【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策   作:タマヤ与太郎

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そんなわけで17話です。フォントとか弄って色々やってみた回。一か所だけですが。


転生ようじょ、大海を行く(後)

【密猟者は】地方防衛スレ(宮城) その37【海に還す】

 

 

 

 

 

276:幼女

 

なあ、なんでこいつがいるんだ?

 

[画像]

(駆逐艦の甲板でアズミを蹴散らしながらふんぞり返っているウカノミタマ)

 

 

277:名無しの転生者

 

タマちゃんやん。何してんだこいつ

 

 

278:漁協

 

ふはははは! これが半終末のグリル厄介*1だぁーっ! ざまぁ見晒せ外来種共がーっ!

あ、それは俺がロボ部に頼んで駆逐艦の隅っこにウカノミタマ神の分社を一時的に置かせてもらったからだな

信仰獲得チャンス! と出てこられたらしい

一応あの方漁業の神様*2でもあるから……俺も契約はしてないが信仰はしてるぞ

なお別の神社だが鉄砲や射撃(とギャンブル)のご利益もある

稲荷神としての側面から結構マルチな才能をお持ちの御方ではあるな

 

 

 

279:名無しの転生者

 

うわぁ! 急に落ちつくな!

こいつデモニカで戦闘しながら書き込んでんな? 思考入力でもしてんのか

 

 

280:幼女

 

あーなるほど。じゃあとりあえずほっとくか。

……なんかアナライズしたらレベル30とか出たからクラーケンの群れに叩きこんだら何匹か倒せるんじゃないか?*3

 

 

281:名無しの転生者

 

やめたげなさいよ、多分絵面が葛飾北斎の浮世絵みたいになるから

 

 

282:名無しの転生者

 

このタマちゃんスタイルいいし大分はだけてるし、クラーケンと取っ組み合いになれば絶対にポロリするよな

今でさえ水しぶきで結構ピッチリ張り付いててどえりゃあ捗るが

 

 

283:名無しの転生者

 

天才現る

 

 

284:名無しの転生者

 

やめんかアホ共、バチが当たるぞ

 

 

285:名無しの転生者

>>276

なあ、タマちゃんの周りでアズミをぶっ殺してる悪魔たちってなんだ?

なんか漫画版デビルマンみたいなやつとかいるが

 

 

286:幼女

 

それは私は札束でひっぱたいて連れて来た本部住みのデビルシフター共だな

私やるるネキ程ではないが本部の修行用異界で修行してるから平均レベル30ぐらいのニア修羅勢だ

そのデビルマンは明ニキ、魔王アモンに変身する生まれる世界を間違えたんじゃないか疑惑があるニキだぞ

レベルは26ぐらい

 

 

287:名無しの転生者

 

勇者アモン*4で草

しかしクラーケンくんたちオーバーキルなのでは?

 

 

288:幼女

 

こいつら基本修行で腹を減らす→その場で倒した悪魔食で腹を満たす→なんか趣味の事をする→修行で腹を減らす、

というサイクルで生活してるからな。戦力というよりは駆除後の残骸処理に呼んだ。

「新鮮な海産物をジャンニキに調理してもらえるぞ!」という言葉と共に札束で顔はたいたら喜び勇んで参加したぞ

まあ呼んでみたらニア修羅勢が割といたので戦力的にはオーバーキルだったがな

 

 

289:名無しの転生者

 

 

 

290:名無しの転生者

 

まあニートよりは連合に貢献しておるが、フォルマとかマッカ的に

 

 

291:名無しの転生者

 

うーん欲求に正直で実に俺ら

 

 

292:幼女

 

まあ一部そうでない連中もいるが。大体周囲のMAG漁船に散ってる

だいたいG3-XかMILD来てるから宮城の俺らと区別ができんがな

こいつらは確かシキガミやガチャに金突っ込んで金欠になったろくでなし共だ

ジャンニキが引っ張ってきた

 

 

293:名無しの転生者

 

遠洋?漁業に駆り出されるガチャ廃人共か……

 

 

294:名無しの転生者

 

実に耳が痛いな。こうななりたくないもんだが

 

 

295:名無しの転生者

 

まあ金遣いの荒さで言うなら幼女ネキも大概だがな

幼女ネキの場合自分で唸るほど金を稼いでるが

 

 

296:名無しの転生者

 

マネできないというか、マネできてもしたくないというか

 

 

297:幼女

 

最近は依頼以外でも収入は増えたからな。イカルガの為にも金をためるのだ

トイボックスを使った売電収入とか、あとは天使のフォルマをスケベ部に流したりとか

ラプンツェルとしてると無駄撃ちが死ぬほど出るからな、量もあるからそこそこの収入になる

 

 

298:名無しの転生者

 

えっ

 

 

299:レン子

 

幼女ちゃん! そろそろクラーケンの居る辺りに差し掛かるわよ! トイボックスに乗りなさい!

 

 

300:幼女

 

わかった、ぼちぼち行く

 

 

301:名無しの転生者

 

行っちゃった……

 

 

302:名無しの転生者

 

なんか最後にすげー気になる事言い残したんすけど

 

 

303:名無しの転生者

 

ラプンツェルってあれだろ、あの天使をシキガミにしたパツキン巨乳美女

「天使」「してると無駄撃ちが死ぬほど出る」「スケベ部にフォルマを流す」

ここから導き出される答えは……

 

 

304:名無しの転生者

 

天使って両性だよな確か

 

 

305:名無しの転生者

 

あっ(察し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わははははは! ブチ殺せぇーっ!」

 

漁協ニキの哄笑と共にMAG漁船から放たれるGX-5ケルベロスの猛烈な弾幕。

それは迫りくる無数のアズミ達を瞬時に残骸とMAGに還し、水面に豪雨のような水しぶきを上げる。

アズミ達の来る方向に目を向ければ、生々しい色合いの島のようなものがいくつも見える。

否、あれは島ではない。この辺り一帯の漁場を荒らす悪魔、妖獣クラーケンの群れだ。

そちらの方に攻撃をしようにもトビウオの群れのように迫るアズミ達に遮られ、押し留めるのが精一杯。

やがてアズミ達も学習したのか、一部が海中に潜り死角である船底から攻撃をしようとする――――

――――が、そこは恨み骨髄の漁協ニキ。忌々しげに舌打ちをすると、周囲の漁船に通信を繋ぐ。

 

「チィっ! 魚類の癖に頭が回る! 総員対潜攻撃用意! ジオストーン(爆雷)投下ァーッ!」

 

同時に漁船に積んであった布袋に手を突っ込むとその内容物を乱暴に海に放り投げ、周囲もそれに倣う。

そして数秒後、海中がまばゆく光り……動かなくなったアズミ達が海面に浮かび、MAGに還る。

これは今回の作戦のために用意されたもので、大量のジオストーンを用意し適宜海に放り込むことで、

船底から攻撃をされた際に電撃漁の要領で迎撃することを目的としていたものだ。

迎撃されたのを見て、アズミの群れの進行が一瞬止まる。それを見逃す漁協ニキではなかった。

 

「幼女ネキ! 美大生(るる)ネキ! 出番だ! 暴れてこい!」

 

『『了解!』』

 

「どうせ悪魔はデビルシフターしか食えんのだ、好きに食い散らかせ!」

 

ひゃっほー、という歓声を通信機越しに聞きながら、漁協ニキはケルベロスの残弾を補充し、

殺意の籠った眼差しを再度侵攻を開始したアズミの群れへと銃口を向けた。

 

 

 

「アイリス! トイボックス起動準備! やることをやったら乗る、いつでもハッチを開けられるようにしておけ!」

 

『了解しました!』

 

駆けだしながら、リンは意識を集中する。トイボックスに乗る前に、一つだけやっておくことがあるからだ。

 

変身(シフト)―――キングフロスト」

 

リンの周囲に一瞬だけ吹雪が舞ってその姿を覆い隠し、直後、金庫のような鎧を纏い、カールした金髪の悪魔が姿を現す。

 

『ヒ~~~ホ~~~ッ!』

 

リンの変身する悪魔の1つ、ショタおじから授けられた悪魔、キングフロスト。

縦横3mを越える巨体が駆逐艦の甲板上に現れ、咆哮を上げる。

 

「うざったいアズミ共! 足場代わりの流氷にしてやるホー! 【キングブフーラ】!」

 

キングフロスト(リン)が手に持った王笏に魔力を貯め、掲げると、

目の前の海域に突如ジャックフロスト型の氷が無数に現れ、海面ごとアズミ達の大半を巻き込んで無数の流氷を作り出す。

海面からジャックフロスト型の氷塊が無数に突き出している様はある種ファンシーでこそあったが、

その中にこれまた無数のアズミが閉じ込められているのはどうみてもホラー。あとあのガキ後で殴る。

戦いが終わった後の祝勝会で、キングブフーラに巻き込まれ下半身を氷塊に閉じ込められていたセリリはそう語ったのだという。

 

「よーし、程ほどに凍ったホ。【マハタルカジャ】を周りにかけて……変身解除ホ!

 ……るるネキのデモニホほどのひどいデメリットではないが、口調と性格が一時的にヒーホーに寄るからあんま使いたくないんだがな……

 ともあれ事前準備完了、アイリス! ハッチ開けろーっ!」

 

台船の方を向けば、そこには直立しコクピットハッチを解放したトイボックスの姿。

躊躇なく甲板の縁を蹴って飛び、何度か宙返りして向きを修正しながらコクピットに収まり、ハッチが閉まる。

 

「状態は!」

 

「万全です!」

 

「状況は!」

 

「さっきのマスターの魔法でアズミの群れの2/3が氷漬けです!

 ……あとセリリさんが巻き込まれてるので後できちんとごめんなさいしましょうね?」

 

「……すまん。ロボ部の艦はタマ(ウカノミタマ)デビルマン軍団(デビルシフター軍団)に任せるとして……

 ノワールはこのまま台船の防衛! ラプンツェルは遊撃! 漁船の支援に行け!」

 

『『了解っ!』』

 

「さーて、ようやく出番だぞトイボックス。長きにわたる充電器生活、さぞストレスが溜まったろう! 暴れるぞーっ!」

 

リンの声と共にすでに稼働状態にあったトイボックスの全システムがフル稼働する。

全身の推進器をふかし、両手とサブアームに銃装剣(ソーデッドカノン)を引っ掴み、台船を大きく傾かせて大跳躍。

目の前にあった氷塊を踏み砕いて跳躍し――――――

 

「……マスター、今のがセリリさんが巻き込まれてた氷塊です……」

 

「……踏んでないな! ヨシ!」

 

「何見てヨシって思ったんですか?」

 

――――――踏み砕かれた氷の中に混じって柳眉を釣り上げたセリリが吹っ飛んでいくのを横目に、

同様に大跳躍を繰り返しクラーケンの元へと向かう。

 

「まずは駆け付け一発!」

 

銃装剣の砲口を後ろに(・・・)向け、推進器を全開にしたうえでの【アギダイン】×4。

ただでさえミサイルに匹敵する速度の推進に加え、潤沢に供給されたMAGを用いての爆炎が、一瞬にしてトイボックスとクラーケンの間の距離をゼロにする。

そしてそのまま空気抵抗を減らす様に足先を前に向け、こちらを迎撃すべく浮上したクラーケンの巨体に―――着弾。

高レベル覚醒者(リン)を内包したデモニカ(トイボックス)による莫大な運動エネルギーによりクラーケンの胴体が大きくたわみ、弾け、貫通する。

 

「ひとーつ!」

 

そのまま手足を振って態勢を調整し、再度フルブースト&【アギダイン】×4。

横方向から縦方向に切り替わる強烈なGに歯を食いしばりながら、弾かれるようにトイボックスは上昇した。

 

「アイリス! 残敵はどのぐらいだ!」

 

「アズミは漁協ニキさん達によりほぼ壊滅。クラーケンが……えっ?」

 

「どうした?」

 

「トイボックスの肩に人が……2人!?」

 

アイリスの言葉にリンはトイボックスの首を巡らせる。するとそこには、人懐っこい笑みの、ベレー帽の女性。

そして革製の腰布を纏った、半裸の青年が立っていた。るるネキとリンクニキだ。

 

『こんるる~。なんか楽しそうだから付いてきちゃった!』

 

『……巻き込まれては敵わんからな。どうせここから一発でかいのをかますんだろう?

 ちょうど兄貴が一発かます所だ……その後に撃て』

 

駆逐艦の方を向けば、艦橋の上に立つ人影が1人。狩人のような服装*5女性(男性)……ガチ装備に身を包んだレン子ニキだ。

見られているのを感じたのか、トイボックスにレン子ニキからの通信が飛び込んできた。

 

『幼女ちゃん達! 足は私が止めるから、それに合わせてお願いね! 【刹那五月雨撃】!』

 

駆逐艦の方から飛んで来た矢がぶれ、無数の矢の雨となって降り注ぐ。

それにクラーケン周囲のアズミや低レベルのクラーケンが針山のようになって浮かび、生き残りのクラーケンを閉じ込める壁となった。

 

「よし、なら今度は全力でぶっ放すぞ! アイリス! 稼働に必要な最低限のMAG以外は全部銃装剣に注ぎ込め!」

 

「了解!」

 

『なら俺達も準備しておくか。るるネキ、何かあるか?』

 

『魔法は苦手なんだけどなぁ。一応【アギダイン】あるよ! リンクニキは?』

 

『なら火炎系で合わせておくか。【火炎の秘石】ならある』

 

「吹き飛べ――――――ッ!」『【アギダイン】!』『やれやれ、騒がしいことだ』

 

リンの【アギダイン】×4、るるネキの【アギダイン】、リンクニキの【火炎の秘石(アギダインストーン)】。

直下に放たれた合計六つの【アギダイン】は、潜って逃げようとしたクラーケンを逃さず捉えて炸裂し、宮城県沖に巨大な水柱を立てる事となった。

 

 

 

 

「侵略性外来種の駆除を祝って! 乾杯!」

 

「「「「「「かんぱーい!」」」」」」

 

少し後。戦闘区域の浄化のために回遊する駆逐艦の甲板で、一同は勝利を祝っていた。

晴れやかな顔で酒をあおる漁協ニキを中心に、ジャンニキによる料理に舌鼓を打つレン子ニキらを始めとする一般覚醒者達。

回収したクラーケンやアズミの残骸をジャンニキが調理したものを貪るるるネキとデビルマン軍団(デビルシフター軍団)

そして……氷漬けにされた上に巻き込まれていた氷塊を蹴り砕かれ吹っ飛ばされた、

怒り心頭のセリリによりほっぺたをびよんびよん伸ばされるリンと、沈痛な面持ちでそれを見ているシキガミ三人娘。

レベル差もあり大した痛みにはなっていないのか、リンはセリリのされるがままになっていた。

 

「あんたねえ! 幾らあたしが氷結無効だからって躊躇なく魔法ぶっ放すんじゃないわよ!

 それに何!? あと3歩もズレてたらあのデカブツの足が直撃してたんですけど!?」

 

ふぃふぁふぁっふぁんふぁふぁふぁ(しなかったんだからいいだろう)ふぃふぃふぁふぉう」

 

「よくない!」

 

ふぁふふぃふぉふぁ(悪いとは思ってるんだぞ?)ふぉふぉっふぇふんふぁふぉ? ふふぁんふぁ、ふふふぇ(すまんな、許せ)

 

それが謝ってるやつの態度かーっ! と吠えるセリリと、全く悪びれる様子もなくされるがままのリン。

それを見ていい気味よ! と指さして爆笑していたウカノミタマだったが、

ふと隣に視線を移すと硬直する。そこにいたのは、漆黒の肌に長い白髪が顔を覆い、枝のような冠に赤いマントを羽織った男。

その男がちらりとウカノミタマを見ると、硬直した彼女から滝のように汗が流れだした。

 

「ちょ、なん……が……?!」

 

「よう、元気でやってるみたいだな。おい、そこの人魚。

 怒りはもっともだがその辺にしておいてやれ。ちと、そのガキを俺と話させてほしいんだがな」

 

同時に、凄まじい威圧感が男から放たれ、騒がしい宴が一瞬にして静まり返る。

何でもないようにしているが、男から発せられる気配で、一部のもの以外は身じろぎも出来ていない。

そんな中、セリリの腕を抜け出したリンは、これまた何でもないようにその前に立つ。

 

「ほう、天津神きっての暴れん坊、三貴子(みはしらのうずのみこ)のスサノオ殿のお出ましか。

 ……ああそうか、タマは確かあんたの子だったな。何の用だ?」

 

「ちょっとヨウジョネキ! あんた誰相手にしてるか分かってんの!? 頭が高いってば!」

 

その言葉にざわめく周囲。スサノオと言えば、ヤマタノオロチ退治などの伝説で知られ、

日本神でもトップクラスの神格であったからだ。そのお出ましともなれば、娘とはいえ分霊に過ぎないウカノミタマの反応もさもあらんことだろう。

 

「はっ、俺を相手に『あんた』と来たか。神をも恐れぬクソガキと聞いてたが、予想以上だな。

 お前んとこの親玉(神主)でさえ、もう少し腰が低かったと思うが?

 一応、(ここ)は俺の縄張りでもあるんだがね、命が惜しいとは思わんか?」

 

「だから何だ? 私は敬意を表すべき相手に表するだけだ。

 お前たちに媚を売るぐらいなら、まだ根願寺のキョウジのオッサンの方が尊敬できる分良いというものだ」

 

「……あぁ?」

 

スサノオの横で動けないままのウカノミタマの顔が、青を通り越して白くなっていった。

 

「てめぇはこの間分霊とはいえウカノミタマ(俺の娘)を散々に追い廻して殺し続けたとも聞いたが?」

 

「それはタマが私の親友に手を出したからだ。友人に危害を加えられれば報復をするのが道理というものだろう?」

 

「お前の所のが先に不義理を働いたとも聞いたぞ?」

 

「報連相がゆき届いてなかったのは認めよう。だが、神社ニキの不手際と、私の報復に関係はない。

 神社ニキのやらかし(お伺いを立てなかった)タマのやらかし(無断で加護を与えた上で力加減を間違えた)は相殺されたとして、

 友人がそれで死にかけたのだ、怒りもしよう。そもそもやらかしについてあんたに言われる筋合いはないが。

 神ならば何でも許されるというのは間違った認識だと思うぞ? 神話にさかのぼれば天岩戸の一件*6

 最近の話なら解放した時の宴での日本神の一件、あんたが関わっていたかは知らんが忘れたわけではないだろう」

 

宴でのやらかし。それはかつてガイア連合と自衛隊が封印された日本神を解放した際の宴で、

根願寺に対し日本神の恨みつらみが爆発した一件の事である。

彼らの言う事に一理はあるが、戦後メシア教に蹂躙された日本を必死に守ろうとしたのは事実。

根願寺を切り捨てろ、今の帝都は裏切り者しかいないから滅ぼしてしまえ、などの過激な意見に、

根願寺に好意的な感情を持っている黒札が激怒*7、あわや一触即発になったのだ。

 

「……ちっ、大昔(神話)の話はともかく、そいつを持ち出されると引っ込むしかねえな。

 まあいい、俺が今日来たのは(ウカノミタマ)がはしゃいでるようだから様子を見にきたのと、

 最近ウザったかった悪魔どもを散らしてくれた礼を言いに来たのよ。

 ……まあ、神をも恐れぬクソガキがどんなツラしてんのか見に来た、というのもあるがね」

 

「そうか。おいるるネキ、その足2本くれ。……ほれ、捧げものだ。うまいぞ」

 

るるネキからちょっとした槍ほどもある鉄串に刺されたクラーケンの足を2本受け取り、1本をスサノオに渡す。

そしてノワールを手招きして椅子代わりにしながら、リンは焼きイカ(クラーケン)にかぶりついた。

なおウカノミタマは限界を迎えたのか白目をむいてひっくり返っている。

 

「……食わんのか? 味は保証するぞ、塗っている醤油は私一推しの高級醤油だ」

 

「いやお前、捧げものを捧げた相手が食うより先に口をつけるやつがあるか?」

 

「知るか。私は食いたいときに食う。まあ多少空気は読むが……

 そもそも宴のめでたい空気に水を差したのはお前だろうが」

 

それを聞いてスサノオは諦めたのか盛大にため息を吐き、焼きイカにかぶりつく。

 

「……美味いな」

 

「だろう? どうやら神の口にも合ったようだ、クラーケンどもも本望だろう」

 

「……おいガキ、名前は何て言う」

 

「周りからは幼女ネキ、と呼ばれている。本名もあるが……まあ勝手に調べろ。

 本名を明かすほどには受け入れられていないという事だよ」

 

「ったく、口が減らねえガキだ……まあいい。ウカノミタマ()もまあ楽しくやってるようだ、これ以上とやかくは言うまいよ。

 でだ、幼女ネキ、お前に一つ聞きたい。お前は何故神を恐れねえ? お前からは強い相手に警戒する感情ぐらいしか伝わってこねえ、

 分霊とはいえ、目の前にいる(スサノオ)も、こいつ(ウカノミタマ)も、紛れもなく神よ。

 人は昔からあらゆるものに神を見出だし、伏し拝み、畏れ敬ってきた。 お前らの親玉からも、まあ多少なりとも敬意は感じた。

 だが、お前にはそれがねえ。何故だ? 何がお前をそうさせる? それが俺には不思議でならねえ」

 

それを聞いてリンは小首を傾げ、イカを食い、茶を飲み、後頭部に当たるノワールの胸の感触を楽しみ、

目を閉じてうむむと暫く唸った後、口を開く。

 

「まあ、端的に言えば大して敬おうとも思わんからだな。それに、私は神に助けられたと思うことなど一度もない。

 私は捨て子でな。私は親の顔を知らない。親の愛を知らない。私を育ててくれた人も、物心ついたころには既に生ける屍になっていた。

 その育ての親に食い殺されかけたし、あの人が人であった時の事など伝聞でしか知らない。

 もし、私が捨てられていなかったら。私を拾ってくれたあの人が、死ぬことなど無かったら。もしかしたら、神を敬う心の一つぐらいはあったかもしれないな。

 私を救ってくれたのは、いつだって育ての親であり、ガイア連合の皆であり、ノワール達であり、そして、私を受け入れ、友と呼んでくれたあいつ()である。

 神が私に何をしてくれた? 別に恨んでなどいない。だが、好意を抱いてもいない。 私にとって(あくま)とは、そこらにいる他人と変わらん。

 個々()に対する好悪の念や評価でどうするかは決まろうが、神だからと無条件で敬うことなどありえんよ」

 

怒るでもなく、泣くでもなく、ただ淡々と述べるリン。

それを聞いて、スサノオはただ一言「そうか」と呟くだけだった。

 

 

 

「さて、長居してもよろしくなかろうし、行くとするか」

 

「行くのか? まだイカ(クラーケン)は山ほどあるぞ? 小食なのか?」

 

リンから渡された焼きイカを1本食べ終えてから、スサノオは立ち上がる。

 

「遠慮してんだよ馬鹿。そもそもてめえの娘の顔を見に来ただけだ、俺がいちゃあおちおち気楽に酒も飲めんだろうよ。

 ……そうだな、コレをお前にやる。上手く使え」

 

そう言ってスサノオは、何処からともなく取り出した七支刀をリンに向けて放る。

それは宙にあるうちに光へと変わり、リンの手に収まるころには一枚のカード……スサノオの悪魔カードへと変わっていた。

 

「そいつは俺の力そのものだ。まあ、本霊ならもっと強い代物になるんだろうが……

 まあ、今のお前には(分霊)程度の力の欠片で十分だろう。

 その形になったのは、恐らくそれがお前にとって最も使いやすい形だからだ」

 

「そうか、すまんな。つまらん話を聞かせて同情を買ったつもりはないんだが」

 

「構わんさ。おふくろが居ねえ辛さってのも、まあ、分からんではないからな」

 

そう言ってスサノオは姿を消し、静まり返った宴の場だけが残された。

リンは矯めつ眇めつカードを眺め、とりあえずCOMPに仕舞う。

 

「何だお前ら静まり返って。海域の浄化のためにも盛大に飲んで騒いで宴を楽しまねばならんのだぞ?

 肉も酒も自己責任で好きにやれ。るるネキ、そっちのクラ刺し*8一山くれ。

 ほれ騒げ騒げ! 浄化が不完全ならまたクラーケンが出るかもしれんぞ! 【ジオダイン】!」

 

球状に形成した【ジオダイン】を空に放り投げ、花火のように炸裂させる。

それが合図になったのか一同はまた恐る恐る宴を再開し、すぐに先程同様の大騒ぎに変わってゆく。

その様子を見ながら、リンは何ともいたたまれないような顔でこちらを見るセリリを手招きする。

 

「おい、何をしみったれた顔をしている。こっちに来て酌でもしろ。酒はいらんぞ、酔うと眠くなる」

 

「……あんた、ああいう過去あったんだ」

 

「別に隠してはいないが、取り立てて喧伝もしていないからな。同情が欲しいわけでもないし。

 宮城の黒札ならだれでも知っている話だぞ。慣れろ。ほれ、コップが空だぞ、注げ」

 

「ああもう、分かったわよ! ……ノワール、だっけ? あんたも苦労してるわね」

 

「それがマスターですから。あなたもじきに慣れますよ」

 

「慣れたくないわ……」

 

そう言ってため息を吐きながらもリンにお酌をするセリリ。

こうして、宮城県沖で始まったクラーケン退治は幕を閉じるのであった。

 

 

 

 

*1
TVバラエティ『鉄腕DASH』内の企画。外来種を捕獲し美味しく調理しよう、という企画

*2
宮城県七ヶ浜町の荒崎稲荷神社の祭神がタマちゃん

*3
低レベルのクラーケンならステータスでゴリ押せるだろうが攻撃的なスキルを持たないので高レベルになるとたぶん無理

*4
漫画「デビルマン」の主人公、不動明と合体したのがアモンという名前のデーモン族である

*5
外見はゲーム「世界樹の迷宮」の眼帯レンジャー♀

*6
アマテラス引きこもり事件のそもそもの主犯はスサノオが散々暴れ回ったからである

*7
本編「★ガイア連合対メシア教対策総合雑談スレ その17+α」「なろう系な俺たち 『推しを輝かせる俺たち その8』」「スキルツリーがバグった【俺ら】の現地事情 『第四十九話 稲刈りシーズンと解放の余波』」など参照

*8
クラーケンの刺身




そんなわけで17話でした。トイボックス大暴れ! になってたらいいなあ。


■解説

・幼女ネキ
トイボックスでイカルガみたいな機動をかましたようじょ。
日本神トップクラスの荒神だろうと敬意とかほとんど無し。だいぶ独自の基準と論理で物を考えているので場合によっては爆弾にもなりうる。
基本的に幼女ネキは神だろうが何だろうが人と同じように接します。神だから敬意をもって接する、とかではなく、敬うべきことをやっているから敬う。そういう意味では日本神・多神連合より根願寺への評価が高い。
神様でもハトホル神とかセドさやかちゃんあたりにはかなり評価高いですが。

・セリリ
今回の不憫担当。一応幼女ネキ的には死なないように気を付けてた(危険がないとは言わない)のでスゲー恐かった以外はまあまあ無傷。
一応電撃無効のアクセサリとか貰ってたのでジオストーンの投下も平気ではあった。
ハーレム入りするかはまあ不透明だけど、幼女ネキの事はほっとけないなぁ、ぐらいには思っている。

タマちゃん(ウカノミタマ)
アズミ共を蹴散らしてヒャッハーしてたら戦勝会に親父が来て白目剥いた。
タマちゃん巫女服は神様パワーで抑えられてるので実はポロリはほとんどしない。
無理やり袂を開かれたらするけど。

・スサノオ
タマちゃんが頑張ってたので様子を見に来たそこそこの分霊。
なんだかんだ幼女ネキに思うところがあったのか力を与えた。
幼女ネキに渡した悪魔カードは本来にレベルよりは低い。(50ぐらい)
ここから若干ショタおじナイズが入ってリン専用にカスタマイズされる。

・ラプンツェル
地味に家計に貢献しているシキガミ系天使。
前よりそこそこレベルが上がっている。

・漁協ニキ
メガテン世界でグリル厄介した人。
普段はもっと大分マトモ。
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