♂の子【本編完結】   作:偽馬鹿

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主人公はやってみたかったけどできなかったことなんかを積極的に行ったりします。


母の子

ところで、魔術師の管理とかどうしてるんだろう。

そう思った人もいるかもしれない。

私もその一人だ。

 

と言っても、なんだかんだ緩くできていて。

魔術的痕跡さえ残さなければ割と何しても大丈夫、という感じだ。

何せ父はずっと魔術の研究していたけど、何も言われてなかったしね。

 

「だから魔術的な工作は最小限にして……と」

 

魔眼による魅了はそれこそ最小限の工作だ。

私自身の魅力で学校を掌握できると思うほど自惚れていない。

なのでチートを使ってしまうのだった。

楽だしね。

 

「さてさて、アクア君とルビーちゃんは……っと」

 

入学式に入場してきた新入生の中から主人公の2人を見つけ出す。

ああ、やっぱりオーラというか色んなものが違う。

やっぱり主人公なんだなぁ、と思った。

 

「えー生徒代表、蘆屋胡桃」

「はい」

 

そして校長先生に呼ばれて壇上に立つ。

そうだね、生徒代表だね。

中学校の授業なら一通り覚えているのである。

2回目だしね。

素行もちゃんとしていればちゃんと生徒代表になれるのだ。

 

……まあ、素行云々で言えば女装男子が壇上に立っているのが変なのは事実だけど。

 

 

 

「―――――ありがとうございました」

 

パチパチと、拍手を受けながら壇上から降りる。

何事もなく歓迎の言葉を終えて、ちらりと主人公達の方を見る。

何か唖然としているアクア君に、素直に拍手をしているルビーちゃん。

なんだろうか、あの反応は。

少し気になる。

 

とはいえ今この瞬間に確かめることはできない。

とりあえず今は引っ込んで、後で聞きに行くことにしよう。

 

 

 

「先輩……何故女子の恰好を?」

 

と思っていたら、当人から接触があった。

とても都合がいい。

そう思って軽い気持ちで向かったらこの台詞である。

おおう、気付いたのかこの主人公。

遠目で見て分かるとは、中々やるな。

 

「え、可愛いからだけど」

「えぇ……」

 

当然の回答をすると、アクア君はドン引いた。

いや待って欲しい。

男子の制服も中々格好いいけれど、女子の制服の可愛さに比べたら差異があるのだ。

これは女尊男卑と言えるのではないだろうか。

 

そう言ったらもっと引かれた。

何故だろう。

 

「……で、他に聞きたいことは?」

 

そして、本題に入る。

正直な話、これだけのために人を呼ぶのは労力的にあり得ない。

いや、私だったらやるかもしれないが。

とりあえず、目の前の人物がこの程度のことで人を呼ぶとは思えなかった。

 

「……」

 

アクア君は無言。

やっぱり何かあったらしい。

妙に真剣な顔で私を見ている。

 

「蘆屋さん……」

「何?」

 

……いや、真面目な顔というよりも、甚だ不本意であるかのような顔だ。

なんだその顔は。

私の可愛さに嫉妬でもしたのか。

 

 

 

「非常に不本意だけど……苺プロに入らない?」

 

 

 

―――――実は、私こと蘆屋胡桃はそこそこ顔の売れている配信者である。

魔術師の痕跡を探るためにもどうにかして伝手を手に入れるために始めたことである。

とはいえ魔術師の大半はネットなど見ないので、私の配信を見た一般人からそれっぽい情報を抜き出して足を使って探しているような状態だ。

 

そして、その活動にまるで進展が見られないところでのこの誘いだ。

勿論受けた。

 

 

 

「……というわけで、よろしくお願いします!」

 

深々と頭を下げて挨拶をする私。

こういうのは第一印象が大事だ。

当然可愛く見せるための服装も吟味してきた。

 

「……本当に男の子なのこの子?」

「本人から聞いたんで間違いないです……」

「嘘でしょ……この声とか服装の完成度で男の子とかありえない……あと肌艶が……」

 

社長さんが色々言っているけれど、お目が高い。

なんとこの服自作である。

ちょっと素材に魔術的要素を放り込んだ防刃仕様だったりする。

肩を出さないようにフリルを取り入れたワンピースタイプの服だ。

骨格的には男だからね、仕方ないね。

 

「で、あなたの専門は……ホラー系ユーチューバーね」

「はい!」

 

ホラー系を専門的にやっているのは理由がある。

ホラー系ということは、霊的な何かが起こっている可能性があるため、その原因などを調べようというのだ。

魔術師関係ならベスト、本当の霊障ならベター、ただの噂なら無駄足といったところ。

 

魔術師なら接触しないように調査した後で菓子折を持って挨拶に行く。

霊障ならその霊たちを鎮めた上でちょっと魔力的な物を戴く感じ。

無駄足だったら自分で色々足してわーきゃーしてから退散だ。

 

「許可が必要な場所はスルーしてたんで、その辺りの許可を取ってくれればとても嬉しいですね」

「……本当に中学生?」

 

実年齢的には中年以上です。

よく覚えてないけど。

 

「あと自作の服の通販してます。収入の60%くらいはこっちです」

「女子向けと男の子が着る向けの奴を同時販売とか攻めてるわね……」

 

個人的にも攻めてる感はあった。

でも、やっぱりおしゃれをしたい人に性別は関係ないと思うのだった。

いやまあ、医療面では駄目だけどね。

ちゃんと肉体の性別を覚えておこうね、手術の方法と関わってくるし。

 

「というかオーダーメイドとかやってるのね……」

「作りましょうか?」

「……この値段でこのクオリティなら安く収まるわね……」

 

なんか違うところまで評価されてる……。

悪い気はしないけど。

悪い気はしないけど!

母の遺品に裁縫道具がたくさんあったのが悪いのだ!

 

 

 

「とにかく、あなたにはその良い感じの容姿を生かした良い感じの事をやってもらうわ! あと衣装!」

「はい!」

 

 

 

とりあえず当面の仕事は手に入ったし、アクア君とルビーちゃんとの接点も手に入った。

順調な成果だと言えるのではないだろうか。

 

 

 

「……まずこの子の衣装とこの人の衣装の草案とこの衣装の作成に関わってもらうわね!」

 

 

 

……順調なのではないだろうかっ!!

 

 

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