印象を受けた。
原作と同様の外見だが性格はそうではない、というタイプの転生者だろうか。そう思っていると、女性は顎に手を当て、セツナの質問に答えようとしているようだった。
「名乗るほどのものではありませんが……そうですね、折田という者です。リンの姉というか、親戚というか……まあ関係者ではあります。運よく近くに来れましたので、見守っておりました。この子の寝顔を見れる機会など、そうありませんから」
「そう、ですか……」
「ああ、リンは起こさないであげてください。すぐに発ちますので。……本当に、穏やかな顔で眠っているのですね」
後半の言葉はリンに向けたものであるらしい。リンを見るその表情は、本当に穏やかで慈愛に溢れたものであった。この時点で、セツナは折田に対しての警戒を半ば解いている。
そも、ここに入るにはリンボニキが番をしている入口を抜けねばならない。そして、入口以外に入る場所は通気口程度しかない。
ならばここに入れている以上、自分が知らないだけで警戒すべき相手ではないはずなのだ。
「最近は、気軽にお昼寝とかもできるようになって来たって言ってました。いろんな人たちに助けられたって……」
「それは、本当に良かった。それを私が為せなかったのが、少し残念ではありますが」
そう言って、折田は眠るリンの頭を撫でる。リンを見るその目は、心底からリンを案じているのが分かる。
そも、眠るリンが体に触れられても反応しない時点で、何かあれば反射的に攻撃するリンの本能に警戒されていないのは自明だからだ。
折田は暫くそうしていると名残惜しそうに手を離し、今度はセツナの頭に触れる。
「あ……」
「触れられるのはお嫌かもしれませんが、せめてこのぐらいは。これからも、リンと共にいてあげてください。
この子はとても強いですが、同時にとても弱い。その強さは、誰かが側にいてこその強さでもあるのですから」
何となく、分かる気がした。リンは宮城支部として活動しようとしたその根本が『恩返し』からであるし、恨みはけして忘れないが、同時に受けた恩もまた忘れない。
また、リンが常に走り続けているのは、ノワールを始めとした伴侶たち、そして数多の友人達の助けがあってこそ。
自分がその『助け』になっているかは自信が無いが……
「どうか、あなたもまた健やかに。リンの事ですから、数限りなく振り回されてしまうと思いますが」
折田の手にくすぐったさを覚え、軽く目をつぶる。直後頭に触れていた手の感触が消え、目を開けば、折田の姿が消えていた。
ドアをくぐった音もしない、転移術だろうか? そう思っていると不意にドアの方が騒がしくなり、ドアが開くとラムダとノワール、リンの伴侶たちが雪崩れ込んでくる。
それにつられてリンも起き出し、部屋がわいわい騒がしくなってゆく。その騒がしさに押され、折田の存在もまたそういうものか、と、端々に感じたおかしさも流されていった。
なお。
後にその時の事をリンに聞いた所、『え、折田なんて知らんぞ。多分その外見はサムレムの槍ジャンヌ*17だろうが、そもそもイズナ以外の私の血縁は爺さんの弟とその孫しかおらん』という返答。
リンボニキもまた『ラムダ殿やノワール殿以外を通した覚えはありませぬが?』と返され、困惑するセツナ。
結局誰だったのかは分からず、『害はないだろうが姉を名乗る不審者』*18として暫く警戒されたのだという。
謎は深まるばかりなり。
そんなわけで124話でした。そりゃセツナちゃんに手出したら幼女がキレるだけで済むわけがないよねという話。
□解説
・ようじょ
セツナちゃんの一件、キレはしたけどそれ以前にレン子ニキ達がガチギレしたので一蹴まわって冷静になったようじょ。
一応ようじょの中では巻き藁共は『家族や身内への侮辱への報復』という話であり、
直接的に言わなけりゃ放置してやったのにわざわざ仕掛けて来たから処した、というだけの話。素直に反省して謝らない方が悪い、という話なので、今回の一件で嫌い、がさらに進行して無関心になった。
巻き藁が欲しければ有志を募ればいいだけの話だし。
・レン子ニキ達
セツナちゃんの一件で尋常でないキレ方をした奴ら。
陰に日向に圧力をかけて追い込み、捕縛した後の処刑執行。なお、カジオーネキ&先生ネキはやり過ぎないように(耐えられるギリギリまでにしとかないとすぐ潰れるので)するために参加。
神社ニキはあれでロリコンではない意味でも子供好きであり、ようじょの事もセツナちゃんの事も本当に心配していたのでレン子ニキと同じレベルでガチギレしてた。
なお、神社ニキの戦闘スタイルはステゴロ+悪魔使役+破魔属性魔法である。
・セツナちゃん
実は割と誰も知らないようじょの精神の内側を見た子。忘れてるけど。
ようじょからしても本当に大事な親友なので文ちゃん並みに過保護に接されている。
・リンボニキ
前職住職、現職探偵というトンチキな経歴を持つ福島支部の黒札。今回唐突にポップした。リンボが好きなので……
外見も言動もリンボだけど本当に善人という福島支部という概念そのものを練って固めたような奴。
なお探偵事務所には3人の黒札がおり、
相棒の「探偵ニキ」
事務員の
の3人プラス、現地民金札の大学生、壇出くん&若守くん(外見:FGOのダンテと若森)の五人で経営しております。全員マジモンの善人。外見は胡散臭さの極致だけど。
・近藤さん&はじめちゃん
会津に墓があるという話を知っていつか書きたかったネタ。
後にイズナと契約し、百鬼夜行の福島支部所属メンバーとして登録される。
・レッドラ
ようじょが英国に遊びに行った際にゲットしてきた一般通過妖精。菜食主義。
彼との遭遇で赤兎馬は『もしや私は呂布ではないのでは……?』と己の存在に疑問を持った。
近藤さん達もだけどこの辺の話をいずれ外伝として書きたい……
今年最後の投稿となります。来年もよろしくお願いします! 次回も多分ようじょです。