リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される 作:ロシアよ永遠に
ただ、井上和彦声やブレイバーンの声で脳内再生された人はきっと魔晄中毒者だと思うの
「少し見ねぇ間に立派になりやがって……」
「いや現実逃避やめろ」
目を細めて、まるで祖父さんや叔父さんが甥や孫の成長を驚くかのようにキャンプ場予定地を見下ろすケン。眼下に広がるは、初夏を迎えて伸び伸びと生い茂る草共。ここしばらくは発掘作業の方に専念していたのもあり、野放しですくすくと成長していた……と言えば聞こえは良いが、折角皆で草を刈り取ったと言うのに、最初に逆戻りしたような感覚に見舞われる。
「ふっふっふ……ならば何度でも刈り取ってやるまで!」
「建前はアレだが、シマケンの言うとおりだ!野クルは滅びぬ!何度でも蘇るさ!然らば!何度でもやり直す!」
取り出した草刈り機を起動し、刈り取る気満々なケンと千明。野クルの賑やかしトップ2のテンションは天井知らずだ。
そんな2人を呆れ顔で見る残り4人。だがそんな彼女らも、表には出さないが内心でテンションは結構高くなっていた。
何せ、諦めかけていたキャンプ場作りが、形を変えたとは言えこうして再開できるのだから。
「よ〜し!当初の夏オープンは無理っぽいけど、秋までには間に合わせるぞ!」
「お〜っ……!」
ここに来て、千明の声に普段物静かなリンがいの一番に返事をしたことで、誰もが目を丸くして彼女を見つめる。
「な、なんだよ?」
「いやいや〜、リンが大人になって積極的になったことが嬉しいんだよ〜」
よよよ、と、まるで娘の成長を喜ぶ親のように泣き真似をする恵那。
リンとしてみてもいじられるとは思ってもいなかったらしく、若干頬を膨らませている。
「まぁえぇやん。リンちゃんはキャンプ場作りの総合リーダーなんやから、こういう時引っ張ってくれたら雰囲気出てくるやろ?」
「だな。んじゃ総合リーダーのシマリン!一発気合の入る一言を!」
「な、何だよそれ……う……!」
千明の提案に戸惑いながらも断ろうかと思うが、皆がリンの一言を待つ期待を込めた視線に断れる空気ではなくなってしまっていた。
「んっんん!……ファイト……!」
『お〜!!』
拳を突き出すリン。そんな彼女に応えるべく、5つの拳が円陣のように追加で突き出され、強くなってきた日差しが指す高下の空に響き渡ったのだった。
そこからは前回と同じく草刈りとともに整地。それと並行して業者の人と協力しながらサイトの設営を行っていく。遺跡関連のスペースは千明が主だって対応を行い、他のメンバーは区分け作業を行う。
「みんな丸太は持ったな!!」
「持ってへん!」
持つのは杭、そして木槌だ。腕捲くりをし、鍛えた二の腕が日の目を見たことで、恵那とあおいが何故かゴクリと固唾を呑んだ。
「ええで〜!」
「おっしゃぁ!光になぁれぇ!!」
「おいまじか」
ここで男手の出番だ。他のメンバーが仮立てした杭に、木槌を打ち付けて行く。
「ふんぬ!ふんぬ!」
流石と言うべきか、軽く刺していた杭を持ち前のパワーでゴンゴンと音を轟かせて打ち付けて行くケン。
しかし……
「ぜぇ……ぜぇ……」
十本も打った辺りでガス欠になり、肩で息をしてバテてしまっていた。
「ハッハッハッ!もっと腰を入れんとね!」
そんな若人の助け舟となるべく、そして高下を盛り上げたいと願う有志を連れてやってきたのは……
「岡崎さん!」
「兄ちゃん、力任せに振りすぎるからバテんのよ!こう言うのはコツがあってねぇ!」
山人と書かれたシャツを纏い、いつかの草刈りの時に助けてくれた岡崎さんだった。山人とは
ともあれ、息を整えるためにケンが杖代わりにしていた木槌を手に取ると、
「おぉりゃぁ!!」
そこからは年季の差といったところか。さしてケン程力を込めているようには見えない岡崎さんだが、彼を上回るスピードで次々に杭を的確かつスムーズに打っていく。
「こうやんのよ!」
(なるほどわからん)
これも場数を熟してこそなのだろうか?そうでなくともこの作業を通して学ぶべき所、知らなかった所が多く、得難い経験には違いない。
「あ、そや!ケン君て軽トラ運転できるん?」
「一応マニュアルで免許取ってるけど……何か運ぶの?」
「そやで。ちょっとな〜」
「ケン君、私とリンちゃんで杭打ちしてるから、あおいちゃんを手伝ってあげてね!」
杭打ちやる気満々で木槌を肩に担ぐなでしこ。彼女のフィジカルなら杭打ちなと容易いだろう。男としていい所を見せたかったが仕方ない。
「よし!ここは任せたぞ現場監督!」
「オーキードーキー!」
「なんだ。このノリ……」
そして助手席にあおいを乗せてゆらり揺られてやって来たのは、あおいがかつて勤め、今は廃校になった鰍沢富士見小だった。そこにある遊具は好きに持っていっても良いという事らしく、タイヤ飛び用のでかいタイヤ等、使えそうな物は遠慮無く持ち出してキッズスペースへと運び、皆で協力して設置していく。中には木の板とロープで作ったシンプルなブランコを作ったり、決して流用のみではなく、真心を込めた手作りの遊具も忘れずに設ける。
途中、夏特有の突然の雨に悩まされながらも作業は着実に進み、捨てられていたドラム缶を用いたドッグランが完成した頃には、夏の猛暑は過ぎ去って、秋の兆しが訪れていた。
キャンプ場が9割完成した辺りで、近所の人からおすそ分けでもらったさつまいもを、サイトの片隅に設置した土器の野焼きスペースで焼き芋にして頬張りながら、秋特有のイベントとして催しても良いのではないかというアイデアが飛び交う。
ほんの些細なことから考えつく楽しいこと、楽しめること。それを広げる為のキャンプ場作りは、きっと作る過程でも生まれていたのだった。
そして……
秋中旬
夢のキャンプ場作りは、最後の工程を残すのみとなっていた。
吊橋回……良き
番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!
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