リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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第二十三話『クリスマスプレゼント』

「上手く出来たみたいだな」

 

焚き火にあたりながらまだ起きていたリンは、返ってきた二人の手を見て微笑む。

茶化したつもりもなく、ただ安堵の意味の言葉だったが、二人は『手を繋ぎながら』方方に視線を逸らす。

……なんだ、この初心な奴らは……?

 

「まぁ……な。ありがとうリン、背中を押してくれて」

 

「私は何もしてないよ。……ただ、一人の妹として見てらんなかっただけだから」

 

「それでも、ありがとうな」

 

「ん……なでしこ」

 

「は、はいっ!何でしょうか小姑サマ!!」

 

「早ぇよ!……ま、こんな兄だけど、よろしくおねがいします」

 

「……うん!」

 

まぁケンとなでしこが付き合い出したからと言っても二人が大切な友人なのは変わらないわけで……それがケンにとっては嬉しくもあった。

 

「じゃ……私はそろそろ寝るか……」

 

「私もそろそろ……明日の朝ごはん作らないとだし、休もっか」

 

「だな。火消してテント戻るか」

 

で、片付けてテントに戻ったは良い。

 

「なんで私の方のテントなんだ?」

 

「なんでって……ねぇ?」

 

「普通そうだろ?」

 

リンからしてみれば、付き合い出したのだから、カップル同士で寝ると思っていたら、なでしこは普通にリンのテントで就寝準備を始めたのだ。

 

「だって、付き合い出したんだよな?」

 

「恥ずかしいけど……そだねぃ」

 

「だったら一緒に寝るんじゃ……?」

 

「そんなの緊張して寝れねぇ」

 

「……さよか」

 

まぁ何か間違いが起きたとしたらそれはそれで嫌だし、二人で清い付き合いをすると決めたのなら二人に任せればいいか、とシュラフに入り込む。

続くようになでしこもシュラフに入り、ケンも自身のテントに引っ込んだ。

 

「リンちゃん」

 

「なんだ?」

 

「ケン君と恋人になったけど……これからも友達でいてね……」

 

「当たり前だろ……そんなんで友達なんかやめてやらないからな」

 

「うへへ……ありがと……」

 

こうして、勝負のクリスマスイブは終わりゆるキャンメンバー達の夜は更けていった……。

 

 

 

 

 

 

「まだだ……!まだクリスマスイブは終わらんよ……!」

 

時刻は日付が変わろうとする時間。テントの中で動く影がある。徐ろにシュラフから出て、寒さに悶ながらも予め『とある人物』から借り受けたその衣服に袖を通す。

そして自身が持ってきた『ブツ』を白く大きな袋に入れて背負い、最後に白い付けヒゲを装着。

 

\デェェェン/

 

とそんな最終決戦に向かう準備ができた兵士のような効果音をバックに、『彼』はテントを出た。

 

 

まずはお隣さん

妹と、大切な女の子が休むテント。

テントのチャックを開ければ、すやすやと寝息を立てて休む年頃の少女達。

見ててほっこりしながらも、袋からゴソゴソと名前を記入して付けられた付箋を確認し、その『ブツ』を名前通りに枕元へ置く。

 

「メリー・クリスマス」

 

それだけ言い残し、チャックを締める。

 

さて、次は……と、少し離れたキャンプサイトを目指して芝生を踏みしめていく。

寒い

が、今日は皆が沢山楽しませてくれたのだ。今度は自分が返す番だと、サンタに扮したケンは奮い立たせる。

吐く息はますます白くなり、氷点下まで気温が下がっているのは想像に難くない。

気分はマジでサンタクロースだ。しかし奴は一晩で数多の子供にプレゼントを渡し回る変態だ。とても真似はできない。

サンタクロースへ謎のリスペクトが生まれていたら、あっという間に野クル側のテントサイトへ辿り着いた。

まずはオレンジのテント。

そこには恵那とあおいがすやすやと寝息を立てている。特に恵那のシュラフは自身のものより十倍近くの値段。実に暖かそうだ。だが今の自分はサンタクロース。奮起せねばならない。

二人の枕元にラッピングされたプレゼントを配置。恵那の方には、チクワの分も置いておくことを忘れずに。目を覚まされても困るのでそそくさと退散する。

次は青い格安テント。

そこには鳥羽先生と千明が。

 

「まさか顧問の先生まで出来るなんて思わなかったけどな」

 

お陰でプレゼントを買い足す羽目になったけど、悪い気分じゃない。これからもよろしくおねがいします、と言う意味を込めて、プレゼントを設置。

千明はなんとなく、そこにある大きな額の上にプレゼントを乗せておくとしよう。うなされているように見えるが、まぁ気の所為だ。

 

「ミッションコンプリート……!」

 

これが彼の考えたおもてなし……サンタクロース作戦だ。

サプライズでプレゼントを配り、皆を驚かせる。日頃の感謝の意味も込めて。

 

「……と、さっさと寝るか。冷えてきたし……」

 

冷えた体に鞭打ちながら、テントへ向かって戻り出す。

手もすっかり冷えてしまい、吐く息でその場しのぎをしていくが、あまり効果は期待できない。兎にも角にも急ぎ戻るのが得策だ。

やや急ぎ足なのもあって、あっという間にテントへ戻ってくることができた。

早くシュラフに入って暖を取ろうとテントへ近付いた時、その前に誰かが立っているのに気付く。

 

「クリスマスのサンタさんは大変ですなぁ?ケン君」

 

「なでしこか、ビックリさせないでくれよ……」

 

「私もびっくりしたんだよ?目を開けたら枕元にプレゼントあるし、ケン君のテント見たら誰も居ないし」

 

「そりゃまぁ……って、なんで俺のテントを見たんだよ?」

 

「それはね……頑張り屋のサンタさんに、私からもプレゼントがあります!」

 

そう言ってふわっと首に何かを巻かれる。柔らかな肌触りが首を包み込み、不思議と先程まで冷えていた身体が少し暖かくなった。

マフラーだ。

紺と白のボーダー柄の。

 

「ちょっと不格好で申し訳ないんだけど……」

 

「これ……なでしこの手編み?」

 

「うん、今日プレゼントしようって思って少しずつ編んでたんだ。お母さんに教えてもらいながらなんだけどね」

 

「ありがとう……すっごく暖かい。大切にする」

 

「私も、プレゼントありがとう。すっごく温かいよ」

 

そう言って彼女は手を見せてくれる。その手には淡いピンクの手袋。登校時に手を寒そうにしてたので丁度良いと選んだものだ。どうやら気に入ってくれたらしく、ケンは口元を緩める。

 

「でも、もっと暖かくなる方法がありますぞ?」

 

「そんなのあるのか?」

 

「それはね……?」

 

ぽふん、とケンの胸に飛び込むなでしこ。突然のことに少し戸惑うケンだったが、なんとか抱きとめる。

 

「こうすると温いですぞ」

 

「そりゃまぁ……顔も身体も熱くはなるな……」

 

「えへへ……実は私もだよ。自分から抱き着いててアレだけど……」

 

ドキドキが止まらない。

きっとこれだけ密着していたら、互いに心臓がバクバクしているのがバレているだろう。

 

「サンタさん」

 

「なにかな?」

 

「もう一つ、クリスマスプレゼントがほしいな」

 

「私にできることがあるなら」

 

「じゃあ……」

 

なでしこが胸元に埋めていた顔を上げ、ゆっくりと目を閉じた。

それを見て、彼女が求めているものをケンは察することができる。

だが今日の今日でそんな進展をしてもいいものかと戸惑いもある。

 

「なでしこ……いいのか?」

 

「ど、どうぞ……!」

 

心臓の鼓動が更に跳ね上がる。

月明かりに照らされた神秘的ななでしこの顔に、ゆっくりと近付いていく。

やがて……

月明かりに映った二人の影の顔は一つになった。

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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