【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策   作:タマヤ与太郎

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そんなわけで66話です。
一般人サイドから見たリン達のお話。


転生ようじょ、渡米する。⑤

〇人外ハンター情報交換スレ その59

 

 

 

 

 

 

 

 

594:名無しのデジタルサマナー

 

こちらオクラホマ州の人外ハンター、現在脱出計画進行中。ここに来るのも久しぶりだな……

とりあえずまだ諦めちゃいねーぞってことを宣言しに来た

 

 

595:名無しのデジタルサマナー

 

オクラホマ州!? 生きとったんかワレ! まあ逃げ遅れた奴は相当数いるし西海岸はメシア教、中央部はメカ悪魔の勢力圏とはいえ人はそれなりにいるんだろうが

 

 

596:名無しのデジタルサマナー

 

オクラホマ州っていえばドンキースのヒロイ*1が試合で行ってたとこだよな!? 彼は無事なのか!?

 

 

597:>>594

 

>>596

無事だ。というか彼も覚醒してバリバリ人外ハンターとして戦っていたぞ。Dレベルで50程にはなっている逸材だ

一般に知名度の高い彼が率先して戦っていたおかげで避難民も俺達も諦めなかったくらいには勇気づけられていたよ

 

 

598:名無しのデジタルサマナー

 

いやー良かった、彼は日本人だが俺達に沢山の勇気と希望をくれたもんな、生き残ってくれていてよかった

しかし脱出計画か、大丈夫なのか? たしかあそこは相当数の避難民がいたはずだが

 

 

599:名無しのデジタルサマナー

 

避難民全員を避難させる足とかの準備は大丈夫か? ちょっと厳しいがメキシコ方面からなら応援に行けそうか……?

 

 

600:>>594

 

ああ、実はガイア連合の黒札の人達が助けに来てくれてな。今はその人たちの伝手で人を呼んで脱出用の車両をでっちあげてる所だ

 

 

601:名無しのデジタルサマナー

 

ガイア連合!? おいおいしかも黒札とか雲の上の人物じゃねーか

しかも「達」って事はたくさんいるのか? アメリカで有名な黒札は狩人さんとかだが……

 

 

602:名無しのデジタルサマナー

 

狩人さんはちょくちょくアメリカに来てくれてるもんな、その関係か?

 

 

603:>>594

 

狩人さんもいたんだが……主導しているのは別の黒札でな、幼女ネキさんというらしい

後はもう1人、先生ネキさんと言う人もいる。他にもたくさんいるがこの2人の連れらしいな

 

 

604:名無しのデジタルサマナー

 

幼女に先生? 狩人さんみたいなニックネームか?

 

 

605:名無しのデジタルサマナー

 

ああ、なんか呪い除けだかでそういう名前で呼び合ってるとか言う話は前に聞いたな*2

しかし幼女に先生、なんかあんまり強そうに聞こえない名前だが……写真とか大丈夫か?

 

 

606:名無しのデジタルサマナー

 

名前の感じからすると小さい女の子と線の細い教師みたいなイメージに感じるが……

 

 

607:>>594

 

ああ、今聞いてみたけれど大丈夫みたいだ。1枚目の大人の女性が先生ネキさん、2枚目のハンバーガー食べてるのが幼女ネキさんだな

 

[画像]

(ヒトハを抱きしめて頬擦りしている先生ネキの姿)

 

[画像]

(ほっぺたをリスみたいに膨らませながらハンバーガーを食べ、頬をノワールに拭われている幼女ネキの姿)

 

 

608:名無しのデジタルサマナー

 

おお、先生ネキさん美人じゃねーか。幼女ネキさん?はなんだこれ、ガチの女の子なの?

あんまり強そうには見えないが……

 

 

609:>>594

 

ところが大分武闘派らしいんだよな。先生ネキさんがレベル56、幼女ネキさんがレベル75だそうな

 

 

610:名無しのデジタルサマナー

 

ほう、割と高いな、一線級としてやっていけるレベルか?

 

 

611:名無しのデジタルサマナー

 

……なあ、もしかしてそのレベル、Dレベルじゃなくてガイア連合式だったりする……?

 

 

612:>>594

 

Oh Yes!

 

 

613:名無しのデジタルサマナー

 

……Oh No.

 

 

614:名無しのデジタルサマナー

 

つまり主流のレギュレーション3.3だと先生ネキさんが184、幼女ネキさんが247って事!?

日本の最精鋭でも引っ張ってきたの!?

 

 

615:名無しのデジタルサマナー

 

以前カリフォルニアに来た黒札が確か165らしいってのは聞いたが……

何でそんなとんでもねー連中が言っちゃなんだがわざわざマシン悪魔の勢力ど真ん中に……

ヒロイでも助けに来たのか?

 

 

616:>>594

 

話を聞くにそうらしい。ヒロイのバッドボーイ時代の仲間が幼女ネキさんの舎弟らしくて、元々アメリカに行こうとしてたのに合わせて飛行船で飛んで来たんだそうな

ちなみにあの一般的に連想する飛行船じゃなくて、マジで空飛ぶ船。RPGの後半の移動手段になりそうな感じのあれだ

外から見てるだけでもそこらの戦艦なんか比じゃないぐらいの火力ありそうな感じ。常に避難所である球場上空に浮いてるから中がどうなっているかは分からん

幼女ネキさんが言うには「ロボットとか色々積んでるぞ」との事だが……あ、一応言っておくがその飛行戦艦もロボットも幼女ネキさんの私物だそうだ

誰かからのプレゼントというわけでもなく全部自分で稼いだ金で買ったものだったり、方々に出資したスポンサー特権で手に入れたものだとか

狩人さんも良くアメリカに来ているから案内人としてついてきてもらったんだそうな

 

 

617:名無しのデジタルサマナー

 

自家用ジェットじゃねーんだから……*3

先生ネキさんは?

 

 

618:>>594

 

幼女ネキさんが戦力として引っ張ってきたんだそうだ。元々幼女ネキさん共々日本の宮城? とか言う所の支部の人間らしいんだけど、

技術系に強くて普通に戦っても強いベテランなので連れて来たとか。製造系スキルの持ち主らしいけど戦闘センスがとんでもない人でな……

前衛系覚醒者がスキルも魔法も使わずに良い様にあしらわれてたよ*4

幼女ネキさんも恐ろしく強いんだけどな。拠点にしてる球場が天使とマシン悪魔の襲撃に合った時に丁度駆けつけてくれたんだが、

一人で無数の悪魔の半分ぐらいを殲滅してて笑うしかなかった、それでも「大分手加減していた」との事だけど……

あの子が本気で周囲を顧みずに戦ったら町ごと消し飛ぶんじゃないかなってぐらいの暴れっぷりだった

 

 

619:名無しのデジタルサマナー

 

ひええ……日本人の年齢よくわかんないけど、どっちもとんでもねえな……

特に幼女ネキさんとか、まだ幼稚園ぐらいだろ?*5 何をどうしたらDレベル200越えなんてするんだ……

 

 

620:>>594

 

俺も聞いてみたんだが、「死ぬほどの実戦を死ぬまで繰り返し続けた」との事で……

ちなみに死んだら蘇生してまた死ぬほどの実戦を繰り返すんだそうな

あとはだな、幼女ネキさんは7歳、覚醒してまだ1年経ってないらしい。……どんな地獄で鍛えたらあんなんになるんだ?

先生ネキさんでさえここまで来るのに30年かかったそうだし……先生ネキさんは38歳だそうです

 

 

621:名無しのデジタルサマナー

 

7歳!? っていうか1年足らずでそこまで行ったの!?

先生ネキさんもあれ行ってて20代後半位にしか見えんぞ!?

 

 

622:名無しのデジタルサマナー

 

うーんマジで次元が違うな黒札……いろんな意味で……

 

 

623:名無しのデジタルサマナー

 

っていうか死んだら終わりだと思うんだけど……やっぱ蘇生アイテムとか魔法とかあるのかなガイア連合*6

メシア教でもごく一部は使えるらしいって話も聞くけど……

そう言えば>>594のとこだとメシア教はどうなってんの? ガイア連合と蜜月って噂も聞くけど、どこまでホントなんだか

 

 

624:>>594

 

その事なんだが……まあメシア教穏健派の連中はいたんだよ。結構真面目に色々してくれてたんだが……

どうも過激派のスパイが混じってたらしくて、その過激派に気付いたシスターを脅して自分の悪行を黙認させてたんだそうな

ちなみに何やってたかと言うと穏健派に合流する前にフィルモント博物館から狼王ロボ関連の物品を強奪、

そのせいで出現した悪魔化した狼王ロボに狙われたまま穏健派に合流、結果的に天使&マシン悪魔&狼王ロボに狙われて行き差しならない状況に陥った

そんな状況で徐々に洗脳で影響力を広げて過激派の勢力を広げようとしていたらしい……

まあ本格的に動く前に幼女ネキさん達が合流して、色々あって狼王ロボを仲魔にした幼女ネキさんによって悪行が発覚

最終的に狼王ロボ(レベル68)対そのスパイの鬼ごっこという名の公開処刑で一件落着したよ……一件落着と言っていいのか????

穏健派もスパイに気付かなかった間抜けと言う事で現在脱出計画に関わらせてもらえないまま監禁中

脅されてたシスターは自分を助けてくれなかったというか気付きもしなかった穏健派に愛想が尽きて脱退、ガイア連合の保護下に入ったよ

この後は日本に渡って一神教調和派という非メシア教の一神教勢力に身を寄せるらしい

 

 

625:名無しのデジタルサマナー

 

狼王ロボ!? シートン動物記の!?

ガイア連合レベルで68とかガイア連合合流前に襲い掛かられたらひとたまりもない奴だな……

 

 

626:>>594

 

あと余談だが、幼女ネキさん曰くガイア連合とメシア教穏健派が同盟関係にあるのは事実だが、蜜月なんてとんでもない、との事だ

一神教系で最大規模という組織力やマンパワーは認めるがそれ以外がカス、天使が黒と言えば白でも黒にするゴミクズどもをどうして信用できる? と半ギレで言ってた

先生ネキさんも「日本の異能組織でメシア教に良い感情持ってるのは戦前にメシア教に着いた裏切り者ぐらいだよね」と言ってたぞ

狩人ニキさんも肯定はしていなかったが微妙そうな顔してたからガイア連合そのものはメシア教に良い感情は持ってなさそうだ

実際俺達も色々してくれてた事は感謝してるけど、今回の一件で不信感が募っているのは否定できないな

一番レベルは低かったけど親身になって俺達に接してくれてたのが件のシスターなんだが、そのシスターが脅されている事にも気付かなかった訳だし

まあそれは俺達も同じだからあまりでかい口は叩けないんだけどな

なお幼女ネキさんが言っていた罵倒は原文ママです。どうにもあの子年齢に似合わずスパルタンというか……

「正しく努力するものを評価する」というスタンスで行動してるそうなんだよな。なので諦めずに頑張ってた俺達を思いの外お気に召したようで

ちなみにメシア教には「直接的にも間接的にもメシア教のせいで今の状況があるくせに恥ずかしげもなくメシア教を名乗る時点で努力していない」判定だそうです

 

 

627:名無しのデジタルサマナー

 

なんというか……自他ともに厳しい子なんだなあ

頑張れば認めてくれるが努力もせずに文句言うだけみたいなやつには厳しい感じか

 

 

628:>>594

 

まあそんなわけで幼女ネキさんの援助を受けつつ頑張ってるよ

どうも呼んだ応援も軒並み黒札らしく、巨大なトレーラーのコンテナ部分がアパートみたいになった避難車両がもりもりできていくのは変な笑い出たな……

幼女ネキさん自身はそういうの出来ないらしいから資材調達や生存者の探索であっちこっち跳び回ってたようだ

あの子ほど強い奴はそう居らんだろうけど無理はせんでほしいんだがな、強いとはいえ7歳だし……

 

 

629:名無しのデジタルサマナー

 

つまり馬鹿でっかいキャンピングカーみたいなのを作ってるって事か。流石ガイア連合、やる事のスケールが違う

 

 

630:名無しのデジタルサマナー

 

そう言う面子を簡単?に集めてこれるって事は幼女ネキさん自身あちこちにコネがあるのかな

他人事ながらこんだけ親身になっていろいろしてくれるってのもなかなかいないよな

 

 

631:>>594

 

レベル高くて稼ぎも良いからあっちこっちに出資したり飛び回っている関係で顔が広いんだと言ってた

連れてる子らも軒並みガイア連合式で30越えらしいし、主力の面子で言うと50から60台後半ほどになるらしい*7

先生ネキさんの連れの子らはそんなに強く無い(それでもDレベル100越え)らしいけど、その分事務能力やお世話力が高いんだそう

戦う時はデモニカを着る事も多いと言ってたな、特に先生ネキさん達の方は。俺達が着るようなデモニカって鎧みたいに装着するタイプだろ?

ガイア連合の最新式は端末だけ所持して必要な時に装備したり、通常はバイクや動物の形状から変形してデモニカとして装着したりするタイプもあるってさ

流石にそれを貰うことまではできなかったが……Dレベルで50相当位のカタナは貰った

手慰みに作った俺達みたいな一般人用の量産武器らしいけど、今まで使ってたマチェットが果物ナイフに思えてくるようなすげーブツだったよ

 

 

632:名無しのデジタルサマナー

 

Dレベル50相当って俺らにとっては結構なくそつよ武器なんだけど……

それにカタナって切れ味は良いけど作るのにすげえ手間がかかるらしいのによくくれたな……

どのぐらい貰えたんだ?

 

 

633:>>594

 

40本だな。おかげで前衛メンバーには大体行き渡ったよ

なんでもこのカタナ、工業的に量産できるように作った奴の試作品らしいのでそのテストの意味合いもあるんだと

結構武器も傷んだりするからすげーありがたいよほんと。弾薬も大量に提供してもらったし、

何よりCOMPなんかのMAGバッテリーも気軽に充電させてもらってるから士気もうなぎのぼりだ

充電用の大容量MAGバッテリーを持って来てくれてすごい助かる……今こうして報告しにこれたのもそのおかげだしな

なおそのためのMAGは幼女ネキさんが充電してるらしい。体質的にMAG保有量がものすごく多い体質らしい

幼女ネキさん達のデモニカや武装のMAGバッテリーも大概幼女ネキさん由来のMAGらしいぞ

幼女ネキさんが充填したMAGを増幅して飛行戦艦の駆動に回したりバッテリーに充電したりとかしてるそうで

こればっかりは他の奴にはそうそう真似できない事だな! と胸張ってたよ

 

 

634:名無しのデジタルサマナー

 

うーんなんともはや……でもおかげで脱出がはかどりそうなのは良い事だな

俺らも割とカツカツだからあんまり援助とかはできないけど、頑張ってくれよ

 

 

635:名無しのデジタルサマナー

 

そうだな、>>594みたいなやつらが必死に頑張ってるって聞けただけでも俺達も頑張ろうぜ! って気になれる

まだまだ世の中捨てたもんじゃないな!

 

 

636:>>594

 

ああ、頑張ってくれ。俺達も最後まであきらめないからな

あと、幼女ネキさんからの伝言があってな。俺達は東海岸のセドナって女神が治めるシェルターに向かうんだが、

その途中途中で俺達みたいな避難民をピックアップしていくつもりだそうなので、ついてきたいやつはついてこいだそうだ

このスレでちょくちょく立ち寄る地点を報告するから、どうにか来れそうなら来てみてくれ

俺達ほどに援助してやれるかは分からんが、食うには困るまいと言ってたぞ

 

 

637:名無しのデジタルサマナー

 

おお、それは朗報だな。余計なこと考えなければ生存率アップできそうだし、ちょっとこっちでも相談してみるわ

 

 

638:名無しのデジタルサマナー

 

>>594も無理はせんようにな、命あっての物種だぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シスター・メアリーが目を覚ますと、そこは見覚えのない天井だった。そして直後に思い出す。ここはガイア連合の飛行戦艦の中である、と。

あの悪夢のような日々から少し経った。宛がわれた部屋から出ると、飛行戦艦の中とは思えない、温かみのあるコテージのような内装が周囲に広がる。

この飛行戦艦を外から見た時は巨大な木製の船をそのまま戦艦に改造したような外見であったので、もしかしたら本当に木製なのかもしれない。

廊下を歩いていると、自分より小さな影が前方から歩いて来る。160程の自分よりも大分背の低い、ずぶ濡れの黒い長髪の少女。なぜか服を着ていない。

風呂上がりらしくほかほかとした湯気を立てながら、半分寝ているような顔で水滴を落としながらもよたよたとこっちに向かってくる。

この船の持ち主であるガイア連合の黒札、幼女ネキことリン・鵺原だ。普段の苛烈な様子が嘘のように、こちらに気が付くと屈託のない笑顔を向けて来た。

 

「めあり」

 

「お、おはようございます?」

 

「めあり……」

 

抱き着こうとしているのか両手を突き出してこっちに来よう、としたところで、通路の奥からドタバタと走って来た緑髪の女性。

リンが契約している悪魔マーメイドらしい女性、セリリが脳天に拳骨を叩きこみながら手にしていたタオルでリンの体の水滴を拭う。

 

「ああもう、拭いてないのに逃げるんじゃないわよ! メアリー、悪いけどこのバカ押さえてて! 着替え取って来るわ!」

 

「え、あ、はい?」

 

タオルごとリンを押し付けられ、思わずそのまま抱きしめてしまう。風呂上がり&子ども特有の高体温が寝起きの体に心地よい。

リンはそのまま抱き着き、子犬のように頬を摺り寄せてくる。シャンプーの香りか、ふわりと良い匂いがした。

 

「めあり」

 

「はい?」

 

「なれたか? いじめられてないか?」

 

「は、はい……セリリさん達も良くしてくださいますし、避難民の方々も優しくしていただいてます」

 

「ならいい……」

 

そのままメアリーの腕の中で寝息を立て始めるリン。どうしたものかと一瞬慌てるが、直後に着替えを取って戻って来たセリリ達によってどこかへと連行されていった。

 

 

 

その後は先生ネキの部下であるヒトハの監視(護衛)のもとヒトハの部下に当たるフタバ達通称「救急医学部」達に混じり怪我人や病人の治療や、

避難民のメンタルケアなどを行う。ヒトハやフタバ達は角が生えており、フタバ以下八人は全員同じ外見だが、純粋な悪魔と言う訳でもなく、

「シキガミ」と呼ばれる人造悪魔の一種らしい。幼女ネキの連れているノワールら数人もそう言った者達と聞いて、最初は驚いたものだ。

人とほとんど変わらない外見、全く遜色ない受け答えの行える存在をこうも大量に作り出せるというのも、事実とは言えいまだに信じがたい。

 

「あ、リンさんと……ナマズ……オ、だったかな」

 

休憩時間に球場の中を歩いていると、視線の先にリンを見つける。その周囲にはリンより頭一つ小さいサイズの、ナマズに手足を生やしたような謎の生物がいた。

彼らはナマズオと言い、ヒトハやフタバ達には劣るものの彼らも一応はシキガミらしい。

人語を介し、ヒトハ達同様の人間さながらの受け答えが可能。Dレベルで26程、普段はリン達ガイア連合の者達の命令であれこれ雑用を行っている。

そんな彼らがリンを中心に円陣を組み、中腰になって力を溜め、その後手を上に伸ばし左右にゆらゆらと揺れていた。*8

何をしているのかは分からないが、邪魔をしては悪いと軽く会釈してその場を離れた。もしかしたらあれが日本でやる「ラジオ体操」なる運動なのかもしれない。*9

 

 

 

「「「ドーモ、メアリー=サン。お元気ですか?」」」

 

「あ、はい。大丈夫です……」

 

「「「それは良かった。何かあれば遠慮なくどうぞ」」」

 

メアリーを見るなり声をかけ、そう言って去ってゆく、黒地に赤い雲のコートを着た角刈りにサングラスの全く同じ容姿の男3人。

彼らはシキガミではないが、また別種の人造悪魔ではあるらしい。ガイア連合の技術力は他を超越しているようだ。

クローンヤクザ、という名前で、レベル15、Dレベルで言うなら50程。一流の覚醒者に匹敵する強さだということに少し気が遠くなる。

レベルは高いがナマズオ達よりは下位の存在らしく、ナマズオの指示を受け、時に警備、時に鎮圧に奔走している。

ある日不意に出現した悪魔に対し、日本語らしい怒号を上げながら襲い掛かっていたが、あれは何と言っていたのだろう?

そんな益体もない事を考えている自分に気付くと、そんなことを考えられる程度には余裕が出てきたのだと少し明るい気分になれる。

 

あの過激派スパイの存在に気づいてしまってから、気の休まる時などありはしなかった。

脅迫され、命惜しさに従ってしまった自分に腹は立つが、かといって抵抗したとしても何も変わらなかったろう。

洗脳をされなかったのはただの偶然だ。もしガイア連合の人達が来るのがもうすこし遅れていたら、あのスパイは本格的に活動していた。

そうなれば自分等洗脳されて第一の手駒にされていたろうから、本当に紙一重だった。

あの後意を決して告発をしてよかった。メシア教と縁を切る事にはなったが、元々あまり信仰篤い人間ではなかったし、

覚醒してしまって駆け込む先がたまたま近所にあったメシア教の教会だったという程度の話だ。

スパイがいると分かっている状態で見る彼らは、驚くほど滑稽だった。悪い人達ではない。覚醒したばかりの自分に親身になって接してくれていたし、

力の使い方を教え、導いてくれた恩もあった。だが、目の前の自分達を陥れようとしているスパイに気付くことはなかった。

今は球場の一室に軟禁され、クローンヤクザ達によって世話をされているらしいが、彼らは結局どうなるのだろう?

 

彼らが信ずる神や天使は、自分を救ってくれはしなかった。自分を救ってくれたのはリン曰く自分自身だそうだ。

リン曰く「私が救ったのではない。お前の命を賭した行動がお前自身の未来を開いたのだ」と言っていた。

レベルも低く、低位の癒しの奇跡(ディア)が使える程度の自分だったが、それでもリンやガイア連合の人達は「良く口を開いてくれた」と褒めてくれている。

噂に聞く一神教調和派、メシア教穏健派でも名高いシスターフッドに所属していたシスター・ヒナタに口利きもしてくれたし、感謝しても仕切れない。

日本に渡ったら、この大恩を少しでも返せるように尽力しよう。そう考えていると、不意に後ろに気配を感じた。

振り返ればそこにはセーラー服に着物を羽織ったような、狐耳の少女。確かイズナと言うガイア連合の金札の少女だ。

自分より少し低い程度の身長ながら、信じがたいことに年齢は0歳、リンが契約悪魔のウカノミタマとの間に作った子供なのだそうだ。

そろりそろりと足音を殺してついてきていたようだが、自分が振り返ったのに気づくとぱっと太陽のような笑みを見せた。

 

「……あの、何か? ……ええと、イズナ、さん」

 

「呼び捨てで構いませんよメアリー殿! お散歩をしてたらメアリー殿を見かけたので追いかけておりました!

 (ちち)上からは貴方をお守りするようにと言われておりますので! ところで今お暇ですか? 一緒に修業しましょう!」

 

話を聞くに、父親(リン)(驚くべきことにリンの方が父親らしい)の命で自分を見かけたら護衛したり手伝ったりしてやるように、と言われ、

散歩中に自分を見かけたのでそれを果たしに来た、という事らしい。

一応今は休憩時間だが、ヒトハ達からも「イズナを見たらそれとなく気にかけてほしい」と言われており、ヒトハ達に連絡をしてイズナの方へ行くと伝え、快諾される。

 

「大丈夫だそうです。修業とは……いったいどのような? あまり激しい戦いは得意ではないんですが……」

 

「大丈夫です! 今日は私の得意技、螺旋丸の講習会をハンターの方々に開くことになっているので!*10

 少々コツはいりますが、習得できずともMAG操作技術は覚えて損はないですよ!」

 

などと言われ、確かに【ディア】しか使えない現状攻撃的な技術も覚えるべきだろうか、と思い承諾する。

その後人外ハンターたちに混じりイズナの忍術講習会を受け、MAG操作技術に適性があったのかメアリーもなんとか螺旋丸を習得。*11

イズナ達からすれば吹けば飛ぶような威力ではあるが、ある程度の自衛手段を手に入れる事となった。

 

 

 

余談であるが。

その晩洞天内のリンの別荘に泊まったメアリーであったが、イズナ達に巻き込まれてリンの夜の営みを覗くのに付き合わされてしまう。

そこで目にした(性的な意味で)荒ぶるリン、そして自分を説き伏せてくれたラプンツェル(ドミニオン)の乱れた姿*12はメアリーの目に強く焼き付き、その性癖に多大なる悪影響を及ぼしたのだという。

 

どっとはらい。

*1
原作で逢魔賀広偉は「NYドンキース」という球団に所属していた

*2
そう言う意味合いもあるが実際の所ネット掲示板のノリである

*3
実際そんなノリである

*4
先生ネキはリンクニキ同様9割製造系スキルに1割物理系スキルがある程度の覚醒者

*5
小学二年生

*6
むしろ標準装備

*7
クローンヤクザやナマズオは除く

*8
FF14においてナマズオが時折やるモーション

*9
違う

*10
螺旋丸はイズナが暇つぶしに開発した術である

*11
螺旋丸そのものはMAG操作技術があれば習得できる(威力を出すために圧縮するのにはそれなりに熟達がいる)

*12
とラプンツェルのスタンダップしたシフトレバー




そんなわけで66話でした。
一般人サイドから見たあれこれはたまにかきたくなる……


■解説

・幼女ネキ
実は朝が弱い、というか最近特に精神的に安定してきたので朝風呂に入って朝ごはん食べるぐらいまではうつらうつらしている。あと寝ぼけているとハグ魔になる。
シスター・メアリーの性癖をぶっ壊した主犯。

・シスター・メアリー
性癖をぶっ壊された元メシア教シスター。
レベルに比してMP多めなので螺旋丸で接近戦、シュラウドマグナムで遠距離戦をするスタイルに落ち着く。
暫くリンとラプンツェルを直視できなかった。

・イズナ
未だリンのお手付きになるのを狙っている実娘(0歳)。
ちょっと面白いもの身に行こうぜ! ぐらいのノリでメアリーを巻き込んで覗きを敢行。
(メンバーはイズナ・アズサ・ミチル・ツクヨ+メアリー)
翌日ミネルヴァとセリリにバチクソに怒られた。
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