【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策   作:タマヤ与太郎

80 / 132
79話です。なんとかクトゥルー戦決着。
何とかその20行く前には日本に戻ってこれそう……


転生ようじょ、渡米する。⑱

 

「――――――イズナ、準備は良いですか?」

 

「はい、ノワール殿! 準備万端、いつでもいけます!」

 

あれから少しして。リンの領域【混合式・蓋棺鉄囲山】の目の前には、イズナとノワールが立っていた。

その周囲にはレン子ニキや先生ネキらが散り、クトゥルーとリンだけが領域に取り込まれたことにより取り残された眷属達を殲滅している。

 

「遺憾ですが、私よりは貴女の方が成功率が高い。でも、貴女を矢面に立たせたことでお叱りを受けるかもしれません……

 ですから、すべては私の独断による決定です(・・・・・・・・・)。貴女が自ら志願した事ではない。いいですね?」

 

「……? よくわかりませんが、(ちち)上はそんなことでお怒りにならないと思いますよ?」

 

首を傾げるイズナ。先生ネキらの想定とは裏腹に、イズナはリンの危機に助力を求められてもさして取り乱しはしなかった。

(ちち)上なら必ず戻ってこられますよ! (ちち)上ですから!』と、根拠があるのかないのかよく分からない信頼交じりではあったが。

実際、領域が存在している以上リンが健在なのは事実ではある。もっとも領域の維持が可能な程度に負傷している可能性はあるが……

 

「マスターが良くても、私達が良くないのです。マスターが最前線に飛び出し私たちが後に続くのがいつもの流れですが……

 割り切れていても、完全に納得したわけじゃないんですよ」

 

「ノワール殿も苦労してらっしゃるのですねぇ……」

 

「本当に……ともあれ。マスターに怒られるにせよ、私が怒るにせよ、それはすべてが終わった後です。作戦の内容は覚えていますね?」

 

「はい! 同調術式で(ちち)上の霊質に寄せた上で突入、(ちち)上に領域を解除して頂いた上で(ちち)上に星祭の方にいただいたものを渡す、でいいのでしょうか?」

 

「……はい。それでは――――――お願いします」

 

「はいっ!」

 

元気よく返事をしたイズナに頷き、ノワールはブランを呼び寄せ、劔冑形態へと変化させる。

イズナが行く。ならば自分ができる事は眷属の残党を掃討し、リンが戻ってきた後の面倒を省くこと。

篝の劔冑(ブラン)に片手を翳しノワールは静かに呟く。装甲の言霊を。

 

「囁き―――詠唱―――祈り―――招来!」

 

篝の劔冑(ブラン)が無数の鉄片となって散り、ノワールの体を覆い、装甲が完了する。

 

「イズナがマスターにあれを届けるまで、残党を押し留めます! 行きますよブラン!」

 

『オッケーお姉ちゃん! 全システムオールグリーン! サポート開始するね!』

 

 

 

「……では、行きますか。(ちち)上にこれを届けなければ」

 

イズナは手の中の呪符を懐に仕舞い、また別の呪符を取り出す。この呪符には霊質を一時的に補正し特定の霊質に寄せる機能があるらしい。

これをもってリンに非常に近い自分の霊質を領域が誤認する程度にまで寄せ、領域の排除機構を無効化。

そして侵入した後にリンに領域を解除してもらい、先程締まった呪符に収納されている物を渡す。そうすればあとはリンがクトゥルーをやっつけてくれるだろう、というのが星祭のニキ達の言であった。

実際の所、イズナはリンをそれほど心配していない。それは子供ゆえのリン(おや)への根拠のない信頼でもあり、

幾多の敵を打倒し、イズナを導いてきたリンと言う黒札への実感からくる確信でもあった。

今、リンは分が悪い戦いを強いられているのだろう。だが、それはリンが負ける理由になるとはイズナには思えない。

 

――――――何故ならば、リンは強い。そして、リンは1人ではない(・・・・・・)

 

リンは大抵の事が出来てしまうが、それでも誰かに頼ることを厭う事は少ない。

ロボットに乗りたければ専門の黒札に依頼するし、武器もデモニカもそうだ。リンよりその道に長けている者に頼んだ方が良い。

戦闘技術だって、イズナが開発した技術をイズナに教わることをリンは躊躇しない・。

だから、戦いにおいてもそうすれば良い、とイズナは考えている。

ノワール達は真っ先に突っ込んでいくリンを案じて常日頃ハラハラしていが、それはリンが自分達で一番強いのだから当然の事だろう。

自分達の力が足りない、とノワールはたまにぼやいているのを聞いたことがある。でも、それは当然なのだ。

ノワール達が下支えしているからこそリンは最前線に殴り込める。リン一人で足りないなら自分達で補えばいいのだ。

だから今もそう(・・・・)だ。出来る事をやればいい。役割分担という奴だである。

 

「……まあ、そういう理屈の問題ではないのは分かっているのですが。全く心配してないわけではないですし……さて、では参りますか」

 

イズナは呪符を額に当てる。すると呪符は暖かな光を放って宙に溶け、イズナは自分の霊質が補正されていくのを感じる。

効果時間は10分ほど。それを越えると術が自動的に解けるようになっているらしい。長時間霊質を変化させ続けるのは危険だから、とイズナは聞いていた。

目の前にある、雷雲に囲まれた穴へ手を伸ばす。通常であれば伸ばした手は雷雲に触れた時点で反対側の雷雲から飛び出し、穴へ入ることはできない。

しかし延ばした手は雷雲に遮られることなく穴の外周へと触れる。成功だ。

 

(ちち)上、待っていてください……イズナが、今参ります!」

 

そう呟いてイズナは歩を進め……そして、穴に吸い込まれるようにして消えた。

 

 

 

「……む?」

 

リンが『それ』に気付いたのは、頭の隅にざわめくような何かを感じたからだった。自分がもう1人いる。そう認識した直後、イカルガのコックピット内に現れる影。

黒髪に狐耳、セーラー服の上から着物を羽織り、マフラーを巻いた少女。それは、愛娘であるイズナに他ならない。

リンは少しだけ驚いたような顔をするが、イズナの太陽のような笑顔に、牙をむくが如くの獰猛な笑みを返す。

 

「母《ちち》上! お助けに参りました! みんな心配してらっしゃいましたよ!」

 

「だろうな。総出でガチ説教されるのも覚悟はしていたが……ふむ、お前が来たとなると……」

 

「私が来たとなると?」

 

「領域を強固にするための縛りの条件を満たせなくなって領域が割れるな」

 

ばりん。

 

リンがそう言った直後、硝子を手で千切るような名状しがたい異音と共に、領域の空間そのものにひびが入り、直後砕け散る。

リンが領域を展開する際に設定した領域を強固にするための条件が、イズナが侵入してきたことで満たせなくなり領域が強制解除されたのだ。

一瞬の浮遊感と漆黒の後、イカルガとクトゥルーは少し前まで戦っていたアーカムシティ郊外に戻って来た。

周囲には眷属を猛然と殲滅する一同。リンは襲い掛かる眷属を蹴散らし、眷属をも巻き込みつつ放たれるクトゥルーの剛腕を避け、クトゥルーから少し離れた位置に滞空し様子を伺う。

 

「ふむ……パワーは相変わらずだが傷の治りが遅い。もう一押し、と言う所か……」

 

「……あ! そうだ(ちち)上! 星祭のニキ殿からこれをお預かりしています!」

 

イズナに呪符を渡されたリンは、それが術式ではなく何らかの物品が収納されたものである事を察すると即座に解凍。

解凍されたそれ(・・)は、一見して鞘に納められた短剣を模したブレスレットのようだった。

リンの目が輝く。それがなんであるかを即座に理解し、その目はそれが何のためのものかを正確に解析(アナライズ)

ブレスレットを右腕に装着すると、普段アイリスが座っているサブシートに座ったイズナに向け声を張り上げる。

 

「イズナ、私にMAGを回せ。お前は私のMAGの影響を強く受ける程私に近い。できるはずだ。

 それに、その霊質を補正する術式は星祭のニキ達のものだな? あと何分持つ?」

 

「ええっと……あと五分ほどは! MAGを回すのも出来そうです!」

 

「それだけあれば十分だ。設定上(・・・)三分維持できればいい、やれ!」

 

リンはそう言うとブレスレットから短剣を引き抜く。直後、背後のイズナから膨大な力が流れ込んでくるのを感じた。

イズナは分霊とはいえ神の子であり、稲荷神の眷属でもある。そして黒札(リン)の娘であり高レベルのペルソナ使い。

有する才覚も保有する生体MAGの量も半端な黒札を凌ぐ。そんな彼女から放たれたMAGが、リンを満たす。

同時にリンはイカルガの2つの心臓を絞り尽くす勢いで稼働させ、さらに莫大量のMAGを生成。

そのすべてを己の身へと流し込み……短剣をブレスレットの鞘へと装填。ブレスレットが光を放ち、リンの頭ほどもある巨大なヒトダマが産み出された。

 

O.S.(オーバーソウル)セイシンテングン(・・・・・・・・)――――――インイカルガ!」

 

そのままヒトダマをコンソールに叩きつけるようにして憑依させると、イカルガがまばゆい光に包まれる。

その光は瞬く間に大きくなり、数十メートルはある人の形を取るとクトゥルーに向けて身構え、振り上げられた拳にカウンターを入れるように懐に飛び込み、その胸を打ち据えた。

 

 

 

「……何だあれは。俺にはあれがウルトラマンに見えるが」

 

「あれが星祭の俺らがイズナちゃんに預けた秘策とやらか……?」

 

イズナがリンの元へ飛び、領域が破壊された直後現れたのは、青と銀を基調にした数十メートルはある巨人だった。

耳が少し尖っていたり目つきがやや鋭くも見えるが、そのシルエット、カラーリング、そしてその仏像のようなアルカイックスマイルめいた顔。

極めつけにその胸に輝く宝玉のようなパーツは、誰もが知るあのヒーローの姿を彷彿とさせる。

現れた巨人に絶句する大佐ニキと聖職者らしき服に眼鏡をかけた男。

大佐ニキが今回のメシア教のやらかしに対する賠償として戦力として引っ張ってきた穏健派メシアン、野沢則夫。

彼もまた『俺ら』(転生者)であり、通称をアンデルセンニキ*1。過激派メシアンの勢力下にある西海岸で戦い続けている海外俺らの1人である。

なお、賠償としての招集と言うのは建前であり、信用できる戦力として大佐ニキが引っ張ってきた、と言うのが実情だが。

 

「あっはっはっは! いやーライダーになるわロボに乗るわ、挙句の果てにウルトラマンか! いやー幼女ネキと一緒にいると退屈しないわ!

 しかもヒカリなんて幼女ネキらしいチョイスじゃん! 最高!」

 

爆笑する先生ネキ。リンのハチャメチャぶりを比較的間近で見ている上、当人もネジが数本飛んでいる奇人であるためさもあらんことか。

爆笑しつつもその手元は一切狂わず襲い来る眷属達を切り刻んでいる様子を見て、これまた大佐ニキとアンデルセンニキは絶句していた。

 

「あれは……どういうものなんだ先生ネキ?」

 

「ん? アレってーと……ああ、呪符の中身? まあ、悪魔カードを封入した礼装の1つかな。

 ざっと霊視()た感じ、封じた悪魔の能力を発揮するための魔晶武器の1つ?

 幼女ネキが使えばあれの封じている悪魔カードを媒体にオーバーソウルできるだろうね。

 多分あれはそれ使って、イカルガを触媒にして巨大なオーバーソウルを形成してるんじゃないかな」

 

「それ程の悪魔を封じていると? 危険性はないのか?」

 

「幼女ネキは恐らく消耗しているんだろう? 大丈夫なのか?」

 

2人の問いに先生ネキはんー、と首を傾げ(つつも首から下は眷属を殺し続けている)、「ま、大丈夫じゃない?」とあっけらかんと答える。

 

「アレ作った星祭のニキに聞いたけど、あれに封じてるのはそれ程危険性はないよ。その辺、星祭の製造系修羅勢の腕は確かだし。

 それに何より、あれは格で言うならまあまあ強め程度だけど、その存在そのものがクトゥルフ……いや、旧支配者(・・・・)特攻なんよね。

 あれはロボ部で使ってるノーデンスのMAGから抽出したカードらしいし……ま、危険性はないでしょ。

 名前は確か……【星辰天軍】、あるいは【星の戦士】だったかな?」

 

 

 

「――――――ふんっ!」

 

リンはイカルガの操縦系を介して巨大なO.S.を操りながら、数十メートルの巨体を構築してなお倍ほどもあるクトゥルーに対抗していた。

イカルガのままでは山を押すが如く手ごたえを感じられなかったクトゥルーであったが、今のこのO.S.は攻撃が確実に相手に通っている、そんな実感のある手ごたえを感じた。

それはサイズが数倍になったからだけではない。このO.S.を構築するために使用した悪魔カード、星祭のニキ達が送って来た礼装【ナイトブレス】に封じられた悪魔カードによるものだろう。

封じられている悪魔の名は『狂神セイシンテングン』*2。クトゥルフ神話における旧支配者を封印した『旧神』と呼ばれる神々に属する者達で、一神教で言う所の天使に相当する。

とはいえ厳密に彼らを召喚したというわけではなく、ロボ部の用いる対ニャルラトホテプ(チクタクマン)用プロテクトに用いられる旧神ノーデンスのMAG*3から生成されたものである。

また人の呼びかけに応え降臨することもあり、オーガスト・ダーレスの「潜伏するもの」には人間の呼びかけにて名もなき旧神に率いられて降臨し、旧支配者「ロイガー」「ツァール」をその拠点ごと吹き飛ばしている。

それを用いたO.S.は消費こそ激しいものの『旧支配者特攻』とでも言うべき特性を持ち、まさに今使うにもっともふさわしい悪魔でもあった。

 

なお、旧神はオリオン座に住まうとされる。オリオン座にはM78と言う星雲があり、これは特撮作品『ウルトラマン』のウルトラ警備隊の母星、光の国のあるM78星雲と偶然に一致している。

ナイトブレスを作った俺らはそれを知っており、『ウルトラマンは人を守る』と言う認知を用いてセーフティを施したのが悪魔カード封入型霊装『ナイトブレス』*4である。

リンもクトゥルフ神話について調べた際にそれを知っており、霊装に合わせ、自分の最も好きなウルトラマンである『ウルトラマンヒカリ』*5を模したO.S.を形成したのだった。

更に余談であるが、星辰天軍は「炎に包まれ、3対の触腕を持ち、砲を抱えた巨人」と描写される。

そう、偶然でこそあるが、リンがイカルガを媒介として用いたのは偶然にも星辰天軍の力を振るうのに現状で最も優れた選択であったのである。

 

「良いな、消耗は激しいがしっかりダメージが通っている実感がある! ご苦労だったなイズナ!

 折角だ、その特等席(サブシート)で観戦していると良い!」

 

「はいっ! えへへ……」

 

「あ、その辺のボタンとかは弄るなよ、アイリスがバチクソにキレるからな。以前ケツをスパナでカッ飛ばされた。スパナが折れたが」

 

「ほんと恐いもの知らずですよね(ちち)上」

 

この戦いが終わったら尻を射撃の的にされるかもしれんな、などと余所事を考えつつ、リンはクトゥルーの攻撃を捌く。

時折飛んでくる【マリンカリン】は耐性で弾き、イカルガの数倍はあるO.S.を構築してなお数倍は巨大なクトゥルーと殴り合う。

イカルガの炉心をフル稼働させ、霊質を自分に寄せたイズナからのMAG供給を受けてもなおくらりとくるほどの消耗。

ぶっつけ本番で完成度も低く、旧支配者特攻と言う特性でようやく殴り合えている程度である。

しかし、通じている。ここまでの戦いで消耗させているのもある、特性の相性もある。だが、渡り合えている。

その実感に、リンの闘志が燃え上がる。敵は強い。生半可には倒せない相手だ。だが、殴れば倒せる。

不利な戦いなど沢山あった。星祭ではいまだに負けの方が多い。星祭のえげつない戦い方をするニキ達に比べれば、自分より数段強い(・・・・・・・・)程度わけもない。

そしてスピードで翻弄しつつも攻撃を加えていくと、O.S.(ウルトラマンヒカリ)の胸に輝く宝玉上のパーツ……カラータイマーが赤く点滅を始める。

 

「……カラータイマーが点滅し始めたか。あと1分、と言う所だな」

 

(ちち)上! クトゥルーに異変が!」

 

カラータイマーが点滅し始めたのと同時、クトゥルーにも異変が起こる。体が萎み始めたのだ。

否、萎むのではない。サイズこそウルトラマンと同等程度に縮んだが、すんぐりとした水死体のような膨れ上がった肉体が、萎むにつれて鋼線を束ねたような絞られた筋肉へと変わってゆく。

 

「体を縮める事によって肉体を構成するMAGを圧縮し、戦闘に向いた体に再構築したようだな。どうやら向こうも決めに来たと見える。

 イズナ! 少し暴れるぞ、しっかり捕まっていろ!」

 

「は、はいっ!」

 

先程よりも格段に動きの良くなったクトゥルーの拳を避け、いなし、こちらから打ち込んで行く。

力ではクトゥルー、速さではリンが上回り、クトゥルーの弱体化、リンの強化もあり、双方互角の戦いを繰り広げていた。

しかし、カラータイマーの点滅が更に早まり、音も甲高くなってゆく。限界が迫っているのだ。

 

「時間が無いな……セイシンテングン(ウルトラマン)のスキルで今使えそうなスキルは……【至高の魔弾】ぐらいか。

 仕方があるまい、使い慣れん技は使うべきではないが……この際四の五の入ってられん……かっ!」

 

クトゥルーのパンチをいなし、そのまま腕を取るとリンは勢いを利用するように腕を引き、そのまま振り回す様に回転する。

風車のように回転しながら、いよいよもって点滅が激しくなった瞬間、リンはクトゥルーをアーカムシティの方へ向けて思い切り放り投げた。

宙に浮き吹っ飛んで行くクトゥルーに向き直り右腕を天に突き上げると、ヒカリの右腕にも装着されているナイトブレスに向け稲妻が降り、吸収される。

その後ナイトブレスを押さえるように腕を×の字に組み、そこからさらに十字に組みなおし、ヒカリ(リン)はその腕から青い光線を放った。

 

「―――――【拡張:貫く闘気】、加えて【励起活性術】*6からの……【ナイトシュート(至高の魔弾)*7!!」

 

習得していたマガツヒスキル、及びMAG燃焼を技術として洗練させた【励起活性術(ニヤリシステム)】、そこにセイシンテングンの保有スキル【至高の魔弾】を重ねる。

放たれた光線は狙い過たずにクトゥルーに命中し―――炸裂。爆炎の中から圧縮が解かれたのか元のサイズのクトゥルーが現れる。

しかしその動きは鈍く、戦いやダメージによって休眠期ギリギリにまで追い込まれているだろう事をリンはその直感で察し、イカルガの通信機に向けて声を張り上げた。

 

「ハスキー! やれ! キャナル! 回収は任せる!」

 

『『了解!』』

 

返答が入った直後、限界が来たのかO.S.が消滅、エネルギーを絞り出し機能停止寸前になったイカルガが宙に放り出される。

そしてそれを追い抜くように黒い巨竜、ムラクモがクトゥルーに向けて吶喊し、数十メートルの高さから地面に叩きつけられようとしていたイカルガを孔雀明王が掬い上げそのままUターン。

ビルをなぎ倒しながらアーカムシティ中心部まで侵攻するムラクモをモニターで眺めながら――――――リンの意識は落ちた。

 

 

そして、それから数時間後。クトゥルーが休眠期に入ったことが観測され、アメリカでのリンの戦いは終わった。

なお、その後意識を取り戻したリンが嫁達総出のお説教を喰らう事になったのは、言うまでもないことである。

*1
「『俺たち』閑話集『とある転生者メシアン神父の顛末』」登場の黒札。一応歴とした黒札である

*2
作品によっては星の戦士とも呼ばれる

*3
「故郷防衛を頑張る俺たち『第三十一話 技術開発班ロボ部&戦艦開発』」で旧神ノーデンスのMAGを用いて対ニャル用のセキュリティにしている

*4
「ウルトラマンメビウス」に登場するウルトラマンの変身アイテム

*5
上述の青いウルトラマン。初期は復讐に燃える復讐者だが中盤で改心し味方になる。初代ウルトラマンを救った「もう1つの命」を固形化し携行可能にする技術や、後の世代のウルトラマンの変身アイテムを作ったりなどなかなかすごい奴

*6
「終末を約束された世界で心のままに生きていく『074:次代へ継がれていくもの』」参照。リンも習得しているMAG燃焼技術を洗練・発展させた技術(と筆者は解釈した)。長時間維持するのではなく行動1回分の間維持し、攻防に応用する

*7
敵単体に万能特大ダメージ。ウルトラマンでいうスペシウム交戦




そんなわけで79話でした。クトゥルー戦決着!
なおウルトラマンに変身するのは大分前から決まってましたがどのウルトラマンに変身するのかは大分悩みました。
一番リアタイで見てたウルトラマンと言う事でメビウスのヒカリにしましたが。
割と直前まで闘士ウルトラマンのスペシウムアタックでキメる流れだったりもしました。

■解説

・幼女ネキ
ついにウルトラマンに変身しやがった幼女。好きなウルトラマンはゼアスとヒカリ。
領域云々を教わる時に星祭のニキ達と話してたネタが拾われて、説明なしで使い方を直感的に理解し即座に使用した。

イズナの言う通り自分でできる事は自分でやるけど、意外と自分でやらなきゃいかん、とは思い詰めない方。
餅は餅屋の精神でそっちの方が楽なら得意な奴に任せる。
それはそれとして戦うのは好きなので率先して最前線に突っ込んでいくけど。

・嫁ズ
めちゃんこ幼女ネキをお説教した。
そうするしかなかったというのは分かるし説明してる暇なんてなかったけど、
それはそれとしてめっちゃ心配したので。
タマちゃんはそれほど心配してもいなかったけど、珍しくノワールがリンを怒るぐらいにはキレてた。

・星祭のニキ達
霊質補正術式を作ったニキとナイトブレス作ったニキのファインプレー。
でも旧神由来のアイテムを相談なしで作って渡したという事でナイトブレス作ったニキはちょっとショタおじに怒られた。
星祭のニキ達は稼ごうと思えばいくらでも稼げるだろう、と言う事で、
星祭に対してのお礼は後々岩手支部に巨額の寄付をするという事になった。
愛宕ネキはその辺りの事情を知らないので真顔になった。

・セイシンテングン
ノーデンスのMAGを精製・調整して作った悪魔カード。レベル70ぐらい。
ステータス的には大体ザオウゴンゲン。【忿怒の暴圧】を【至高の魔弾】、【天魔撃砕】を【万能プレロマ】に入れ替えた感じ。

・ナイトブレス
星祭のニキが幼女ネキの修行中に話してたウルトラマントークから今回の一件への対処法として作ったアイテム。
セイシンテングンの悪魔カードを宿すシャーマンキング原作で言う位牌に相当するアイテム。
特定の動作をすることにより起動、ヒトダマ化したセイシンテングンを呼び出して媒介に憑依、O.S.にするのが想定された使用法。
一応原作通り人間態のままでブレードショット(至高の魔弾)を撃つ機能、短剣部分を護身武器として使える機能もある。

・オーバーソウル「ウルトラマンヒカリ」
イカルガを媒介にセイシンテングンを憑依させO.S.として作り上げたもの。
操縦系はイカルガのものを操作する形で動かす。
欠点として数十メートルに達する巨大なO.S.であるため燃費が極悪である事、
その為のエネルギー供給がリン1人では1分ほどしか持たない事。
クトゥルー戦がぶっつけ本番の初仕様だったので、この後訓練で洗練させていけば一応多少は改善はする。
今回はイズナからのMAG供給も併せて行っていたが、基本イカルガの炉をフル稼働させたうえでリン自身も出力全開にしておおよそ3分ほどの展開にとどまる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。