リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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第二十四話『伊豆キャン道行き』

さて、食材を買い揃え、次はいよいよ一泊目を行う下田のキャンプ地へと向かう一行。鳥羽先生曰く、そこはジオスポットの一つである爪木崎の浜辺であり、昔から家族でよく冬キャンプをする場所らしく、お気に入りの場所だとか。

だがそこにはキャンプ場は開設されてはいない為、今回野営となる。ただ伊豆の浜辺でのキャンプは、6月から10月は県の条例で全面的に禁止だが、11月から5月まではその限りではなく、3月現在は問題ないとのこと。

待ちに待った海キャン!ということで、期待に胸を膨らませて辿り着いた一行だったが……

 

「ここ、キャンプ禁止ですよ?」

 

「えっ!?」

 

浜辺にある観光案内所にキャンプの許可を貰いに立ち寄ったところ、にべもなく断られたのである。

 

「で、でも、市役所の方に確認しましたところ、冬の時期ならキャンプしても大丈夫だと……」

 

「それが……何年か前に地主さんの意向で、冬も野営禁止になったんです」

 

現実は非情である。

あくまでも地主の意向が優先されてしまうのは仕方ない。

 

仕方ないのだが……

 

「ど、どうしましょう……?」

 

ここを当てにして来ていた鳥羽先生は、青ざめた顔で皆に尋ねた。

こっちに聞かれても困る。

 

 

 

 

 

とまぁ、じっとしていても仕方ないので、爪木崎を歩き回ることにしてみた一行。

爪木崎灯台で集合写真を撮ったり、海を見てノスタルジックな気持ちになりながら強い海風に煽られたり、俵磯のかくかくした不思議な岩を鉛筆の群生のように錯覚したり……

 

ジオスポットという自然の不思議を堪能しながら元の駐車場へと戻ってきた野クルの面々。

寒い海風に吹かれて冷えた身体をホットドリンクで温める一行。その傍らで懸命にスマホを操作してグルグル先生と格闘する鳥羽先生。皆がジオスポットを巡っている中、ずっとこうしてキャンプ場を検索してくれていた。

 

「ごめんなさいね……今、泊まれるキャンプ場探してますから……」

 

大きなため息とともに頭を抱える鳥羽先生。どうやら自信満々にキャンプ出来ると言っておいた先にこうなってしまい、ショックがとてつもなく大きいようだ。

生徒達が楽しみにしていた伊豆キャンを台無しにして落胆させまいと、顧問として身を粉に……

 

「今日はお昼から堂々とお酒が飲めると思ってたのに……」

 

前言撤回。どうやらこちらのほうが本音……なのかもしれない。

 

「でも冬場なんだし、空いてるキャンプ場なんて結構あるんじゃないか?」

 

「でも早うせんと、管理人さん帰ってまうかもしれへんで?」

 

「山中湖もそうだったよね?」

 

「「「………」」」

 

途端に青ざめていく遭難未遂経験者3人。やはりどこかしらトラウマになっているようだが、完全に自爆である。

 

「う、うかうかしてたら車中泊ってことにも……!」

 

「車中泊……」

 

なでしこはイメージする

車中泊ともなれば、ラフェスタの各座席列にゆとりをもって二人ずつとして……女性陣6人

そしてルーフキャリアに千明

 

「野晒しじゃねぇか」

 

「……ケン君は?」

 

「車の下?風はともかく、雨は防げるだけマシやで?」

 

「鬼か、チビイヌコ!」

 

「何?何の話?」

 

「知らぬが仏だ、ケン」

 

「???」

 

トイレを済ませて戻ってきたケン。

その両手には温かなお汁粉とコーンポタージュの缶が一本ずつ。

 

「先生、検索お疲れさまです。良かったら、あったかいものどうぞ」

 

「あ、あったかいものどうも、志摩君。ごめんなさい、気を使わせてしまって」

 

「いえ、先生からしてみれば温まるならお酒の熱燗のほうが良かったんじゃないかな〜?なんて」

 

「お酒……熱燗……」

 

鳥羽美波 禁酒生活26日目

酒という存在に禁断症状が現れ始めている

 

「あ、お酒といえば、飯田さんに聞いてみればいいんじゃない?地元の人なんだし!」

 

『それだ!!』

 

こうして、遭難未遂組含め、ここにいる面々全員が、飯田さんにまた一つ助けられたことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

西伊豆にある飯田さんの知り合いが経営するキャンプ場を利用させてもらえることになった野クルのメンバー。そのキャンプ場は、翌日訪れる予定の堂ヶ島の近くなので、トンボロが見れる昼過ぎまでゆっくりして巡ればいいのでは?と千明が提案すれば、すかさずあおいが、本来二日目の堂ヶ島の前に行く予定だったジオスポットがすごく遠回りになることを指摘。

これでは大幅な時間ロスとなり、各予定がずれ込んだり支障をきたしたり破綻してしまいかねない。

そこでシマリンの閃き発動。

あおいのいうジオスポットにはこれからキャンプ場へ行く前に寄り、明日は堂ヶ島を経てゆっくりと移動して次のキャンプ場で泊まり、最終日は伊東へ寄って帰るルートを発案。

このルートには皆が脱帽し早速そのジオスポットへ向かうために乗車していく。

だがリンにはもう1つ、こうすることでとある計画を入念に執行する企みがあった。例の作戦参加者にリンはそっと耳打ちをする。

 

「こうすれば、明日は時間に余裕ができて十分な下準備ができるし。『エビ作戦』のさ」

 

「なるほど!やるなぁリン!」

 

「お前、中々策士だな」

 

ほんの少し、意外にも強かな一面を見た兄。そんな彼の後ろから、小さな影が飛び出す。

 

「何?何?」

 

ヒソヒソと、他の皆に内緒で話す4人の会話の内容に興味津々な顔でやってきたのはあかりだ。

 

「そうだ、チビイヌコにも話しとかないとなぁ」

 

「???」

 

今回の大塩コンビへのサプライズに向けた工作員が、一人追加された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、道行き休憩を挟みながら伊豆半島東の海岸沿いを北上してやってきたジオスポットは……

 

「すごいよ!なんかすごいよ!ここ!」

 

興奮が抑えきれないなでしこが見つめる先。

細野高原

東伊豆町稲取にある伊豆諸島を望む広大な高原で、秋にはススキの群生地として知られる場所。

見渡す限りの広々とした草原。

目に飛び込む得も言われぬ開放感。

その草原の中に設けられた曲がりくねった登りの道路を走り、そして駐車場を目指して登ることしばし。

 

『おぉ……』

 

リンが思わずインカム越しに感嘆の声を上げる。今まで走ってきた道が眼下に伸び、そしてそれを隠さんがばかりの黄金色の草原。そしてその向こうに広がる太平洋と、そこに浮かぶ伊豆諸島。

普段のキャンプ場で見る景色とはひと味もふた味も違う大パノラマ。

 

『すげーいい景色』

 

「脇見運転は駄目だけど……見たくもなるよな、これ」

 

『うむ……バイクでここまで来てよかったよ』

 

「明日もスカイライン走れるんだし、やべーな伊豆……。バイク乗りとしてまた来なきゃならなくなる……!」

 

これもツーリングの醍醐味の一つだ。風を切って走って、素晴らしい景色を求めて旅をする。ビーナスラインというのは、そんな景色を求めてやってくるバイク乗り達の聖地なのかもしれない。

 

『……決めた』

 

「ん?」

 

『私、中型取るよ。もっともっと遠くまで行けるようにさ』

 

「……そっか」

 

『で、いずれは大型免許取って、お兄ちゃんのよりもデカいバイクに乗る……!』

 

「おっと、それは背が伸びてからの話だぞリン」

 

『……後で覚えてろ』

 

後ろを走るビーノからドス黒いナニカがモヤのように迫る錯覚の恐怖に耐えながら、早く駐車場に着いてほしいやら、ほしくないやら、そんな複雑な心境でケンはGSXを走らせていた。

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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