リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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第四話『年の終わり』

日が沈み、あたりが紺色の空に変わった頃にようやくリンが帰ってきた。

結構冷えてきたらしく、少し震えていた為、ココアを淹れて渡そうかと思ったら、

 

「どうせならさ、お茶を飲みながら年越し蕎麦を食べない?」

 

というリンの提案にケンの手が止まる。

なるほど確かに、蕎麦とお茶なら合わないことはないだろう。ということで少し早いが夕飯の準備に取り掛かる。

まずリンは焚き火の準備に取り掛かる。

ただこんな整備された芝生に、火種の松ぼっくりなど落ちているわけもない。ということで火種を薪で作り始めた。

フェザースティック。

薪の表面をナイフで薄く切れ込みを入れて毛羽立たせ、まるで彼岸花のように加工して着火しやすくしたものだ。

他の薪とともに火を着ければ、あっという間に燃え上がり、赤々とした火が灯った。

 

「こんなに火が着きやすいなら、もう着火剤は要らないな……さらば松ぼっくり」

 

「たまには使って差し上げろよ……」

 

そして年越し蕎麦は各々好きなトッピングにしよう、ということで、途中のスーパーで自分好みに合わせて購入した具材を乗せていく。

 

「私は鴨出汁なめこ蕎麦魚フライ乗せ!」

 

「俺は海老天ゆず和風だし蕎麦!」

 

「柚子……だと……!?」

 

「リンもかける?」

 

「かける!」

 

市販の刻み柚子をシェアし、写真をアップして食べ始める。少し濃い目にしたことで塩気が強いが、逆に寒い日にはこれが美味い。乗せられた海老天や魚フライも、揚げたてではないが、それでも出汁に浸されたことで衣がしっとりとし、揚げたてとは違う美味さが光る。

 

『染み入るなぁ〜……』

 

蕎麦も程よい歯ごたえと、鼻を抜ける柚子の香りが合わさり、手が止まらない。

あっという間に出汁も飲み干して完食してしまった。

 

「滅茶苦茶美味かった……」

 

「うむ、寒い日の温かい蕎麦はまた格別だな……」

 

二人でまったりと蕩けるお茶(ケン命名)を飲みながら温かな焚き火に当たっていると、グループメッセージが送られてきた。

 

千明『あけましておめでとうございま〜す』

 

あおい『まだ早いわ』

 

千明『お年玉は、ナマゾンギフト券でいいですよ〜』

 

リン『2万円分送っとくよ、使用済みのやつ』

 

千明『( ´゚◞౪◟゚`)』

 

なでしこ『雪ー!!積もったー!!雪だるまー!!』

 

ケン『お、もうそんなに積もったか』

 

リン『雪降ってたの?』

 

なでしこ『うん!明日辺りにはかまくらも作れるくらい積もるかな?』

 

あおい『かまくらか〜、思い出してんけど、小さい頃にあかり……あ、私の妹やねんけどな、一緒に家の前でかまくら作ったことあんねん。でも次の日の朝には、どこぞの悪ガキに悪戯されてバリ島の遺跡みたいに改造されとったんや……!』

 

千明『あ〜、それやったのアタシ〜』

 

あおい『おどれの仕業やったんか』

 

しれっと調べてみると、怪物の口の中へ入るかのような遺跡の入り口の画像が出てきた。

こんなかまくらに改造出来るとは、存外千明には美術の才能があるのでは?と勘繰ってしまう。

 

「はぁ……」

 

メッセージのやり取りを終えて、リンは膝を抱えながらぼうっと焚き火を眺め始めた。

 

「どした?」

 

「いや、年末だし、何となく今年一年振り返って物思いに耽ってた」

 

「確かに、色んなことあったな……特にここ2か月」

 

「うむ、ここ2か月」

 

全てはあの日、リンが本栖湖でなでしこと出会ったから。

そこからリンも、ケンも、そしてあおい、千明、恵那……皆が変わってきた。

リンも皆とキャンプに行ったり、野クルと関わるようになったり。ケンもなでしこと出会わなかったら、今頃キャンプをせずにただバイクで走る休みだっただろうし、何よりもなでしことあんな関係になれなかっただろう。

 

「ホント、凄いよな、なでしこ」

 

「だな。周りを巻き込んで変えていく、台風の目みたいなやつだ」

 

「その例え、実に的を射ている」

 

「しかもお兄ちゃんと恋人になっちゃうんだからな……」

 

「それは、まぁ……」

 

「来年は、暖かくなってもキャンプ行きそうだな、私」

 

「だな。で、ソロキャンプもそこそこ挟んで、だろ?」

 

「それは外せない」

 

「来年には原付から二種とか中型にするか?」

 

「あ〜、それもいいかもな。もっと遠くに行けそうだ。お兄ちゃんのバイク見てたらなんか乗りたくなってきたし」

 

「ま、技能学科だけだし、取りやすくはなってるからな。悪くないんじゃないか?」

 

「何時までも尻を追っかけるだけと思うなよ……?」

 

「ふふん!バイクは俺のほうが一日の長があるからな、簡単には行かねぇよ」

 

「ギギギ……」

 

「……ま、来年もよろしくな。リン」

 

「……うんっ」

 

何ともない年末のキャンプ。

今までになかった、家以外で、兄妹二人だけの大晦日。

来年はどんな年になるのかはわからない。

けれども、きっと心躍る一年になるだろう、と。

そんな期待を胸に、二人は床に就く。

 

ケン『皆、今年は色々ありがとう。来年もよろしく。良いお年を』

 

リン『来年も穏やかな一年でありますように。良いお年を』

 

そんなメッセージを残し、新たな年を迎える除夜の鐘を子守唄のようにしながら。




み、短い……!
そして進まない……!
申し訳ないです!
後一、二話したら、例のおしるこガールが出る予定なので……

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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