例によって二話予定だったのが三話構成になりました。
【ようじょと】第1回P-1グランプリ実況スレ【愉快なお馬鹿共】
422:名無しの転生者
さて、開始1分前なわけですが
[配信中]
(ワクワク顔のようじょとるるネキ、ちょっと不安そうな狩人ニキ、何考えてるか分からない天堂姉妹、必死な顔のゆかりネキ)
423:名無しの転生者
ゆかりネキマジで必死そうで草
まあ最下位になると唯一好意的な親戚付き合いが消えるか地獄の修行なのかの二択ならそら必死になるわな
424:名無しの転生者
俺に言わせりゃ身から出た錆だがなぁ
まあ最下位回避でもイズナちゃんのうっかりでネタバレされそうなのはそうだが
何だったら今この瞬間にもネタバレ喰らってる可能性はあるんだよな親戚ちゃん
まあ一応幼女ネキもフォローする気はあるようだしなんとかはしてくれるだろう
425:探求者
ゆかりネキの件は一応私も気にかけてますので、何かあった場合私もフォローは入れますよ
彼女とは同僚ですし、*1それに幼女ネキとしてもバハネキの同僚でもありますから、だからこそ気にかけてるんでしょう
当人に対して特段悪意も好意もない分彼女としては大分穏当に接してますよ?
426:名無しの転生者
問答無用で悪路王異界にぶちこんでねえしな
どう足搔いたところでいずれバレる事だろ、どうせ
427:名無しの転生者
何せ大事な大事な親戚ちゃんに最近できたお友達がよりにもよってイズナちゃんだからな……
この間はミチルちゃんがギリギリカバーしたらしいがこれ時間の問題だろ
428:カス子
親戚ちゃんの足引っ張ってる事には『バカじゃないのかあいつ?』とか言ってたけどなー*2
多分今回ゆかりネキ参加させた理由これだわ。あげたデモニカも普通のG3モデルなんだからレベルなんて30で打ち止めっしょ?*3
ちょっと頑張ればそれを上回ることぐらい楽勝だろうに、何でそれが出来んかね?*4
429:名無しの転生者
まあ、痛いの苦手らしいからなあ、そこまで血道をあげてレベル上げできねえんでしょ
確か当人レベルも20そこそこじゃねえっけ? 気持ちはわかるよ、気持ちは
430:探求者
まあそれで大事な親戚が取り返しのつかない事になっては世話はないのですがね
私としてもとりあえず静観でしょうか? どう転がるにせよフォローは入れますし……
確か件の親戚さん、今は山梨近辺に住んでるとか。それとなく見守っておきましょうか。バレへのフォローはミチルさんにお任せするとして*5
いっそバレてしまった方が良い気もしますし、これでバレなかったらそれが天運というものでしょう
431:名無しの転生者
頼むぞ、頼むぞみちぅ……! ゆかりネキのあってないような尊厳はお前にかかっている……!
432:名無しの転生者
さて、話はそこまでだ。レースはじまんぞ!
[配信中]
茜『3・2・1……
葵『えーっと……手元の資料によるとそのコースの各所にギミックなどが仕掛けられており、あの手この手で参加者を叩きのめそうと……って大丈夫なのこれ』
オルガ『そのための無限リスポーンだ。そもそも問題なく一周できる想定にははじめからなっていないぞ。……む? トラブルか? 天堂姉妹の機体が動いていないな』
(一斉にスタートする4機、本コースに出るためのボトルネック部分に殺到しようとするも、天堂姉妹のクニトモ1号だけスタートから微動だにせず)
433:名無しの転生者
あれ事故か?
434:カス子
いんや、エラーが出てる知らせはないね。ただ動かしてないだけだわあれ
435:名無しの転生者
お、動き出したぞ。いやこれ方向変えてるだけか? 速度で劣る機体だからボトルネックでの潰し合いは避けたんかな
436:名無しの転生者
……あ、これまさか
[配信中]
(天堂姉妹が機体の向きを変えた直後自爆。満載された鉄片と爆弾がクレイモア地雷の如く前方に発射される)
茜『おおっとクニトモ1号自爆! 事故……ではないようや! 発射された鉄片が容赦なくボトルネックに殺到していた4機を襲うーっ!』
葵『あああぁぁああぁぁぁ……』
オルガ『なるほど、先程の方向転換は照準調整か。ボトルネックに殺到するのは分かっていたのだから、そこを狙い打ったわけだな』
437:名無しの転生者
やりやがった!!!!! あんなあからさまな攻撃型パンジャン作って来て自爆攻撃しねえわけがなかったんだ!
438:名無しの転生者
うわぁ……見事に全員巻き込んで……いや違う! ゆかりネキだけ抜け出し……てない!
[配信中]
茜『天堂姉妹の狙撃により他の参加者が爆発四散する中抜け出したのはゆかりネキ! 一足先にコースに出……られない!』
オルガ『爆発したマスターの機体の尾が攻撃にギリ耐えたるるネキの機体の爆弾部分を奇跡的に破壊、そして爆発し吹き飛んだ大ナタが抜け出そうとしたゆかりネキの目前に落ち、それによって真っ二つになって爆発、素晴らしい、これ以上の芸術作品はそうはないだろう』
葵『カスみたいなピタゴラスイッチ……ッ!』
カス子『ねえ脳缶ニキ、この大会会場も実況席もどっちもいい味するんだけど』
脳缶『琴葉姉妹を抜擢してよかったよね』
439:名無しの転生者
ひっでえw
440:名無しの転生者
こういうカオスがあってこそのP1グランプリだよね
441:脳缶
ちなみに機体は全く指定なしで皆に作ってもらったからこの結果は完全に偶然だよ!
なんだったら爆発した順番がちがかったらこの芸術作品は産まれなかった。うーん美しい
442:名無しの転生者
大統領なんかようじょみたいなこと言ってんだけどw
443:脳缶
実際幼女ネキの分身シキガミみたいなもんだからね。人魚ネキの歌さん舞さんみたいなもんだよ
まああっちほどしっかりリンクしてるわけでもないけど、幼女ネキの変身悪魔をベースにして作ってる分身シキガミって意味でね
関係性としては上司と部下だからその辺も大分違うし
一応オービットベース支部の支部長代理だから準黒札みたいなもんかなぁ
444:大統領
歌や舞の様に掲示板に書き込んだりなども可能だぞ。まああくまで私達は分身だ、積極的にやる気はないがな
445:名無しの転生者
そっかぁ、まあなんかあった時に代理で書き込むことができるのは良いかもしれんね。ノワールさんとかは黒札専用スレだと書き込めないし
446:大統領
そう言った使い方がメインになるだろうな。妹達もほぼ同仕様にする予定だそうだが、黒札用スレに書き込む権限を与えるかどうかは考え中だそうだ
人魚ネキの所の三姉妹とは違って所詮はマスターの分身だからな……大丈夫だと思うがいまいち信用しきれん
447:名無しの転生者
本人より分身とか創造物の方が真っ当な人間性してるのほんと笑えるよね
だがしかし今はレースだ! さて、どうなったかな?
[配信中]
(仕切り直しになり再スタート、今回もゆかりネキが突出しようとするが、その両サイドにようじょと狩人ニキがついて牽制している)
ゆかり『
幼女『
狩人『
茜『再スタートするもゆかりネキ、今度はうまく抜け出せなかった! 両サイドから幼女ネキと狩人ニキに挟まれて牽制されているーっ!』
葵『いつでも壊せるのにやらない、っていうのは……誘爆の危険性があるから?』
脳缶『そうだね。狩人ニキは近接用だし、、幼女ネキは中距離まで行けるけど、下手に攻撃して爆発すると武器がもぎ取られる可能性があるんだよね』
カス子『特に狩人ニキは下手に片っぽだけ取れるとバランス狂うからなあ。幼女ネキも基本体当たりか尻尾しかねーし』
448:名無しの転生者
あ、そうか、全機爆弾詰んでるし、下手に攻撃すると武装を持っていかれる可能性があるのか
449:名無しの転生者
ギミック対策として積んでるのもあるし、下手に武器を失うのは悪手かもな
450:名無しの転生者
さーて第一関門はなんだ? マルとバツの描いてある壁?
[配信中]
(行く手に柱を1本挟んで〇と×が書いてある壁がコースを横断するようにそびえたっている)
茜『さあ第一関門は……『○×ウォールクラッシュ!』』
葵『あの〇と×が書いてある壁……あれかな、正解の方を選べ、って感じ? 不正解だと泥んこになるっていう』
茜『甘いで葵! この関門は○×好きな方を選んで壁を突き破るというシンプルなギミックや! ……まあ、その『正解』が分かるのは突き破った直後なんやけどな』
カス子『どっちかの壁を突き破った時点で1/2の確率で積載必須の爆弾が爆発する仕掛けになってるんよね。若干上り坂になってるのを思いっきり走り抜けて離れたコースに着地出来れば『正解』。不正解なら……ドカン!』
脳缶『〇×って書いてあることにまったく意味はないから通るたびに5割の確率で爆発するよ! 壁を突き破れる程度の強度、向こう岸まで渡れる勢い、何より5割を引き寄せる運が必要なわけだね!』
451:名無しの転生者
お、幼女ネキは〇、狩人ニキは×、まあどっち選んでも同じなら近い方選ぶわな
……で、ゆかりさんは?
452:名無しの転生者
お察しの通りだが
[配信中]
(ようじょが〇、狩人ニキが×の壁を突き抜け、ゆかりネキはその中間の柱に激突して爆発)
葵(絶句)
茜『ゆかりネキ、何と両サイドから挟まれて動けないまま柱に激突ーっ! こいつぁ魅せてくれるでぇ……!』
カス子(爆笑)
脳缶(爆笑)
オルガ『……あれあの時点で自爆していれば両サイドを巻き込んで再スタートを切れたのでは?』
453:名無しの転生者
くっ、本当に可哀想なんだけどあまりにもコントみたいな流れで笑ってしまう……ッ!
454:名無しの転生者
多分柱にぶつかる! 両サイド抜けられない! となってパニクったんだろうな
455:脳缶
ちなみにその時のコクピット内の様子がこうだよ
[配信中]
ゆかり『
幼女『……
狩人『……
456:名無しの転生者
草
457:名無しの転生者
幼女ネキが外道過ぎて笑う
でもやっぱゆかりネキある意味天運あるよな……撮れ高的な意味ではかなりアツいぞ
458:カス子
ちなみに撮れ高に応じてボーナスはいる契約になってるから、幼女ネキの外道行為も一応ゆかりネキへの餞別にはなるんだよね
当人多分そんなことまったく考えてないけど。あの子自体もボーナスとか度外視でやるつもりだしなあ
459:名無しの転生者
金には困ってねえって常々言ってるもんな……
460:大統領
ちなみに現状撮れ高ボーナストップが芸術的な散り様を見せたゆかりネキのダントツ首位だ
次点でスタート直後にぶちかました天堂姉妹になる
461:名無しの転生者
まあ、ゆかりネキは本当に芸術的に散ったしな……w
462:名無しの転生者
なおようじょと狩人ニキも芸術的に散った模様
[配信中]
(ゆかりネキが散った直後、壁を越えて飛び出したようじょと狩人ニキが同時に爆発する)
幼女『
狩人『
脳缶『いいねえいいねえ、撮れ高ばっちりだね!』
葵『まだ全員第一関門すら越えられてない……ッ!』
茜・カス子(爆笑)
463:名無しの転生者
第一関門でこの有様かよw
464:名無しの転生者
まさかトップ争いしてた3人が2度目の再スタートとは……
なんかしれっと天堂姉妹とるるネキが第一関門突破して第二関門に向けてデッドヒートしてるんだが
[配信中]
(第二関門に向けての直線を疾走するるるネキと天堂姉妹。天堂姉妹が機体前方の攻撃用の部分を炸裂させて攻撃すれば、るるネキは振り返りもせずナタをアームで振り回して切り払う)
るる『
天堂姉妹『
茜『天堂姉妹の砲撃を切り払うるるネキ! 流石はデビルマン軍団最強の女!*6 ボンプの身体でもその技の冴えに狂いナシや!』*7
カス子『外見は可愛い美大生! って感じの美少女なのにこういうとこまーじでえげつないぐらい冴えてんだよな……』
葵『え? 今のほんと振り返りもせずに弾きましたよね? あんなこと出来るんですか?』
オルガ『あの程度彼女にとっては朝飯前だろうな。マスターの全力の攻めを軽々といなすのだ、牽制レベルの砲撃など気配で分かるのだろう』
465:名無しの転生者
きっしょ、なんで(振り向きもせずに攻撃の気配が)分かんだよ
466:名無しの転生者
しかもあれ腕じゃなくて保持用のアームで振り回してるからな。幼女ネキはまだ非人間的体形やパーツのついた悪魔に変身してるから分かるが、るるネキの場合ほとんど外見的変化ないし
それで練習期間あったとはいえ簡易シキガミボディの反応速度であれやってるからな……幼女ネキがいまだに一本取れてないのも分かる強さだ
467:名無しの転生者
そんなこんなで現在この2人が競り合いつつるるネキが先を行く感じか
リスポーンしたようじょ・狩人ニキ・ゆかりネキの3人がどう巻き返してくるか、だな
468:名無しの転生者
それより俺第二関門以降もどんなトンチキギミック仕込まれてるんだかわかんなくて怖くなってきたんだが
469:カス子
頑張ったから見ごたえはあると思うぜー。まあ完走者出なくてもそれはそれ。一応全員ソロでなら1回は完走してるから行けんじゃね?
470:名無しの転生者
そうだよな、P-1グランプリなら完走者出ないケースもまあまああるもんな……
471:名無しの転生者
カスが全力ブッ込んだギミックとか体験したくねえわ……
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「えぇ……」
観客席の上方に設けられたVIP席で、セツナは眼下に広がるキチキチマシン猛レース*8にドン引いていた。
第二関門『直角ウォール』で全員がものの見事に壁に激突し再スタートを切ることになったからだ。
これは広いコースを横に縦断する壁の脇に、1台通れるかどうかという狭い道が壁の向こうへ迂回するように繋がっている関門だ。
無論そんなものこのレースに挑む者達にとっては狭い以外に障害にはなりえないが、そこはカス子ネキ謹製のクソギミックである。
デッドヒートを繰り広げるるるネキと天堂姉妹、そして追い上げて来たリン・狩人・ゆかりの3人。
彼らがほぼ団子状態で関門に差し掛かったその時、壁に映し出されたのは一人の青年だった。
セミロングの金髪をうなじで縛った、精悍な顔立ちの屈強な男。そう、宮城支部の地脈管理担当、リンクニキである。
その姿は普段着である作務衣姿であったが、おもむろに肩に手をかけ―――――一瞬で全裸になる。
『たーいよーう!』
そしてリンクニキの影に潜んでいた底辺ニキが飛び出してきて【ライトマ】による目つぶし。*9
リンクニキが脱ぐことで思わず手で顔を覆ったゆかりネキ、そして直後の目つぶしで視界を塞がれた残4人は、ものの見事に壁に激突したのである。
『仕掛けた中では一番アホみたいなトラップだったんだけどアレで全員撃沈か……草wwww』
『草に草を生やすもんやないでカス子ネキ』
『……でもあれ初見殺しみたいだし二回目以上は効かないんじゃ?』
『通るたびに30パターンの内からランダムに投影されるから隙はねーよ?』
『えぇ……』
爆発した一同に爆笑するカス子ネキ、突っ込む茜ネキ。
一発目のインパクトで激突させたなら二度目は通じないのでは? と葵が当然の疑問を浮かべるも、当然対策していたカス子ネキの言葉にまたもドン引きする。
「大概慣れたつもりだったんだけどなぁ……」
「あ、セツナ殿! お隣よろしいですか? 今日は友達も連れて来たんです!」
そう言って現れたのはイズナ。連れて来たのは、黒いワンピースの上からフライトジャケットを羽織り、人懐っこい笑みを浮かべた銀の長髪の少女。
その後ろにはアズサやミチル、ツクヨが並んでおり、各々手には出店で買ったらしい食べ物を持っていた。
「あかり殿、こちらはセツナ殿と言って、ゆかりネキ?殿や
「初めまして、紲星あかりです!*10 セツナちゃん……さん? 今日はゆかりさんも参加してる大会と聞いたので御呼ばれされてきました!」
「あ、どうも、よろしく……?」
知らない相手なのでやや警戒気味に挨拶を返すが、イズナが仲良くするのであれば悪い人ではないのだろう、と結論付ける。
なおこの紲星あかりという少女、ゆかりネキが本大会に参加を決めた『ゆかりネキが適当ぶっこいたせいでゆかりネキの実力を誤解している』という親戚その人である。
セツナはゆかりネキの一件やゆかりネキとあかりの一件は当然知らないため、今この瞬間もゆかりネキのしょうもない嘘が壊れる瀬戸際になっていることは全く知らない。
イズナ共々太陽のような暖かな笑みを浮かべるあかりであったが、セツナはこの瞬間、なんか猛烈に嫌な予感がしたのだという。
2人の横に並んで座ったアズサ・ミチル・ツクヨのうち、ミチルとツクヨが全てを諦めたような笑みを浮かべていたし。大丈夫、リンでも努力は買ってくれると思うよ、何を止めそこなったのか知らないけれど。*11
そしてその後、これまでとは打って変わって真っ当(?)な第3関門、落石が絶え間なく降り注ぐ坂のふもとに回転扉のような壁のある『ローリングストーンドア』へと差し掛かる。
本家P-1グランプリのギミックを模倣したもので、坂を落ち切った落石が【トラポート】で坂の上に戻り落下を繰り返す、というギミックだ。
落石の大半はゆかりネキのマシンでも押し返せるほどに軽いフェイクだが、坂を転がっているものの中で1つだけ『本物』が混じっている。
コースの構造上、落石を押しのけながら進む必要があるのだが、運悪く『本物』にぶつかると強制的に搭載している爆弾が起爆する仕掛けだ。
『ほんとは重いだけにしようとしたんだけどね、るるネキあたりだと重さでバレそうだし。同じ重さ動きの落石の中に1個だけアタリが混じってる感じにしたんよね』
『なるほど、ここで参加者全員をボンプボディにしたことが生きてくるわけやな』*12
『修羅勢の肉体ならいざ知らず、遠隔操作のボンプの感覚器ではどれが本物かは分からんというわけだな』*13
『
『おーっと天堂姉妹、るるネキが押した回転扉と坂のスキマで挟まれて真っ二つ! これは悲しい事故やね……』
『わー、搭載してた爆弾が誘爆して石が吹き飛んで……あ、アタリの石に当たった幼女ネキが吹き飛んだ』
『は、破片でさらにゆかりネキさんが巻き添え喰らってる……』
そしてここでまたピタゴラスイッチが起こる。
坂の麓にある回転扉ゾーンを先頭で抜けようとした天堂姉妹だったが、僅差で回転扉に差し掛かったるるネキのマシンに押され回転扉が強制的に回転。
天堂姉妹が坂の両サイドの壁と回転扉により裁断機のように真っ二つにされ、爆散。その爆風で吹き飛んだ石の中に『本物』があったらしく、それを反射的に払いのけようとしたリンが爆発。
更に飛び散ったリンのマシンのブレードが突き刺さり、ゆかりネキも無事爆散するのであった。
更にその後もすったもんだあったもののレースは進行し、順位は狩人ニキ、るるネキ、リン、ゆかりネキ、天堂姉妹。
どさくさに紛れてトップに躍り出た狩人ニキを猛追するるるネキ、それをさらに追うリンとゆかりネキ、最下位からリンとゆかりネキをつかず離れずの距離感で追う天堂姉妹。
立ちはだかる第4の関門は、一見シンプルなジャンプ台。しかし着地点との間には巨大な泉が存在しており、その中央部からは何か不穏な泡が絶え間なく浮かび上がっていた。
『さて第四関門、資料によれば『破壊者の誕生』……カス子ネキ? 何が生まれるんやこれ』
『秘密ー。どのギミックもやっぱり初見のインパクトを大事にしてほしいし。テスト走行でもギミックが何を起こすかだけは再現したけど何が出て来るかは秘密にしてたよん』
『どうせ碌なもんじゃないんだろうなぁ……』
などと言われつつも狩人ニキがジャンプ台に差し掛かる。
加速プレートと斜面で角度をつけ飛び上がる、というシンプルな構造だが、加速プレートに差し掛かったところで不穏な泡が一層激しさを増し、水柱を上げて何かが現れる。
『……でっかい、貝?』
『出現したのは巨大なシャコ貝! なんやビーナスでも現れるんか……?』
葵の呆然とした声。そう、出現したのは巨大なシャコ貝であった。
大仰な音を立てながらもそれは開いてゆき、僅かに隙間が開いた時点で狩人ニキがジャンプ。そしてその瞬間、隙間から三つの影が飛び出した。
『
飛び出したのは何と鶏。当然尋常な鶏ではないようで、バサバサコケコケと音を立てながらも正確に狩人ニキのマシンを捉え、高速でその眼前に飛び上がって来る。
そしてマシンにまとわりついてつつき始めるが、ダメージは皆無。しかしバサバサと羽を撒き散らしながらのため、非常に邪魔である。
よもや飛び出した鶏で着地を邪魔するギミックか……? と次いで飛び出したるるネキとリンが警戒し、ホバータイプであるため水上を滑走可能なゆかりネキが一人水面を走り始めた。
その後もシャコ貝は開き始め、内部に収められた何かがその全容を表す。
『
加速プレート手前で停車し様子を見ていた天堂姉妹は、それが何なのかいち早く気付いた。
それは高い身長と端正な顔立ちの、赤髪の青年だった。一見すれば『貝の中から美青年が現れた』という状況だが、その服装が異様だった。
頭にはほっかむりと水中ゴーグル、動きやすそうな和装を纏い、桶と漁網を担いでいる。
それは青年が男であることを除けば日本の伝統的な職業『海女』のそれであり……
『
同じ原作の外見を持つ天堂姉妹だからこそいち早く気付けたのか、その青年の外見はゲーム『FGO』の『アーチャー:トリスタン』のそれであった。
ただし、円卓の騎士トリスタンをモデルとした騎士然としたそれではなく、原作中のイベントで着替えたネタ衣装、俗称『海女スタン』のそれだったが。
「おお……
そしてその恰好に唖然とする面々を尻目におもむろに弓と竪琴の合体したような武器*14を取り出すと、軽やかにその弦を弾き、奏で始める。
そして彼を中心に風が渦を巻き始め、マシンがあおられ始めた。
『
『
『
直後、3人が爆発。1人水上を行ったゆかりネキのみが難を逃れる形となったが……
『
狩人ニキの爆発により目標を失った3羽の鶏がゆかりネキの方に向かい、上陸タイミングを逃しこれまた海女スタンの餌食になるのであった。
『ここで海女スタンの強襲! カス子ネキ、これはどういうギミックなんや?』
『割とシンプルに飛び出そうとすると鶏で視界を塞いできて、そこに海女スタンがフェイルノートかましてくる感じ。
音の刃で攻撃してくるから不可視だし、さっきは3人共団子状態で飛び出したから3人まとめて叩き落されたみたいやね。
回避方法としてはタゲを散らして誰かを囮にするぐらい? ちょっと厳しくし過ぎたかね』
『ちなみに海女スタンは我がオービットベース支部のシキガミだ。
マスターが英国支部から貰って来た英傑シキガミ*16トリスタンの霊基をベースに作ったシキガミでな、宮城における英傑シキガミのプロトタイプでもある。
外見上の違いを出すために海女の姿にしているぞ』
『何で海女……?』
そんな葵のもっともな疑問は、他の4人は全力で聞かないふりをしたのだという。
そもそも原作でもそれに対しての理由付けは全く為されていないので、黒札たちにもその答えは出せないのだ。*17
どっとはらい。
そんなわけで139話でした。最終関門+あかりちゃんの件考えると確実に50kb越えるな……と思ったのでここでいったん切り。
次回はあまりお待たせせずに投下したいものですが……
■解説
・ようじょ
全力でレースを楽しんでいたようじょ。今回はあんまり語る事が無かったりはする。
ゆかりネキを意図して蹴落とすつもりはないけどレースで負けるつもりもない。
・ゆかりネキ
レースの結果如何に関わらず諸々秒読み段階に入りつつある悲しき黒札。
観客席の事は全く知らない。
・あかりちゃん
イズナのお友達。なおイズナの父親が黒札だという事は聞いているが、それが8歳女児だとまでは知らない。
・みちぅ
ようじょの大暴れで胃を痛めているレン子ニキの気持ちがとても良く分かると申しておりました。
・大統領
実はようじょの変身悪魔ベースのシキガミ。
ヌエをベースとしてはいるが他の変身悪魔から採取したMAGも使用してシキガミ体そのものを改造しているのでジオ・ブフ系と物理スキル以外にもアクア系やアギ系も使用可能。
ようじょが自分の名代として支部に置く個体なのでシキガミとしてはかなりハイスペック。
・海女スタン
英国支部の英傑シキガミをベースとした宮城支部製英傑シキガミ、のプロトタイプ。
英傑シキガミの構造を学ぶための習作としてトリスタンをベースに開発され、構造把握が完了した後は英傑シキガミ系技術のテストベッドとして活躍している。日本でも外国の英傑が力を発揮できるように調整を受け、英傑シキガミとしての特性をある程度保持したまま日本になじんでいる。
海女スタンなのはようじょの趣味。今回のレースにあたり『私管理下のやつらなら当人たちが拒否しなかったらいいぞ』とようじょから認可を受けてカス子ネキが動員した。
普段は漁協ニキの部下、ヤヒロ達海の百鬼夜行メンバーの同僚として宮城の海を守っている。
なお、海女スタンとして完成した個体を見てモルガンネキは立ち眩みを起こしアーサーニキは苦笑し、トリ子は『アレをトリスタン卿とか言わないよな!?』とか存在を否定した。
マカーブルさん、夢空さんからFAをいただきました! 大感謝!
・マカーブルさんより、ようじょのステータス
【挿絵表示】
・夢空さんより、お昼寝ようじょ&セツナちゃん
【挿絵表示】
・夢空さんより、ようじょとセツナちゃんの身長差
【挿絵表示】