リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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これを以て結婚式エピローグを終わりとなります。


『結婚式 終』

「それでは皆様、いよいよお待ちかねの時間です!新郎新婦以外の方は一つ下のサイトへと移動お願いします」

 

千明の進行によってベンチに座っていた来賓客は、ぞろぞろと言われた通りに階段を下り、管理棟前から一つ下のサイトへと足を運んでいく。司会進行をしていた千明ですらマイクを持ったまま来賓客へと続いていく。

取り残された二人。ケンは何が始まるのかわからず、思わずなでしこに尋ねる。

 

「何が始まるんです?」

 

「大惨事大戦じゃよ」

 

大惨事……つまり今から血みどろの何某かの争いが勃発するらしい。

祝い事の筈なのに……

想像して顔が青ざめていくケンに、なでしこはクスクスと笑ってしまう。真に受け過ぎだ、と。

 

「大丈夫だよ。多分どっちかと言えば幸せのお裾分け……みたいな感じで、それを取り合うだけだから」

 

益々以て意味がわからない。だがなでしこが特に気にしてないあたり、平和な争いなのだろう。

 

「お〜い!シマケ〜ン、なでしこ〜!頼むわ〜!」

 

「は〜い!」

 

千明に呼ばれ、繋いでいたケンの手を引き、サイトを降りるための階段、その際へと。見下ろせば、皆がこちらを見上げている。

だがその目は先程までの和やかな雰囲気ではない。

血走っている……と言うか、飢えた猛獣すら彷彿させる目をしており、プレッシャーすら感じるものだ。特に女性陣。

 

「それでは皆様!新婦によるブーケ・トスになります!誰が取っても恨みっこなし!次のブーケ・トスをする人は誰になるのか!?では!お願いします!」

 

ブーケ・トス……つまりなでしこがブーケを投げて、それを受け取った女性は次に結婚出来るとか。

それだけにここにいる女性は未婚者が殆どで、二十代三十代ばかり。婚期というものを気にするお年頃のようだ。

 

「じゃ、いっくよ〜!」

 

皆に背を向けて、思いっ切り振りかぶってブーケを放り投げるなでしこ。

放たれたブーケは高く、高く宙を行く。が、

 

「わっ!わわっ!」

 

勢い付き過ぎたことでなでしこが仰け反ってバランスを崩し、階段から落ちそうになってしまう。

あわや結婚式に階段から転落か、と見ていた誰もが慌てふためくが、

 

「全く、変わらずそそっかしいな、なでしこは」

 

繋いでいた手を引き、その勢いで横抱き……つまりお姫様抱っこへ切り替えたケン。

かつてバイクの下敷きになりかけて、なでしこをなんとか支えていたあの頃とは違う。しっかりと鍛えられたその腕は、なでしこを守るためにこうしてちゃんと役立っていた。

 

「あ、ありがと……」

 

「うむ。……ってブーケは!?」

 

はっ!?となでしこに気を取られていた皆が、先程までの目的であるブーケを探し回る。

だがその行方は……

 

『あ……』

 

「……参ったな」

 

遠く離れて見ていたにも関わらず、すっぽり自分のところへ落ちて来てしまい、居心地悪そうに頬を掻く肇の手にあったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だか微妙な空気になったブーケ・トスだったが、主役の結婚式らしいお姫様抱っこが見れたということで場は盛り返し、更には肇の居たところまで放り投げられるなでしこのフィジカルもネタになり、肇がブーケを受け取ったのもまたいいネタになった。

ちなみに、

肇はブーケを気不味そうにリンに渡していた。リンの結婚、と言うのも肇からしてみれば心配するところなのだろう。受け取ったリンも少し苦笑い気味だったが。

そして結婚式のプログラムを終えた所で、次は食事会だった。

サイトを広く使って広げられた机。そこには準備者たる野クルと+3のメンバー達による腕によりをかけた料理の数々がビュッフェ形式で並べられていく。

しかもただの料理ではない。

担々餃子鍋

温玉揚げ

とんこつカレー

ニンニク、香草と共にスキレットで焼いた肉

スモア

サバサンド

アヒージョ

伊勢海老とトマトのリゾット

燻製

などなど……

先程のスライドショーで映っていた料理の数々だった。

流石にすき焼きはないが。

 

「これって……!」

 

「見てるだけじゃ腹も減るしな。ってことで、再現してみたってわけよ」

 

「大変やったんやで?レシピ思い出したり、ケン君やなでしこちゃんが作ってたやつは調べて近い奴にしたり」

 

「それも楽しかったよね〜。空いた時間に一緒に作って試行錯誤して」

 

「うむ。試食しまくって少し体重計が怖くなったけどな……」

 

「リンちゃん、それは言わん約束や……」

 

どうやら皆が並々ならぬ努力を注ぎ込んで仕上げてくれたらしい。

自分達の為にここまでしてくれていたとは思いもよらず、ケンとなでしこ、二人の目元にうっすらと涙が浮かんでくる。

すかさずリンはハンカチを取り出し、涙が流れ落ちる前に拭う。

 

「あぁなでしこ、泣いたら化粧が」

 

「うぅっ……だってぇ……!」

 

「それだけお前等を祝いたいんだよ、アタシ達はさ」

 

「千明……みんな、ありがとう……!」

 

「えぇよ、その代わり二人共、またキャンプ一緒に行って、料理作ってくれたら、それでチャラやで」

 

「そ、それくらいお安い御用だよ!」

 

皆が作ってくれた思い出の品々。

高校時代を濃く彩ったキャンプと美味しい料理。

きっと口にすれば、あの時の思い出が波のように押し寄せて来るのだろう。

 

「んじゃ、お客さんが待ってるし、そろそろ乾杯にしようぜ!」

 

『おぉ〜!!』

 

【楽しい】を更新してきたキャンプ。

その思い出は色褪せる事なく輝き続ける。

二人の、

皆の胸の中にずっと、

【楽しい】の原点となって。

 

 

 

 

 

 

 

「なんでこの手作りソーセージ、そのまんま作り直したんだよ?」

 

「そ、そんなの作った思い出はないぞ!?」




ここまで読んでくださった皆様に感謝を。
これからは子育てとか、三期とか、諸々書いていく予定ですので、これからもお付き合いのほどお願いします。

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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