リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される 作:ロシアよ永遠に
「これが私の作った担々餃子鍋で」
「ウマそうやなぁ」
「これがその担々餃子鍋の残り汁を、ケン君がアレンジした坦々シーフード麺!」
「おぉっ!シマケンやるじゃん!」
「これがケン君のバイクで〜」
「アイツバイク乗ってんの!?」
「これが翌朝にリンちゃんと撮った富士山の写真!!」
「綺麗に取れてるやん」
麓キャンプ場でのなべキャン△を終えた翌々日の月曜日
ジャージに着替えて校庭での焚き火を始めた野クルの3人は、なでしこのスマホに収められた、なべキャン△の写真を鑑賞していた。
何だかんだでガッツリキャンプを堪能したなでしこは、未だに興奮が収まらない。
「さて、野クルも3人。体験入隊者が一人となった今、そろそろキャンプ活動を始める為に作戦会議を行う。良いか!」
「アイアイマム!」
「了解や」
「体験入隊者のシマケンは……」
「はい!バイク通学の申請に行ってます!!」
「うむ、そのうち来るだろう。とりあえずざっとだが、野クルの初キャンプの概要を決めていこうと思う」
「持ち物とか、いつやるか、何処でやるかやな」
「さすが野クルの参謀イヌコ。わかってるじゃねぇか」
「誰が参謀や」
「部長!私の役職はなんですか!?」
「うむ、お前はこの野クルの鉄砲弾…特攻隊長だ!!」
「押忍!……特攻?鉄砲弾?」
野クル作戦会議が始まり一時間後
「悪ぃ遅くなった」
「遅いぞシマケン。大方方針決まったぞ?」
「あと、アキの出荷も決まったで〜」
「あの写真、ネタじゃなかったのか」
この一時間の間に、夏用シュラフしかない野クルは、冬キャンを乗り切るためにどうすれば良いか試行錯誤していた。
結果としてシュラフカバーが上がり、それを身の回りのもので代用できないか……ということになったのだが。
千明に夏用シュラフを着用させ、その上にアルミホイルや
「着払いでお願いします」
「そういえば結構長引いてたけど、何かあったの?」
「いや……生徒指導の先生に捕まってさ」
「え?なんや悪いことでもしたん?」
生徒指導という言葉を聞けば、何かしら不祥事等があった時のイメージがある。ケンの素行は悪いという噂は聞かないが、それでも心配は心配なものだ。
「違うんだよ。生徒指導の先生がバイク好きで、なんのバイクに乗ってるのかだの、あのバイクもおすすめだの、いいヘルメットやジャケットの選び方だの、延々と……」
「「「あ〜…………」」」
趣味にのめり込む人間というのは恐ろしいもので、少しでも掠る人に前のめりで話してしまうものだ。
「それで抜け出すタイミングがわからんと長引いてもたんか?」
「いや、すっげぇ盛り上がって時間が経つの忘れてた」
「「「…………」」」
「あ、あれ?」
この空気、どこかで味わったことのあるものだ。
そう。あれは確か…。
「よし!次回のキャンプ、シマケンは荷物持ちだ」
「「意義な〜し!」」
「なんじゃとて!?」
あれは、リンを怒らせた時のものとそっくりのものだった。
「荷物持ちが決まったところで、問題はシュラフだな。こればっかりは仕方ない。各々購入って事でいいか?」
「オッス!」
「まぁそれが妥当やね」
「え?何?俺、荷物持ちが確定的に明らかなの?」
一人の意見を除き、野クルの結束は一層硬くなった。
千明『お前ら、決戦は来週の土日だ。行き先はアタシがピックアップしておくから楽しみにしとけ〜!』
なでしこ『さすがアキちゃん!頼もしい!』
ケン『とりあえず近々必要物品を買いに行かないとだな』
あおい『せやね〜、今週末にでも行こか〜』
千明『ふふん、シマケンよ。しっかりとパンプアップして来いよ?大荷物になるから筋肉が必要になるぞ?』
ケン『それ、マジなのか?嘘だと言ってよ大垣ィ!』
あおい『嘘やないで〜』
ケン『この世に神はいない。犬山さん、俺、無神論者になります』
なでしこ『もう、二人共ケン君をからかい過ぎだよ〜。ケン君、私も持つの手伝うから、大船に乗っていてね!』
ケン『なでしこ……お前ってやつは……!心優しきお前に、こんど身延饅頭をご馳走しよう!』
なでしこ『わ〜い!』
千明『おいシマケン。いつの間になでしこを名前で呼ぶようになった?』
あおい『せやな。休み前は名字やったのに。はっ!?もしかして大人の階段登ったんやないやろな……?』
なでしこ『大人の階段……ってナニ?』
ケン『なでしこ、お前にゃまだ早い』
なでしこ『???』
あおい『それはそれとして、なでしこちゃんの呼び方を変えたんやったら、私らの呼び方も変えへんの?』
千明『そうだぞシマケン。公平な対応を要求する!』
ケン『スマホ越しにプレッシャーを感じる……!』
千明『……まぁ正直な話、せっかく野クルで一緒に行くキャンプの予定を立てたんだ。他人行儀なのは無しにしようぜ』
あおい『せやで。お互い、もう少し砕けていこ?私らもケン君て呼ぶから』
ケン『わかったよ』
千明『アタシはシマケンって呼び方がしっくりくるからそのままな〜』
ケン『はいはい。じゃあ改めてよろしく。千明、あおい』
千明『おう』
あおい『よろしゅうな〜』
そんなこんなで、
2週間はあっという間に過ぎていく。
備品の購入にも繰り出し、
冬用シュラフも買った。
野クル初めての冬キャンを迎えるにあたり、各々が期待を胸に日々を過ごしていく。
「よし、いよいよ明日だな」
分担して持参するものをチェックし、シュラフにテント。諸々不備はないかを確認する。
「ちょっといい?」
そんなケンを妹が呼び止める。
「リスト見せてもらったけど、追加でこれ……持っていったほうがいいと思う」
「これは?」
「寒さ対策。予備も結構あるから全員分持っていっても大丈夫。あんまり重いものでもないし」
「確かにそんなに重くないから、4人分俺一人でも追加で持てそうだな。ありがとな、リン」
「うむ、一人1500円徴収しといて」
「金取んのかよ」
「冗談だよ。じゃ、お兄ちゃん。私は明日早いから先に寝るよ」
「おう、おやすみ。しかし長野の高ボッチか。遠いんだから気を付けてな」
「うぃ。そっちこそ、周り全員女子なんだから、間違いを起こすなよ」
「ハッハー、手を出そうもんなら返り討ちにあう自信が持てる面々だわ」
「確かにな〜。ま、そっちも気を付けて」
「ありがとな。おやすみ」
「ん〜」
ケンの後を追うように今週原付の免許を取ったリンは、早速明日遠出だ。ここから150Km走った先の高ボッチ。軽く計算しても、休憩なしだと6〜7時間掛かるだろう距離。
「あぁ、もう。俺も心配性だ。事故らないだろうか?変な男に捕まらないだろうか?寒さで風邪を引かないだろうか?」
人は彼をシスコンという。
番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!
-
未来の子供達のほのぼの生活
-
ケンとなでしこのいちゃいちゃ
-
お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
-
いつメンのキャンプ