でもワートリ沼なので許し亭⟵
『もしもーし。スイちゃん?』
彼から連絡が来たという事は未来に関わる事なのだろう。
直接会って無いので細かい過去は視えなかったが玉狛支部で誰かを庇おうとしているらしい。
それ関係だ。
『少し視えただろうけどとある少年を庇って欲しくてさ』
最良かの如く語り始めた。
曰く有吾さんの息子で近界民なのだとか。
それで視えた城戸司令は難しい顔をしていた訳か。
大方帰還したらその人を襲撃しブラックトリガーを回収しろとか何とか言いそう。
その対策として今私に連絡を寄越したと。
実際任務として命令されれば関係なく対峙しただろうね。
今も余り良い印象は無いし、もし『角付き』なら仲良くするのは難しいし擁護はしないが彼が普通に話す時点で違う可能性の方が高い。
『あー、出来れば諏訪さん達も任務なかった筈だから呼んどいてくれると助かる。俺が言っても良いけどスイちゃんの方がいい返事貰えそうだし』
「分かった。じゃあ帰還次第養父さんの所に向かうから連絡入れといて貰える?」
『OK〜。・・・よろしくね。じゃあまた帰還後』
そして帰還後チームを率いてない私は養父さんの元へと向かい今回の事について話し合う。
嵐山隊にも声を掛けたのだとか。
まぁ、味方は多い方が良いよね。
嵐山隊は忍田派筆頭だから。
話し合いの結果夜に実行する事と個として彼と合流する予定だ。
何だかんだ久々に一緒に戦うのは。
旧ボーダー以来で。
ほんの少しだけワクワクする。
早く夜になって欲しいと失礼ながら思ってしまう自分もいるという。
その前に諏訪隊の皆と話し合う必要は有るけどね。
一段落話を終えて隊室へ足を運びドアを開ける。
するとまるで“待っていました”と言わんばかりに全員揃っていた。
成程、流石手回しが早いね悠一くんは。
「おう、お帰り。んで、面白ぇ話有るらしいな?」
「簡潔に言うと今夜忍田派として一緒に戦って欲しいです」
「理由は?」
「知り合いの息子を庇う為。悠一くん直々に頼まれました」
「それで?因みに俺らにメリットは有んのか?模擬戦を除くボーダー隊員同士の戦闘を固く禁ずるのは知ってんだろ?」
「今回は隊律違反にはなりません。義父さん達も根回ししてくれます。何より玉狛と手を組んでの事で彼が何も考えずに私にこの話を持ち掛ける筈がありませんので。まあ、大変な事には変わりませんけど」
「隊としてはまあ及第点だ。良いだろう。が、足りねぇな」
「・・・何がですか?」
「忍田派と玉狛派が組むって事はつまり、城戸派と対立すんだろ。それも迅というS級が出なければならねぇ程に強い相手。そうだな、例えば太刀川隊や風間隊、冬島隊・・・後はそうだな、三輪隊辺りも居そうだ。それに比べ何故お前を抜いたら現B級中位並の俺らの隊なのか、実力が違ぇんだよ。言いたくねぇけど。そんな所に感情丸出しで俺らが行ったところで殺られるのが落ちだ。ただの人数合わせは要らねぇだろ」
確かにそうなのだ。
連携等は高いが如何せん中距離寄りの隊なので私が抜けていた期間は中位以上のランクに食い込んだという情報はない。
そんな隊に彼が態々誘う必要性は一切無い、他の実力隊を呼べば済む話だ。
だが彼が諏訪隊を選んだ、その事実は変わらない。
そもそも諏訪さんは参加すること自体には賛成していて彼に返事を既にしているのかもしれない。
でなければスラスラと上位三名を的確に、敢えて三輪隊を濁した言い方にはしない筈だ。
実力のある城戸派は他にも居るのだから。
城戸派じゃなくても司令から命令を受ければそちら側に付く事もあるし。
だとすれば私に求められているのはそう。
「実力を付けるのに良い相手だと思いません?現A級部隊と戦える機会なんて早々無いですよ」
煽り文句と部隊に対する向上心の誘いだ。
誰もこの位置に、私一人欠けただけで中位止まりで満足する筈が無い。
笹森もおサノも堤さんも、そして勿論隊長である諏訪さんも。
強い団体の練習相手が居たらなと個人でも思っていた、1度で良いから。
こんな滅多に無いチャンスを今逃したら今後いつあるか分からない。
不謹慎ではあるもののウチの隊はコレを逃してはならない、それが分かっているのか諏訪さん以外も表情が真面目になった。
そしてもう一度問う。
「一緒に戦ってくれますか?」
「上等じゃねぇか!なぁお前等」
「そうだね、やろう。もっと力を付けてスイちゃんの負担減らしたいし」
「てか諏訪さんさっきまで理屈捏ねてたクセに随分とあっさりじゃん。実はとっくに決めて返事返してたとかじゃないの?」
「それでもあんな煽り文句で奮い立たない人この隊に居ませんよ」
「うっせ!いーんだよそういうのは。結局納得するしないは己のエゴだろうが」
「それっぽい事言って何か大人っぽいね。諏訪さんってば」
「馬鹿。大人なんだよこちとら」
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