リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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ヘルメットの使用期限を失念してたので、後半書き直しました


第八話『それぞれのキャンプ案と、久しぶりのタンデムツーリング』

「ちょっと調べたんだけど、キャンプ場作りにはこの三つが必要らしい」

 

狭い室内を片付けて、何とか5人座り、1人対面に立てるスペースを確保した事で、ようやく会議らしい会議を始めることが出来た。

総合リーダーであるリンがホワイトボードに書き出したのは、

 

1、企画

 

2、現場作業

 

3、運営

 

と、他に細かいものもあるだろうが大きく分けてこの3つの項目だ。

それについては理解したのか、皆がふむふむと頷く。

 

「最初に企画とか、サイトの種類とかを考えて、並行して現場作業の進行……、これはそれぞれの仕事の合間を見て交代制になるかな?」

 

皆学生の頃ならともかく、今は立派な社会人。本職を疎かにして、というわけにもいかない。いわゆる趣味の延長で、ボランティアの粋であるため、無理しない範疇で、ということになる。

 

「後はオープンに向けて、予約システムとか運営マニュアルを作るって感じかな?」

 

ざっとではあるが、大まかなキャンプ場作成の流れとしてはこれくらいだろう。

 

「となると、後は企画だな〜。誰に向けてのキャンプ場で、どんなサイトが必要か考えねぇと……」

 

ん〜、と自分達が作りたいキャンプ場、どんなサイトがあって、どんなキャンプが出来たら嬉しいかを各々思い描いていく。

 

「友達とか、家族で楽しんでもらえるといいな〜」

 

「ソロの人がゆっくりできるのがいい」

 

「子供に喜んでもらえるキャンプ場がええわ〜!キッズスペースがあるとか」

 

「ドッグランとか作って、犬連れのキャンパーさんに来てほしいな〜。うちのお客さんにも、キャンプやるってひと結構いるんだよね〜」

 

「色んな人が、色んな楽しみ方が出来るキャンプ場がいいよね!」

 

「そこの仏頂面してる男!貴様も意見を出したまえ!」

 

黙り込んで腕を組んで眉間に皺を寄せ、目を閉じて考え込むちょんまげ男に千明が吠える。

ややあって何かしらの意見が浮かんだのか、ゆっくりとケンは口と目を開いた。

 

「初心者の……キャンプを始めてみたいって人にも取っつきやすいキャンプ場、かな」

 

『おぉ〜!』

 

「やっぱり出だしって大事だし、気軽にキャンプを経験して、キャンプに興味を……いや、それ以前に楽しかったって思ってもらえるキャンプ場も良いかなって思う」

 

「確かに、初めての人ってどんなギアがあればええとかわからんで不安な人もおるやろしな〜」

 

「お兄ちゃんにしては良いこと言うじゃん」

 

「お前、兄に辛辣過ぎだろ。素直に称賛しろよ」

 

こんな感じで皆の作りたいキャンプ場が出揃い、それに合わせてリンがそれぞれの意見をメモに纏めていく。

最初の作戦会議としてはこんなところだろう。

 

「じゃ、現地に行って、もうちょっと具体的に考えてみようぜ!」

 

「ついでに草刈りもしない?」

 

『さんせーい!』

 

ということで、現地に向かう事になったわけなのだが、

 

「ケン君ケン君!」

 

「ん?」

 

「久しぶりに後ろ、乗っても良い?」

 

いざ、高下へ!とリンとケンはそれぞれのバイクへ跨ったときだった。

なでしこがタンデムをせがんで来たのである。

 

「え?なでしこ、車じゃ……」

 

「うぅん!今日は久しぶりにケン君の後ろに乗ってみたくて電車できました!」

 

「おいまじか」

 

「確信犯かよ」

 

どうやら大きなリュックサックは、ヘルメットやグローブが入っていたらしい。

なんとも用意周到なことである。

 

「まぁ断る理由もないし、乗ってきな嬢ちゃん」

 

「わーい!じゃ、準備するからちょっと待っててね!」

 

リュックから取り出したるは防風防寒グローブに加えて、長年愛用してきたであろうジェッペル……所謂ジェットヘルメット、そのシールドが付いたものだ。以前リンがビーノを使っていた時のものと同じデザインで、ピンクのワンポイントラインが入っている。

 

「そろそろそのヘルメットも買い替え時だな」

 

「むぅ……まだこんなに綺麗なのになぁ……」

 

「こればっかりは仕方ないよ。バイク乗りの宿命ってやつだ」

 

初めてなでしこがヘルメットを持ったのが高校2年の晩秋。ケンがタンデム解禁に合わせて購入したものだ。次は社会人になる前。21歳の時。つまり、今彼女が持っているのは二代目である。

 

「また行くか?バイクパーツショップデート」

 

「うん!……このヘルメットが使えなくなるのは寂しいけどね……」

 

やはり愛着というものは湧くらしく、彼女がヘルメットを持つ手はどこか物悲しそうだ。

わからなくもない、とケンもリンも感じる。

二人も初めて買ったヘルメットも、二十歳になる頃には交換せざるを得なかった。新しいヘルメット、というものは魅力的なものだが、慣れ親しんだお気に入りのヘルメットも、ツーリングやキャンプの思い出を共有した相棒に近いものだ。思い入れがある。

 

「ま、これから2人でツーリングすることも多くなるだろ?お兄ちゃんの勤務先も落ち着いたしさ。そのための新調と思えばいいんじゃない?」

 

「そだね。またツーリングキャンプ、行きたいなぁ」

 

「行けるさ……いや、絶対行こう」

 

「2人きりで行くのもいいけど、ツーリングキャンプなら私やアヤちゃんも誘えよな」

 

「わかってるって。……じゃ、そろそろ出発するか」

 

「うん!」

 

と、手慣れた動作でケンの肩を持ってタンデムシートに跨がり、タンデムステップにしっかりと足を置く。麓キャンプ場で乗り降りで危なっかしかったあの頃とは偉い違いだ。

 

「じゃ、しっかり捕まってろよ、なでしこ!」

 

「うん!」

 

腰に手を回し、ぎゅっとしっかり体を密着させてくるなでしこ。背中から久しぶりに伝わる柔らかな感触に少し身体が跳ねてしまったケン。一週間前のあの件から、どうしても今まで以上になでしこを意識しているのが彼自身、自分でも分かる。

顔が赤くなるのを感じながらも大きく深呼吸し、心と体をリラックスさせる。

 

「じゃ、出発っ!」

 

「お〜!!」

 

高下まで50分。なでしこを後ろに乗せての久しぶりのツーリングにやはり気持ちが踊る。

高まる気持ちそのままに、アクセルを捻って走り出すバイク。重厚な排気音と共に、二台のバイクは甲府市を駆け抜けていった。




ちょい短めでした。キリのいいとこまでで……


番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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