【よしたろくん】双亡亭壊すべし【あーそーぼ】
1:幼女
スレ立てしたぞ
2:名無しの転生者
というかなにこのスレ
3:名無しの転生者
うわ、珍しい奴がスレ立ててる。よしたろくんって泥土ニキ*1の事か? たしか彼の個人用シェルターの名前だよな双亡亭
4:幼女
うむ。これについてはさっきノワール、私の嫁シキガミだな。ノワールから相談を受けてな。シキガミスレで知人によるお悩み相談があったらしく、そいつの主人をどうにかしてやれないかと頼まれたのだ
その知人というのが黄ノ下残花少尉、つまり泥土ニキのシキガミだ。泥土ニキがシェルターに引きこもっちゃったので出てくるようにしてほしいとの事だ
私も色々やってみたんだがな、万策尽きたのでスレを立てて見た次第。なお1度目のチャレンジがこれだ
[動画]
(シェルターの入り口をノックして呼びかける幼女ネキ)
幼女『よーしたーろくん、あーそーぼ』
泥土『断る!!!!!!!!!』
5:名無しの転生者
草
6:名無しの転生者
即答されてんじゃんw でも泥土ニキも呼びかけには答える辺り律儀だなw
7:幼女
脳缶ニキ*2とかカス子ネキとかホビー部の面々ならこれやると秒で出てくるんだが……ううむ、強情な奴だ
8:名無しの転生者
そりゃあの面白全部で行動してるような奴らと一緒にしたらあかん。ホビー部はそうではないにしろノリのいいやつらだし
というか泥土ニキが引きこもったのあいつらのせいだぞ?
9:幼女
え、そうなのか? 何やったんだあいつら
10:名無しの転生者
脳破壊……ですかね?
11:名無しの転生者
カス子ネキはよう知らんが、脳缶ニキはGAのヴァニラさんコスで仲良くなって本を買ったりした後脳缶ニキの女装だったと判明してな……
いやあいつらが全面的に悪いかというと性癖と童貞こじらせた泥土ニキも悪いと言いますか……って感じ?*3
12:幼女
そうかぁ。でもまあ確かにそれは仕方ないな。とりあえずこのまま引きずりだす方向で行こう
ちなみに2回目はこんな感じでトライしたんだが……
[動画]
(白けつと貝殻を被った河童のようななんかを引き連れた幼女ネキ)
幼女『おーい泥土ニキ、そんな引きこもったままではネタも沸かないだろう、面白いもの見せてやるから出てこんか』
泥土『……また来たのか。何を見せに来た? 生半可なものでこの脳を揺らせるとでも……待てなんだそいつらは!?』
13:名無しの転生者
やっぱり律義に反応する泥土ニキで草。っていうか幼女ネキそいつら何!? 見たことねえ!?
14:名無しの転生者
あ、尻の方は宮城のご当地妖怪大手の白けつ*4らしいぞ。貝被った河童みたいなのは知らんが
15:幼女
うむ、片方は我が配下、非人間混成部隊『百鬼夜行』隊員第一号の大手の白けつだ
もう片方はだな、こないだアメリカに様子見に行ったときに拾ってきた悪魔だぞ
[動画]
(白けつを紹介する幼女ネキ)
幼女『片方は我が直属の配下、宮城のご当地妖怪大手の白けつだぞ!』
ケツ『は、吾輩はケツであります。リン様の配下として日夜宮城の平和を守っておりますぞ! 特技は毒ガスブレスであります!』
泥土『(盛大に噴き出した後これまた盛大に咽る音)』
幼女『お、掴みはばっちりのようだな! うむうむ』
16:名無しの転生者
これはひどい
17:名無しの転生者
吾輩はケツであるとか夏目漱石がダッシュで殴りつけてくる奴じゃんね
でも泥土ニキも噴き出してるな、これは効果ありか?
18:幼女
もう片方はアメリカ東部マサチューセッツ州はドーバーで出会った妖鬼ドーバーデーモンだ! UMAに出会えてちょっと感動したぞ!
[動画]
(もう片方の方、ドーバーデーモンを紹介する幼女ネキ)
幼女『こっちはこの間アメリカのシェルターを様子見に行ったときに仲魔にした妖鬼ドーバーデーモンだ! シャコみたいなパンチが打てるつわものだぞ!』
ドーバー『妖鬼ドーバーデーモンでいす。コンゴトモヨロシク……』
幼女『ちなみにこいつは個体名もあるすごいやつだぞ!』
ドーバー『照れるでいす』
泥土『ゲホ、がふ。……い、一応名前を聞いておこうか』
ドーバー『私の名前は■■■■■■でいす。人間にも聞き取れる発音で言うと……ペニーチンコスでいス』
泥土『(再び吹き出し悶絶する泥土ニキ)』
19:名無しの転生者
草
20:名無しの転生者
どっかで見た事あると思えばダンダダンのあいつ*5かよwwwwww
21:名無しの転生者
白けつといい赤兎馬*6と言いこいつといい、幼女ネキってほんとどっから見つけてきたのってチョイスの仲魔連れてるよなw
22:幼女
レベルは42、【物理プロレマ】【チャージ】からの【マッスルパンチ】が得意技だぞ!
……しかし大爆笑してたくせに出てこなくてな、ここで万策尽きたわけだが。ケツとペニーはとっておきの隠し玉だったんだが……
[動画]
(2人を見せてもなお泥土ニキが出てこないので首をひねる幼女ネキとケツとペニー。背後で苦笑しているノワールと頭を抱えている残花少尉)
幼女『……出てくる気配がないな』 ケツ『ありませんなぁ』 ペニー『でいす』
ノワール『まあ楽しんではいらっしゃった……んですかね?』
残花『いやまあツッコミどころは山ほどあったと思うが……無理やり引っ張り出すのはあいつの為にもならんしな……』
幼女『弱った、万策尽きたぞ。かくなる上は何か別の手段で引っ張り出してくれる! 待ってろよ泥土ニキ! 総員撤収!』
23:名無しの転生者
あ、撤収した。まあ幼女ネキお得意の力づくは最後の手段だろうしな
24:幼女
さてどうしたもんだろうなあ、別に正直泥土ニキがどうこうというのは知った事ではないのだが、ノワールのたまのお願いだからな、聞いてやりたい
あいつ普段ほとんど我儘の類を言わん……いわ……そう言えば普段から着せ替えについては異様な執着を発揮しているような……まあいいか! よろしくなぁ!
25:名無しの転生者
あ、深く考えるのを辞めた
26:名無しの転生者
まあでも実際シキガミちゃんのたまのお願いくらいは聞いてやりたいもんなぁ。しかしどうするんだこれ
そもそも泥土ニキが引きこもったのは好意を持った相手が女装と発覚し脳破壊されたからだが……
27:幼女
どうしたもんだろうなぁ。残花少尉からはシェルターを大幅に壊すのでなければ中に入って本人を説得するしかないんじゃね、みたいな結論は出たが
別に泥土ニキはナマモノネキみたいに筋の通らんカスじゃないのだし、無理やり引っ張り出すのはなんかなあ
彼の本も見てみたが、悪いもんではなかったぞ? いやまあ描写がリアルを追及しすぎて抜けるかは別だし、そもそも私はそう言うエロ本の類を持ってない*7
イベント系は行きたくはあったがなんだかんだ忙しかったからなあ、半終末前は
28:名無しの転生者
あ、行きたくはあったんだ。まあ俺らだもんなぁ
それに幼女ネキは控えめに言っても美少女だしな
29:幼女
うーん……まあいいか。とりあえず初心に帰ろう。何事も暴力で解決するのが一番だとレッドゴリラ=サンも言っている
かといって完全に暴力で引っ張り出すのも筋が通らん。なのでこうしよう。双亡亭攻略作戦! ヒマな奴らを集めてシェルター「双亡亭」を攻略するのだ
30:名無しの転生者
あ、やることはやるのね
31:名無しの転生者
流石に双亡亭壊しちゃうのはな。あれ泥土ニキの個人シェルターだし
32:幼女
引きずりだすだけならパンチ3発ぐらいで行けると思うんだがな
33:名無しの転生者
その3発の内訳は?
34:幼女
入口ブチ破るのに1発、最下層までぶち抜くのに1発、泥土ニキを大人しくさせるのに1発だな
35:名無しの転生者
ヒェ
36:名無しの転生者
ねえそれ泥土ニキ死なない?
37:幼女
蘇生させればノーカンだろ。まあ今回はできる限り説得で翻意させることを狙っていこう
まあ無理ならば肉体言語に頼るしかないが……
38:名無しの転生者
も、もうちょっと泥土ニキの命を慮ってやれないかな! あの人まだレベル20ないらしいし……
39:幼女
麻痺ひっかきならあるが……加減しても死にそうだなこれ。ケツはフォッグブレス・毒ガスブレス・ファイアブレス・パニックボイスとか色々あるが……
残花少尉もペニーも純物理前衛型なのでやっぱどっからか搦手使える奴連れてきた方がよさそうだなぁ
40:名無しの転生者
なんで尻しかねえのに【継承タイプ:口】のスキルばっか覚えてんだよw
41:名無しの転生者
何処から出るのか考えたら嫌な想像しかできねえんだがw
42:幼女
そりゃ口から出すんだぞ、なお出る場所はお察しだが。ショタおじに頼んだら爆笑しながらやってくれてな
一応私もスキルカードの抜き差しはできる事はできるが、ショタおじやミナミィネキ程の精度はまだ無理だなぁ
43:名無しの転生者
このようじょも大概天才肌よな……そういえばヒマなやつらって集まった?
44:幼女
あんまり。知り合いはみんな忙しいようだ……このままだと私・ケツ・ペニーで攻略することになってしまう……
泥土ニキの作品からするにきっとシェルターにも本物の双亡亭っぽいギミックを詰め込んだ脳を揺らす諸々があるに違いない
これを私達だけで独占してしまうのはもったいないからそこらにいた暇そうなやつをとっ捕まえて来たぞ
[画像]
(やたら小柄な「ブルーアーカイブ」の「近衛ミナ」の恰好をした人物と胸の大きい「秋泉モミジ」の恰好をした人物)
45:名無しの転生者
に……ロリ巨乳ミナにモミジ? コスプレかな?
46:幼女
うむ、絵描き部屋に行ったらなんか暇そうにしてたから連れて来た。本名非公開希望のコスプレ2人組だ。仮称ミナとモミジと呼ぶ
私も併せてコスプレしたぞ。ケツとペニーは宮城に返した。あいつらも仕事あるしな。残花少尉も泥土ニキに最後の説得をしに向かったようだ
[画像]
(「ブルーアーカイブ」の「竜華キサキ」のコスプレをした幼女ネキ。ただ所持しているのはウィンチェスターM1887が2丁)
47:名無しの転生者
あらかわいい。確か門主様はサブマシンガンだったはずだが……幼女ネキの趣味? M1887が2丁なのはツルギだよな確か
48:幼女
うん。シュワちゃんも使っている伝統ある銃だぞ! スピンコック*8できるように頑張って覚えた。弾丸は12ゲージスラグ弾だな
ペニーを仲魔にした時についでにアメリカの銃砲店で買ってきたものを参考に作ってもらったものだぞ、普通の奴だとすぐ壊れるし……*9
ともあれこれで面子はそろった! いざ突撃!
49:名無しの転生者
がんばってなー
50:名無しの転生者
泥土ニキ、無事で済むと良いが……
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「うむ、流石は『丸呑み描写をリアルに表現しすぎて溶かすところまで書いちゃって抜けねえ』と言われた泥土ニキだ、己のシェルターの内部にも妥協はせんとみえる」
個人シェルター『双亡亭』内部。機能性や利便性を度外視した、摩訶不思議な構造の屋敷、と言った風の内部*10を探索しながら、リンは最下層を目指していた。
原作における双亡亭を彷彿とさせる奇怪で不可思議な内部構造だが、原作通りだというからにはこれは侵入者への妨害ではなく、泥土ニキの脳を刺激し発想を生み出すためのものなのだろう。
事実自分への妨害らしい妨害もなく、強いて言えばシェルター管理・保守点検用の簡易シキガミをけしかけてくる程度。そんなリンからすれば吹けば飛ぶような襲撃を蹴散らしながら、リンは後ろをおっかなびっくり歩く『ミナ』と『モミジ』の方をちらりと見た。
「そう言えば、ミナ、お前としては泥土ニキの本はどうだ? 私は興奮できるかはさておき悪いものではないと思うのだが……」
「まあ画力はすごいしネタのチョイスも良いんだけどファンタジー要素にリアルを持ち込みすぎるのはちょっとダメポイントかなぁ。
いやまあ『あのね』シリーズ書いてる私が言うのも何だけどさ。性癖を自重しないのは評価ポイントだし、もうちょっとリアリティに折り合い付けるのも大事だと思うよ?」
「……そういうものか。まあ
本職。そう、この『ミナ』の本職もまた泥土ニキ同様の同人作家であり、本名を
リンやその身内をのみならず、実在人物を題材とした『ナマモノ同人』をメインとする同人作家であり、日頃の行いのせいでちょくちょくリンに半殺し(ときには全殺し)の目に合っている。
今回は『たまたま絵描き部屋にいた』『別に今はリンに殴られるような理由がない』『リンの言う事を断れない理由がある』という理由により、シキガミらしいモミジ共々連行されてきたのだ。
「私は良いと思うんですけどねえ、あ、勿論先輩のも良い作品だと思いますけど。まあそれが世間の需要に合致するか、は別問題ですし。
泥土ニキの本も、これでいい、これがいい、って人はかならず居ると思うんですよ」
「その辺りは一期一会というか、巡り合わせというか……そう言うものなんだろうなあ」
苦笑しながら言うモミジにしみじみというリン。その後も順調に侵攻し、最下層。泥土ニキの作業部屋の前に、1人の男性が立ちはだかっていた。
憲兵隊のような軍服に、肌の見える面はすべて包帯で覆われ、包帯の隙間から見える片眼は真っすぐにリンを見つめている。
泥土ニキのシキガミであり、リンがここに突入するきっかけとなった人物、黄ノ下残花。残花は中腰で刀を正面に向け、静かに呟く。
「結局説得はできなかった。そして恩を仇で返す様な真似をしてすまない……それでも、私は由太郎のシキガミなのだ」
「何、シキガミとはそういうものだ、恥じることはない。ウチの連中でもそうするだろう。それに免じて……少し遊んでやる。来い」
瞬間、2人が消え、轟音が響く。否、目にもとまらぬ速さで2人が距離を詰め、ぶつかり合ったのだ。
とはいえレベルにおいて大幅に開きがある2人、レベル80を超えたリンがその気になれば、そこそこのレベルを持ち観察眼に優れているという自負のあるナマモノネキの目にすら映るまい。
片手の銃で残花の突きを受け止め、その瞬間を狙って放たれた銃弾をもう片方の銃で払い、続けざまの突き蹴りで吹き飛ばす。
しかし追撃はせず残花が起き上がるまで待ち、起き上がればまた攻守を入れ替えて今度はリンが攻めたてる。残花は間違いなく全力だが、リンはスキルや魔法すら使わず、ただただ向かってくる残花を打ち倒す。当人が言っていたように、遊んでいるのだ。
「まー、さもあらんって感じだねぇ。でもま、幼女ネキが戦ってる所なんてそう見れるもんでもないし、いい資料になるよねえ!」
「またネタにしてボコボコにされないでくださいね? なんだかんだ先輩の本、人気あるんですから」
「でもねえ……おっと、モミジ。憧れは止められねぇんだ……浮かんだネタを書かずにはいられねえんだ……!
だいたい最高のネタがそこら中に転がってるのが悪――――――あいたぁ!?」
「言わんこっちゃない」
自分に殺意が向けられていない状態で手加減しているとはいえ幼女ネキの戦いを生で拝めるという状況に鼻息を荒くするナマモノネキに、苦笑を浮かべるモミジ。
興奮のあまり余計な口を滑らせたところにリンによって誘導された流れ弾が直撃し崩れ落ちるのを見て、モミジは処置無しとばかりに肩をすくめるのであった。
「――――――っ、くそ、動けん……」
「何、よくやった方だろう。後でエドニキにでも修理してもらえ。修理代は私につけておけ、そのぐらいはする。
さて、ようやく本題だな……邪魔するぞ泥土ニキ……泥土ニキ?」
残花が限界を迎え倒れたのを横目に、リンは残花の守っていた部屋の扉を開く。開けてみれば中には夥しい書籍や画材、パソコンやタブレット。
締め切り前の漫画家を体現したような部屋の中で、リンは作業机に向かう男性を見つけ声をかける。しかし、反応がない。
「どしたん幼女ネキ、泥土ニキ、そこにいるんじゃないの?」
横から覗き込んだナマモノネキが作業机に座る泥土ニキの肩に触れ……そのまま泥土ニキは倒れた。
咄嗟にリンがその手首をつかみ脈を図るが……反応はない。リンは何ともいたたまれない様な顔でナマモノネキを見ると、静かに首を横に振った。
「――――――へんじがない、ただのしかばねのようだ」
「む……寝ていた、か? ……まて、ここは何処だ?」
泥土ニキが目を覚ますと、そこは白を基調とした清潔な部屋であり、自分はそのベッドの上に寝かされていた。
周囲を見回せば、傍らの椅子には己のシキガミである残花が座り、自分が起きたのを見て安堵のため息を吐く。
「ここは医務室だ、由太郎。根を詰めすぎて死んでいたのだぞ。作業部屋には誰も近づけるな、というから防衛をしていたが……
それでも心配だったのでな、知人のノワールの伝手を当たってその主人の幼女ネキに来てもらったのだ」
「勝手なことを……いや、すまんな、世話をかけた」
「いやー、ビビったよな。集中しすぎて気づいてないのかと思えば死んでんだもん。過労死したロボ部はたくさん見たが根を詰めすぎてさっきの今で死んでる奴なんて初めて見た」
「割といるけどね絵描き部屋だと。ていうか過労死してんのは幼女ネキがデスマーチ持ち込むからじゃん?」
「私は金を出し、あいつらは腕を出す。双方合意の上だぞ」「うーんこの」
等と言い合いながら入って来るのはコスプレをしたままのリンとナマモノネキ。その顔(だけ)は良いコンビの視線を注がれ、硬直する泥土ニキ。幼いとは言え美少女2人に視線を向けられて動揺を隠せない。
「ともあれ、依頼は完遂だな。泥土ニキもあんな穴倉に閉じこもってはネタもクソもあるまい。インプットなくしてアウトプットなしだぞ」
「貴様に……貴様らに、何が分かるものか。やればできる者に! 称賛を浴びている者達に! 私の何がわかるというのだ!」
血を吐くような叫びだった。それが『己の思うようにエロ漫画が描けない、描いたエロ漫画がろくに売れない』という点を除けば、泥土ニキの言葉には、強い羨望と嫉妬、そして悔しさがにじんでいた。
事実、リンは大抵の事がやれば人並み以上に出来る。同人誌を描いていないだけで絵も書ければ歌も歌え、顔も良く人々に囲まれている。
ナマモノネキですら、その性癖と作風で襲撃され制裁を受ける事こそ数知れないが、その作風を好む者達も確実におり、頒布した同人誌は売れ、魔界にもその名は色々な意味で轟いている。*12
対して泥土ニキは、原作の坂巻泥努からして売れない画家であり、自分もまた頒布した本が売れているとはとても言い難い。泥土ニキが劣等感にさいなまれるのも無理からぬことであろう。
『そんな事言われてもなぁ……』とばかりに顔をしかめるナマモノネキであったが、リンは泥土ニキの視線を真正面から受け止めるとベッドに上り、泥土ニキの頭を撫でる。
そして困惑する泥土ニキと視線を合わせると、咳払いを一つし、顔を撫でる。するとその目は普段の赤から灰色に変わる。現在の
「確かに、『妾』にはお主の作品の良さは分からぬよ。だが、お主が作品に込めた情念は、多少なりとも理解しているつもりじゃ」
「うわ、めっずらし……幼女ネキがコスしたうえでロールしてる……撮らn」「撮影なんぞしたらお前の首をねじ切るぞ」「ヒェッ」
珍しい光景に思わずスマホを取り出そうとしたナマモノネキにドスの利いた声で釘を刺し、また一つ咳払いを一つ。改めてリンはキサキのロールを再開する。
「お主の本を見た。作業部屋を見た。それだけで、お主が妥協なく作品を作り上げた事は疑いようのない事実じゃ。そこは誇ってよい。
それに、タコのできたこの手。クマの浮いたその顔。たゆまぬ錬磨はいつか必ず実を結ぶ。それがいつか、と断言はできぬがな。それまで、精進するが良い。だが、けして無理はせぬようにな」
そう言って
「……くっ、不覚だ。この私が、あのような見え見えの賛辞に『揺らされる』とはな……」
「まあ、堂に入ったロールだったもんねぇ……いや良いもん見たわ」
「何故まだお前がいる!?」
「いやだって別に幼女ネキと一緒にいなきゃなんない理由ないし? 何の拍子に襲い掛かって来るか分かんないもんさ」
肩をすくめるナマモノネキ。その姿を憎々しげに睨み……泥土ニキは大げさにため息を吐くと、不承不承、と言った風に口を開く。
「我が終生のライバルと目したお前に助けられるというのも業腹だが……ともあれ、お前とそのシキガミにも礼を言っておかねばな……あれほど堂に入った龍華キサキのロール、そう見れるものでもない。大方お前がその恰好をしていたからだろう?」
「みたいよ? まあタッパ全然足んないけどコスはしたかったしね。……でも、一応誤解ないように言っておくけど……あの『モミジ』、私のシキガミじゃないんだよね」
「……何だと? モミジにあんな下品に乳を盛るのはお前ぐらいだろう?」「ぬかしおる」
ナマモノネキは口の端をひくつかせると、手を叩く。そこに現れるのは、胸の大きい『秋泉モミジ』。泥土ニキの記憶が確かならば、ロリキャラである『秋泉モミジ』をこのような胸を盛ったデザインで発注するのはナマモノネキぐらいのはずだが……
「ある時は謎の貸本屋、またある時は謎のあのね本制作者、かくしてその実態は――――――」
芝居がかった向上と共に衣装の肩を掴み、ばっ、とマントを翻すような動作と共に早着替え。その姿はあっという間に緑を基調とし、側頭部から角のようなパーツの生えたフードを被った少年へと変わる。
「やーやーどうも、脳缶ニキこと高館絶徒くんです! いや別に騙すつもりはなかったんだけど、変身能力でナマモノネキのシキガミに化けてたら幼女ネキに問答無用で引っ張られたもんだから言いだしづらくて……」
泥土ニキの脳裏に、忘れようとしていた過去がフラッシュバックする。半終末直前の頃、イベントに出た際既刊を含めて自分の本を買ってくれた『ギャラクシーエンジェル』の『ヴァニラ・H』のコスをしていた人物の事を。
その正体が彼だと知った時の、あの名状しがたい感情の揺れを、脳を揺らす、を通り越して、脳破壊に至った、あの衝撃を。リンの言葉と演技に受けた衝撃に加え、過去のトラウマがフラッシュバックしたことによる、隙を生じぬ二段構え。
リンに受けた衝撃が抜けきらぬまま再発したトラウマのフラッシュバックはかつてのそれ以上に泥土ニキの脳を揺らし、崩し、完膚なきまでに破壊し――――――
「わァ…あ…」
「「ないちゃった」」
許容量を超えた感情により精神の均衡が崩れ、子供のように泣きじゃくった泥土ニキの事を、リンが知ることはないのであった。
どっとはらい。
そんなわけで96話でした。泥土ニキの脳を揺らしたかった……!
これを一刻も早く出したくてブルアカの方そっちのけで書いてました。
ポポァさんに五体投地で色々ごめんなさいしますが後悔はしてません(爽やかな顔
■解説
・幼女ネキ
割とコスプレすることも好きなようじょ。変化スキルの応用で目の色変えたりも出来る。
泥土ニキの本そのものでは興奮しない(というか基本エロ本を見ても興奮しない)けれど、その描写に込められた情念や執念のようなものはすごいんじゃないか? と思っている。
一応ナマモノネキ相手でも何もしてなければ殴らない。大体会う時何かして制裁するために探してる時だからだいたい殴るけど。
・ナマモノネキ
色んな人に書かれているけど今まで本作で一度も当人の台詞がなかった系黒札。
本名とペンネームは『『俺たち』閑話集 「とある地方派遣調査員転生者の日常その2」』より拝借しました。以後この名前を公式としたい。
おおよそ質の悪い姫木メルみたいな言動をしている。シキガミはブルアカのモミジ(ロリ巨乳仕様)という盛るペコ族。貧乳に盛る系でも興奮するタチ。
今回のモミジは脳缶ニキのコスプレだったけど、ちゃんと本物のロリ巨乳モミジはいます。
・脳缶ニキ
ようじょの遊び相手。実はようじょはあのモミジが脳缶ニキであることを知らない。
いずれようじょ、脳缶ニキ、カス子ネキの問題児トリオで馬鹿をやる話を書きたいものです。
・泥土ニキ
ようじょに脳を揺らされた挙句脳破壊アゲインされた可哀想な黒札。
二重の極みチックに脳破壊入ったのでかつて以上のダメージだったそうです。
ようじょの門主様ロールに脳と性癖を揺らされた結果ひどい事になり、この後スレでナマモノネキがそのことを暴露したそうです。