ついに80話……ここまで来たらちゃんと完結させたいですねえ。
今回謎の食通さん作『終末が来たりし世に英傑の旗を掲げよ』の舞台やメンバーをちょっとお借りしてます。
【遠征班】ムラクモ計画関連スレ その30【お疲れ様】
685:幼女
よう、私だ。現在帰路……というか英国支部だ
あの後目的も果たしたしクトゥルーも沈静化したりで落ち着いてきたのでアメリカを発った
なんとか二十日前後ぐらいには帰れそうだな
686:名無しの転生者
お疲れ幼女ネキ。だいぶ派手にやったみたいだねえ
英国支部ってのは補給に?
687:幼女
うむ。まあそれほど長くはおらんのだがな
何か私を長い事英国に置いとくと絶対問題起こすとかレン子ニキがド失礼な事言い出してな
688:名無しの転生者
草
689:名無しの転生者
草
当然すぎるわ
690:名無しの転生者
宮城支部のトラブルメーカー筆頭がぬかしおる
691:幼女
ひどくない?????
692:名無しの転生者
ひどくない
693:名無しの転生者
残当
694:幼女
全く失礼な奴らだ。まあ夜会というかそういうのがあるらしいのでそれには参加するらしいんだがな
問題があるとすればノワールが離してくれない(物理)んだが……
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(ノワールに猫のように抱きかかえられている幼女ネキ)
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(ノワールの膝の上に載せられたうえでがっちりホールドされている幼女ネキ)
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(シンプルにノワールに抱きすくめられている幼女ネキと苦笑している嫁ズ)
695:名無しの転生者
そりゃ幼女ネキ、あんた無相談でクトゥルーとタイマンしてたでしょうが
696:名無しの転生者
周囲からすると決死の覚悟で時間稼ぎしてるようにしか見えませんでしたけど!?
697:幼女
相談しなかったのは単純に相談してる暇がなかっただけだし、領域を完全に閉じてたのはそうでもせんとクトゥルーがすぐに逃げだすからな
まあ抜け道がなくはないしどうにかするだろと思って持久戦に持ち込んでたんだぞ?
悪いとは思っているが、あの時はあれが最善の手段だった。でなければ余計な被害が出ていたはずだ
698:名無しの転生者
それは……そうなんですが……
699:狩人
言っておくが、俺達でも大分肝が冷えたからな?
俺がテトラカーンを阻止できていればそこまでする必要もなかったという事は申し訳ないとは思っているが……
少なくとも、幼女ネキが領域に閉じこもったあたりでノワールさん達が大分アレな事になっていたというのは言って置くぞ*1
700:先生
ノワールさんがマジギレしてる所なんてほんと滅多に見ないからあたしもちょっとビビッたよね
ノワールさんがキレてたからこそ周りが冷静になれてたところはあったと思うけど
個人的にはイズナちゃんが『父上なら父上だから大丈夫です!』って感じで暴走しなかったのが意外だったなあ
701:幼女
あれはなんだかんだ子供だからな、私が負ける事もある、と言う事を理解できておらんのだろう
星祭だと負ける事の方が多いぞ、私は。シンプルにレベルでまだ負けているからな……
今回の戦いで何とかレベル83に到達はしたが、未だにセツニキ達には勝てる気がせん
ま、私もまだまだ上を目指せるという事だから退屈はせんがな
702:名無しの転生者
これ以上上を目指して何しようってんだw
703:幼女
今回みたいな事態に陥った時自分でどうにかする、あるいは他の奴がこうなった時にどうにかするためだな
少なくとも深層を狩場に出来るようになればいざという時ショタおじを出すという選択肢も増やせよう
704:名無しの転生者
わ、割と真面目なこと考えてた……
705:名無しの転生者
そう言えばこの幼女、そもそも地方勢として活動するようになった主要因が恩返しだったな*2
もうちょっと大人しくしてなさいよ
706:幼女
暫くは大人しくしてるぞ、なんもなければ
たぶんなんかあるだろうがな
707:レン子
ほんと幼女ちゃんって運命に愛されているというか嫌われてるというか……
セツニキが心配して対策してたのも分かるわよね
708:名無しの転生者
行く先々で色々あるというか、幼女ネキ周りで色々起こりすぎなんだよな、確かに
709:先生
そういう運命愛され(嫌われ)勢を概して「主人公」とも言ってたかなあ
ま、退屈はしないけどね! 三人寄れば文殊の知恵ともいうし、こんだけいれば何とかなるでしょ
多分日本に帰ったらオラシオニキとかは死ぬだろうけど、まあ悪路王異界の時よりはマシかな?
710:幼女
そうだな。かつてのトイボックスほどには*3ぶっ壊れなかったし
711:名無しの転生者
ぶっ壊れはしたんだ……
712:名無しのロボ部
俺ムラクモ組のロボ部だけど、ムラクモの格闘用竜脚とかそこそこ壊れかけてたんだよな
あと推進系とかそれなりに負担が……まあムラクモの巨体で宙返りとかバレルロールとかローリングソバットとかすればね?
イカルガも結構あっちこっちガタ来てたし……サブアーム自切とかもしたんだっけ? 回収はできたけどさあ
713:名無しの転生者
けっこうやらかしてんじゃねーか!
714:幼女
必要だからやっただけだ、コラテラルダメージというやつだな
ムラクモの方は実際にやったのはハスキーだから私は知らん
715:名無しの転生者
でもやれって言ったのは?
716:幼女
私だが
717:名無しの転生者
ギルティ
718:レン子
あの後ハスキーさん慰めるの結構かかったんだからちょっとは反省してほしいんだけど……
ハスキーさんに構ってたらブシ子ちゃんがやきもち妬くし
719:幼女
役得だからよかろう
720:レン子
まあ、可愛かったけど……でも、本当に今回かなり焦ったから自覚してね?
私達を信頼してくれてるからこその行為だろうけど、それが心配をしなくていい理由にはならないのよ
721:幼女
……すまん。が、それでも私は必要ならやる。そうするしかないのならな
722:名無しの転生者
うーん覚悟キマってんなぁ相変わらず……
723:レン子
セツニキとかブーストニキには子供と思うものでもない、みたいに言われたこともあるけど……
それでもやっぱり親代わり兄代わりとしては心配になるのよねぇ……
あ、そうだ幼女ちゃん、ドレスの準備は終わってるわよね? 今日の夜会用の
幼女ちゃんがやらかす可能性が高いからってアーサーニキが止めたんだけどどうしてもお目通りがしたいという人たちが多いらしくて
724:幼女
終っとるぞ、ライドウスタイルでもいい気もしたが……ノワールが着飾らせたさそうだったからな*4
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(フリルの沢山ついた黒いドレスを着た幼女ネキ)
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(各々のイメージカラーのドレスを着た嫁ズ+ミネルヴァ)
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(各々のイメージカラーに加え幼女ネキと同じデザインのドレスを着たイズナ達4人)
725:名無しの転生者
あらかわいい
幼女ネキ達はふわふわひらひらした金魚みたいな感じでいいねえ
ノワールさん達もそんな肌は出してないけど美しさが引き立つような感じだし
726:名無しの転生者
ほんと素材は最高に美少女なんだよなこの幼女……
中身が自律式大陸間弾道弾だけど
727:先生
いやー眼福眼福。とうとみ*5はあふれ出したけど心の栄養になるね!
あ、一応うちの子らもドレス準備終ってるよ! あたしは普通にスーツ着てるけどね
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(いつものよれよれではないパリっとしたスーツ姿にポニーテールの先生ネキ、同じデザインながら全員色の違うドレスを着たヒトハ達)
728:名無しの転生者
こっちもほんと黙っていれば美人の先生ネキがスーツで宝塚の男役みたいな感じだし、
ヒトハちゃんたちは花束みたいな感じでほんと可愛いね……
729:レン子
私達も結構自信があるのよ、ハスキーさんもブシ子ちゃんも本当に可愛いから着飾らせ甲斐があるわね!
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(和装をイメージしたと思しき意匠に模様のドレスを纏ったレン子ニキ・ブシ子・ハスキー)
730:名無しの転生者
ほんとブシ子ちゃんもハスキーさんも綺麗だよなあ
レン子ニキも金髪に和装イメージのドレスってのが結構あってる気がする
731:幼女
だが男だぞ。保護された時に一緒に風呂とか入った時に見たが、平常時でも大分でかめのナニがついてた
732:名無しの転生者
それな
733:名無しの転生者
しってた(しろめ
734:レン子
あなた達ねえ……
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「……何をやっているんだい?」
「ノワールが離してくれんのだ……」
「マスターはすぐにどこかに消えてしまうので……」*6
ムラクモや孔雀明王が停泊している場所で、リンと英国支部長兼ブリテン連合王国大総統、アーサーニキは向かい合っていた。
リンはノワールに抱きかかえられており、時折離れようとするがその度にノワールがリンを抱きしめ、脱出を諦めている。
アーサーニキは苦笑すると、リンの頭に手を伸ばし軽く撫でた。
「レン子ニキにも聞いたけれど、随分無茶をしたらしいね。自分では大丈夫と思っていても、周りから見れば心配にはなるものさ。
その代償と思えば……まあ、抱きかかえられるぐらいは必要経費と思うべきだとは思うよ?
君の自認はどうあれ、レン子ニキからすれば妹も同然の女の子で、ノワールさん達からすれば愛し守るべき主人なんだから」
「それはそうなんだがなあ……まあ、悪い事をしたという自覚はあるからな、帰国するまではこの扱いもやむなしか。
……そうだ、アルトリアはイズナ達と楽しくやっているようだぞ。洞天内部の時間を加速させているからな、
1時間程度でも1日遊んだぐらいの体感時間になるはずだ。まだ入って五分ほど、この後モルガンネキも来るんだろう?
3人揃ったら親子水入らずでゆっくりすると良い」
リンはそう言って傍らにある瓢箪を目で示す。リンの別荘が収めてある壺洞天だ。
中はリンの別荘と食料庫がある他は広大な草原となっており、その空中にはある程度規模を縮めたベジタブルスカイ*7が浮かべてある。
エヴァンズ一家は英国のまとめ役と言う事もありその生活は多忙であり、それを慮ったリンにより洞天内の時間経過を加速。
外部において1・2時間ほどの短時間ではあるが、主観時間で1・2日ほどのまとまった休暇を取らせよう、とのリンなりの心遣いであった。
なお、リン一行以外のメンバーはその穴を埋めるために現在ブリテン連合王国各地を奔走している。
「本当に助かるよ。僕らはいいとしても、アルトリアは僕らが巻き込んでしまったようなものだからね。
こうしてゆっくり羽を伸ばせる時間はいくらあってもいい」
「アーサーニキ達は本当に頑張っているからな。少しでもそれに報いられればと思ったまでだ。
倉庫の食料からいくらか置いていく、良ければ喰ってくれ。日本食系も結構あるからな」
「それに関しては本当にありがたいね。そう言えば、レン子ニキが行きでこっちに寄ったときに米を置いていってくれたのも君の提案だったとか?」
「本当に飢えているわけでもないだろうが、食えん苦しみは誰よりも知っているつもりだ。
それにあんたらは本当に頑張っているからな、飯ぐらい好きなもん食ったって誰も文句は言わんはずだ。
いう奴がいたら言え、うめき声も出ないくらいにぶん殴ってやる」
リンがそう言って鼻を鳴らせば、ひきつった笑顔で返すアーサーニキ。そして、帰路で英国に到着した際のレン子ニキとの会話を思い出す。
『2・3日で発つ? 激戦を潜り抜けてきたんだ、もう少しゆっくりしてもいいと思うけど』*8
『お言葉に甘えたい所なんだけど、幼女ちゃんが、その、うん……』*9
『あぁ……』*10
この子は長く英国に置いておくと確実にメシア教や多神連合と問題を起こす。
かつて会談した際の直感は間違いではなかった。アーサーニキもかの勢力らの事は苦々しく思っているが、
それはそれとして英国に貢献していることも事実なので今の所はそれなりに関係を維持している。
しかし、この少女は多少その辺りを考慮はするだろうが……恐らく自分がそうすると決めたならば拳を振り上げる事に一切の躊躇はないだろう。
レン子ニキ直々に空港近辺から離れることを禁じられている事で最低限の隔離はできていると思うが……
「こちらとしても歓待したい所なんだけど、幼女ネキに対してメシア教はともかく、
多神連合がどういうアクション起こすのか読めなくてね……」*11
リンの本霊にあたるテュポーンの件に関してはアーサーニキも一応は聞き及んでいる。
主神すら下す巨人であり、今本
おまけにイタリア方面、ローマ皇帝と共に在るのは神話において敵対したゼウス神。
あまつさえリンはそのゼウス神とひと悶着起こした経歴がある以上、何かあればただでは済まない。
そんなアーサーニキの内心を知ってか知らずか、リンは首を傾げながらもこれまたとんでもないことを言い放つ。
「無理難題吹っ掛けてくるようなら潰すぞ? むしろ今潰してくるか?」
「確実に幼女ネキがそう言うから最低限今夜の夜会だけという事にしたんだよ……」
「神だろうが天使だろうがヒトだろうが、ガイア連合に養われている分際で厚かましい真似をするなら立場を
「あの、そう言う所ですよマスター?」
えぇー? と疑問顔をするリンに頭を抱えるアーサーニキと、リンを抱きかかえたまま沈痛な面持ちになるノワール。
そんな2人を訝し気に見ていたリンだったが、ふと真面目な顔になると、アーサーニキに視線を向ける。
「そうだ、アーサーニキ。アルトリアには友達はいるのか?」
「え? まあ、元々は普通の子だったからね。今だとベティちゃんという子と組んで動くことが多いかな」
「……ふむ、そうか。しかし今は曲がりなりにも英国の王、かつてと同じようにとはいくまい。アーサーニキ、一つ私に考えがある」
そして何事かを呟くリン、目を見開くノワール、頭を抱えるアーサーニキ。
そこから少ししてモルガンネキが合流し、エヴァンズ一家はほんのひとと気ではあるが休暇へと向かうのであった。
そしてその夜。ブリテン連合王国やその関係者が集う夜会に、リンの姿があった。
傍らには煌びやかなドレスを纏ったアルトリアが、2人の後ろにはエヴァンズ夫妻とそのシキガミ、ノワール達やイズナ達。
生半可な女神など及びもつかぬ華達が咲き誇り、周囲の視線を一身に浴びていた。
「おお、あれがクトゥルーを打倒し眠らせたという黒札殿か……まだ幼子ではないか」
「確かに幼いが……だが、凄まじい力を秘めているようだ。ガイア連合の秘蔵っ子、と言った所か?」
「彼女のようなものが力を貸してくれればブリテンも安泰だな……」
「強いとは言え子供だ、付け入る隙もありそうだな……」
そこかしこから聞こえる言葉にリンは理解できていないという素振りを見せながらもふん、と鼻を鳴らす。
そして隣にいるアルトリアをちらりと見やり、
「まったく、英語がわからないふりをしていれば好き放題言ってくれるな。ここが英国でなければ潰していた所だ。
ま、実際英語は分からんのだがな。そう言う異能を持っているから聞こえれば理解できるし言えば理解させられるという話なのだが」
「あはは……まあ、リン……さん? 抑えて抑えて」
リンは本霊に由来する権能により、あらゆる生物に自分の言葉を対象の言語として理解させ、相手の言葉を日本語として理解することができる。
そして高レベル覚醒者故の超感覚による地獄耳で、自分に対して話しているだろう言葉を余さず聞き取る事も出来ていた。
側にいるアルトリアが苦笑するのを見ると、リンもまた肩をすくめて苦笑を返す。
「まあやらんがな。それにリンでいい。お前の方が年上だろう、呼び捨てで構わんよ」
「じゃあ……リンちゃん」
「それでいいさ。さて……アルトリア、お前に言っておくことがある」
「え?」
きょとんとするアルトリアを尻目に、リンは夜会の会場を見回す。色々な人種、中には悪魔もいる。
その視線は一様にリンかアルトリアへと向けられており、期待や欲望といった様々な感情が渦巻いているのが見て取れる。
「私はお前の背負っている者がどれほどのものかは知らん。知りたくもないがな。
だが、一つだけ覚えて置け。お前はアルトリア・エヴァンズ。転生者ではあるにせよ、
お前が周りからどう思われていようと、お前の家族にとってお前はアルトリア・エヴァンズであるし、
私にとっても同胞の娘でしかない。英傑の転生者なんぞそこら中にいる。ここの連中はことさらにお前に縋りついているがな」
「……でも、それは仕方ないんじゃないかな。誰もが強いわけじゃないんだから」
アルトリアの絞り出すような答えにリンはそうだな、と答え、今度はアルトリアを見上げた。
強い意志を秘めた赤い瞳が、アルトリアを貫くように見据えている。
「それではお前の自由はどうなる。大いなる力には大いなる責任が、などという言葉もあるが……くだらん押しつけだ。
私は良い。私は今の生き方を自分で選んだ。私は常に私のやりたいことだけをやっている。
弱いものが強いものに縋る、そこは否定せんよ。だが、たかだか少々アーサー王の因子を持っているだけの小娘が、
数限りない人間の命や国そのものを背負わねばならんと言うのは道理が通らん。
お前が覚醒した時の話は聞いた。全く反吐が出る話だ。あの時騒ぎ立てた妖精共だけでも潰しておくべきだな」
「――――――リンちゃん。それでも、私が選んだ道なんだ」
リンの言葉を遮るように、アルトリアは言う。強い意志を秘めた言葉であった。
そこに込められた意志を感じたのか、リンはぴたりと押し黙り、深々とため息を吐く。
「まあ、そう言うとは思ったがな。だが一つ覚えておけ。王であるならば……お前は、己の欲の形を示せ」
「欲の、形……?」
「そうだ。王とは己を国に捧げ、殉ずるものではない。国が、そして民が自ら己を捧げるのが王だ。
そういう意味では、アーサー王など暗君に等しい。叔父から受け継いだ国を滅ぼし、仕えた配下をことごとく死なせ、
姉との不義で為した子を殺し、そして殺され、苦しみの内に死んだ。そんな王に、お前はなるな。
臣下を救うのはいい。だが、同時に臣下を導いてこそ王。王の示した欲の形に、臣下が全てを捧げてこその国だ」
そこでリンは一度言葉を置き、少し考えるようにしてから、口を開く。
「私が尊敬する数少ない『王』の言葉に、こうある。
『王は誰よりも強欲で誰よりも笑い、怒り、清濁併せて人としての臨界を極めたるもの。
そうであるからこそ臣下は王に憧れ、魅了され、我も王たらんとする憧憬の灯がともる』、と。
王になるならば、そのような王になれ。『アーサー王』ではない。『アルトリア・エヴァンズ』という、古今に比類なき王にな。
そして、とあるデビルサマナーの言葉にこうある。『たとえ敷かれたレールでも、自分で乗ると選んだならばそれは自分の道だ』とな。
たとえ誰かの敷いた道であれ、己で歩むかどうかを己自身の意志で決めるのだ。いいな?
――――――さて、頃合いか。アーサーニキ、マイクを寄越せ。……ああ、そうだアルトリア、もう少し言っておくが……
お前には家族がいる、友もいるだろう。だが、
「え? それはどういう――――――」
アルトリアの疑問をよそに、リンの手にはマイクが握られる。そして照明が一度消え、リンの真上だけが点灯。スポットライトのように照らす。
リンはじろりと周囲を睨めつける様に見回すと、しっかりと前を見据え、口を開いた。
「今回は招待いただき有難く思う。ガイア連合宮城支部幹部、そして日本のデビルサマナー一族、壬生一族次期当主。そして――――――」
そこでリンは肩口を掴み、早着替えのようにドレスから帯刀し、学帽に軍服のような姿―――ライドウスタイルへと着替える。
そして刀……赤口葛葉を頭上に掲げ、リンは力強く宣言する。
「
お前たちがエヴァンズ一家に仇名すものであるならば――――――この呪詛断ちの霊剣・赤口葛葉の閃きを知ることになるだろう!」
その言葉は、夜会の会場全てに響き渡り、リンの言葉が本気であることをその場にいるものすべてが理解するのに、そう時間はかからなかったのだという。
これが、リンなりのアルトリアへの、エヴァンズ一家への誠意の形。何かがあれば自分も力を貸すと、だから少しでも安心してほしいという、紛れもない好意の形。
この日、この時を持って、リンは先送りしていた十六代目ライドウを襲名したのである。
そんなわけで80話でした。やりたかった英国編が出来て何とかアメリカ編も締め。
アルトリアちゃんをみてちょっと名前を背負うのが重い程度でライドウ襲名しないのも情けない話だなと思い直した模様。
なお割と本気でなんかあれば英国までカッ飛んでくる。
この時期の英国で夜会やってる余裕があるのか、と言う事については独自解釈と言う事で……
■解説
・幼女ネキ
ついに十六代ライドウを襲名、というか宣言したようじょ。
エヴァンズ一家や真っ当に英国を守りたいと思っている面々は好感を持っているけど、
アーサー王という看板に寄って来た連中には嫌悪感を隠しもしない。
アーサーニキやアルトリアちゃんに止められなかったら割と本気で潰しに行ってた。
以後、公的な場では大体十六代目ライドウ鵺原リンを名乗る。
ヤタガラス残党からのクレームが来たら「私は十四代の仲魔や戦友(曾祖母)から認められたがお前らは?」とか言う。
Fate/Zeroではイスカンダル推し。
・ノワール
幼女ネキのピンチに割とガチめにキレてた反動で幼女ネキにべったりだった。
流石に夜会の時は離れてたけどそこ以外は本当にべったり。
何とか日本に帰国するまでにはあまえんぼモードは解除された。
・エヴァンズ一家
モルガンネキ出せなくて申し訳ねえ……
アルトリアちゃんをアーサー王ではなくアルトリアちゃんでいさせるために手を尽くしてはいると思うけど、
それはそれとして幼女ネキからも何かしら言わせたくて……
王であることを辞められないのならアーサー王ではなくアルトリア・エヴァンズと言う王になれ、というのが幼女ネキなりのはげまし。