大地の巨人達   作:親衛隊諜報部

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Prologue
宣戦布告


 

地球…

 

人類の発祥の地であり、太陽系に輝く、青く美しい水の惑星…

 

しかし、宇宙開発事業の発展と促進により地球は現在、衰退一途を辿り、今では、貧困と紛争の温床、そして宇宙に住む人によって支配される、歪な世界となっていた。

 

その為、宇宙の人々は地球住民をアーシアンと呼び差別し、差別される地球の人々は宇宙から自分たちを支配する人々をスペーシアンと呼び憎み、宇宙と地球に住む人々の間には、知らぬ間に大きな溝ができてしまっていた。

 

そんな状況が長年続いて来たある時、地球において唯一と言っても良い、安定した地域であるヨーロッパに築かれた政府である、ヨーロッパ連邦にて、この世界の秩序を根底から覆す、巨大な戦いの火蓋が落とされようとしていた。

 

A.S.117年1月1日

 

ベルリン

 

この都市は、紛争と無法地帯が多い中で、数少ない安定した地域である、ヨーロッパを統治する連邦制国家、ヨーロッパ連邦。その連邦の首都が置かれている、連邦最大の都市である。

 

そして、そんな地球で最も栄えていると言っても過言では無いこの街の中心地に置かれた、巨大で権威的な施設である、連邦の国防の中心を司る、ヨーロッパ連邦軍本部にて、今全世界を巻き込む巨大な嵐が始まろうとして居た。

 

執務室内

 

「閣下、いよいよですな」

 

「あぁ、10年…いや、我々アーシアンが不当に扱われて来た歴史を考えるともっとだな…長い道のりであった…」

 

ベルリンの連邦軍本部の建造物の中にある執務室…

 

その部屋内にて、赤色の軍服を着た大柄の男が、今目の前の椅子に、まるで玉座に腰をかける王の様に座る、1人の年老いた、だがそれでもまるで猛禽類の様な覇気に溢れる1人の男にそう言うと、その男はまるで今までの人生、そしてアーシアンが辿って来た苦難の歴史を思い出す様に、そう呟く様に言った。

 

「えぇ、宇宙から我が母なる星を支配し寄生する、スペーシアンの虫ケラ供に、いよいよ、自分らの立場を弁えさせる時ですな」

 

「そうだな…地上軍の状況はどうなっておるか?」

 

「はっ、私くしが指揮を取る地上軍は、既に攻撃体制は整っております。閣下のご命令と共に、全ヨーロッパ及び西ロシアから、ウラル山脈以東及び中央アジアへと、南アメリカから北アメリカ大陸へと進駐が可能です。アフリカ方面におきましては、重要拠点である、ジブラルタル、スエズの両基地は、すでに我々に、全面協力する手筈が整っており、命令があり次第、南アフリカへ向けて南進を開始します。」

 

「成程…そうなると問題は、宇宙と地球を繋ぐ軌道エレベーター施設が存在する、地球に巣食うスペーシアン供の拠点となっている、中央アフリカのレイクヴィクトリアシティーだな…」

 

「ご安心を、すでに武力を持って制圧する手筈は整っております」

 

「…やれるか?」

 

「勿論です」

 

目の前にいる、男のにその老人が問いかけると、その男はニヤリと自信満々な笑みを浮かべそう言った。

 

「そうか…なら良い。宇宙の方も、すでに準備は整っているとのことだ。後は、"例"の作戦実行後、ワシが宣戦布告の演説をしたと同時に、空と地上で、スペーシアン共と我々に歯向かう全勢力に対して、総攻撃をかけるのみだ…」

 

「はい…」

 

2人が勝利を確信した様子で、互いにそう言った時。

 

「失礼いたします」

 

赤と黒色をあしらった制服を着た、士官が2人がいるこの部屋に入って来た。

 

すると

 

「お時間です…バスク大佐」

 

すると、1人の士官がゴールをかけた軍人、バスク・オム大佐にそう告げた。

 

「そうか、ではジャミトフ閣下。自分は、キリマンジャロの地下基地に戻り、作戦の最終準備の陣頭指揮をとって来ます」

 

「うむ、期待しているぞバスク」

 

「はっ!」

 

そして、部屋を退出しようとするバスク大佐に、この部屋の主であり、ヨーロッパ連邦軍の幹部であるジャミトフ・ハイマン大将はバスク大佐にそう述べた。

 

「ふん、単純な男よ」

 

そして、バスクがさって行った後、ジャミトフはそう呟いた。

 

2日後

 

A.S.117年1月3日

 

この日、ヨーロッパ連邦の高官や、穏健派の連邦議員達が、ベネリットグループに対して、宇宙議会連合の仲介の元、広がる地球の格差について、そしてヨーロッパ連邦への支援に関する会議に行く為、ベネリット最大の開発拠点の一つである、プラントクエタへと向かっていた。

 

「今回の会議…うまくいくのでしょうか?」

 

「うまく行かせるさ…今の連邦は、ジャミトフの扇動により、強行主義へと傾きつつある。だが、戦争など起こさせてたまるか…ベネリットからの支援を引き出し、国内を開発し発展させる事で、必ず過激派を抑え…」

 

代表団のリーダーが、今自国で広がる急進派の拡大を憂いながらも、必ずアーシアンとスペーシアの平和的な関係を築くと決意をした様子でそう述べた時。

 

「前方に機影!あれは!」

 

「ティランザ・ソル!?」

 

彼ら穏健派たちを乗せた、プラントクエタへと向かう船を、3機のディランザ・ソルが襲った。

 

「クソ、護衛部隊は何をやっているか!?」

 

「今出撃しまし…待ってください!!そんな…」

 

「ば、バカな…」

 

当然、地球の政府とはいえ、一国の政府高官達が乗っている船である為、少なくとも12機のモビルスーツに守られていたのだが、次々とまるで蚊蜻蛉の様に、たった3機のディランザにやられて行き、艦長も乗船している政府高官たちも唖然とした。

 

 

 

ディランザ隊 隊長機

 

「ふん、こんなものとは味気ないなぁ。仮にも正規軍がこんなんじゃ、これから始まる戦争に耐えられるのか?」

 

『ヤザン隊長、護衛モビルスーツ隊は予定通り全滅しました』

 

「よし、ならさっさと終わらせるぞラムサス、ダンケル」

 

『了解です』

 

『はい!』

 

そして、その襲撃部隊の隊長である、ヤザン・ゲーブルは、護衛部隊の不甲斐無さに呆れた様子でそう述べると、自分の部下たちにそう言うと、連邦高官が乗る船へと攻撃を開始した。

 

艦橋

 

「敵ディランザ、突っ込んで来ます!」

 

「対空防御!!」

 

「ま、間に合いません!!」

 

その頃、護衛部隊を全滅させた後に、此方へと突っ込んでくるディランザに、艦橋は大混乱になっていた。

 

ヤザン機コックピット内

 

「悪いが、これも任務だ」

 

そして、ヤザンが乗るデュランダは艦橋目の前に立ち、銃を向けると、コックピット内でヤザンはそう言い引き金を引き、彼が乗るデュランザのビームライフルの閃光は、艦橋を撃ち抜き、船は跡形もなく爆沈した。

 

『終わりましたね大尉』

 

そして任務達成を見届けた、部下であるダンケルは、隊長であるヤザンにそう言った。

 

「はっ、何言ってるんだダンケル?終わっただって?違うな、始まるんだよ、いよいよ戦争が…」

 

だがその言葉にヤザンは何処か楽しそうな、まるで明日遊園地に連れて行ってもらえる子供の様な純粋でありながら、何処か野獣の様な戦意に溢れた様子で笑いながら、そう述べた。

 

それから5日後

 

A.S.117年1月8日

 

その日、全ての人類の生存権と、そこに住む人々に対して、ヨーロッパ連邦議会からの、歴史の歯車を大きく回す中継が発信された。

 

ヨーロッパ連邦議会

 

「現在、我々の母なる故郷である地球は!宇宙から我々の星を支配せんと目論む愚かなる企業と、それに同調した寄生虫共であるスペーシアンの手によって、その富と、アーシアンの命までもが吸われている!5日前に起こった、愚かなスペーシアン共による我が国の高官暗殺は、その一例にすぎない!しかし、悲しい事に、今現在の地球に存在するあらゆる政治組織や企業などの組織に、この状況を変える力は存在しない!故に、我々は立ち上がる事を決心したのだ!人類の文明とその歴史を受け継ぎ、唯一この世界で人類を導く資格がある我々アーシアンが、地球を捨てた薄汚いスペーシアンの虫どもの不当なる支配を受けるこの歪んだ状況を破壊し、愚かなる寄生虫共を駆逐し、地球と人類に正き秩序をもたらす為に、我々は今ここに!アーシアンによるアーシアンの軍事組織、"ティターンズ"の結成を宣言!同時に、ベネリットグループをはじめとした、地球で富を貪る全てのスペーシアンに対して、アーシアンの積年の恨みと復讐を晴らすための聖戦を完遂するために!今ここに、宣戦を布告する!」

 

貧困と格差が拡大する地球の中で、類稀なる権力と富を有する、地球の有力者であり、ヨーロッパ連邦軍の高官であるジャミトフ・ハイマン大将による軍事組織ティターンズの結成、そして全てのスペーシアに対する突然の宣戦布告は、全人類に衝撃を与えた。

 

ジャミトフは、暗殺事件から5日、今日この日までに、迅速な速さで反対勢力を粛清し、連邦軍および連邦政府を完全に掌握した。

 

これによりヨーロッパ連邦は事実上、ジャミトフと、彼が率いる新たなる軍事組織ティターンズによる、軍事独裁体制が引かれる事となった。

 

「地球の同胞たちよ!今こそ立て!長年の屈辱と悲しみを、怒りという力に変え!今こそ立ち上がるのだ!我々地球に住むアーシアンこそ、我々大地の子達こそ、この世界を統べるべき権利がある事を忘れてはならない!!今こそ!その力を、信念を!愚かなるスペーシアン共にぶつける時なのだ!!!」

 

「「「ウァアアアアアーーーー!!!!!」」」

 

「ジーク・ティターンズ!!」

 

「「「ジーク・ティターンズ!!ジーク・ティターンズ!!ジーク・ティターンズ!!ジーク・ティターンズ!!ジーク・ティターンズ!!」」」

 

そして最後に、ジャミトフがそう述べると、5日間に行われた粛清と暗殺、後に"血の5日間"と呼ばれる出来事により、完全にジャミトフの支持者で固められた議会では、歓声が上がった。

 

 

 

キリマンジャロ基地

 

「バスク大佐!ジャミトフ閣下の演説が開始されました!」

 

「よし!地球各地に展開、あるいは潜入しているティターンの全部隊に攻撃命令を下せ!我々本隊は、このままアフリカ方面への攻撃に参加する!目標はヴィクトリア・レイクシティーだ!強襲揚陸艦アルビオンならびに、全ペガサス級発進!最短距離かつ全速力で目的地へ向かい!スペーシアンの虫ケラ共を地球上から駆除するのだ!!」

 

「了解です!」

 

ティターンズ地上軍を率いる、ティターンズ大佐、バムスク・オム大佐は、ティターンズが開発していた、大気圏内と宇宙空間での、両方の環境での戦闘が可能な強襲揚陸艦である、ペガサス級の最新鋭艦であるアルビオンに司令部を設置すると、館内にいるティターンズの兵士達にそう命令した。

 

一方

 

宇宙

 

地球でジャミトフによるティターンズ結成演説と同時に、地上軍が動き出し頃、宇宙に展開するティターズ宇宙軍も行動を開始、生産性を重視したティターンズの戦闘艦であるサラミス級32隻、サラミス級より高い戦闘力とMS搭載力を有するアレキサンドリア級8隻、そしてティターンズ宇宙軍の総旗艦である巨大戦艦ドゴスギアで編成された、ディターンズ第一艦隊が作戦行動に入ろうとしていた。

 

「艦長、ジャミトフ閣下の演説が始まりました」

 

「いよいよ…ですな」

 

「ニイタカヤマノボレ…いよいよ戦いの時だな」

 

オペレーターがそう告げると、艦長は覚悟を決めた様子で、かつてはるか昔、地球のジャパンがアメリカと言う大国に対して奇襲する際使われた暗号を思わず呟いた。

 

「諸君、ジャミトフ閣下の宣戦布告は聞いたな?」

 

すると、いよいよ実戦という事で緊張感に身も心も引き締められていた艦橋内に、白い軍服を着た、20代に見える大佐が上がり、彼が入ると皆一同に敬礼した。

 

「聞いての通りだ。いよいよ、我々ティターンズが、歴史の表舞台へと躍り出る時だ。かねてからの計画に従い、我々ティターンズ宇宙艦隊は、カディ・キンゼー司令、ジャマイカン・ダニンガン司令、そして我々宇宙艦隊の本隊と、艦隊を三つに分けて、敵となるスペーシアン組織ならびに、ベネリットグループが保有する拠点への攻撃を開始する!そして、我々の目標は月面都市、パーメット資源の大規模な採掘拠点を有する、月の完全制圧である。厳しい戦いになるが、諸君らの健闘と奮闘に期待する!」

 

「了解です、パプテマス大佐!」

 

ティターンズ宇宙艦隊の総司令官である、パプテマス・シロッコ大佐が、艦橋スタッフおよび、艦内のパイロットたちに激励の言葉を述べたと同時に、ドゴスギアを中心とした全てのティターンズの艦船に、作戦開始を告げるサイレンが鳴り響き、いよいよが作戦開始された。

 

「さて、いよいよだな…だがあの演説…ふん、アレではまるで…」

 

そして慌ただしく、戦闘体制に入るティターンズ艦隊を、シロッコは司令官席に座ると、先ほど見たティターンズ総帥のジャミトフの演説を思い出すと、まるで彼を見下す様な口ぶりでそう静かに呟き、そしてそれと同時に、艦隊各艦のエンジンが始動、ドゴスギアを先頭に、月面基地へと進撃を開始した。

 

 

かくして、宇宙に住むスペーシアンと、地球に住むアーシアンの怒りの代弁者を自称する組織ティターンズ

 

地球と宇宙による大規模な戦争が、今始まろうとしていた。





設定

ティターンズ

ヨーロッパ連邦軍、ジャミトフ・ハイマン大将によって創設された、ヨーロッパ連邦の正規軍を母体として作られた新たなる軍事組織。

反スペーシアンと過激なアーシアン至上主義を掲げており、ティターンズによる地球の統一とスペーシアンの排除、そしてアーシアンによる全人類の命運と生存圏を掌握する事を最終目標にしており、その組織の実態や様相は皮肉にも、原作のZガンダムに出てきたティターンズより、むしろティターンズの最大の敵であるジオンの様なイデオロギーと体制となっており、ジャミトフのクーデター以降は、同組織の総司令部がヨーロッパ連邦の事実上の政府と化し、同連邦に軍事独裁体制を確立している。

バスク・オムを司令官とする膨大な地上軍と、約80以上の戦闘艦によって編成された、パプテマス・シロッコを司令官とする宇宙艦隊など強力な戦力、ベネリットグループ製とは明らかに規格が違う、ハイザックやマラサイ、ガルバルディβなどの、独自の量産型モビルスーツ開発を可能とする技術力を有するなど、最早地球最強の軍隊と言っても過言ではない規模である。

ヨーロッパ連邦

首都:ベルリン

旧ドイツの首都ベルリンに政府機能が置かれている連邦国家。

元々ヨーロッパは、他の地球の地域同様戦争シェアリングによって生み出される紛争地域であったが、ヴァナディース事変が起こるより前に台頭した、ジャミトフ・ハイマンの過激かつ強引で強権的なやり方により、同地にいたゲリラや敵組織を一掃し、急速に治安回復を果たす事に成功し、それにより地球上では数少ない安全で平和な地域となった。

その為、宇宙にジャミトフの増えすぎた難民対策の為に発案によって生まれた、コロニーと言う、フロントとは別の構造を有する人工の大地、グリプスを有するなど、経済的にもある程度安定している。

現在は、そのジャミトフのクーデターによって、ティターンズの軍事独裁政権が発足しているが、いまだ戦争の傷跡と記憶がある国民は、自由や権利より、秩序と力を支持している為、ティターンズの支配を受け入れている。




ジャミトフ・ハイマン

所属:ティターンズ

肩書き:ティターンズ総司令官および連邦政府最高指導者

階級:総帥

地球に住むアーシアンこそ、全人類の統率者となるべき存在であると考える、過激なアーシアン至上主義を掲げている、ティターンズの総帥兼ヨーロッパ連邦の最高指導者。

元々は、同連邦軍の大将の階級を有する軍の高官であり、かつて苛烈な手段でヨーロッパに秩序を取り戻した功労者である事から、国民から英雄視されている軍人でであるが、117年1月3日に、プラントクエタへとベネリットグループの幹部達との会合に向かった穏健派の、連邦幹部の暗殺事件をダシに、練りに練ったクーデターを実行し、迅速かつ速やかに軍と政府の全権を掌握し、連邦政府に軍独裁体制と、新たなる軍事組織であるティターンズの結成を成功させた。



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