三が日には間に合わなかったけど56話です。
大分好き放題やりました。
副題:一般覚醒者から見た幼女ネキ。
【庭で】地方防衛スレ(宮城) その66【焼き芋】
164:レン子
セリリさんにこの写真貰ったからおすそ分けするわね、許可は貰ってるわよ
[画像]
(ウカノミタマの物と思しき九尾の狐の尾の1本ずつを抱きしめて寝ている幼女ネキとイズナ)
165:先生
あら~ (*^ω^*)
166:名無しの転生者
お昼寝タイムかわいいねえ……
167:名無しの転生者
ほんとこういうところは普通の女の子なんだけどなあ……
168:名無しの転生者
その実自律行動する大陸間弾道弾みたいなもんだからな、幼女ネキ……
169:名無しの転生者
立てば暴力座れば暴君、歩く姿は暴風雨というか
170:レン子
まあ保護してうちで世話してた時に比べれば大分とっつきやすくなったとは思うけど、
色んな意味で目が離せなくて心配なのよねえ、過保護だという自覚はあるんだけど……*1
171:名無しの転生者
まあ前世もあるしなあ幼女ネキ……俺も過保護だとは思うけど、良いんじゃないの、心配されてるだけ
幼女ネキも本気で嫌がっちゃおらんのだろ?
たまーにレン子ニキが過保護で困ると漏らしてるが嫌ではないと言うとるしな
172:名無しの転生者
せやな。本気で嫌ならショバ変えとるだろ、こっちに出張所作って腰据えてるし、
その理由も元を辿れば恩返しだろ? 何より最大戦力だしな、心配にはなるさ
173:幼女
なんだ私の話か。ああ、それはさっきの写真だな、タマの尻尾がモフモフでなぁ
抱き着いてたら眠くて寝てしまった。イズナも寝てたのか
最近はセリリの子守歌無しでも誰かが傍にいれば悪夢は見んようになってきたからな
気軽に昼寝できるのは良い事だ。尻尾痺れたんだけど!? とか言われたがモフモフの尻尾なのが悪い
第一たまにイズナとアズサが埋もれて寝とるんだし今更だろ
174:名無しの転生者
おー、大分子守歌治療の成果出てきたじゃん、いいねえ
まあタマちゃんも亭主と娘に甘えられてんだし抱き潰されるよりはマシでしょ
175:幼女
最近はブランも増えたしな。なんだかんだ他の奴らとも仲良くなっているよ
基本的に明るく元気溌剌な良い子だからな、イズナも懐いている
そういやこんな写真も撮ったぞ
[画像]
(独立形態の大倶利伽羅・ブラン(篝の劔冑)・村雨・草薙にそれぞれ乗る幼女ネキ・ノワール・イズナ・アズサ)*2
176:名無しの転生者
なぁにこれぇ(しろめ
177:名無しの転生者
独立形態の真打劔冑に乗って公道走るんじゃないよ!? これどういう扱いなの!?
178:幼女
牛や馬は軽車両扱いだから公道で乗れるんだぞ?*3 流石に認識阻害はかけているがな
基本的に牛や馬に見えているから問題はない。*4セキトバに乗ってても大丈夫だったしな
179:名無しの転生者
あのさぁ……
180:レン子
幼女ちゃん、車あるんだから普通に乗って移動すればいいのに……
181:名無しの転生者
そういう問題じゃねえんスわ
182:幼女
だって乗れるんだし乗るだろ。試運転という意味合いもあったがな
あ、そうだそうだ、皆に2つほど報告があるぞ。まず1つ、孔雀明王の建造がそろそろ始まりそうだ
まあムラクモほどには大きくはならんが、それでも元々よりは大きくなりそうだな
何よりあれクルーザーぐらいのサイズっぽいからいいとこノッセル*5とか程度のサイズにしかならんしな……
まあ大体60mぐらいのものになるはずだ。武装もつけるしぶっちゃけ名前だけ孔雀明王な別物になりそうだ
格納庫は家の近所の空き地を既に買って寸法に合うように工事を始めている
183:名無しの転生者
信じられるか? この幼女海防艦サイズの空中戦艦自家用にしようとしてるんだぜ……
184:名無しの転生者
まあ幼女ネキの買い物がダイナミックなのはいつもの事だし……
こないだなんか日向ちゃんのために教会建てたし中国からの避難民用の住居・孤児院・従姉の家の店と、
ポケットマネーでポンと出すし……リアルシムシティでもやってんのかって感じだしなあ
185:レン子
一応宮城支部というかガイア連合でも援助はしてるんだけどね……
まあお金の出どころの七割ぐらいは幼女ちゃんのポケットマネーなのは確かだけど
186:幼女
まあ大体金はまず私の懐から全部出して、そこから援助分を私が受け取るという形になっているな。ちゃんと領収書も切ってるぞ
んで、もう1つだが。〇〇町出張所専属の所属メンバーとして何人か新メンバーが加わったぞ
まずは皆も知ってるだろうがカジオーネキとその旦那の一蔵さんとネキのシキガミの三世村正一家だ
187:名無しの転生者
よ、幼女ネキがさん付け……!?
188:名無しの転生者
レン子ニキどころかショタおじにすらタメ口の幼女ネキがさん付け!?
189:レン子
貴方たちねえ……まあ、雪車町さんは剣術の達人だし、外見と言葉遣いで誤解されがちだけどかなり好人物なのよ?
それに幼女ちゃん達と手合わせもしたりイズナちゃん達の劔冑での戦闘指導なんかもしてるし、
幼女ちゃん的にとても尊敬に値する人物だと判断したみたいね
190:幼女
うむ。一蔵さんはほんと先生ネキやリンクニキに匹敵する在野の達人でな。レベルでは私が大いに上回っているが、
剣士、というか戦闘者としての方向性はあの二人のようにジャイアントキリングも行けるすごい人だ
手合わせでも最終的に私が圧倒したが、ほんの一瞬死を覚悟するぐらいに研ぎ澄まされた殺気を放ち、
それをブラフにして直撃していたら致命傷だったレベルの一撃を寸止めされた。試合に勝ったが勝負では完敗だ
191:名無しの転生者
確かあの人レベル40~50ぐらいだよな? 幼女ネキもごり押しだけで勝ってきたわけでもないし、
霊山同盟支部のハルカ君も幼女ネキを何度もすっ転ばす槍術を使えるらしいし、いやはや在野にもすげー奴はいるんだなぁ……
192:幼女
劔冑を使った航空戦でも金翅鳥王剣と称してインメルマン・ターンかましてきたしな……*6
カジオーネキ曰く一蔵さんは装甲悪鬼村正を知らんはずなのにここまで原作再現をしてくるとは脱帽だ
ちなみに私が加われば何とか勝てるがイズナとアズサだけだと良い様にあしらわれていたな
弱いなりの戦い方という奴だろうか、とても真似できんな……
193:名無しの転生者
ひえぇ……ほんとすげーんだなあの人……まあ話した感じ結構愉快な人でもあるようだしな
幼女ネキが遠征してる時の守りが心配だったんだが、中国勢もいるし、これなら安心だな
194:名無しの転生者
幼女ネキ、宮城の最大戦力なのは確かなんだけどいない時に何か起こるとほんとやべーからな……
幸い幼女ネキが来る前に比べ層も暑くなってきてるし、俺達もちょっとづつだけどレベル上げてるからな
幼女ネキばっかりが頑張らなくてもは良くなってきているとは思うぜ
195:名無しの転生者
幼女ネキ本人は好きだから、やりたいからで暴れまわってるけど、それに甘えてばかりじゃ格好悪いしな
それに、文ちゃんやノワールさん、イズナちゃん達との時間だってもっと増やしても良いんだぜ?
遠征とかだけじゃなくてさ、家族団欒の時間って大事だぞ。何かってときに、死ねない理由、踏みとどまる理由がある奴は強いもんだ
196:幼女
そうだな……悪夢もあまり見なくなってきたというのもあるが、心に割と余裕も出てきたからな
それに、遠征だとあんまり文とは一緒にいてやれんからなぁ……お言葉に甘えよう
まあ、それはそれとして遠征自体はやめんが。イズナにもいろんなものを見せてやりたいからな、今のうちに
終末が来てからではそれどころではないかもしれんし、まあ程々にバランスを取ろう
197:名無しの転生者
そうだな。実際終末というのがどういうものなのかは正直分かんないけど、出来る限りをやっていくのが一番いいと思うんだよ
198:名無しの転生者
せやな……
199:幼女
で、続きだが。一蔵さんの伝手でレベル20程の覚醒者を2人金札として引き入れてウチの出張所所属として登録した
一蔵さんが筋者だった時の伝手というか、用心棒みたいなことをやってた時期の知り合い、つまりヤクザだそうなんだが、
最近のメシア教関連のあれこれで組が壊滅したそうでな、それで一蔵さんがこれを機に足洗ったらどうよと説得して引き入れたらしい
この2人だ
[画像]
(2mを越える筋骨隆々の巨漢)
[画像]
(煙草をくわえた痩身長躯の青年)
200:名無しの転生者
……ねえ幼女ネキ、俺にはこの2人が忍極の夢澤と殺島に見えるんだけど?*7
201:幼女
そうだぞ。巨漢のオッサンが夢澤恒星、煙草のイケメンが殺島飛露鬼だ
いやー亀仙人のじっちゃんや一蔵さんの時も思ったが本当にいるもんだなぁそっくりさん
ちなみに夢澤が力・体特化型でぶちかましや突撃などの物理スキルメインのタンクタイプ、
殺島が二丁拳銃のリボルバー使いで跳弾が得意な技・速タイプ
人格的には真っ当な人間のようだしな、金札を渡すつもりだ
202:名無しの転生者
わぁ、ホントにあいつらだぁ……
203:名無しの転生者
大丈夫? 原作程にはひどくないよね?*8
204:レン子
ええ、一応顔合わせもしたけど普通に気のいい人たちだったわよ、雪車町さんも人格的には大分真っ当な人だし……
205:名無しの転生者
……考えるのはよそう!
まあレン子ニキが言うなら大丈夫だろうし、何より何かあったら雪車町さんの面目がつぶれるし、
腐っても元ヤーさんなら恩人のメンツをつぶすことはするまい
206:名無しの転生者
……そうだな!
207:幼女
一応私の舎弟になるんだし何かあったら責任をもってどうにかするさ
では、その辺のあれこれがあるので落ちるぞー。この後件のやつらとの面通しがあるのだ
ニキ達も色々心配してくれてありがとうな、万民堂*9で食う時は私にツケてくれてかまわんぞ
どうせニキ達が全員1食づつ食った金額より私の1食分の金額の方が多いんだ、誤差みたいなもんさ
普段世話になってる例だと思ってくれ
208:レン子
気持ちだけ受け取っておくわ……
209:名無しの転生者
相変わらず情報量多いなぁ……
でも幼女ネキが楽しそうで何よりだな。留守を預けられる人材が増えたのは良い事だ
210:名無しの転生者
昔はダークサマナー雇ったヤクザの襲撃とかあったもんなぁ……半終末前後ぐらいの頃だっけ?
あの時は文ちゃんが巻き込まれかけて幼女ネキがブチキレたんだったか
211:名無しの転生者
常々幼女ネキに締め上げられてる*10報復だったらしいけど、無知は罪だよな……
幼女ネキが身内に手を出されてなあなあで済ますわけねーのに*11
212:レン子
幼女ちゃんが皆殺しにしようとするから止めるのが大変だったわ……
ちなみに一応死者は出てないわよ。大半未覚醒だったし、今は契約書で縛って宮城の異界鉱山にぶち込んでるわよ
藤堂さんのところは私の実家の藤林家の分家筋にあたる家だしね。見せしめという意味でも徹底的に潰しておかないと
213:名無しの転生者
うわぁ、いきなり殺気出すな!
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
〇〇町、ガイア連合〇〇町
ガイア連合の金札として加わることになった元ヤクザ、夢澤と殺島は、武家屋敷もかくやという門構えをくぐった先の立派な屋敷に圧倒されていた。
「凄ぇ……これで第二だってんだから第一はどんな豪邸なんだろうなぁ、殺島さん」
「案外普通の家かもしれねぇぜ、夢澤の
殺島が差すのは、視線の先にあるこの屋敷の正面玄関。豪奢ではあるがごく普通の玄関に見えるが……
殺島の目はあるものを捉えていた。
「扉が明らかに
よく見れば爪で引っ掻いたような跡があちこちにある……それを修復したような跡もな。
それにこの屋敷は、この辺りを
「極道の屋敷だったはずの場所がガイア連合の出張所になってて、そこを
……確かに、言われてみりゃあこの造りは典型的な極道の屋敷だ。それが影も形もねえ、ってことは……
逆に言やぁ、スジが通らねえ奴は
2人の言う通り、この第二出張所はかつてはこの辺りを根城にする極道の屋敷だったものである。
リンがこの地に腰を据え始めた頃、ショバ代を強請ろうとしたヤクザを呪い、従えた事がある。*12
この極道、
ダークサマナーとのつながりもありそれなりに幅を利かせていたが、宮城を牛耳る地方名家の当主であるレン子ニキがガイア連合に所属。
また宮城に住む他の黒札と共に宮城支部を立ち上げ、そのせいで
最終的には喧嘩を売った相手がリンだったために叩きのめされ、リンが出張所で販売する銃や武器類の供給元として、
不定期にリンに殴りこまれては各種物品を
そして半終末に差し掛かる少し前。ガイア連合に反目するダークサマナーと結託しリンを襲撃。
(ヤクザにとって)運悪く当時リンの友人だった文も居合わせ、巻き込まれたためにリンが激怒。
組丸ごと、一族郎党殺されかけた上でレン子ニキの管理する宮城の異界鉱山で鉱夫として働かされている。
そしてその屋敷は修繕されガイア連合、正確にはリンの持ち家の1つとなり、
ほぼ自宅となっている〇〇町出張所に招くほどではない相手を招く応接間のように使われている。
2人が玄関の前に立つと扉がひとりでに開き、2人は顔を見合わせた後、意を決してその中へと踏み込んだ。
「カジオーネキの紹介で来たのね、聞いてるわ」
少し後。2人は最奥の座敷でガイア連合による面接を受けていた。
上座に座るのは金髪に狐耳、九つの尾を持った、巫女服の美女。ウカノミタマだ。
「まあ、黒札の紹介って事だし面接も形式的なもんだから気楽にして頂戴。
本当なら黒札であるリンが相手するのが筋なんでしょうけど……ちょっと今寝てるのよね。
一応自己紹介しておこうかしら? ウカノミタマよ、分霊だけど。一応宮城の農業関係を司ってる神よ。
リンと契約してるから、代理って事で納得して」
2人は脂汗を垂らしながらも頭を垂れ、顔を上げられずにいた。
それもそのはず、リンの契約している悪魔やシキガミの中では最もレベルが低いとはいえ、そのレベルは50に達する。
つまり夢澤と殺島とは二倍以上のレベルであり、ただそこにいるだけで垂れ流される存在の圧だけで圧倒されそうになる。
「それじゃ……なんか質問とか、ある? 家とか待遇とかは既に書類行ってるって聞いてるけど」
「へ……へい。その、夢澤と申しやす。何で俺達みたいな極道崩れを加えようと?
二世姐さんから少しは聞いてましたが、ここのボスの黒札さんは宮城でも一番の腕っこきと言ってましたが。
宇迦之御魂神といやあ食物の神、感じられる圧だけでも俺達よりよほどお強いようですが」
「あー、それね。まあ一つはカジオーネキの旦那……一蔵だっけ? その紹介だからって事ね。
リンの奴一蔵の事を随分気に入って尊敬してるみたいだから、その紹介ならって一も二もなく了承してたわよ。
あとはまあ……本人に聞きなさいな。ほら、リン、お呼びよ、起きなさいったら」
ウカノミタマは背後に目を向けながらそのふさふさとした尾を揺する。
すると、尾の中から転がり出てきたのは小学生と思しき少女。
呆気にとられる2人をよそにごろごろと転がると、大欠伸をして腹を掻きながらウカノミタマの膝の上に乗る。
「ふあぁ……ああ、そうか。もうそんな時間か。ええと、お前らが一蔵さんの紹介で来たやつらだな。
二代目竹本組組長、夢澤恒星。講男會傘下長沢組若頭、殺島飛露鬼。まあ、どちらも『元』が付くか。
確かメシアン絡みの一件で組が壊滅したと聞いているが……まあそこはいい。
……で、タマよ、前後が分からんぞ。何で起こした」
「何で自分みたいなヤクザ崩れを拾ったのか、だってよ? 一応一蔵からの紹介だからっていうのは答えたけど……」
「そうか」
そしてリンが改めて2人に目をやると同時に、その身に先程以上の
それが、目の前の小さな少女がただ視線を向けただけ、自分達を視認しているというだけの、
威圧ですらないただの所作に過ぎないと理解した時、目の前の少女こそが恩人である雪車町一蔵の妻、
ガイア連合黒札、雪車町二世と同じ『黒札』であることを察するのだった。
「そう言えば名乗っていなかったな、ガイア連合黒札、宮城支部幹部、及び〇〇町出張所所長、鵺原リン。
黒札の中では幼女ネキで通っている。それでお前らを拾った理由か。一蔵さんの紹介だからというのと……
後はまあ、丁度人手が欲しかったのもあるし、行く当てのないヤクザ崩れというのもいい。
あとはレベルも最低限度にはあるというのもな。総じてタイミングが良かった、と言う所だ」
リンの言葉に納得しつつも、夢澤は引き攣った笑みを浮かべる。
自分達は組の中でもごく一部の覚醒者、その中でもトップクラスのレベルだったと自負している。
それをリンは
恩人である一蔵や二世で40から50ほど。二世曰く自分より強いというのだから、この少女はどれほどだというのか。
「ともあれ、これからお前らは私の舎弟として働いてもらう。異存はないな?」
「ありやせん」
「大丈夫、ッス」
「よろしい。……しまった、気を抜きすぎてちょっと気配漏れてたな、寝起きだったし許せ」
消える圧力。肩で息をしながらも姿勢を崩さない2人を見てリンは獰猛に笑い、手を叩く。
すると隣室の襖が開き、
杯の中には琥珀色の液体がなみなみと注がれ、リンが杯の中の液体を八割ほど飲み干し、2人それぞれの前に置く。
「元ヤクザだしヤクザのやり方の方が馴染みがあるだろう? 固めの盃、二分八というやつだな。麦茶だが。
お前たちの間に序列はつけん、同時に飲み干せ」
顔を見合わせ頷き合い、一息に飲み干す。こうして〇〇町出張所に加わった元極道、夢澤と殺島。
この後リンから金札を与えられ、この〇〇町第二出張所を任されることとなった。
その日の夜。リンが去った後の第二出張所で、夢澤と殺島は酒を酌み交わしていた。
肴はガイア連合産の【珍味のおつまみ】シリーズ、そして、これまでのあれこれ。
「東京にいた頃は、まさか自分がガイア連合に加わることになるとは思わなかった……そうは思いませんか」
「いやはや、
幸か不幸か、組は壊滅、俺らは天涯孤独の身……それに、支部長も良い人だ。
俺らみたいな元極道を、身内の紹介だからと迎え入れてくれてる。まあ、それだけじゃあねえんだろうが」
2人の脳裏に浮かぶのは、ガイア連合宮城支部長、レン子ニキの顔。黒札かつ現地名家の跡取りという絶妙な立ち位置だからこそ、
東京の元極道などと言う胡乱な出自の人間が所属できていると、2人は考えている。
「……それに、覚えてますか、殺島さん。支部長の言ってた事。俺達のボスになる、あの子の事だ」
「忘れるわけがねえッスよ。
「あ……
「
それに
少しの沈黙。お互いに酒を呷り、互いに注ぎ合い、また呷る。
この2人には子供がいた。殺島は実子、夢澤は引きとった孤児とは言え、最愛の子であったことは間違いはない。
このご時世、覚醒者を抱えている組というのも良くある話であったが、殺島の娘は、抗争に巻き込まれて母親とともに死んだ。
そして夢澤の養子たちも、組が壊滅する際、逃がそうとするも夢澤の盾となり、散った。
無論夢澤も殺島も必死に戦ったが、一人や二人覚醒者がいた程度で守れるものでもない。
気が付けば、生き延びていたのは最も強かった夢澤と殺島、二人だけであった。
そこを雪車町に拾われ、そして現在に至る。
「あの子は……いや、俺らのボスになるんだ、リン姐さんと呼ぶべきだな。
リン姐さんはよ、俺らなんかより断然強い。
それに、姐さんも……メシア教によって両親を殺されているらしい」
「ああ……ほんとなら、親に愛されて、守られてなきゃいけねえ歳なのに、
多分、いろんなものを投げ捨てて、がむしゃらに戦ってきたんだろうなぁ……」
呟いて、殺島は視線をグラスから上げる。すると、夢澤と目が合った。
その瞳は、先程までの過去を思い出し沈む、負け犬の目ではない。
手負いでもなお闘志に燃える、狼の目。夢澤もまた、殺島の目に同じものを見ているだろう。
「やりましょう、殺島さん。俺らに何ができるのかは分からねえ……
でも、出来ることをやるしかねえ。それがおそらく……俺達が、生かされた意味ってもんだと、そう思うんです」
「
『俺らは極道、世間様に背中向ける
「
何一つ守れなかった俺達に機会をくれた、雪車町さんへの仁義のために。戦いましょう、姐さんの下で!」
がっしりと手を握り合う夢澤と殺島。暫く後、2人は後に宮城支部でも有数の武闘派覚醒者集団を率いることになるのだが、
それはまた、後の話である。
そんなわけで56話でした。副題②・ようじょと極道。
夢澤と殺島はずっと前から出したかったのでようやく出せた……
原作通りのホモ・ゴクドゥスだとどうしようもないのでそこは大分マイルドなヤクザになってます。
■解説
・幼女ネキ
子守歌治療もあって最近睡眠時間が伸びつつあるようじょ。
お日様にさらしてホカホカふわふわになったタマちゃんの尻尾に埋もれるのが最近のマストなお昼寝だそうです。
夢澤らに「どうやってそこまで強くなったんスか」と聞かれて「死ぬほどの実戦を死ぬほど繰り返した」と返答してドン引かれた。
・タマちゃん
この辺の土地神というのもあるし、見た目
幼女ネキが基本Tシャツスパッツでそのへんうろつく生き物なので……
・夢澤と殺島
幼女ネキの舎弟になった極道崩れ。原作で
原作よりかは真っ当な人間性をしている。
所属後とりあえずで渡された武器が自分たち基準でとんでもねえ代物だったのでドン引きした。
・レン子ニキ
本名:「藤林蓮司(ふじばやし・れんじ)」。実はまだ男であることが2人にバレてはいない。
余談だけどリンクニキは「藤林鈴功(ふじばやし・りんく)」。