「ところで琉美ちゃんは何歳なんです?」
「22歳です」
「えっ」
「免許証」
「マジでしたか」
ご、合法ロリ……!
「どこから拾ってきたのこの人……」
「長野の奥……」
流美さんの車でここまで送り届けられた私は、社長のこの人のことを説明する羽目になった。
なんか売り込みに来た合法ロリです!
特技は超能力です!(※魔術)
免許証見せるだけでどよめきを作れます!
……いやどうなんだろうこれ。
「ゆーちゅーばーなるものが稼げると聞いて尋ねました。あたしの家も資金難に苦しんでいます。家業だけでは立ち行かない状態なのです」
「世知辛い!」
「なので社長殿にはこの不届き者とのこらぼれーしょんをお許しいただければと思い馳せ参じました」
「……あれ、私不届き者扱い!?」
頭を下げる流美さん。
私としては甚だ不本意である。
社長! こんなの受ける必要ないですよ!
「いいわよ」
あれー!?
「最近あなたのチャンネルも停滞期に入ったでしょ? だからカンフル剤が必要なわけ」
「一理ありますね」
実際のところ、今私のチャンネルは伸び悩んでいる。
この停滞期を過ぎれば一気に跳ねるチャンスではあるが、そのための要素が見つからなかったのである。
そしてこの合法ロリである。
カンフル剤というか爆薬に近い気もするけど。
まあそれはともかく。
今日からこの合法ロリ、浅神流美ちゃんとのコラボレーション……というか、社長的には私とこの人のセットで運用したいっぽい。
どんどんニッチになっていくな……。
「確かに特殊な属性はまとめておいた方がいいのかもしれないけど、それにしても限度があると個人的には思います!」
「じゃあ脱ぐ?」
「社長の言う通り!」
脱いでどうするという話もあるが、まあ水着になるよりは今の路線で進めた方がいいよね(日和)
え、全裸はBANされちゃうからないでしょー!
……ないよね?
……とにかく!
この2人で何とか盛り上げていきたい感じです!
よろしくお願いします!
「ところで女装男」
「胡桃、もしくはくーちゃんと呼んでください! で、なんですか?」
「芸名とやらは作らなくていいのですか?」
ここで流美ちゃんからの質問。
これに関しては本名で仕事をしていてもデメリットを感じないので、なくてもいいんじゃないかとは思う。
それにだ。
「何かあれば実家でどうにかできちゃうでしょ?」
「それはそう」
「怖」
言ってみたら本当だった時の怖さ。
ぷらいすれす。
まあ冗談はともかく。
今日からコラボレーションです。
というかユニット扱いになるのかな。
「というわけで、私の方が先輩だからよろしくね!」
「あたしの方が年上なのだけど」
「こういうときは芸歴が長い方が先輩なの!」
そんなこんなで色々あって。
今日は廃墟探索当日である。
「どうも! 今日も元気なくーちゃんと!」
「あまり
「……カメラ止めて!」
両手で×を作ってスタッフに通達。
今日はスタッフを連れてのお仕事である。
これも社長の計らいだ。
単独弾丸旅行は駄目らしい。
カメラを止めて流美ちゃんと面と向かって話す。
このタイミングでドタキャン的なものになったら困る。
とても困る。
「なんでテンション下がってるの!? 今日はちゃんとやるって話でしょ!」
前回は一応こなしてくれたものの、若干片言だったのは否めない。
だから今回はちょっと本気でやってもらうためにご褒美まで用意したというのにこのありさまである。
「服の裾が汚れてしまったので
「んもー! だから和服は駄目だって言ったじゃん! 経費でクリーニング代落ちるから頑張って!」
昨日現場では雨降ったから泥跳ねやぬかるみに気を付けることって言ったじゃん!
速攻失敗してる!
「というわけで! 放送再開! 今日はあの廃墟を探検します!」
「あたしの家の管轄なので、部外者が入ると侵入者として通報しますからそのつもりで」
「ここもNGいいいいい!!!」
確かにその通りなんだけど!
言っちゃったら雰囲気がぶち壊しになっちゃうから駄目って言ったじゃん!
お願いしますよ流美ちゃんさん!
「……あ、うっかりしてました」
「んもー! とにかく行くよ!」
とりあえず、今回はただ雰囲気が怖いだけの廃墟を巡るだけ。
だからスタッフも同行するのを許可したし、初心者の流美ちゃんも一緒に動くことになっている。
だけど、なんか嫌な予感が……。
というか周囲になんか凍てつく感覚があるんだけど……。
ちらりと流美ちゃんの方を見ると、何だか2本の指を立ててVサインをしている。
なになに、なんなの!?
そのVサイン怖いんだけど!
『安心してください』
「……?」
そして、唐突に流美ちゃんは口だけを動かして言う。
なんだろう、やっぱり嫌な予感しかしない。
『足しておきました、猟犬を』
「んもー!!!」
今回は!
廃墟巡りだけって!
言ったじゃん!
猟犬を足したら怪我人出ちゃうでしょ!!!
「……ああ。流美うっかり」
「許されないからねいや本当に!」
集中力を研ぎ澄まして辺りを警戒する。
その様子にスタッフも緊張している。
それはそうだ。
いつも笑って軽く流している私がこのざまだ。
何かあるって気付いてもおかしくない。
「ぐるるぁああああ……!」
と思考を巡らせた途端、真正面から猟犬が襲い掛かって来た。
タイミングは悪くない。
カメラが動いているからそれだけは注意しないといけないけどそれだけだ。
「野良犬!?」
「はーい任せてっ!」
ジャケットの中から人型を取り出してバラバラっと撒く。
それが地面に触れると即座に炸裂。
小さな花火みたいになって猟犬を牽制する。
「そしてどーん!」
「ぎゃん!」
更に懐から長い棒を取り出して猟犬のすぐ横を思いっきり叩く。
すると猟犬は驚いてどこかに消えてしまった。
流美ちゃんには後であの猟犬を処理してもらわないといけない。
……ふう、危ない危ない。
何とかピンチを乗り越えた。
これで後は廃墟を巡れば……。
「あ、もう一体居ますよ」
「んもー!!!」
これじゃあアクション撮影だよぉ!
「今回の配信は、『くーちゃんがアクションしていて新鮮だった』『ツッコミも上手いね』『るみちゃんかわいい』と評判だったみたいね」
「それは良かったです……」
「ぶい」
Vサインを決める流美ちゃんは実際可愛い。
だけど今度はちゃんと相談してね!!!