本日、11月11日。私は絶対にしなくてはいけないことがある。
「翡翠君!」
「どうしたの?」
それは──
「ポッキーゲームしない!?」
ポッキーゲームである。
どうしてこの結論に至ったのか、それは数日前に遡る───
数日前、学校──
「アーイーちゃん!ちょっといい?」
「ん?どうしたの?」
「ポッキーゲームって知ってる?」
数日前、クラスメイトからポッキーゲームなる遊びを教えてもらった。どうやらポッキーの端を咥えて食べ進めて行き、途中で折った方の負けという所謂チキンレースのようなものだった。
「ん?でもそれもしもどっちも折れなかった場合はどうなるの?」
「むふふ、それはね……
キスして引き分けになるんだよ!」
その時、
「その話もっと詳しく聞いていい!?」
「うん!いいよ!」
回想終了──
そんなこんなで私は今、翡翠君とポッキーゲームすべく交渉しているのである。
「どう!?やらない!?」
「えー…なんかメリットあるの?」
「えっとねー…私とキス出来「却下」なんで!?」
速攻で却下された。なんで??私とそんなにキスするのが嫌なの??幼馴染だよ??美少女だよ??
「そんな軽々しくキスはするもんじゃないよ。そういうのは好きな人とか恋人とかにしなさい。ね?」
ぶー…その好きな人だから誘ってるんだけとなぁ…ぜーんぜん気づいてくれない。ニブチン。
「じゃあそういうことだから、僕作業に戻るね~」
そう言って翡翠君はパソコンに目を戻してしまった。むむむ…このままだと何事もなく終わっちゃう……こうなったら……
「絶対に堕としてやる……!」
朝日が差し込む窓に、両目に黒い星を宿す私の顔が見えた。
おかしい、色々とおかしい。
「どうなってんだ……?」
今朝からアイの様子がおかしい。いや最近もちょっとおかしかったが今日は一段とおかしい。朝からポッキーゲームしようとねだってくるし、朝食の品の横にさりげなくポッキー置いてくるし、挙句の果てには断ると詰め寄ってくる始末だ。他にもあるし流石に今日は様子がおかしい。何か記念日だったか……?
「う~ん……」
わからない。全くわからない。いくら部屋で椅子に座って頭を捻っても思いつくのは最近アイがそわそわしていたことぐらいだ。しかしあれくらいで今日みたいなことにはならないと思うし、カレンダーを見ても特に記念日とかもないしなぁ……ん?
「今日……11月11日……」
まさかと思い急いでパソコンで今日が何の日なのか調べる。すると──
「第一次世界大戦停戦記念日……いやこれじゃないな。うん」
何か引っかかって調べると今日は第一次世界大戦停戦記念日や介護の日だと出てくる。だがアイがこんなので喜ぶはずもない。いやどこの中学生が停戦と介護で喜ぶんだよ。そんなことを考えながら調べていくと──
「ポッキーの日……これか!」
この瞬間、全てが繋がった。朝からのポッキーゲームの要求、朝食に置いたポッキー、ここから導き出される結論はただ一つ!
「アイはきっと───
「次は……次は……」
全然堕ちないなぁ……しかも多分本人ここまでして何も気づいてないし。もうどうしたら伝わるのかな……
「…よし、切り替えよう。翡翠くーん!」
サッと気持ちを切り替えて部屋に入る。すると少し笑ったような表情をした翡翠君が出迎えてくれた。変な表情に首を少しかしげる。
「アイ、気づかなくてごめんね?僕さっきまでアイの気持ちに気付かなかったよ。でも今からはしっかりと答えるから許して。ね?」
…
……
………
…………え゛っっっっっ!?!?!?今なんて言った!?気付かなかった!?でも今からしっかりと答える!?つまりそれは……キスしてくれるってこと!?
「翡翠君……それは意味をわかって言ってるの……?」
「?うん。わかってるから言ってるよ?」
「っ!!」
落ち着け……落ち着け……溢れ出そうになる感情を抑えながらゆっくりと声を出す。
「じゃあ……しよっか」
そういうと懐から常備していたポッキーの箱を即座に開封して一本取り出し口に咥えて目を瞑る。心臓の音が鳴り止まない。激しく鼓動して顔がどんどん赤くなるのを感じる。このまま待てばキス出来る。遂に翡翠君が気づいてくれる。翡翠君が近寄ってくる気配がして心臓はどんどんうるさくなる。そして私はその時を待つ。
─5秒
─10秒
─15秒
─20秒
……遅くない?いくらなんでも遅くない?流石にキス待ち顔の女の子を待たせるのは失礼だよ??
「アイ?何してるの?食べないの?」
「……え?」
声を掛けられ目を開けると、そこにはただポッキーを食べている翡翠君が居た。
なんで!!!!なんでキスしてくれないの!?ちゃんと言ったよね!?意味わかってるって言ってたよね!?しっかり言質取ったよ!?
「えっと……何してるの?」
「何って……
一緒にポッキー食べたいんでしょ?だから食べてるんだけど……」
違和感。確かに違和感はあった。やけに察しがよかった。やけに素直だった。やけに緊張してなかった。今思えば話もどこか嚙み合っていなかった。キス出来るという目的に踊らされて本人の確認を怠ってしまった。その事実に気づいた瞬間絶望した。ここまでしたのに。熱を持った顔が瞬時に冷めていくのがわかる。
「……ごめん、やっぱりいいや」
やっぱり駄目だ……ここまでして気づかれないんだ……もう駄目だよ……
「……アイ」
「何……?」
ふと声を掛けられて振り向く。すると──
「!?!?!?」
かなりの至近距離にまで翡翠君が近づいてきていた。全然気づかなかった。というか何して──
「いただきます」
ちょっと待──思考──追いつか──どんどん食べ進めて──近──キ──
「はいおしまい」
「……ふぇ?」
想定外のことにあたふたしていると翡翠君はキスする直前でカキッと折ってしまった。
「ごめんね。わざと気づいてないフリしてた。そっちが勇気出してくれたんだからこれくらいはしないとね。でも、キスはしてあげないからね。じゃあ僕はやることあるからこれで」
「あ、うん……」
そういって頭を撫でて横を通り過ぎていく。さっき……顔近かった……
「……」
それからしばらくは何も考えれずに放心し、気づいたあとには恥ずかしさのあまり顔を枕に埋めて悶えていたのだった。
「……慣れないことした」
部屋から出て少しした後一息をつく。アイが俺とキスしたいのはわかっていた。だからポッキーゲームという口実を使っていたのも。でも出来ない。俺はアイの恋人じゃないから。それを捧げるべきのは俺じゃないから。
「……でも」
ちょっとくらいおいしい思いくらいはしても、罰は当たらないよね?
これからオリジナルストーリーを1、2話書いてから原作入るかオリジナルストーリーもっと書くか悩んでいるのでアンケート取ります!是非答えてね!
ストーリーどうしよう……
-
さっさと原作入れやぁ!!
-
オリジナル書けやぁ!!