リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される 作:ロシアよ永遠に
まずはなでしことリンが服を脱ぎ、そっと湯船へと足を差し入れる。足先から伝わるじんわりとした温かみがゆっくりと伝わり、間もなくして身体を湯へと浸かるに至った。
やはり冷えた身体に温泉は染み渡る。これは古今東西過去未来現在全てにおいて普遍の事実だ。
「け、ケン君、大丈夫だよぉ〜……?」
「う、うむ」
やや恥ずかしげななでしこが、影で合図を待つ自身の恋人へと声をかける。少し離れた岩陰から、おずおずという言葉が正しく当てはまるようにゆっくりとケンが後ろ向きに出て、これまた後ろ向きに服を脱いでいく。途中、視界の影に先に入った二人の脱いだ衣類が畳まれて重ねられているのが目に入る。その衣服の間から、ピンクと白のナニかがはみ出していたのが視界に飛び込んできたが、すぐに視線を戻していそいそと服を脱ぎ、これまた二人に背を向けるようにして、ケンもまたゆっくりと湯船へと浸かる。雪が積もる景色の中で、体を冷やして遥々山奥へ足を運び、温かな湯に浸かって暖を取る。やはりマッチポンプが自分達の性に合って居るようだ。
「「「ハァ〜……!」」」
白い吐息が霧散し、消えていく。伴って、ここまでやってくるのに溜まった疲れも、湯に溶け出して来ているかのような感覚が生まれる。
「やっぱり温泉は良いものだねぃ〜……」
「うむ……歳をとって更に染みる……」
「何いってんだ二十五歳……まぁでも……気持ちはわからんでもないけど……」
血行が良くなって、思いの外だらけてきたようだ。先程の気恥ずかしさは少し薄らいできた三人。
「皆、あれから大人になったよねぇ〜……」
「働きだして、使えるお金増えて、んで免許取って……」
「あっちこっち行くのもあっという間になっちゃったよね〜」
「自転車漕いで本栖湖まで行って遭難しかけてたなでしこがなぁ〜……」
「リ、リンちゃん、それは黒歴史というものですぞ」
少し恥ずかしい過去を掘り返されたことで、なでしこの声に若干の焦りが入る。だがすぐに持ち直し、でも、と言葉をつなげた。
「あの時リンちゃんと出会わなかったら、わたしはキャンプに興味を持たなかったかもしれないし、二人ともこうして裸の付き合いをする程仲良くなれなかったかもしれないんだよね」
「は、裸の付き合い言うなし」
「まぁなでしこの言うことも確かに、だな。同じクラスで隣の席だったのは変わらなくても、リンを通じて一緒にキャンプ行く事もなかったかもだろうし」
少しの事がきっかけで動き出す未来が、三人の仲を確かなものにしたのは事実で。口には出さないが、今となってはそうでない未来を想像出来ないし、したくもないのが三人の共通の認識だった。
「でも……高下で皆とキャンプ場作ったり、こうして三人で出掛けたり……やっぱり私、皆と繋げてくれるキャンプが大好きなんだって改めて感じたんだ」
なでしこは言う。高校時代のように、千明を起点として皆で集まって、ワイワイ言いながら盛り上がって、そして焚き火を囲みながらご飯を食べてキャンプを……。そんな時間がまた出来た高下はとても楽しいものだった、と。
「私、思ったんだ。私やみんなのこの楽しいって気持ち。それを色んな人に伝えて、またその人が他の人にその楽しいを広げて……。そんな場所を作ろうとしたのが、あのキャンプ場なんじゃないかなって」
だからこそ諦めたくない。
そんななでしこの気持ちが、二人には痛いほど伝わってくる。
その歯痒い思いは、リンもケンも、そして千明やあおい、恵那も同様だろう。
燻ったままでは終われない、終わりたくない。『ハイそうですか』と容易く納得できるほど、あの場所は安い場所ではないし、オトナでもないのだ。
「スゴイな、なでしこは」
「そ、そうかな?」
「楽しいを広げる場所、か。俺達のキャンプ場に望んだそれぞれの楽しいが、また別の楽しさを見つけられる場所になれるなら……本望なんだろうな」
「うん。……でも遺跡発掘がある以上、難しい問題だよな」
「だよなぁ……遺跡好きなら楽しいかもだけど…………………ん?」
ここでケンの中にキーワードが駆け巡る。
楽しいを広げるキャンプ場。
そこに遺跡という全く別のジャンルが待ったを掛けてくる。どちらか一つを取って高下を盛り上げたい県は後者を選択した。
だがここで一つの考えが彼の脳裏に過ぎった。
『キャンプ場と遺跡を混同してはいけないことはない』という結論。
「これだ!これだよ!リン!なでしこ!」
ザバァ!と勢いよく立ち上がる。
その表情は気恥ずかしさなどどこへやら。胸の奥からこみ上げる高揚感、興奮が抑えきれない。
「キャンプ場!諦めるには早いぞ!」
振り返り、意気揚々と。
そうだ、夢を諦めるには早い。
まだ足掻ける。
まだ繋げられる。
キャンプ場作りを……続けられるかもしれない!
確実ではない。だが可能性はなくはない。このまま終わるより、足掻いて手を伸ばして。
「二人とも!動いてみようぜ!」
「「…………」」
見下ろすケンの視界の先。
件の二人は目を丸くして固まっていた。
その顔は赤く染まり、まさにゆでダコ状態。
微動だにせず、ただただ一点を見つめており、心ここにあらずと言わんばかりに。
のぼせたのか?という考えがケンの頭に浮かぶ。しかしそれにしてはジッと何かを見つめて……
「……?」
その視線の先にあるもの。それは山風に揺られるビッグマグナム(誇張)
「ぁ…………」
気付いた時にはすでに遅く。
先に我を取り戻したリンがその拳を構えている。
「い、言ったよな……?こっちを向いたら……ワタシハクサマヲムッコロスって……!」
哀れ、興奮のあまりに状況が見えなくなって言いつけを破った彼にはキツい折檻をしなければならないわけで。
「さぁ、お前の罪を数えろ」
「シッショー‼」
「お、男の人……ケン君のって……あんなふうになってるんだ……!」ドキドキ
ちょい短めでした
番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!
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未来の子供達のほのぼの生活
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ケンとなでしこのいちゃいちゃ
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お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
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いつメンのキャンプ