最近色々新作や更新が増えて嬉しい限り……俺も負けちゃあいらんねえぜ!
【幼女ネキ】ようじょ立てこもり事件実況スレ【怒る】
1:名無しの転生者
というわけでスレ立てたぞ
2:名無しの転生者
乙
3:名無しの転生者
何だこのスレ、幼女ネキってあの宮城の暴れん坊だろ? どこに立てこもってんのよ
4:名無しの転生者
事務室。おかげで現状事務課の機能がマヒしてます。諸々の処理とかそう言うのが滞って長引くほどえらいことになるんじゃねーかってのが有識者の見方
っつーかようするに俺らが事務さん達にしてもらってる諸々の処理や依頼を纏めたり受注したりができなくなってるってことだからな
5:名無しの転生者
何やってんのあのようじょ!?
6:名無しの転生者
それを説明するには「人魚ネキ」*1の事に触れねばならんのだが……覚醒したけど悪夢で寝れなくて、彼女の子守唄にお世話になったって奴、結構いるだろ?
実はあの幼女ネキも山梨に来た当時は覚醒時のトラウマで悪夢を見て精神が不安定だったらしいんだが、彼女の歌がある時は安眠できてたそうなんだよな
そうでないときは修行なりおせっせなりで極限まで疲労して泥のように眠る事でどうにかしていたんだとか。それがあのようじょのクソつよパワー&メンタルの要因の1つなんだろうが*2
7:名無しの転生者
で、そのおかげで人魚ネキに対してあのようじょはすげー恩義を感じていて、大恩人と公言してはばからなかったんだ
後々仲魔にしたマーメイドを嫁にした時に人魚ネキにその辺りの技術を教えてもらって宮城でも安眠できるようになったらしい
だが、この人魚ネキの歌について一つ問題があるんだ。この子守唄、皆を安眠させようとして歌ってたわけじゃ無くてな
単にマーメイドとしての能力の鍛錬として歌を歌っていただけで、それがたまたま宿舎まで届いて俺らが安眠できていたと
つまり、別に人魚ネキとしては常に子守唄を歌ってやる義理はないのよ。それもあり契約して定期的に歌ってもらえるようにしたり、その歌の効果をCDに吹き込んだりしてもらってるんだが
それでも人魚ネキの時間を奪ってるから、自分のための修行や自分がしたい事をするための時間が欲しい人魚ネキとしては乗り気じゃないんだ
なんだったら『知ったこっちゃねえ、術理は教えてるんだからお前らで再現しろ(意訳)』というのが人魚ネキの言。もっともな話だな
8:名無しの転生者
ほうほう、俺はそう言うの無いから分からんが……その口振りだと再現は出来てないのか?
9:名無しの転生者
うん、純粋にシキガミだけでの完全再現は今の所できてないんだよな。どうしても人魚ネキと同等の能力を持ったシキガミは作成できてないのが現状だ
この辺個人スキルや権能の領域の問題なので多分シキガミで100%再現は出来ないんだろうな
かの幼女ネキのマーメイドも、愛する相手という思い入れバフでようやっと幼女ネキ1人に十全な効果のある歌が歌える、という話らしいので、そう言う意識すらなく不特定多数に完全な効果のある子守唄を歌える人魚ネキのスキルがどんだけとんでもねえのかがわかるよな
なんか今だと概念そのものを眠らせる領域に到達してると聞いた。結界とか、術式を「破る」のではなく「眠らせる」ことで察知させずに無効化できるとか
話がそれたな。で、安眠したいやつらとしては人魚ネキに常に歌って欲しい、だが人魚ネキはそんなことをしてやる義理もない。そこで上でも言ったがそう言う契約を結んで定期的に歌ってもらってる
最近は人魚ネキ本人じゃなくて、そのスキルを分割再現した分身複数体*3を用いて何とか再現して安眠と人魚ネキの時間を捻出できているという感じだ
10:名無しの転生者
あー、なんとなく幼女ネキが起こってる理由が見えてきたな……人魚ネキに負担かけんなボケ、って感じなのか
まあ大恩人を人魚ネキに一切得のない理由で拘束し続けてるって考えたらそりゃ恩義のある幼女ネキは怒るか
11:名無しの転生者
大体そんな感じだな。なおCD作ったりするのに未だにたびたび本人動員されたりしてるし、人魚ネキに歌ってもらえるチケットがガチャの目玉商品になったこともあったり、
分身が事故で消えたり*4することもあるから事務方としては本人に歌って欲しいみたいだな
12:名無しの転生者
ちなみに幼女ネキが切れてるのはそれだけじゃないぞ。人魚ネキ、失われた歌や舞、そう言うのを再現することもできるんで、現地異能者達*5から失伝した舞とかを復活させてほしいという依頼がひっきりなしに来てる*6
それで事務方の依頼取りまとめてるやつがちょくちょく人魚ネキに泣きついてることもあるんだが、幼女ネキとしては「勝手に依頼溜め込んで人魚ネキに負担かけてんじゃねえ殺すぞ」ぐらいにお怒りだ
人魚ネキに「乱暴はだめですよ」と言い含められてなければ多分事務方は幾度となく幼女ネキのカチコミを受けてただろうな……
今回のカチコミも事務室占拠してるだけで人員に一切暴力は振るってない。まあキレた幼女ネキの殺気に晒され続けて一部は泡吹いてるけどな*7
あのようじょ、本当に今回大分大人しいぞ。普段だったら相手が首を縦に振るまで死なない程度に殴り続け心を折り続けるぐらいは平気でやるからな、覚醒者・未覚醒問わず
あ、これ幼女ネキが『抗議配信』として配信してる画面のスクショな
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(ものすごい不機嫌顔で応接用ソファに座ってフライドポテト貪ってる幼女ネキ。周囲にはノワールとブランがいて甲斐甲斐しく世話を焼いている)
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(出入口や通気口に多数のてらほくん*8が陣取り封鎖している画像)
13:名無しの転生者
うわぁ
この事についてショタおじとか他の奴らは何もしないのか?
14:名無しの転生者
何もしないというか、あのようじょをどうにか出来るような修羅勢は大体幼女ネキに好意的というか、人魚ネキの待遇に大して物申したいやつらだから……
それにショタおじも幹部連中もみんな忙しいしな。幼女ネキが良く世話になってる医療系黒札達も現状静観している。なにせあのようじょがちょっと放電かますだけで電子機器オシャカだし……力づくで止めるのも難しいぞ
穏便に止められるとすればそれこそ人魚ネキに説得でもされん限りは無理じゃねえかな
15:名無しの転生者
それに、人魚ネキも現状の扱いを腹に据えかねたのか契約期間終わっても更新しに来ない*9んだよな。これもまた事務方とか子守唄の世話になってるやつらのせいでもあるんだが
人魚ネキは修行とかそう言うのに意欲的な方でな、現状も修行用異界の下層を突破して深層に行けるようになったほどの実力者だ
16:名無しの転生者
ん? よくわからんな……いや深層がかなりの魔境なのは中層であたふたしてる俺には想像しかできんが……
17:名無しの転生者
大丈夫だ、俺も下層にすら行けてないからな。まあ本当に深層は真修羅勢とでもいうような超越者達が狩場にするような所らしくてな
場合によってはその超越者達も命の危機に陥るような所らしい。それが問題なんだ。仮に人魚ネキの身に何かあった場合、分身が消える事で子守唄も歌えなくなる
それを危惧したやつらが声を上げた事で、人魚ネキに深層の探索禁止令が出たんだそうだ。当然元々乗り気じゃなかった人魚ネキはげきおこ。現在深層入口で探求ネキと共に門番やってるってさ
分身たちも契約切れてるから何も出来ないし、現状色んな意味で阿鼻叫喚だネ。悪夢にうめくやつら、青ざめる事務方、そして数日経って幼女ネキに「人魚ネキを説得してほしい」と話が行って事態を知った幼女ネキがブチキレ。現状に至る
18:名無しの転生者
お、動きがあったみたいだぞ。幼女ネキが欠伸しとる
[配信中]
幼女『飽きてきたな……ガチャでも回すか。どれ、空になるとこいつらが一番困るのはどのガチャかなと』
事務A『……幼女ネキ? 何するつもりです?』
幼女『ガチャを空にする。お前たちにもマッカが行ってお得だろう?』
19:名無しの転生者
ガチャを? 空に? いやいや無理だろ……
20:名無しの転生者
いや、多分本気だぞ。正月に「腹いせにガチャを空にしてやろうか」と言ってるし、多分やろうと思えばできる。何なら目玉商品だけ空にしても良いだろうし
やらなかった理由は多分、やったとして大して幼女ネキに得がないのと、人魚ネキに義理立てしてたからだな。今までは人魚ネキが本気でキレるなんて事なかったから*10
21:名無しの転生者
宮城の奴らは何て言ってんの!?
22:名無しの転生者
宮城支部長曰く『幼女ちゃんの気持ちも分かるし宮城支部としては不干渉。こうなる事は予想できてたはずよ』とのこと*11
23:名無しの転生者
……そういえばどうやったらあのようじょが出て行ってくれるんだろう? なんか要求してる?
24:名無しの転生者
『人魚ネキの待遇改善』
『抜本的な依頼環境の吟味と改善』
『子守唄が必要な人間に対する人魚ネキに依らない安眠技術の開発』
『ナマモノネキを常に監視して何かあればすぐ死ぬ呪いをかけておく』だそうだ
25:名無しの転生者
あ、人魚ネキの事だけじゃなくてちゃんと他の人のこと考えてる
最後だけかなり私情っぽいけど*12
26:名無しの転生者
ナマモノネキの件に関しては幼女ネキも被害者だしな……まあ被害が出た時点で殺しにかかってるが
27:名無しの転生者
でもどうすんの? 人魚ネキの代わりなんてそうそう用意できんでしょ
28:名無しの転生者
かといって用意せんとこのまま事務室麻痺したまんまだぞ
ようじょ来襲の前にだって人魚ネキがキレて霊圧解放してショタおじが出張る羽目になったし
29:賭博師
まあ幼女ネキからすれば恩人を事務側の怠慢で蔑ろな扱いされ続けてるようなもんだからな、あいつは自分が舐められたら殺すが家族や親しい相手への侮辱なんかにキレるタイプだぞ
それで宮城のウカノミタマを殺しかけた事もあるし、嫁達に手を出そうとしたイタクァを全力で殺しにかかったりもした
俺は別に人魚ネキの制限解除しても良いんじゃないかとは思うんだがな。この件に関しては幼女ネキを止める気はないぞ? 事務方の自業自得だろう
30:名無しの転生者
あ、セツニキ。そっかー、セツニキは賛成派か
まあ実際人魚ネキは深層行きたいのに10割こっちの都合で制限してるわけだし、人魚ネキや幼女ネキが怒るのも道理ではあるんだよな
31:名無しの転生者
おーい、幼女ネキがガチャ回し始めたせいでガチャの限定景品系が端から空になってってるぞ、これやばくないか?
ガチャスレの方でも大分悲鳴が上がってる
32:歌
あー、間に合わなかったかぁ。一応さっき説得に行ったんだけど、『こいつらが行動を改めるか人魚ネキ本人が許さない限り私は占拠を続けるぞ』だってさ
33:舞
実際本体が契約し直さないと私達じゃ何もできないからね、あくまで代理人として権能を行使してる形だから
あの子本当に本体の事大好きだから、本体戻ってこないとどうにもならないかも
34:名無しの転生者
人魚ネキの分身たちでも説得は不可能か……幼女ネキは幼女ネキでガチャ回すのにも飽きて飯食い始めたぞ
うわ、見るからにうまそうで匂い強そうな丼物、メシテロだぁ……
[配信中]
(アツアツのかつ丼を貪る幼女ネキ、事務室内ににおいが立ち込めているのか腹を抑え始める一部事務員たち)
幼女『何を見ている、やらんぞ。腹が減った? 知るか。備蓄のカップ麺でも食ってろ、知ってるんだぞ非常時用のカップ麺がしまってあるの。1食1個としても10日はもつだろ、我慢しろ』
事務B『だったらいかにもおいしそうなもの食べないでよ……』
幼女『私は私が食べたいものを食べているだけだぞ。状況を改善する機会はいくらでもあった。今お前たちがこんな目に合ってるのはお前たち自身の自業自得だ。要求を受け入れ実行に移したなら今すぐにでも開放するが?』
事務B『そう言うのは私達で判断できることじゃないし……』
幼女『そうか。私はお前たちが苦しんでいる様を見て胸がすく思いだぞ。他人の不幸で飯が進むとはこの事だな』(かつ丼ムシャムシャ)
35:名無しの転生者
あ、一応食料はあんのね
36:名無しの転生者
なんとなれば結界張って数日凌ぐぐらいはできるからな、まあ今はそれを逆用されて内外分断されてるけどね
37:夢
結局本体が戻ってこないとどうにもならないから、物理的にあの子を引っ張り出すかしない限り無理じゃない、これ?
38:賭博師
やってやれん事はないが、多分幼女ネキ全力で抵抗するから事務所は物理的に消し飛ぶぞ。イカルガがないだけましかもしれんが……まあ誤差だろうな*13
他の出来そうな連中はだいたい人魚ネキ寄りだしな、人魚ネキが何も言わんから行動に起こしてないだけで人魚ネキの扱いにはみんな思うところはある
そんなわけで今回幼女ネキがカチこんでなかったら誰かしら事務方とお話()しに来てたと思うぞ?
39:名無しの転生者
つまり事務室を被害なしで開放するには?
40:賭博師
深層入口まで行って人魚ネキ連れてこい、できるもんならな
41:名無しの転生者
それができれば苦労はしねェ!!!
42:名無しの転生者
あるいは要求を呑むかだな。今回の要因が人魚ネキの深層探索制限に端を発してるから、最低限人魚ネキの深層制限を解除すればすぐにでも行くんじゃないか
43:名無しの転生者
それができれば苦労はしねェ!!!(二度目)
44:名無しの転生者
ワンチャンナマモノネキを処すだけで他は努力しますって事で許してはくれんものかね?
45:幼女
そんなものは4つぐらい要求出しといた方が良いかなと思ってひねり出しただけで、人魚ネキの待遇が改善されない以上私はこいつらを解放せんぞ
46:名無しの転生者
うわでた
47:名無しの転生者
あの、幼女ネキ? みんな迷惑してるしそろそろ勘弁して上げてほしいんだけど……
48:幼女
その為なら人魚ネキを酷使して良いと? 一行に状況を改善しようとしないなら私にも考えがあるぞ。事務室の中でウナギを焼く
殺気放ち続けるのも飽きてきたしな、メシテロした方が嫌がらせになるし、私も美味しいものが食べられて万々歳だ
49:名無しの転生者
人の心とかないんか?
50:幼女
人の心があるから効率的に人の心を折れるんだぞ?
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339:幼女
事務方にメシテロしながら食べるバーベキューには格別の旨さがあるな
[画像]
(物欲しそうな目で見ている事務員たちを尻目にトリコ食材を貪る幼女ネキ)
その日の夜。リンによる事務室の占拠から丸一日。
事務室を封鎖して殺気を放ち続ける、ガチャの限定品を空にする、事務室の中でかつ丼やカレーを貪る、ウナギやサンマを焼いたりバーベキューを始めたりなどの数々の非暴力的な嫌がらせを続けたことで、未覚醒者の多い事務員たちは消耗しきっていた。
夜も更け、事務机や床にマットを引いて事務員たちが眠る中、リンもまた応接用ソファに寝転がり、ノワールの膝枕で眠っていた。
無論、シキガミであるノワールやてらほくん達が不寝番として依然として封鎖されたままであるので、リンが寝ているとはいえ脱出が不可能なのには変わりないのだが。
そんな中、リンの寝顔を見守るノワールに、室外で門番をしているブランからの念話が飛んでくる。
―――お姉ちゃん! その、お客さん来たんだけど通してもいいかな? 人魚ネキさんの分身さんなんだけど……夢さん? って人。
―――説得の交渉でしょうか? マスターは眠ってらっしゃるんですが……
―――大丈夫みたい。マスターとお話ししたかったのはそうらしいんだけど、お姉ちゃんでもいいって。解放に関しては他の分身さんが無理だったから諦めてるみたい。
―――通して頂戴。
寝ている面々を起こさぬためか、静かにドアが開き、黒髪の少女が入って来る。人魚ネキによく似た容姿の、『夢』と呼ばれる分身の1人だ。
本来は人魚ネキに代わる【子守歌】要員の1人であったのだが、契約が切れ、本人が契約更新をしに来ないので暇を持て余していたらしい。
「ごめんなさいね、いくらか言っとかなきゃならないことがあったもんだから」
「言っておくべきこと、ですか?」
頷き、夢は口を開く。
1つ、最低限の制限はあれど人魚ネキの深層探索の制限が解除されたこと。
2つ、それを受けて現在人魚ネキ本体が深層から戻って来ており、翌日にも契約更新をしに来るということ。
「ああ、よかった。人魚ネキさんも戻られるんですね。単独行と拠点への進入が不許可、というのも……まあ、妥当でしょうか。
確か深層はセツニキさんでも稀に死を覚悟することがあるそうですし……」
「本体的には子守唄歌うのは契約であって別にその辺り他人を慮ってるわけじゃないみたいだしね。私は本体に殺されたりしなけりゃなんでもいいわ……」*14
「私が言う事でもないですが、ご苦労様です……」
「ほんとにね……全力で抑え込んでるのにね、じりじりハンマーが近づいてくるのよ。多分あれ抑えてなかったら即座に潰しに来てたわね」
遠い目をする夢。そう言えばウカノミタマもリンに襲撃された後に話した時似たような顔をしていたなあ、とノワールは関係ない事を思い出す。
話がそれたのを自覚したのか、夢が咳払いを一つ。3つ目、今回訪れた本題を語り始める。
「えーっと、知ってるか分かんないけど……私の人格のベースになってるのが、本体のシャドウなのよね。
まあそれもあって本体の前に出てきたら即殺されそうになって慌てて逃げたんだけど。この体になってからも。即殺は人としてどうなの!?*15
……ごほん。それで、本体の本霊も本霊だし、私も
「そういえば……きちんと修行して覚醒していたら、デビルシフターではなくペルソナ使いに目覚めていたのでは、とショタおじ様に言われたことがあるそうですね」*16
「ああやっぱり……確か幼女ネキの本霊ってギリシャ系の……テュポーンだっけ? そのせいかしらね、なんとなく分かるっていうか……共振するっていうか。
私がシャドウベースの分身だってのもあるのかもしれないけど、『いる』のが分かるのよ。多分現状幼女ネキの自我がおっそろしく強固だから出てこれないんだろうけど」
ノワールは膝枕で寝ているリンに視線を落とす。確か人魚ネキの本霊はギリシャ神話の女神ニュクス。
だからこそ引き合う何かがあるんだろうか、と思いつつも、リンの髪を梳き、眉根を寄せる。
「少し、心配ですね。人魚ネキさんの分身なら知っているかもしれませんが……マスターは、人魚ネキさんの歌が無ければ、まともに眠ることも出来ませんでした。
……私達や、宮城の皆さんとの生活で、マスターは心の傷の痛みを忘れることはできています。でも、分かるんです。マスターは……
マスターの心の傷は、僅かばかりも癒えてはいないと。血は止まり、痛みを忘れることはできていますが……その傷を癒すことは、私達では無理なのでしょう。
マスターが、自分を許すことができなければ、その傷が癒えることは、決してないんでしょうね」
「……そっか。まあ……何かあれば力になるし、それに、
それにまあ……この子、人としての方向性が本体に近い*19し、案外私みたいなことになるかもね」*20
「ないとは言えないのが怖いところですね……ふふっ」
「……所で、やっぱり
「それは……」「それはそれ、これはこれだ。人魚ネキが戻ってくるまではこいつらに胃を痛めてもらう」「うわぁ起きてた!?」
いつの頃からか起きていたリンに夢が驚く、という一幕を挟みながらも、やはりリンは最終的に人魚ネキが契約更新をしに訪れるまでメシテロを行い続けたのだという。
「いやぁ何とか死人が出なくて済んだね! 良かった良かった。事務の子らも何人か覚醒したんだっけ?*21 良かったじゃないか」
「笑い事じゃないですよショタおじ……1日とは言え事務課がストップしたから後始末で覚醒した子らも地獄を見てるんですよ?」
翌日。人魚ネキの契約更新によりひとまず矛を収めたリンが去り、事務室は平穏を取り戻して……はいなかった。
丸一日事務処理がストップし、かつ事務員たちにケガはないものの心的な負担がかかっており、事務課が再始動するまでにはそこからまた暫くかかったのだ。
リンが暴れず怪我人も死人も出ず、覚醒したものすら出たことを喜ぶショタおじと、出張していたために今回の立てこもりに出くわさなかったが、事後処理に頭を抱えているちひろネキ。*22
あのあとリンは後片付けをした後に何事もなかったように立ち去っており、*23その事について事務員たちから不満も出たが、『今度は流血沙汰にならないとも限らないよ?』*24というショタおじの一言により渋々ながらも諦めていた。
「それに関しては彼らの自業自得、っていうのが僕らの意見かなぁ。事務課の功績は枚挙にいとまがないのは分かるよ?
なにせ事務仕事なんて『俺ら』の大半がやりたがらないしね。でも幼女ネキの言う事も最もなんだよ。人魚ネキの子守唄は別に義務じゃないんだ。
報酬として渡してた諸々の権利だって、人魚ネキほとんど使ってないんだろ?」
「それはそうですけどね……じゃあショタおじも協力してくださいよ? 今度同じことがあったら、二度と人魚ネキも契約更新してくれなくなりそうですし……」
「それ以前に幼女ネキが事務室消し飛ばしそうだけどね。というか僕はシキガミやらなにやらの依頼で人魚ネキよりひどいことになってるの知ってて言ってる????」
どんよりとした目でちひろネキを見るショタおじと、さっと視線を外すちひろネキ。
かくして、後に『幼女メシテロ立てこもり事件』と呼ばれる人魚ネキの契約更新拒否に端を発するリンの事務室占拠事件は幕を閉じたのだという。*25
どっとはらい。
そんなわけで90話でした。黒焦げさんの話に加えそこからちょっとやりたかったことと、次の長編につなげる伏線撒きの回でした。
ついに90話台に突入……最終話まで200はいかなそうですが、今年中には終わんなそうですね、別作品もあるし。
本来次は別作品の方ですが、ちょっと触れたい流れがあるので次回もようじょです。
■解説
・幼女ネキ
身内が舐められたならぶっ殺す! 自分が舐められてもぶっ殺す! が基本方針なようじょ。
人魚ネキのストライキを受けてキレて殴りこんだ。殴りこんだだけ。
マジでキレてたのはそうだけど、どうでもいい奴らに対して怒りが持続しなかったので(好きの反対は無関心理論)メシテロとガチャテロに走った。
空にしたガチャの限定品は後に適正価格で買い取らせた。
・ノワール&ブラン
幼女ネキほど怒ってはいなかったけど、それでも主人の恩人を蔑ろにされていることに対して不満は持っていた。
他の嫁ズは宮城で待機してた。
・夢さん
もしかしたら本体より真っ当に人間なメンタルしてるのかもしれない元シャドウ。
幼女ネキの事でちょっと気になる事があったので一応忠告しに来た感じ。