リンの双子の兄は、静岡の猛獣に振り回される   作:ロシアよ永遠に

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前話のダイジェスト

ケン『俺は、不器用な男だ。だから、こんな風にしか言えない。俺は、お前が、お前が、お前が好きだ!お前が欲しいぃぃーー!なでしこ!!』

なでしこ『ヨロコンデー!!』

千明『おめでとう』

あおい『おめでとう』

恵那『おめでとう』

リン『おめでとう』

綾乃『おめでとう』

咲『おめでとう』

渉『おめでとう』

肇『おめでとう』

以下略


第二十四話『これからの夢と、噛みしめる幸せ』

あれから数時間に渡り続いたどんちゃん騒ぎ。

花火が終わってもなお続いた宴。宴もたけなわとなって高下が静寂を取り戻したのは日付が変わろうかという時間だった。

 

「はい、ケン君ココア」

 

「ありがとう、なでしこ」

 

「ん〜……ケン君って呼ぶより、旦那様?はたまたアナタ?の方がいいのかな?奥さんとして」

 

「い、今まで通りでお願いいたします」

 

並び合って張られた互いのテントの前で、焚き火台の小さな日を囲みながら、横に並べたチェアに身を預けてココアをすする。

パチパチと薪が爆ぜる音、そして少し遠くに流れる風の音が何とも心地よい。先程までの騒がしさが嘘か夢のようだった。

でも確かにあの騒がしさは確かな現実だ。何故なら、なでしこの左手薬指には、ケンが確かに渡した指輪が焚き火の炎に照らされてその存在感を顕にしているのだから。

 

「なんか……婚約した、なんてあんまり実感が湧かないね」

 

「だな〜、恋人から進んだ関係なんだろうけどさ」

 

こうして恋人の時と変わらず、2人きりで焚き火を眺めながら一緒に過ごす時間も、今までのキャンプデートで幾度となく経験したシチュエーションだ。

次は……

 

「こうやって、ケン君の肩に頭を乗せるのも、いつもどおり、なんだけどね」

 

そっとケンの方に身を傾けて、頭を肩に。そうやって2人きりの時間をより味わうのが定番だった。

 

「でもこれから結婚して、一緒に暮らし始めたら、きっと変わってくると思うんだ」

 

伝わる愛しい温もりに目を細めながら、これからの生活に思いを馳せるなでしこ。

これからが大変だ。

結婚式の準備や諸々の手続き、引っ越しなどもしていかなければならない。それも仕事の合間にすることになるのだから忙しくなるだろう。

けれども、そんな忙しさもどこか楽しみな自分がいる。

二人の幸せな時間のために動くこと。それはきっと苦にはならないだろう。

 

「ケン君」

 

「ん?」

 

どこか甘えるような、蕩けるような声に少しドキリとしながら、平静を装って応じるケン。

 

「子供、何人ほしい?」

 

「ぶっふぅっ!?」

 

思わず口に含んだココアを吹き出し、焚き火に降り注いだことで、ジュウッ!と、蒸発する音が響いた。

 

「けほっ!けほっ!な、なでしこさん!?」

 

「えへへ……でも、ケン君との子供、欲しいのはホントだよ?」

 

「そりゃ……俺だってそういう未来のヴィジョンはあるけど……」

 

「子供、生まれたら……一緒に色んなとこ行きたいね。私、皆でキャンプに行きたいなぁ……」

 

「そうだな……きっと楽しいだろな」

 

「うん、その為にも……頑張ろうね?ケン君」

 

「お、おう?」

 

何を頑張るというのか?いや、子供云々で頑張ると言ったら、それは……アレだろう。

 

「そういえばその前に結婚式なんだけどね、アキちゃんが『式場のセッティングはアタシに任せとけ!』って言ってたけど……どうしよっか?」

 

「そうだな……なでしこはどうだ?自分達の結婚式だし、自分達でセッティングしたいって要望はある?」

 

「アキちゃんにお願いするのもなんだかワクワクするかも。今日みたいなサプライズ、用意してくれたりするかもだし」

 

流石に今日の婚約祝いは若干やりすぎ感は否めないが、嬉しくもありがたかったのは変わりない。こういった企画立案について彼女はある種の才能があるようだし、良い意味で驚かせてくれるかもしれないという期待が持てる。

 

「それを含めて改めてアイツを交えて三人で話し合ってもいいかもな」

 

「わかった。今度時間合わせて、ね?」

 

そして

二人のこの選択が、後の結婚式をとんでもないものへ変貌を遂げさせるとは……

今は誰も知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、そろそろ休もっか?」

 

「そうだな、明日もやる事あるし」

 

スマホを見れば一時を回っている。

そろそろ就寝しなければ明日に響くだろう。明日もチェックアウトや片付けなどの仕事もあるだろうから、朝食を含めて早めに起きなければならないのだから。

焚き火を消化し、コップは明日洗うとして、各々のテントへ戻って服を着替え、ケンがシュラフに入ろうとした時

 

「お、お邪魔しま〜す……」

 

「へ?な、なでしこ?」

 

パジャマに着替えてシュラフを抱え、自身のテントを覗き込むなでしこ。この状態から彼女の目的は何なのかはケンにとって予想は容易い。

だが敢えて聞く。

 

「ど、どしたの?」

 

「えと……一緒に、寝ても良い?」

 

案の定だった。まぁ確かに、今までは責任を取れる関係になるまで間違いを起こしてはならないので、キャンプデートの時もテントは別だった。だが結婚を約束した今なら、それは問題ない状態なわけで……

 

「お、おう……いらっしゃい」

 

なんか混乱して変な言葉が出てきた気がするが、まぁ気にしても仕方ないだろう。

兎にも角にも、二人並んで横になれるよう、真ん中に敷いていたシュラフを端に寄せ、各荷物もある程度まとめてスペースを作り上げてなでしこの就寝場所を確保する。

 

「ど、どうぞ」

 

「う、うん、お邪魔、するね?」

 

どこかぎこちなく空いたスペースにシュラフを敷き、その上に正座するなでしこ。ランタンに照らされた彼女の頬はほんのりと朱に染まっていた。それもそうだろう。すすんでケンとここまで密着して眠るのは初めてなのだ。お泊りの時のアレはノーカンのつもりらしい。

 

「……なでしこ、寝ようか?」

 

「う、ウン……」

 

やはりぎこちなくシュラフに潜り込み、ケンと向かい合って床に就く。

瞬間、ドキドキしていた鼓動が一層跳ね上がった。

目の前に大切な人が寝ている。

それが恥ずかしくて、

でも嬉しくて、

どちらからともなく笑顔が浮かんでくる。

 

「おやすみ、ケン君」

 

「おやすみ、なでしこ」

 

そして思っていたことは同じのようで、互いに顔を近づけて優しく唇を重ねる。

お休みのキス。

それがどこまでも幸せを噛み締めさせてくれて。

同時に安らぎをくれた。

そんな心のぬくもりに包まれて、二人が眠りに就いてゆっくり寝息を立てるのにはそう時間がかからなかった。

番外編を書くにあたり、こーゆーのを読みたい!っていうリクエストを募集します!

  • 未来の子供達のほのぼの生活
  • ケンとなでしこのいちゃいちゃ
  • お兄ちゃんはおしまい!(意味深)
  • いつメンのキャンプ
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