リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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第七話『猛獣の報告と、次の侵攻先』

「これが私の作った担々餃子鍋で」

 

「ウマそうやなぁ」

 

「これがその担々餃子鍋の残り汁を、ケン君がアレンジした坦々シーフード麺!」

 

「おぉっ!シマケンやるじゃん!」

 

「これがケン君のバイクで〜」

 

「アイツバイク乗ってんの!?」

 

「これが翌朝にリンちゃんと撮った富士山の写真!!」

 

「綺麗に取れてるやん」

 

麓キャンプ場でのなべキャン△を終えた翌々日の月曜日

ジャージに着替えて校庭での焚き火を始めた野クルの3人は、なでしこのスマホに収められた、なべキャン△の写真を鑑賞していた。

何だかんだでガッツリキャンプを堪能したなでしこは、未だに興奮が収まらない。

 

「さて、野クルも3人。体験入隊者が一人となった今、そろそろキャンプ活動を始める為に作戦会議を行う。良いか!」

 

「アイアイマム!」

 

「了解や」

 

「体験入隊者のシマケンは……」

 

「はい!バイク通学の申請に行ってます!!」

 

「うむ、そのうち来るだろう。とりあえずざっとだが、野クルの初キャンプの概要を決めていこうと思う」

 

「持ち物とか、いつやるか、何処でやるかやな」

 

「さすが野クルの参謀イヌコ。わかってるじゃねぇか」

 

「誰が参謀や」

 

「部長!私の役職はなんですか!?」

 

「うむ、お前はこの野クルの鉄砲弾…特攻隊長だ!!」

 

「押忍!……特攻?鉄砲弾?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野クル作戦会議が始まり一時間後

 

「悪ぃ遅くなった」

 

「遅いぞシマケン。大方方針決まったぞ?」

 

「あと、アキの出荷も決まったで〜」

 

「あの写真、ネタじゃなかったのか」

 

この一時間の間に、夏用シュラフしかない野クルは、冬キャンを乗り切るためにどうすれば良いか試行錯誤していた。

結果としてシュラフカバーが上がり、それを身の回りのもので代用できないか……ということになったのだが。

千明に夏用シュラフを着用させ、その上にアルミホイルや梱包用緩衝材(プチプチ)、ダンボールを巻くことで、かなりの暖を取ることができた。それは良いのだが、見事に梱包され、身動きが取れない、ということで没となった。だがネタとして見事な絵面となったため、方方に写真を送った、ということである。

 

「着払いでお願いします」

 

「そういえば結構長引いてたけど、何かあったの?」

 

「いや……生徒指導の先生に捕まってさ」

 

「え?なんや悪いことでもしたん?」

 

生徒指導という言葉を聞けば、何かしら不祥事等があった時のイメージがある。ケンの素行は悪いという噂は聞かないが、それでも心配は心配なものだ。

 

「違うんだよ。生徒指導の先生がバイク好きで、なんのバイクに乗ってるのかだの、あのバイクもおすすめだの、いいヘルメットやジャケットの選び方だの、延々と……」

 

「「「あ〜…………」」」

 

趣味にのめり込む人間というのは恐ろしいもので、少しでも掠る人に前のめりで話してしまうものだ。

 

「それで抜け出すタイミングがわからんと長引いてもたんか?」

 

「いや、すっげぇ盛り上がって時間が経つの忘れてた」

 

「「「…………」」」

 

「あ、あれ?」

 

この空気、どこかで味わったことのあるものだ。

そう。あれは確か…。

 

「よし!次回のキャンプ、シマケンは荷物持ちだ」

 

「「意義な〜し!」」

 

「なんじゃとて!?」

 

あれは、リンを怒らせた時のものとそっくりのものだった。

 

「荷物持ちが決まったところで、問題はシュラフだな。こればっかりは仕方ない。各々購入って事でいいか?」

 

「オッス!」

 

「まぁそれが妥当やね」

 

「え?何?俺、荷物持ちが確定的に明らかなの?」

 

一人の意見を除き、野クルの結束は一層硬くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千明『お前ら、決戦は来週の土日だ。行き先はアタシがピックアップしておくから楽しみにしとけ〜!』

 

なでしこ『さすがアキちゃん!頼もしい!』

 

ケン『とりあえず近々必要物品を買いに行かないとだな』

 

あおい『せやね〜、今週末にでも行こか〜』

 

千明『ふふん、シマケンよ。しっかりとパンプアップして来いよ?大荷物になるから筋肉が必要になるぞ?』

 

ケン『それ、マジなのか?嘘だと言ってよ大垣ィ!』

 

あおい『嘘やないで〜』

 

ケン『この世に神はいない。犬山さん、俺、無神論者になります』

 

なでしこ『もう、二人共ケン君をからかい過ぎだよ〜。ケン君、私も持つの手伝うから、大船に乗っていてね!』

 

ケン『なでしこ……お前ってやつは……!心優しきお前に、こんど身延饅頭をご馳走しよう!』

 

なでしこ『わ〜い!』

 

千明『おいシマケン。いつの間になでしこを名前で呼ぶようになった?』

 

あおい『せやな。休み前は名字やったのに。はっ!?もしかして大人の階段登ったんやないやろな……?』

 

なでしこ『大人の階段……ってナニ?』

 

ケン『なでしこ、お前にゃまだ早い』

 

なでしこ『???』

 

あおい『それはそれとして、なでしこちゃんの呼び方を変えたんやったら、私らの呼び方も変えへんの?』

 

千明『そうだぞシマケン。公平な対応を要求する!』

 

ケン『スマホ越しにプレッシャーを感じる……!』

 

千明『……まぁ正直な話、せっかく野クルで一緒に行くキャンプの予定を立てたんだ。他人行儀なのは無しにしようぜ』

 

あおい『せやで。お互い、もう少し砕けていこ?私らもケン君て呼ぶから』

 

ケン『わかったよ』

 

千明『アタシはシマケンって呼び方がしっくりくるからそのままな〜』

 

ケン『はいはい。じゃあ改めてよろしく。千明、あおい』

 

千明『おう』

 

あおい『よろしゅうな〜』

 

 

 

 

 

そんなこんなで、

2週間はあっという間に過ぎていく。

備品の購入にも繰り出し、

冬用シュラフも買った。

野クル初めての冬キャンを迎えるにあたり、各々が期待を胸に日々を過ごしていく。

 

「よし、いよいよ明日だな」

 

分担して持参するものをチェックし、シュラフにテント。諸々不備はないかを確認する。

 

「ちょっといい?」

 

そんなケンを妹が呼び止める。

 

「リスト見せてもらったけど、追加でこれ……持っていったほうがいいと思う」

 

「これは?」

 

「寒さ対策。予備も結構あるから全員分持っていっても大丈夫。あんまり重いものでもないし」

 

「確かにそんなに重くないから、4人分俺一人でも追加で持てそうだな。ありがとな、リン」

 

「うむ、一人1500円徴収しといて」

 

「金取んのかよ」

 

「冗談だよ。じゃ、お兄ちゃん。私は明日早いから先に寝るよ」

 

「おう、おやすみ。しかし長野の高ボッチか。遠いんだから気を付けてな」

 

「うぃ。そっちこそ、周り全員女子なんだから、間違いを起こすなよ」

 

「ハッハー、手を出そうもんなら返り討ちにあう自信が持てる面々だわ」

 

「確かにな〜。ま、そっちも気を付けて」

 

「ありがとな。おやすみ」

 

「ん〜」

 

ケンの後を追うように今週原付の免許を取ったリンは、早速明日遠出だ。ここから150Km走った先の高ボッチ。軽く計算しても、休憩なしだと6〜7時間掛かるだろう距離。

 

「あぁ、もう。俺も心配性だ。事故らないだろうか?変な男に捕まらないだろうか?寒さで風邪を引かないだろうか?」

 

人は彼をシスコンという。

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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