大地の巨人達   作:親衛隊諜報部

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宇宙(ソラ)の戦い2

宇宙(ソラ)

 

プラントクエタ

 

今回の戦争の発端となった、ベネリットグループが有する中でも最大規模を誇る一大生産拠点であるこのフロントにも、ティターンズ艦隊の魔の手が迫っていた。

 

それに対して、ベネリット・グループは、元監査組織カテドラルの統括代表である、戦争が始まった事により、グループセキュリティフォースの総司令官に抜擢された、デリング・レンブラント総司令官の指揮の元、プラントクエタにドミコス隊を中核とした防衛艦隊を編成、持てる戦力を持ってして、プラントクエタ攻略を目指すティターンズ艦隊に対して、戦いを挑もうとしていた。

 

プラントクエタ司令部

 

「スペーシアンに対する大規模戦争とは…血迷ったかジャミトフ…」

 

プラントクエタ内に設置された、司令部において、今回の防衛作戦の指揮を取る、ベネリット軍の総司令官であるデリングはそう呟いた。

 

「…やつを知っているのか、デリング?」

 

そのつぶやきを横で聞いていた、ベネリットグループの中で、御三家と呼ばれるほどの巨大企業である、グラスレー・ディフェンス・システムズの代表である、サリウス・ゼネリが、おもろにそう聞いた。

 

「かつて、軍人として第一線で戦っていた時に会ったことがある…当時無法地帯であったヨーロッパの戦場において、手段を選ばない、容赦がない戦い方でゲリラや反対勢力を叩き潰していた、危険な男だ。いずれ、我々の敵になるのではと思っていたが、まさかこれほどの戦力を用意して来たとは…」

 

そう語るデリングの脳裏には、かつてヨーロッパでの戦場で、ゲリラや敵兵を投降など許さず、根こそぎ殲滅を指示するなど、後々ヴァナディース機関を魔女狩りと称し、殲滅したデリングですらも、苛烈極まりないと感じる程の戦いを指揮する、ジャミトフの、冷酷で憤怒に満ちた表情を、思い出した。

 

すると

 

「デリング総司令官、ご報告に参りました」

 

今年、精鋭部隊であるドミニコス隊の前司令官であり、今回の戦いにおいて、作戦参謀の立場にあるラジャン・ザヒの後任として、ドミニコス隊の新司令官に就任した、元同部隊のエースである、ケナンジ・アベリーが現れた。

 

「約2時間前に月面基地へ、ティターンズ艦隊が侵攻、現在ティターンズ艦隊との戦闘状態に入っているとの事です。」

 

「2時間前…随分と遅い報告だな」

 

「すみません、どうやらら月面周辺で、強力な通信障害が起こっていた様でして」

 

「なるほど…戦況は?」

 

「かなり悪いとのことです。すでに駐留部隊の30%以上を消耗しこのままでは、全滅もあり得ると…ご命令とあれば、麾下の艦隊を引き連れ、応援にゆきますが…」

 

ケナンジは、現在月面で行われている、シロッコ率いるティターンズの艦隊と月面の駐留部隊との戦況を報告し、自軍が不利である事から援軍を率いる事を提案した。

 

だが

 

「必要ない。駐留部隊には頃合いを見て、プラントクエタへの撤退する様訓令を出せ」

 

デリングから帰って来た答えは、援軍では無く、事実上月面基地を放棄する様命令

 

「よろしいのですか!?」

 

「今更間に合わん。ならば、無駄な戦闘で消耗させるよりも、少しでも戦力を温存するべきだ。それに…月面の利権など、一時的に奪われても、終戦準備に向けた講和会議の交渉の席で奪い返せる」

 

「りょ、了解です」

 

デリングの命令を聞き、ケナンジはそう言った。

 

すると、同時にその時、敵艦隊接近を知らせる、警戒体制のアラートが、プラントクエタに鳴り響いた。

 

『プラントクエタ、第一警戒ラインに、敵ティターンズ艦隊接近!数およそ20』

 

「来ましたね…」

 

「直ちに配置につけ」

 

 

プラントクエタに、攻め込んで来たのは、ティターンズ総旗艦である、ドゴスギア級2番艦、ゼネラル・ジャミトフを旗艦とする、宇宙艦隊副司令官であるジャマイカン・ダニンガン中佐率いる、ティターンズ第二艦隊であった。  

 

旗艦:ゼネラル・ジャミトフ

 

「プラントクエタの哨戒網に引っかかりました」

 

「ちっ、構わん、そのまま最大船速で進み、目標宙域に到達すると同時にMS部隊を出撃、艦砲射撃による支援攻撃と共に、一気に敵を叩き潰すのだ」

 

「了解です」

 

「司令、少し性急すぎるのではありませんか?それに、我々宇宙艦隊の戦略的目的は、地球軌道上の定められた拠点を制圧し、宇宙にいるベネリットの戦力を、地球に投入できない様押さえ込むのが目標のはず…」

 

どこか焦っている様子で命令を飛ばすジャマイカンに、艦長がそう聞いた。

 

すると

 

「だからプラントクエタを制圧すると言っているのだ。ここを制圧すれば、スペーシアンどものMS生産能力を大きく低下させる事が出来る上に、ベネリット本社ともそう距離が離れて居ない同地を抑える事によって、敵であるベネリットへの圧力をかける事も可能となる…いや、むしろ、クエタを足がかりとし、直接ベネリットの頭を叩く事も可能だ!」

 

「しかし、シロッコ総司令官からはプラントクエタ攻略の命令は…」

 

確かにジャマイカンの述べた事も理解はできたが、当の艦隊総司令官であるシロッコからは、プラントクエタの攻略までは命令されていない。

 

その為、この独断行為とも言える作戦を実行しても良いのかと、不安になり艦長はそう言った。

 

しかしその言葉は、ジャマイカンにとっては、まさに地雷であった。

 

「シロッコ?シロッコだと!?なぜ、軍人でもなかったあんな若造の命令に従わなければならないのだ!」

 

「し、しかし独断専行は…」

 

「奴に戦争の何がわかると言うのだ!要は成功さえすれば良いのだ!それに、バスク大佐は私の作戦を支持してくれると言っていた!無駄口を叩かず、貴様は私の命令に従って艦を動かしておれば良い!」

 

「は、はっ!」

 

宇宙艦隊の中で唯一、地上軍総司令官であるバスク・オム大佐を支持する、バスク派に属する人物。

 

その為、ただでさえ元は軍人ではない筈のシロッコに、宇宙艦隊手綱を握られているだけでも気に食わないのに、これ以上手柄を立てられる事は、ジャマイカンにとっては屈辱の極みであった。

 

そして何より、開戦前に、ジャマイカンの派閥の長である、バスクから、"シロッコの専横をこれ以上許さない為にも、必ず手柄を立て、宇宙艦隊にバスク派を拡大させよ"と、内々に事実上の命令を受けており、その為、いまだに大した手柄を立てられていないジャマイカンは、焦りを覚えていた。

 

「なんとしてでも…この戦いで、1匹でも多くのスペーシアン共を始末し、手柄を上げなくては…」

 

ジャマイカンは、決意と嫉妬、そして焦りを感じさせる様子で、そう呟いた。

 

 

その頃

 

月軌道の戦いは、士気と練度に勝るティターンズが有利になり始め、各戦闘宙域では、防衛戦が突破され始めていた。

 

「クソ!早すぎる!全く当たらない!!」

 

「右だ!!右に!うぁあああーー!!!!」

 

「ラルフ!!!」

 

特に高速で移動し、ヒットアンドウェイ戦法と巧みな連携で、戦場を掻き乱す、ギャプランを操るヤザン隊に対してはほぼなす術が無く、ただ翻弄されるだけであった。

 

「こうなったら!!!」

 

「スコット!待て!」

 

すると、勇気ある1人のパイロットが操るデュランザが、ヤザンの操るギャプランの懐へと突進した。

 

「懐に入りさせすれば、戦闘機なんぞに!!」

 

懐に入り、取り憑いて仕舞えばこちらのものだと、そう思ったパイロットは、そのままヤザンの操るギャプランに取り憑こうとした。

 

だが

 

「ほう、なかなか勇気があるじゃないか…だが!」

 

そう言うとヤザンは、取り憑かれる前にすぐさま、ギャプランを人型に変形させた。

 

「何!?これは…か、可変…戦闘機が、MSに!!そんな!!」

 

ただの大型の宇宙戦闘機だと思っていた筈の機体が、まさかのMSに変形した事にパイロットは、どまどい、そして睨む様にこちらを見るギャプランの一つ目のモノアイを前に、まるで蛇に睨まれたカエルの様な気分となった。

 

そして

 

「戦場で止まるなど!!」

 

「しまっ!」

 

「遅い!!」

 

思考が停止し、動きが止まったその一瞬を突き、サイドアーマーに格納されていたビームサーベルを取り出すと、ヤザンのギャプランは、デュランザの両手を切り落とした。

 

「ぐぁあ!!!」

 

「手篭めにしてやる!!」

 

そして戦闘力を失ったデュランザを蹴り飛ばすと、両サイドのバインダーに搭載されていた、ビームライフルで撃ち抜いた。

 

「スコット!!」

 

「クソッタレが!!」

 

その光景を目の前で見た、仲間のパイロットは、戦友の仇を取るべく、乗機のデュランザのライフルを乱射しながら、ヤザンの機体へと、突撃した。

 

「そんなに戦友が恋しければ!!」

 

「お前らも、すぐにそいつの元に送ってやるよ!!」

 

「しまっ!!!」

 

「ぐぁああ!!」

 

だが、その怒りの攻撃はヤザンの機体を掠る事もなく、ラムサスとダンケルが操る、ギャプランの放ったビームにより機体を撃ち抜かれ、宇宙の塵となった。

 

「他愛も無いな…」

 

その光景を見て、ラムサスはコックピットの中でそう呟いた。

 

 

「ラムサス、ダンケル、第二次、第三次攻撃隊が出撃したとの事だ。ここは、奴らに任せて一時引くぞ」

 

「了解です!」

 

「ギャプランの推進剤も、もう少ないですからね。頃合いでしょう」

 

ギャプランは高性能機ではあるが、燃費が悪いと言う弱点が存在する。

 

その為、先ほど第二次攻撃隊が出撃したと言う通信を聞いたヤザンは、少し戦場には名残惜しいが、部下の疲労なども考え、一旦撤収する事を決め、ダンケルとラムサスにそう命じると、母艦であるドゴスギアへと撤収しようとした。

 

すると

 

『こちら、ティターンズ第四小隊のサウス・バニング中尉』

 

「ヤザン隊のヤザンだ。俺たち、第一次攻撃隊は、これより撤退する。後は任せるぞ、中尉」

 

『了解』

 

ちょうどヤザン隊は、第二次攻撃隊として攻撃に参加する、バニング中尉率いる第四小隊と鉢合わせし、バニング中尉とヤザンは互いにそう言うと、ヤザン隊は後方へ、第四小隊は戦場へと直進した。

 

「さて、お前らここから先は戦場だ。気合いを入れろよ!」

 

「了解です中尉」

 

「敵にたんまりと鉛玉ご馳走してやりますよ」

 

「ヘヘヘッ、さて宇宙人共をたっぷりと可愛がってやりますか!」

 

バニング中尉の激励に、アデル、ベイト、モンシアの三人はそれぞれそう言うと、彼ら第四小隊が乗り込む、マラサイは、隊長機であるジムクェルに率いられ、残ったベネリットのセキュリティフォース部隊に攻撃を仕掛け始め、同時に他の第二次、第三次攻撃隊として編成されていた部隊も、攻撃を開始した。

 

旗艦:ドゴスギア

 

ブリッジ

 

「第二次、第三次攻撃隊の攻撃により、敵戦力六割まで低下しました」

 

すると戦力の六割、すなわち敵側が戦力の四割と言う、もはや戦闘力が喪失するほどの戦力にまで低下した報告が、司令部のあるブリッジに届いた。

 

「よし、戦闘可能な戦力をすべて投入し、一気に敵を叩く、艦長」

 

「はっ!」

 

「すまんが、艦の指揮を任せる。各艦には、ドゴスギアを先頭に敵拠点への強行着陸および制圧準備に入る様命令せよ」

 

「了解です…総司令はどこへ?」

 

「勝敗は決した…私が開発した機体が、"この世界"のMSに対してどれほど有効なのか、試したくなった」

 

「は、はぁ…」

 

そしてその報告を聞いたシロッコは、艦長に主だった命令を伝えると、メインブリッジから出て行き、格納庫へと向かった。

 

 

格納庫

 

「司令、本当に出るつもりですか?」

 

「あぁ、再現したこの機体を実戦でもテストしたいからな…」

 

格納庫についたシロッコは、すぐに格納庫に鎮座していた、紫色のモビルスーツに乗り込むと、心配そうにそう述べて来た整備のメカニックにそう言った。

 

「…分かりました。ですが、どうかお気をつけて」

 

「安心しろ、ベネリットのセキュリティフォース如きに、やられるつもりはない」

 

そして、メカニックにそう言うと、シロッコはMSのハッチを閉め、MSのエンジンを始動し、自機の発進準備を進めた。

 

「こちらパプテマス・シロッコ、メッサーラの発進準備よし、いつでも出撃出来る」

 

『こちら艦橋、発進準備よろし、ご武運を大佐』

 

「了解だ、メッサーラ、出るぞ」

 

そしてすべての発進準備を終え、出撃準備も整うと、ブリッジからの発信許可が下りると同時に、メッサーラはドゴスギアから出撃、そしてすぐ様、飛行形態に変形し、前線へと向かって行った。

 

 

 

その頃

 

『こちら第5中隊、戦力の半分以上を損失、増援を!ゔぁあー!!』

 

『こちら第七小隊、一つ目とバイザーのMS部隊と交戦中、戦況は不利、撤退を、持ち場を放棄する許可を!!』

 

『敵の包囲網が狭まっている!もうダメだ!!』

 

『くそ!!アーシアンめ!!』

 

司令部が置かれている旗艦には、ミノフスキー粒子が薄い戦闘エリアや、レーザー通信によって、多くの悲痛な叫びと、増援要請が飛び交っていた。

 

同時に、敵部隊の包囲網が狭まりつつあり、もはや敗北は決定づけられた状況であった。

 

「司令官、もはや、戦力の三割以上を失い、組織的抵抗が出来なくなりつつあります」

 

「…ダメか?」

 

「えぇ…これ以上はもう…このまま戦ったとしても、待っているのは、降伏か玉砕かの二択だけです…司令部参謀としては、撤退を進言いたします」

 

「そうか…」

 

もはや、敗北は確定した、そう感じた司令官は、ベネリットの駐留部隊は、もはやこれまでだと判断し、本社からの命令を待たずに、独断で撤退しようと考えた。

 

そんな時

 

「司令官!本社から連絡!」

 

「読め!」

 

「はい、宛、月駐留部隊、戦況を見て、戦力温存を主柱に置いた、最善の判断をされたし…」

 

「本社から撤退の容認だと!?」

 

通信障害と戦闘中の混乱で、すぐには届かなかったものの、ベネリット本社からの、撤退容認を認める通達が、ようやく届いたのだ。

 

「そうか…よし、全艦隊および全モビルスーツ隊に打電!戦力を集中させ、敵陣の最も薄い場所に攻撃を集中させ、突破口を開く!!」

 

それを聞いた司令官は、即座に月面基地の放棄と、同戦域からの撤退を決意しそう命令した。

 

だが

 

「こ、これは!次々と我が軍のMSと戦艦が!!」

 

「どうした!?」

 

「我が軍の戦力が、たった一機のMSによって削られています!!」

 

 

 

 

 

「なんだ、敵さん引いてゆくぞ!?」

 

「怖気ついた…どう言うわけじゃあ無さそうだな」

 

その頃、前線では今まで、広範囲で戦っていたベネリットの軍隊が、次々と後退し始め、各中域では、まるで流れ星のように、月面方面へと向かってゆく、モビルスーツのノズルの輝きが見て取れ、その不可解な行動に、モンシアとベイトの2人はそう述べた。

 

「この動き…もしかしたら、敵は撤退を行うかもしれんな」

 

一方、バニング中尉は経験から、敵の動きを見て、月基地の防衛を諦め、撤退の準備をするのだと判断した。

 

しかしその直後

 

「な、これは!?」

 

撤収の為、戦線を縮小しようと月面側へと後退を行っていたMSや戦艦が、突然次々と、紫色のまるで流星のように早く動く、MS、パプテマス・シロッコが操るメッサーラによって次々と撃墜されて行った。

 

「なんだと、紫色のMS、対空砲や敵MSの攻撃をものともせず…」

 

「へぇ、中々やるじゃねぇか…」

 

「正直、戦っても勝てる気がしねぇ…」

 

「まるで、何処から攻撃が来るのか分かっているように避けている…」

 

シロッコの乗る、メッサーラの圧倒的攻撃力、そしてそんなメッサーラを操るシロッコの操縦を前に、第四小隊の面々は、圧倒され思わずそう呟いた。

 

すると

 

『ティターンズ艦隊諸君、敵は我々の力の前に、最早抵抗する力を失っている。今こそその時である!我々の故郷である地球や、その民から利益を貪る事しかできぬ、愚かな俗人どもの走狗に、我々ティターンズの力を、叩きつける時だ!!』

 

メッサーラを人型に変形させたのち、シロッコ広域電波にて、全部隊に向かって、勝利宣言に近い演説をした。

 

そして

 

「私に続け!今こそ、俗人どもにどちらに大義があるのかを、見せつける時だ!」

 

「「「おーーー!!!!」」」

 

シロッコのカリスマ性溢れる演説、そして何よりアーシアンである自分達が、スペーシアンの軍隊を圧倒し、勝利目前まで迫っている事に、ティターンズの兵士たちの士気は上がり、全MS部隊に突撃命令を下すと同時に、撤退するベネリットのMS部隊と艦隊に対して追撃を開始した。

 

「まさか、話には聞いていたが本当にMSに乗り…そしてこれ程までの腕を持っているとは…パプテマス・シロッコ…なんと言うやつだ」

 

一方のバニング中尉は、先程のシロッコの演説と、その前に見せた自分達熟練のパイロットですら、束になっても勝てないだろうと思わせるほどの操縦技術で、たった一騎で敵を殲滅した、まさに一騎当千と言う言葉が相応しい戦いぶりを見せたシロッコに、圧倒され思わずそう呟いた。

 

「ふっ、だが負けたくないな…モンシア、ベイト、アデル、俺たちも行くぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

シロッコの演説に絆されたのか、あるいは勝利を目の前に、少し高揚しているのか、バニング中尉はそう言うと、マラサイを操る三人を引き連れ、他のティターンズのMS部隊と共に、ベネリットのセキュリティーフォースへのトドメとも言うべき、攻勢を開始した。

 

 

その頃、撤退しようとしていたベネリットのセキュリティフォースは、最悪のタイミングで、攻勢を掛け始めた、ティターンズ軍相手に、最早抵抗もあまり出来ず、大混乱に陥るだけであった。

 

そんな時

 

「な、なんだあれは!?」

 

「と、とにかく撃ち落とせ!!」

 

両機も引き連れず、たった一機で戦場を駆け巡り、自軍のMSや戦艦すらも落として行く、シロッコのメッサーラ、その光景を前にベネリットのMSは、単機で戦場を掻き回す、紫のMSを前に一斉に攻撃を始めた。

 

だが

 

「無駄だ、そのような感情が剥き出しの攻撃など当たるわけがない」

 

シロッコは、その全ての攻撃をどこから来るのか、いつ来るかのかを、まるで知っていたかのように全て避けた。

 

そして

 

「ニュータイプの私に、俗人である貴様らが勝てると思うな、堕ちろカトンボ!」

 

そう言うと、次々と自分に攻撃を仕掛けて来た敵MSを葬り去り、そして一直線に、敵旗艦に突進していった。

 

ベネリット艦隊旗艦

 

「敵モビルスーツ接近、数は一機のみです!」

 

「対空防御、全艦弾幕を張れ!!」

 

司令官は、すかさず付近にいる全てのMSや、艦船に弾幕を張るよう命令した。

 

しかし、シロッコの操るメッサーラは、その全ての攻撃を嘲笑うように回避し、立ちはだかるMSは人がに変形したメッサーラが、ビームサーベルや、推進ブースターと一体化しているメガ粒子砲で薙ぎ払い

 

艦船に至っては、そのメガ粒子砲の高出力攻撃の前に、機関部や艦橋を破壊され、次々と沈黙した。

 

「敵、目の前です!!」

 

「な…バカな、なぜ我々が!アーシアンの軍隊如きに…」

 

メッサーラが、旗艦の艦橋の目前に立ちはだかり、こちらにメガ粒子砲を向けたと同時に、艦橋スタッフの多くは、間に合わないにも関わらず、生存本能から持ち場を離れようとし、そして司令官はまるで走馬灯のように、一体何が間違っていたのか、なぜアーシアンの軍隊相手に、こんな無様な負け方をしてしまったのか、そんな思考が頭の中を巡った。

 

すると

 

「歴史の流れを読めない、俗人どもにはご退場願おう」

 

そんな艦橋スタッフや司令官の気持ちを知ってか知らずか、シロッコはコックピット内で、冷徹にそう言い放つと、迷う事なくメガ粒子砲の発射ボタンを押した。

 

そして

 

「ゔぁああああーーー……」

 

艦橋はメガ粒子砲の光に包まれ、そしてビームに貫かれると同時に、艦橋、そして次に着弾した動力部、最後に艦全体の順番で爆破、四散した。

 

「こちらパプテマス・シロッコだ。敵艦隊の旗艦撃沈。これより掃討作戦に移る」

 

こうして、司令官パプテマス・シロッコ大佐の指揮とその高いパイロットとしての戦闘力、そして鍛え上げられた多くのティターンズ兵士達の活躍により、後に月面会戦と呼ばれる、初ティターンズとベネリットグループのセキュリティフォースの戦いは、ティターンズ軍の圧勝で幕を閉じ、世界最大のパーメット資源の宝庫である月面は、ティターンズの手に落ちたのだあった。

 

 

 

 




ちなみに、シロッコの正体ですが、もはや隠す必要もなく説明不要かも知れませんが、プロローグ編が終わるまでには、説明をつける予定です。

そして次回は、バスク率いるティターンズ地上軍の戦いですが、ここから水星の魔女本編に登場する多くのキャラも登場させる予定ですので、お楽しみに。
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