リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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第十九話『夢への再出発』

「シマケン、おま、その顔……どったの?」

 

「色々……ありまして」

 

翌日

思いついて居ても立っても居られなかったケンは、早速皆を県庁舎に呼び出した。丁度千明も皆と話したいことがあったらしい。例の会議室に集まった際に、先んじて着いたケン、なでしこ、リンは中で待っていたが、次いで現れた千明が不審者がいると勘違いして、外で扉の隙間から様子をうかがうと言う、何処かで見たことあるようなやり取りがあった。

更に先に着いていた恵那がジンジャー君をこっそりと動かして、他のメンバーを脅かしたことも追記しておく。

そして冒頭の感想は、ケンの顔を見た千明の率直な感想だった。

なぜならケンの顔は、引っかき傷や青タンを隠すガーゼや絆創膏で痛々しいことになっていたからである。

 

「ふんっ……!」

 

もっともそれは未だ激おこぷんぷん丸のリンによるものなのだが、それを知るのは温泉に行ってた三人だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのさ、俺……キャンプ場作り、ナントカなんじゃないかって考えたんだ」

 

皆の前に立ち、そっと自身が考えたことを説明していくケン。

キャンプ場作りは遺跡発掘のために計画が頓挫してしまった。

だがしかし、諦められない気持ちが確かにある。

だが計画のゴーサインを出す県が決めた以上はどうようもない。

だからこそ、遺跡発掘よりキャンプ場作りを!ではなく、遺跡もキャンプ場もどちらも共存する場所にすれば良いのではないか?と。

思いつく限りの言葉と熱意で話す彼の言葉。誰もが賛否の声もなく、静かに聞き入っていた。

 

「だから、計画の練り直しをしないとだが……どうだろうか?」

 

「……クククッ……ハッハッハッ!ハァ〜ッハッハッハッ!」

 

一通り考えついた案を出し終えた所で、メガネを光らせていた千明が、おもむろに月を見る度思い出せ的な高笑いを始めた。なんかムカつく。

 

「よもやよもやだ。まさかシマケンがそこに行き着くとは……やはりアタシ達は心と心で固く結ばれたソウルメイトだったと言うことだ」

 

「そんなもんになった覚えはないんだが……」

 

「でもまぁ、ここまでそっくりな考えやと、正直私も驚いたけどな〜?」

 

千明とあおいが意味深なことを言い始めたので、事情を知らない四人は揃って首を傾げる。

 

「実はさ、先週辺りからイヌコとアタシで企画の練り直しをしてたんだよ。それもシマケンの言った案とクリソツなやつをさ」

 

「ま、マジ?」

 

「マジもマジ大マジやで?」

 

「んで、ここ一週間で新しい企画案を作成して、昨日提出したってわけなんだよ」

 

「え〜?だったら教えてくれても良かったのに……」

 

なでしこの言うことも最もだ。もしキャンプ場作りが再開する可能性があるのなら知らせてほしかった、と言うのは至極真っ当な思いだろう。だが千明とて、意地悪したくて黙ってたわけじゃない。

 

「そ、それについてだけどさ。一か八かの話なんだ。話を出して期待させて、『やっぱりダメでした〜』は嫌だろ?」

 

「まぁ、アキなりにサプライズと皆に気を遣って黙ってたんよ。悪気があったんやないんや」

 

確かに二人の言う通りだ。これ以上キャンプ場作りが原因で落ち込むのは勘弁なのは誰しも同じだろう。

 

「で、通ったのか?企画」

 

「おうとも!……ただまぁ、前よりも結構スケジュールがシビアな計画だぞ?覚悟しろよお前ら!」

 

「望むところだと言わせてもらおう!男の誓いに訂正はない」

 

そして打ち明けられる千明の立てた新しいキャンプ場計画。

 

それは……

 

 

 

 

 

 

 

「本日から、友人と交代交代で発掘作業に参加させていただきます!」

 

「よろしくお願いいたします!!」

 

「いや〜、正直ありがたいよ!人手不足だから全然作業が進まなかったんだよね!」

 

「あと、お昼御飯とかも作れますので!」

 

「お昼御飯?」

 

数日後

平日休みが取れたメンバーで、高下の発掘現場へと足を運び、その作業の手伝いを申し出ていた。

千明の言う計画。

それを実行に移す前に、滞っている発掘作業を手伝い、ペースアップを図ること。作業員の言う通り、人数が少ない現状での作業効率のスピードは推して知るべしだ。

如何せん、先ずは発掘作業が終わらなければ、次のステップたるキャンプ場作りにも移行できない現状なのだから。

そして教えてもらいながらの発掘作業が始まる。

地味な作業だという先入観があったのだが、いざ実際に作業を始めて見ればなんのことか、昔やったことのある宝探しをしているようで、童心に還った気分で作業感よりも楽しみが大きかった。

しかも授業でしか触れることのなかった縄文時代の文化の片鱗に間近で触れれるめったに無い機会は、成長した6人には輝かしく映り、作業効率は思った以上に捗っていた。

そしてそれにはもう一つの要因が起因していた。

 

「今日のお昼は野クル特製の豚骨カレーです!」

 

六人が交代で作るお昼御飯もまた、作業効率アップに貢献していたと言っても過言ではないだろう。

仕事を一段落させて、美味い飯を、大自然に囲まれた青空の下で食べる。

これほど旨いシチュエーションは中々無い。

美味い飯を食べることは気分を良くし、それが昼からの作業へ良い働きを齎していたことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

発掘作業が終わり、撤収した後

千明が皆の作業内容をPR映像として高下の発掘遺跡の計画会議で発表。それが思いの外、県のお偉方には好感触だったようで……

遺跡とともに寄り添うキャンプ場作り計画承認の書類を満面の笑みで写メって送ってきたのは、紫陽花が咲き始めた梅雨入りを知らせる時期のことだった。




み、みじけぇ……

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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