問題児達と最強のオタクが異世界から来るそうですよ?   作:炎龍王アキラ

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投稿遅くなって申し訳ありませんでしたーーー!!
本当はもう少し早く更新する予定だったんですが、忙しくて。そしてこれからもしばらく忙しくなりそうなので更新頻度が落ちます。

悟 「まあほどほどに頑張れよ」


あい。出来るだけ出せるよう善処します。それでは本編どうぞ!


13話 決戦 ペルセウスだそうですよ!

 

 

『ギフトゲーム名:“FAIRYTAIL in PERSEUS”

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          二階堂 悟

 ・"ノーネーム"ゲームマスター ジン=ラッセル

 ・"ペルセウス"ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

 ・クリア条件 ホスト側のゲームマスターを打倒

 ・敗北条件  プレイヤー側ゲームマスターの降伏・失格

        プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 ・舞台詳細 ルール

  *ホスト側ゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない

*ホスト側の参加者は最奥に入ってはならない

 

*プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿を見られてはいけない

 

*失格となったプレイヤーは挑戦資格を失うだけでゲームを続行できる

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

 

"ペルセウス"印』

 

 

“契約書類”に承諾した直後、俺達の目の前には白亜の宮殿がそびえ立っていた。

 

 

十六夜 「姿を見られれば失格、か。つまりペルセウスを暗殺しろという事か?」

 

 

白亜の宮殿を見上げ、心を躍らせる様な声音で十六夜がつぶやく。

 

 

悟 「伝説通りならルイオスは宮殿の最奥で睡眠中。最もそこまで甘くないだろうがな」

 

 

黒ウサギ 「YES。そのルイオスは最奥で待ち構えているはず。それにまずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません、不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

 

黒ウサギが人差し指を立てて説明する。今回のギフトゲームは、ギリシャ神話に出てくるペルセウスの伝説を一部倣ったものだ。

 

 

飛鳥 「見つかった者はゲームマスターへの挑戦権を失ってしまう。同じく私達のゲームマスタージン君が最奥に辿り着けずに失格の場合、プレイヤー側の敗北、なら大きく三つに分かれて役割を分担が必要になるわね」

 

 

本来なら百人、少なくとも十人単位で挑むゲームを4人で挑む以上役割分担は必須だ。

 

 

耀 「うん。まず、ジン君と一緒にゲームマスターを倒す役割。次に索敵、見えない敵を感知して撃退する役割。最後に失格覚悟で囮と露払いをする役割」

 

 

十六夜 「春日部は鼻が利く。耳もいいし、不可視の敵は任せるぜ」

 

 

耀 「分かった」

 

 

黒ウサギ 「黒ウサギは審判としてしかゲームに参加する事が出来ません。ですからゲームマスターを倒す役割は十六夜さんか悟さんにお願いします」

 

 

飛鳥 「なら、私は囮と露払いかしら?」

 

 

飛鳥が不満そうな声を漏らす、だが飛鳥のギフトがルイオスを倒すに至らないことは知られている事だ。何より飛鳥のギフトは複数人を相手する方が発揮できる。しかしそれが分かっていても不満なものは不満か。

 

 

悟 「悪いな飛鳥。この勝負は勝たなきゃ意味ねぇんだ。あいつの相手は俺か十六夜が適任なんだ」

 

 

飛鳥 「…… ふん、いいわ。今回は譲ってあげる。ただし、負けたら承知しないわよ」

 

 

悟 「当然」

 

 

黒ウサギ 「残念ですが、必ず勝てるとは限りません。油断しているうちに倒さねば、非常に厳しい戦いになると思います」

 

 

黒ウサギが神妙な面持ちで話しかけてくる。飛鳥がやや緊張した面持ちで問う。

 

 

飛鳥 「………あの外道、それほどまでに強いの?」

 

 

黒ウサギ 「いえ、ルイオスさん自身そこまで強くありませんが、問題は彼が所持するギフトです。黒ウサギの推測が正しければ彼のギフトは」

 

 

十六夜 「隷属させた元・魔王様」

 

 

黒ウサギ 「そう、元・魔王……え?」

 

 

十六夜の補足に黒ウサギは一瞬言葉を失う

 

 

十六夜 「神話通りならゴーゴンの首は戦神アテネに献上されたはずだ、だからこの世界にないはず。にも関わらず、奴は石化のギフトを使っている。ーーー星座として招かれたのが、箱庭の"ペルセウス"。ならさしずめ奴のギフトは」

 

 

悟 「アルゴルの悪魔だな、十六夜」

 

 

十六夜 「流石悟だな」

 

 

耀 「……アルゴルの悪魔?」

 

 

俺と十六夜の話が分からない飛鳥達は顔を見合わせ、小首を傾げる。しかし黒ウサギだけは驚愕したままで固まっていた。

彼女だけが、今の答えに帰結することの異常さに気づいているからだ。

 

 

黒ウサギ 「十六夜さん、悟さん………まさか、箱庭の星々の秘密に……?」

 

 

黒ウサギは信じられないものを見る目で首を振りながら俺達に問いかける。

 

 

十六夜 「まぁな、この前星を観測した時に推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した。後は手が空いた時にアルゴルの星を観測して、答えを固めたってところだ」

 

 

悟 「俺はまあ元から知っていたからそれから推測しただけだ」

 

 

黒ウサギ 「お二人とも、もしかして意外に知能派でございます?」

 

 

悟 「心外だな」

 

 

十六夜 「何を今さら、俺は根っからの知能派だぜ。ドアノブを回さずにドアを開ける事もできるしな」

 

 

黒ウサギ 「……………参考までに、方法をお聞きしても?」

 

 

十六夜はヤハハと笑いながら門の前に立ち、

 

 

十六夜 「そんなもん------()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

 

轟音と共に、白亜の宮殿の門を蹴り破るのだった。

 

 

 

       〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

飛鳥とニ手に分かれた悟達は、飛鳥と対照的に息を殺し状況を伺っていた。

 

宮殿の柱陰に隠れ、耳を澄まして周囲の気配を探る耀、少しの間と共にピクリとも反応する耀。

 

 

耀 「人が来る。皆は隠れて」

 

 

耀は緊張した声で警告する。いかに見えないといえど、物音と匂い迄までは消せない。耀の高性能の五感は不可視のギフトに対抗する唯一の対抗手段だ。獣のように腰を落とした耀は、見えない敵に奇襲を仕掛け、後頭部を強打する。騎士は何故居場所がバレたのか分からずに気絶する。倒れた騎士から兜が落ちる。

 

 

耀 「この兜が不可視のギフトで間違いなさそう」

 

 

十六夜 「ホレ、御チビ。お前が被っとけ」

 

 

ジン 「わっ」

 

 

十六夜が兜を拾い上げてジンの頭に乗せようとすると

 

 

十六夜 「連中が不可視のギフトを使っているのを限定しているのは安易に奪われないためだと思う。最低でもあと一つ贅沢を言えば三つ欲しいかな」

 

 

悟 「俺はいらねぇから十六夜とジンの予備でそれぞれ1個ずつでいい」

 

 

十六夜 「どういうことだ?」

 

 

悟 「今の俺はペルセウスの連中からは見えてないからな」

 

 

ジン 「ど…どうやって!?」

 

 

悟 「ついさっきそういう加護をとった」

 

 

十六夜 「何でもありだな。まあいい、おい、御チビ。作戦変更だ。俺と春日部と悟で透明になっているやつを叩く。ギフトを渡せ」

 

 

ジン 「は、はい」

 

 

ジンが十六夜に手渡す。兜を付ける前に、耀に確認する。

 

 

十六夜 「前哨戦をちまちまやっていても埒が明かない。本命はルイオスだ。春日部には悪いが」

 

 

耀 「気にしなくていい」

 

 

耀がフルフルと頭を振る。派手に動いたら不可視の敵も問題ないが失格になるからな。

 

 

十六夜 「悪いな、いいとこ取りみたいで。これでもお嬢様や春日部には感謝してるんだぞ。今回のゲームなんかは、俺と悟のどちらかにしかソロでは攻略出来そうにないし」

 

 

耀 「だから気にしなくていい。埋め合わせは必ずしてもらうから」  

 

 

耀は平淡な声音で、取り立てを断言する。

 

 

悟 「それだが、十六夜お前に任せようと思う。俺は控えに回ろう」

 

 

十六夜 「どういうことだ?」

 

 

悟 「折角十六夜を楽しませられそうな相手だしな、それを俺が取るのも忍びない。それに本音はやりたいんだろ?アルゴルの悪魔と」

 

 

十六夜 「ヤハハ。やっぱ悟は俺のこと分かってんなぁ。なら遠慮なくやらせてもらうぜ」

 

 

悟 「楽しんでこい。レティシアを取り戻すのも大事だがこれは()()()だ。楽しまなきゃ損だぞ」

 

 

十六夜 「おう」

 

 

十六夜 「それと御チビは隠れておけ。死んでも見つかるな」

 

 

ジン 「はい」

 

 

十六夜の姿が消える。俺達は物陰から飛び出し白亜の宮殿を駆け回り始めた。

 

 

ペルセウスA 「いたぞ! 名無しの娘だ!」

 

 

ペルセウスB 「これで敵の残りは三人だ!」

 

 

ペルセウスC 「よし、その娘をとらえろ!人質にして残りを炙り出せ!」

 

 

耀に襲いかかる騎士達、それを姿を消した十六夜が白亜の宮殿の外まで殴り飛ばす。

 

 

十六夜 「邪魔だ!」

 

 

殴り飛ばされた騎士達は悲鳴をあげながら壁を幾層も突き破り、揃って第三宇宙速度で吹き飛ばされていく。

 

 

十六夜 「どうだ、春日部。分かるか?」

 

 

耀 「ううん……飛鳥が暴れている音や、ほかの音が大きすぎてちょっと……わ!?」

 

 

突然、前触れもなく耀が吹き飛んで壁に叩きつけられる。十六夜は即座に反対方向に蹴りを入れるが空をきるだけだ。おかしいのは "春日部耀の五感を以てしても接近に気づけなかったことだ"

十六夜にしても、そんなに近くに人が居るのに居る人間を感知出来ないのは不自然だ。

 

 

十六夜 「(まさか………レプリカじゃなく、本物を使っている奴がいるのか……なら面倒だぞ何かのはずみで兜が取られたらアウトだ)」

 

 

悟 「(なるほどな。でもまあ………)『氷結傀儡(ザドキエル)』"限界突破(リミットオーバー)"」

 

 

悟 「『氷結傀儡(ザドキエル)』"氷結世界(ニブルヘイム)"」

 

 

悟がそう言った瞬間、世界が白く染まった。否 ()()()

 

 

悟 「見えなかろうが周りを凍らせれば問題ねぇだろ」

 

 

悟は当たり前のように言う。悟達の目の前には姿は見えていないが一つの氷像が出来ていた。

 

 

十六夜 「(マジかよ。この一瞬でこの規模の範囲を凍らせたのかよ。ここだけじゃなく宮殿全体が凍ってる)……悟これが終わったら勝負しようぜ」

 

 

十六夜 「(今の俺でどこまで通用するのか試してみたくなった!)」

 

 

悟 「良いぞ。なら早いとこ終わらせるか」

 

 

十六夜 「ああ」

 

 

そう言って十六夜と悟は進み始める。

 

 

ジン 「………はっ。待ってください!?」

 

 

ジンも急いで追いかける。

 

 

耀 「頑張ってね十六夜達」

 

 

1人残った耀は十六夜達を見ながら応援していた。

 

 

           〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

悟達三人は道中のペルセウスメンバーを片付けながら白亜の宮殿を真っ直ぐ突き進んでいき、最奥、ルイオスが待ち構える最上階に着く。

最奥は闘技場のように簡素な造りだ。だがそれも先程の出来事で辺り一面凍っている。

 

 

黒ウサギ 「悟さん、十六夜さん、ジン坊ちゃん………!」

 

 

最上階で待ってた黒ウサギは安堵したように三人の姿を確かめて息を漏らす。

眼前に開けた上空には膝まで覆うロングブーツから対の光る翼で空を飛んでいるルイオスが居た。

 

 

ルイオス 「ふん。ほんとに使えない奴ら、今回の一件でまとめて粛清しないと。まあでも、これでもコミュニティが誰のおかげで存続できているか分かっただろうね。何はともあれようこそ白亜の宮殿・最上階へ、ゲームマスターとして相手しましょう。あれ?この台詞言うの初めてかも?」

 

 

それは全て騎士達が優秀だったからだ。今回のように準備が伴わない、突然の決闘でなければ、十六夜達の目論見通りに事は進まなかっただろう

 

 

十六夜 「ま、不意を打っての決闘だからな。勘弁してやれよ」

 

 

ルイオス 「フン。名無し風情を僕の前に来させた時点で重罪さ」

 

 

ルイオスはギフトカードから炎の弓を出して構える。

 

 

黒ウサギ 「炎の弓?ペルセウスの武器で戦うつもりは無い、という事でしょうか?」

 

 

ルイオス 「飛べるのにどうして同じ土俵で戦わなきゃいけないのさ。それにメインで戦うのは僕じゃない。僕はゲームマスターだ。僕の敗北はそのまま"ペルセウス"の敗北になる。そこまでリスクを負う様な決闘じゃないだろう?僕の代わりに戦うのはコイツさ」

 

 

ルイオスは首のチョーカーについてる装飾を引き千切ると投げ捨て、獰猛な表情で叫んだ

 

 

ルイオス 「目覚めろ。アルゴールの魔王!」

 

 

光が褐色に染まり、四人の視界を染めていく。白亜の宮殿に共鳴するかのような女の声が響き渡った

 

 

アルゴール「GYAAAAAAAAAAaaaaaaa!」

 

 

現れた女の発する声は中枢を狂わせるほどの不協和音で人の言葉とは程遠いものだ、女は拘束ベルトを引きちぎり、半身を反らし更なる絶叫をあげる

 

 

アルゴール 「ra、GYAAAAAaaaaaa!!」

 

 

黒ウサギ 「な、なんて絶叫を」

 

 

十六夜 「避けろ!黒ウサギ!!」

 

 

えっ、と硬直する黒ウサギ。悟は黒ウサギを、十六夜はジンを抱えて抱き抱えて飛び退いた。

 

 

悟 「大丈夫か?黒ウサギ」

 

 

黒ウサギ 「は……はい。ありがとうございます」

 

 

落石を避ける悟達を見て、高らかに笑った。

 

 

ルイオス 「飛べない人間は不便だよね。落ちてくる雲も避けれないんだから」

 

 

黒ウサギ 「く、雲ですって………!?」

 

 

ハッと外に眼をやる。雲が落下しているのはこの闘技場の上だけではない。"アルゴールの魔王"と呼ばれた女の力は、このギフトゲームに用意された世界全てに対して石化の光を放ったのだ。瞬時に世界を満たすほどの光を放出した女の名を、黒ウサギは戦慄とともに口にする。

 

 

黒ウサギ 「星霊・アルゴール………!白夜叉様と同じく、星霊の悪魔………!!」

 

 

箱庭最強種の一角、"星霊"がペルセウスの切り札だった。

 

 

ルイオス 「今頃は君らのお仲間も部下も全員石になっているだろうさ。ま、無能にはいい体罰かな」

 

 

なんの防御もしていない黒ウサギや十六夜が石化せずに済んだのは、彼の遊び心だろう。本拠を舞台にしたゲームで、ようやく訪れた初めての挑戦者。

すぐ終わらせては勿体ない。ルイオスの吐く軽口よりも、内心の闘志は遥かに高まっているのだろう。

だが同様に十六夜の闘志も高まっていた。

 

 

十六夜 「下がってろよ御チビ。守ってやれる余裕はなさそうだ」

 

 

ジン 「すいません………本当に、何もできず」

 

 

十六夜 「別に良いさ。それよりどうする?お前の目論見が外れた。どうする、例の作戦やめるか?」

 

 

十六夜の声と表情は至って冷静だ。責める事も、小馬鹿にする事もない声音と視線に、ジンはハッキリと首を振った。

 

 

ジン 「十六夜さんに悟さん。僕らにはまだ貴方達がいます。貴方達が本当に魔王に打ち勝てる人材だというなら───この舞台で、僕達にそれを証明して下さい」

 

 

十六夜 「OK。よく見てな御チビ」

 

 

悟 「任された。と言ってもメインは十六夜だが」

 

 

十六夜は最後にぐしゃぐしゃと髪を撫でてから前に出て、悟はジンの隣に立つ。

 

 

十六夜 「さ、それじゃ準備はいいかよゲームマスター」

 

 

ルイオス 「ん?三人でかかってこないのかい? 後ろの子がリーダーなんだろ?」

 

 

十六夜 「おいおい自惚れるなよ。オマエ如き、うちの坊っちゃんが手を出すまでもねえ」

 

 

悟 「リーダーと戦いたいならまず十六夜と俺を倒しな。最も十六夜だけでこと足りるけどな」

 

 

十六夜の軽薄そうな笑いと、悟の余裕な態度ににジンはうっすらと寒い悪意を感じる。どうやら今回の騒動も広報に使うつもりらしい。

しかしルイオスは侮辱されたと思い、肩を震わせて叫んだ。

 

 

ルイオス 「───はっ。名無し風情が、精々後悔するがいいッ!!」

 

 

アルゴール 「r a、 GYAAAAAAaaaaaa!!」

 

 

輝く翼と、傷だらけの灰翼が舞う。ゲームの行く末を決めるバトルが始まった。

ルイオスはアルゴールよりさらに上空に飛び、陰に隠れながら炎の弓を引く。蛇のように蛇行する軌跡の炎の矢を、十六夜は気合い一喝で弾き飛ばした。

 

 

十六夜 「喝ッ!!」

 

 

それだけで炎の矢は打ち消し飛んだ。デタラメな肺活量である。

 

 

ルイオス 「ちっ、うちのクラーケンを打ち倒すだけの実力はあるってことか!!」

 

 

ルイオスは無駄を悟り、舌打ちして炎の弓を仕舞う。代わりにギフトカードから取り出したのは、"星霊殺し"のギフトを新たに付与された鎌のギフト・ハルパー。

縦横無尽に空を駆けるルイオス達は挟みこむ形で十六夜を追いつめ様とした。

 

 

ルイオス 「押さえつけろ、アルゴール!!」

 

 

アルゴール 「RaAAaaa!! LaAAAA!!」

 

 

甲高い叫び声を上げながら両腕を振り下ろすアルゴール。それを受け止めた十六夜は、相手の両手を組み合う様にして握りしめる。

信じられない事だが、真正面から星霊と力比べをするつもりなのだ。

 

 

十六夜 「ハッ、いいぜいいぜいいなオイ!! いい感じに盛り上がってきたぞ………!」

 

 

アルゴール 「RaAAaaaGYAAAAAAaaaaaa!!」

 

 

十六夜の手とアルゴールの手が重なり、真正面からアルゴールとぶつかり合う。押し合いになったのは僅か一瞬。アルゴールは耐え切れず押し切られ、その場でねじ伏せられる。

 

 

アルゴール 「GYAAAAAAaaaaaa!!」

 

 

十六夜 「ハハ、どうした元・魔王様!今のは本物の悲鳴みたいだったぞ!」

 

 

獰猛な笑顔でねじ伏せ、更に腹部を幾度も踏みつける。十六夜の足踏みはそれだけで闘技場全体に亀裂を発生させ、白亜の宮殿を砕くほどの力があった。その間に、ルイオスは背後に飛びまわって十六夜に襲いかかるが、

 

 

ルイオス 「図に乗るな!」 

 

 

十六夜 「テメェがな!!」

 

 

ハルパーを片手に疾駆するルイオスを、下半身を捻った勢いで蹴り上げる。辛うじて柄で受けたルイオスだったが、あまりに重たい一撃だったので受け止めきれず空へと吹き飛ばされた。

防いだにもかかわらず嘔吐感が込み上げるほどの一撃。第三宇宙速度で殴り飛ばされたメンバーより更に速い速度で吹き飛ばされたルイオスに、十六夜は跳躍して一瞬で追いつく。

 

 

十六夜 「どうした?翼があるのに不便そうだな?」

 

 

ルイオス 「貴様っ!」

 

 

怒りに任せハルパーを振りかざすが、十六夜は受け止め、地面めがけ投げ飛ばす、ルイオスはアルゴールと重なるように叩きつけられた。

 

 

ルイオス 「き……貴様、本当に人間か!?いったいどんなギフトを持ってる!?」

 

 

十六夜 「ギフトネーム•"正体不明(コード•アンノウン)"----ん、悪いな。これじゃ分からないな」

 

 

余裕を見せる十六夜の背中を見てジンは慌てて叫んだ。

 

 

ジン 「い、今のうちにトドメを! 石化のギフトを使わせては駄目です!」

 

 

星霊アルゴールの本領は、身体能力と別のところにある。世界を石化させるほどの強大な呪いの光こそ、彼女の本領なのだ。

だが自分の力でねじ伏せたいルイオスは、更に正面対決を望んだ。

 

 

ルイオス 「アルゴール! 宮殿の悪魔化を許可する! 奴等を殺せ!」

 

 

アルゴール 「RaAAaaa!! LaAAAA!!」

 

 

謳うような不協和音が世界に響く。途端に白亜の宮殿は黒く染まり、壁は生き物のように脈を打つ。

宮殿全域にまで広がった黒い染みから、蛇の形を模した石柱が数多に襲う。十六夜は避けながら思い出したように呟く。

 

 

十六夜 「ああ、そういえばゴーゴンにはそんなのもあったな」

 

 

ゴーゴンには様々な魔獣を生みだした伝説がある。そもそも"星霊"とはギフトを与える側の種でもあるのだ。

今や白亜の宮殿は魔宮と化している。周囲が見えていないのか、狂気じみた形相でルイオスは叫んだ。

 

 

ルイオス 「もう生きて帰さないッ! この宮殿はアルゴールの力で生まれた新たな怪物だ! 貴様にはもはや足場一つ許されていない!貴様らの相手は魔王とその宮殿の怪物そのもの!このギフトゲームの舞台に、貴様らの逃げ場は無いものと知れッ!!!!」

 

 

ルイオスの絶叫と、魔王の謳うような不協和音。それに合わせて変幻する魔宮は白亜の外壁を、柱を、蛇蠍の如き姿に変えて襲い掛かり、十六夜の体を覆う。千の蛇に呑み込まれた十六夜は、その中心でボソリと呟いた。

 

 

十六夜 「───……そうかい。つまり、この宮殿ごと壊せばいいんだな?」

 

 

黒ウサギ•ジン  「「え?」」

 

 

にべもなく応える。ジンと黒ウサギは嫌な予感がした。悟は苦笑している。十六夜は無造作に上げた拳を、黒く染まった魔宮に向かって振り下ろした。

千の蛇蠍は一斉に砕け、十六夜の周囲から霧散する。

直後に宮殿全域が震え、闘技場が崩壊し、瓦礫は四階を巻き込んで三階まで落下した。

 

 

ジン 「わ、わわ!」

 

 

悟 「よっと」

 

 

崩壊に巻き込まれそうになったジンを悟が受け止める。翼を持つルイオス達は上空に逃げていたが、その惨状に息を呑んでいた。

この闘技場は宮殿内と違い、常時防備用の結界が張られている。

それこそ山を打ち砕くほどの力がなければ、この最上階を崩落させる事など出来ないはずなのだ。

 

 

ルイオス 「……馬鹿な……どういう事なんだ!? 奴の拳は、山河を打ち砕くほどの力があるのか!?」

 

 

上空で怒りとも恐怖ともいえる叫びを上げるルイオス。残った闘技場の足場から見上げる十六夜は、やや不機嫌そうに声をかけた。

 

 

十六夜 「おい、ゲームマスター。これでネタ切れってわけじゃないよな?」

 

 

ルイオスは屈辱で顔を歪ませた。彼にとって本拠での正式なゲームは、これが初めてだった。

それがまさか此処まで一方的に押されるなど、考えてもいなかっただろう。しばし悔しそうに表情を歪めていたルイオスは───スッと真顔に戻る。

 

 

ルイオス 「もういい、アルゴール。終わらせろ」

 

石化のギフトを解放した。星霊・アルゴールは謳う様に不協和音と共に、褐色の光を放つ。これこそアルゴールを魔王に至らしめる根幹。天地に至るまで全てを褐色の光で包み、灰色の世界へと変えていく星霊の力、褐色の光に包まれた十六夜は真正面から捉えーー

 

 

十六夜 「─────………カッ。ゲームマスターが、今さら狡い事してんじゃねえ!!!」

 

 

褐色の光を、踏みつぶした。  ………比喩は無い。

他に表現のしようもない。アルゴールの放つ褐色の光は、十六夜の一撃でガラス細工のように砕け散り、影も形もなく吹き飛んだのだ。

 

 

ルイオス 「ば、馬鹿な!?」  

 

 

ルイオスが叫ぶ。叫びたくもなるだろう。  階下から戦況を見守っていたジンと黒ウサギでさえ叫び声を上げていたのだから。 

 

 

ジン 「せ、"星霊"のギフトを無効化───いえ、破壊した!?」

 

 

黒ウサギ 「あり得ません! あれだけの身体能力を持ちながら、ギフトを破壊するなんて!?」

 

 

黒ウサギがあり得ないと結論づけた理由。その二つの恩恵は、相反するギフトのはずなのだ。もちろん箱庭においてギフトを無効化するものなどさして珍しいものではない。だがそれは武具などの形で肉体と別に顕現している物に限る。

しかし十六夜は他に恩恵を持っていないにも関わらず、その身に矛盾を抱えている。そんな魂など絶対にあり得ないはずなのに。

 

 

十六夜 「さあ、続けようぜゲームマスター。"星霊"の力はそんなものじゃないだろ?」

 

 

軽薄そうに挑発する十六夜。だがルイオスの戦意はほとんど涸れていた。"箱庭の貴族"はおろか、,白き夜の魔王"でさえ知らない出所不明・効果不明・名称不明と三拍子揃った、正真正銘の"正体不明(コード•アンノウン)"。

奇跡を身に宿しながら、奇跡を破壊する矛盾したギフト。ルイオスはありえない存在を前に呆然としていた。黒ウサギがため息交じりに割って入る。

 

 

黒ウサギ 「残念ですが、これ以上のものは出てこないと思いますよ?」

 

 

十六夜 「何?」

 

 

黒ウサギ 「アルゴールが拘束具に繫がれて現れた時点で察するべきでした。………ルイオス様は、星霊を支配するには未熟すぎるのです」

 

 

ルイオス 「っ!?」  

 

 

ルイオスの瞳に灼熱の憤怒が宿る。射殺さんばかりの眼光を放つルイオスだが………否定する声は上がらなかった。黒ウサギの言葉が真実だからだろう。

だがこの惨状を誰が予測できた。数多のギフトで身を固め、更には世界を石化出来るほど凶悪な星霊を従えたルイオスが"名無し"に負けるなど、誰にも予知できまい。

 

 

十六夜 「───ハッ。所詮は七光と元・魔王様。長所が破られれば打つ手なしってことか」

 

 

失望したと吐き捨てる十六夜。これで勝敗は決した。黒ウサギが宣言しようとした、その時───十六夜は、この上なく凶悪な笑みでルイオスを追い立てた。

 

 

十六夜 「ああ、そうだ。もしこのままゲームで負けたら………お前達の旗印。どうなるか分かっているんだろうな?」

 

 

ルイオス 「な、何?」

 

 

不意を突かれたような声を上げるルイオス。それもそうだろう。彼らはレティシアを取り戻す為に旗印を手に入れるのではなかったのか。

 

 

十六夜 「そんなのは後でも出来るだろ? そんなことより、旗印を盾にして即座にもう一度ゲームを申し込む。ーーそうだな。、次はお前達の名前を戴こうか」

 

 

ルイオスの顔から一気に血の気が引いた。その時、彼は初めて周囲の惨状に目がいったのだ。砕けた宮殿と、石化した同士達に。

だが十六夜は一片の慈悲もなく凶悪な笑顔のまま尚も続ける。

 

 

十六夜 「その二つを手に入れた後"ペルセウス"が箱庭で永遠に活動できないように名も、旗印も、徹底して貶め続けてやる。たとえお前達が怒ろうが泣こうが喚こうが、コミュニティの存続そのものが出来ないぐらい徹底的に。徹底的にだ。………まあ、それでも必死に縋りつくのがコミュニティってものらしいけど? だからこそ貶めがいがあるってもんだよな」

 

 

ルイオス 「や、やめろ………!」

 

 

ここで敗北すれば旗印を奪われる。そうなれば"ペルセウス"は決闘を断ることは出来ない。ましてやこんな壊滅した状態で戦うなど不可能だ。

ルイオスは………今になってようやく気が付く。自分達のコミュニティは今まさに、崩壊の危機に立っているのだと。

 

 

十六夜 「そうか。嫌か。───ならもう方法は一つしかないよな?」

 

 

一転して凶悪さを消し、今度はにこやかに笑う十六夜。指先で誘う様にルイオスを挑発し、

 

 

十六夜 「来いよ、ペルセウス。命を懸けて───俺を楽しませろ」

 

 

獰猛な快楽主義者が、両手を広げてゲームの続行を促す。彼はまだまだ遊び足らなかった。自らが招いた組織の危機に直面したルイオスは、覚悟を決めて叫んだ。

 

 

ルイオス 「負けない………負けられない、負けてたまるか!! 奴を倒すぞ、アルゴオォォォル!!」

 

 

輝く翼と灰色の翼が羽ばたく。コミュニティの為、敗北覚悟で二人は駆けるのだった。

 

 




如何だったでしょうか?初の10000字越えです。次もこの作品を投稿します。次の話で一章は終わりになると思います。


ではまた次回!
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