大地の巨人達   作:親衛隊諜報部

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大地の戦い:1

月がティターンズに占領されてから一週間後

 

月面都市は、ティターンズの軍政下に置かれ、各都市にはすでに治安維持と称して、ティターンズ所属の歩兵やMP、そしてMS部隊が月面都市各地に配置され、秩序を保っていた。

 

そして、月面を制圧したティターンズは、グラナダと改名された、数ある月面都市の中でも最大級の都市に、月面統治を行うティターンズ月方面軍司令部を創設し、宇宙艦隊総司令官パプテマス・シロッコ大佐が、正式な司令官が決まるまで艦隊総司令官職と兼任する形で、その職責に当たる事となった。

 

月面都市グラナダ

 

ティターンズ月面艦隊本部

 

軍港として接収された、グラナダ宇宙港に置かれた、ティターンズ月面艦隊本部では、先の戦いで破壊されたMSの修理が行われていたり、または月面で採掘された、或いはベネリットの貯蔵施設から押収したパーメット資源を地球へと輸送する輸送船団や、ドゴスギアを中心としたティターンズ艦隊が入港し、その様子はまさに戦時下宛らの活気があった。

 

そしてそんな活気がある軍港に設けられた一室である、総司令官執務室で、パプテマス・シロッコが月面基地の統治体制や、接収したベネリットのMS工場にて生産されている、ティターンズ製MSの量産体制について報告を受けていた。

 

「うむ、月面の統治及び接収した旧ベネリットの工房でのMS生産は順調のようだな…」

 

「はい、意外にも月面の市民達が、我々ティターンズに対して、好意的である事が幸いして、各施設の復旧作業は勿論、パーメット資源の採掘、MSの量産など、月における我が軍の戦略的活動が、円滑に進んでいます」

 

「そうか」

 

シロッコは、ティターンズ兵士達に対して、徹底した規律の遵守と民間からの物資の摘発を行わないなど、軍政下に置かれている月の各都市の市民達の、ティターンズに対する感情に対して、徹底した配慮を行なっており、それにより月面各都市でのティターンズに対する市民感情は、良好であった。

 

しかしもう一つ、ティターンズの統治が上手く行っているのには理由があった。

 

それは、月面都市という、パーメット資源の宝庫と言う、地域の性質ゆえの人口比率であった。

 

実は月面都市は、パーメット資源の最大の採掘場という性質から、総人口の80%が、採掘現場やその他のお店などで働く労働者によって構成されており、そしてその全てが地球から出稼ぎに来ていた地球出身者、つまりアーシアンであった。

 

その為、月面都市の人々は、安い賃金で労働を強要するスペーシアンのベネリット系企業の重役達に対する憎悪もあいまり、アーシアンの救済と解放を大義とする、ティターンズに対してとても好意的であり、街に休暇で出かけた兵士達からの証言によると、ティターンズの兵士と言う事だけで、スペーシアンに目に物を見せた英雄として、歓迎してくれたとの事であった。

 

「しかし油断は禁物だ。大衆は常に気が変わりやすい物だ。この先、戦争が長引けば、関係もどうなるかわからないからな…引き続き、市民感情には注意し、ティターンズの兵士には、節度ある行動を行う事を義務付けるよう、徹底してくれ」

 

「了解です」

 

軍需担当の軍人にシロッコは、月面の統治の円滑な統治継続の為、引き続き気を引き締めるよう述べた。

 

「所で、地球の…重力戦線での戦況はどうなっている?」

 

すると、ふと思い出したかのように、シロッコがそう聞いた。

 

重力戦線…

 

または、地球戦線とも呼ばれる、バスク・オム大佐が指揮する地球のでの戦いであり、ティターンズにとっての最大の目的である、地球統一とティターンズ主導の、統一政府樹立の為、ティターンズが特に力を入れている戦線である。

 

その為、シロッコが指揮する、ティターンズ宇宙艦隊も、地上攻撃の支援のため、地球降下による強襲を目的とした部隊を多数編成し、すでに北米、オセアニア、アフリカや東ロシアなど、様々な戦地へと自軍の戦力を送り出していた。

 

「はぁ…それに関しては…」

 

 

 

ここで、話は地球へと変わる。

 

 

北米大陸西部

 

カリフォルニア州ロサンゼルス上空

 

「各機に告ぐ、ティターンズの航空部隊がロサンゼルス上空に侵入、これより迎撃を開始する」

 

「「「コビー!」」」

 

西アメリカのカリフォルニア州の中でも、最大規模を誇るこの街の上空では、地上からの多数の対空砲の中を潜り抜けながら、ティターンズとベネリットのセキュリティフォースによる空中戦が行われようとしていた。

 

ベネリット軍の航空戦力は、航空機、そしてティックバランと呼ばれる、MSを乗せて空中戦を可能とする、サブフライトシステムに乗ったデュランザを隊長機に、デミトレーナーと呼ばれる、御三家と呼ばれるベネリットの有力企業の一つである、ブリオン社のMSで構成されていた。

 

一方

 

「ブラン中佐、敵航空部隊を発見」

 

「よし、全機攻撃体制!空を知らない、スペーシアン共に俺たちティターンズと、アッシマーの実力を思い知らせてやれ!!」

 

「了解!」

 

「よし、散開!」

 

ティターンズ北米解放軍は、司令官であるブラン・ブルターク中佐が直に率いる、量産型可変モビルスーツ、アッシマーで編成されたブラン隊が投入され、部隊は敵であるベネリットの航空隊を発見するや否や、ブラン中佐の命令の元散開し、ベネリット軍に襲い掛かった。

 

「ティターンズの航空隊です!アレは、UFO!?」

 

そして、程なくして、ベネリットの航空隊はブラン隊と接触、初めてアッシマーを見た新兵は、そのフォルムから、UFOだと驚いた様子でそう言った。

 

「落ち着け、アレはティターンズの可変MSだ!手強い相手だ、気を抜くな!」

 

「「「こ、コビー」」」

 

それに対して、デトロイトでティターンズとの戦闘経験があった指揮官は、落ち着いた様子でそう命令した。

 

北米大陸における、ベネリットとティターンズの戦闘…

 

旧カナダや北米東岸地域を中心に親ティターンズ派が多いこともあり、蜂起したティターンズ派や、南米のジャブロー秘密基地から進軍して来た、ティターンズ及びヨーロッパ連邦正規軍の混成軍により、多くの地域を無血占領に近い形で制圧する事が出来ていた。

 

一方で西海岸では、撤退して来たベネリットのセキュリティフォースと北米の反ティターンズ派が、ここカリフォルニア州に集結、各地から撤退する際にかき集めた、戦力と膨大な物資をもって、カリフォルニア州の各都市を要塞化し、ティターンズに対して抵抗を続け、ティターンズ北米制圧軍司令官を務める、ブラン・ブルターク中佐の手を焼かせていた。

 

そして現在、その西海岸最大の都市であるロサンゼルスに対して、陸海空の戦力を投入した、大規模な攻略作戦を開始していた。

 

作戦としては、まずはブラン中佐率いる航空隊によって制空権を確保後、ティターンズへの協力と、地球統一運動に全面協力する事を誓った、オーストラリアのカーペンタリア基地とシドニー基地から出撃した戦力と、西アメリカ方面軍による、二正面からの挟み撃ちと言う、単純だが、有効的とされた作戦である。

 

その為、作戦の第一段階である、制空権の完全確保の為、アッシマーで編成された航空戦力が投入され、市内上空では、両軍の航空戦力がぶつかり合う、空中戦が繰り広げられる事となった。

 

「クソ、早い!」

 

「落ち着け、数はこちらの方が優っているんだ、常に部隊で行動して、弾幕を張れ!」

 

「ダメです!機動力が!!うぁあ!!!」

 

数に勝るベネリット軍は、弾幕を張り、アッシマーで編成されたティターンズ部隊を近づけさせまいとしたが、アッシマー部隊は、その高い動力を生かし、最小限の被害で弾幕の中を潜り抜けながら、ベネリット軍のMS部隊へと突撃し、次々と大型ビームライフルで敵のMSや航空機を撃ち落とした。

 

「クソ、このまま好きにさせるか!!」

 

ディランザに乗り込む、ベネリット側の隊長は、そう言うとティックバランのスラスターを噴かし大きく旋回し、先程自分達のそばを悠々と、通り過ぎて行ったアッシマーを追いかけた。

 

そして、その隊長機はブラン中佐が乗る、アッシマーをマークし、撃ち落とそうと、ビームライフルを連射した。

 

「追って来たか…なら!」

 

すると、ブラン中佐は追ってくるデュランザを見てニヤリと笑うと、何を思ったのか、地表目掛けてアッシマーを降下させた。

 

「まて!!」

 

それに対してデュランザも、アッシマーを追いかけようと急降下を始めた。

 

「さて、どこまでついてこられるかな?」

 

「クソ!まて!!」

 

急降下する、アッシマーとデュランザ、互いに相当のGが掛かり、歯を食いしばりながら操縦をしていた。

 

すると

 

「そろそろだな!」

 

地表まであと少し、そんな高度に達した直前、ブラン中佐はアッシマーを飛行形態から、MS形態へと変形させた。

 

「な、何!?」

 

そして、人がに変形した際に、空気抵抗により、アッシマーは大きく上昇、そしてデュランザとすれ違いそうになった瞬間

 

「よく頑張ったが、これで!」

 

「ぐぁ!ティックバランが!!」

 

デュランザを載せていた、ティックバランのエンジンを打ち抜き破壊、デュランザは、急ぎ出力を失い、墜落しそうになっているティックバランから飛び降り、地面に着地しようとした。

 

だが、その瞬間

 

空をかけれる翼である、ティックバランを捨て、まるで移動ようのスラスターを付けないまま宇宙服で放り出された、宇宙飛行士のような状態、あるいは宇宙に放り出された陸戦型MSに近い状態になった、デュランザを、ブラン中佐は見逃さなかった。

 

「終わりだ!!」

 

真上を取ったブラン中佐は、そう言うと、アッシマーにビームライフルを構えさせ、そしてそのデュランザを頭のてっぺんから撃ち抜いた。

 

パイロットは、声を上げぬまま即死、破壊されたデュランザやティックバランの破片が、ロサンゼルス市内に飛び散った。

 

「さて、次だ」

 

敵の撃墜を確認したブラン中佐は、そう言うと再びアッシマーを飛行形態へ変形させ、上空へと戻って行った。

 

ベネリット・ロサンゼルス司令部

 

「沿岸及び、市内の対空砲及び対艦ミサイル80%を喪失」

 

「空中戦でも、我々が押されています!」

 

「クソ!アーシアンの軍隊如きに…」

 

ロサンゼルス司令部では、次々に入ってくる劣勢の報告に、司令官が苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。

 

元々、ディランザにせよデミトレーナーにせよ元は地上戦用であり、ティックバランと連携する事で飛行能力を得ているが、それでも最初から航空戦を意識して作られた、可変MSであるアッシマーによる三次元的な戦いにはついてこられず、数でなんとか戦っているが、それでも次第に押され始めていた。

 

すると

 

「司令官、ロサンゼルス市長から、市街地の被害拡大について、抗議が…」

 

「無視しろ!!」

 

「よろしいのですか?」

 

「構わん!アーシアンの都市が破壊された程度なんだと言うのだ!こちらは、この街に住むアーシアンの為に、命を張って戦っているのだ!それよりもだ、現在の戦況だ!こうなれば、サンフランシスコの部隊にも…」

 

くだらない、アーシアンの政治家の抗議など聞いてられるかと、受け流そうとしたその時。

 

「司令官、太平洋側より新たなる熱源探知!大部隊です!」

 

「なんだと!?」

 

「前線部隊より入電、敵部隊は、ティターンズ及びヨーロッパ連邦軍、オーストラリア方面軍であると!」

 

「司令官、東部に展開していた、敵地上部隊も攻撃を開始した模様です!」

 

「くっ…おのれ!!」

 

制空権がほぼ奪われた上での、陸上と海上からの同時攻撃、もはや勝ち筋が大きく無くなった事を、司令官は悟った。

 

その頃、ロサンゼルスの西側の海岸からは、オーストラリア方面軍麾下の、空母から発進した、MSが搭載されたベースジャバーと、それを守るように飛行する、アッシマーで編成された大部隊が、コチラに向かって来ていた。

 

その為、ベネリットや反ティターンズ組織は、できる限りの残存戦力を持って、なんとか水際での防御を行おうとした。

 

 

「き、来た…敵だ…」

 

「新米、落ち着け」

 

「で、ですが…制空権もほとんど取られ、東側からもティターンズの軍隊が、敵が来ていると…そんな状況で戦うなんて…」

 

その光景を見て、デミトレーナーに乗る、まだ新米のパイロットは怯えた様子でそう言っており、隊長であるデュランザに乗るベテランパイロットが、なんとか落ち着かせようとしたが、新米パイロットは、なまじ頭は悪く無い為に、この絶望的な戦況で、なお戦わなくてはならない事に、さらに怯えている様子であった。

 

すると

 

「確かに、戦況は絶望的だな…多分戦っても、勝てる確率は少ないだろ」

 

「だったら!」

 

「だけどな、負けたからと言っても、死ぬとは限らないだろ?」

 

「そ、それは…」

 

「だから落ち着くんだ。冷静に戦場を戦えなきゃ、生き残れるものも、生き残れなくなる。死にたくなければ、落ち着け、そして考える事をやめるな、良いな?」

 

「は…はい」

 

隊長は、少しでも落ち着けようとそう言ったが、しかし一方でこの戦況で、戦い続けて、果たして生きて居られるか、隊長本人も心の内は不安であった。

 

すると

 

「隊長、敵の中に白色の機体があります」

 

麾下のMSパイロットの一人が、そう言った。

 

そしてそれを聞いた、隊長はモニターのカメラをズームし、ティターンズの編隊を見てみると、確かにその中には、黒を基調とするジムクェルや緑色を基調とするハイザック、赤色を基調とするマラサイなどが主力となっているティターンズのMSの中では珍しい、白を基調としたジム改高軌道型2機、ジムスナイパー3で編成された、MS小隊が存在した。

 

「め、珍しいですね…ティターンズのMSって、あんな白色の機体なんて…」

 

ようやく緊張がある程度解けた新米パイロットが、その3機の期待を見てそう言ったが、一方の隊長は覚悟と気合いを決めた顔をすると、新米パイロットにこう言った。

 

「新米、気合を入れろよ」

 

「隊長?」

 

「あの白い機体で編成された小隊…あれは、生半可な敵では無い?」

 

「えっ…どう言う事ですか?」

 

隊長機に、その新米がそう聞くと、隊長はこう言った。

 

「奴等はティターンズ、いや、ヨーロッパ連邦軍、オーストラリア方面軍の精鋭部隊"ホワイト・ディンゴ"」

 

 

ホワイトディンゴ隊…

 

それは元はヨーロッパ連邦の事実上の構成国である、オーストラリアに駐留する部隊であり、広い視野と戦術眼を持つ優秀な軍人である、マスター・P・レイヤー大尉を隊長とする、連邦軍、そしてティターンズ地上軍の精鋭部隊である。

 

月面基地で、敵を薙ぎ倒したパプテマス・シロッコや、プラントクエタの戦いでドミニコス隊相手に善戦した、ユウ・カジマの様な、一騎当千の能力を持つパイロットは居ないが、レイヤー大尉の指揮官としての、優秀な能力の元、高いチームワークを持って、好きの無い連携プレーで、ベストを尽くして敵を追い詰めるなど、MS部隊としては精鋭の名に恥じない完成度の高い部隊である。

 

そしてそれは、元連邦軍オーストラリア方面軍司令官であり、現在はティターンズに所属の軍人である、スタンリー・ホーキンス大佐の誘いの元、部下のレオン・リーフェイ少尉、マクシミリアン・バーガー少尉と共に、ティターンズに編入してからも、その実力は健在であり、オセアニアや太平洋で行われた、数々のベネリット軍との戦いで大きく活躍し、ティターンズと連邦軍の勝利に貢献している。

 

「ファング1、レイヤーより各機へ、ロサンゼルス市内上空に入り次第、オレとレオンは地上に降下し、沿岸防衛部隊を排除、その後一気に市内へ突入する。マイクは、上空からの狙撃による援護を頼む。良いか、決して無茶はするなよ」

 

「ファング2、レオン了解」

 

「ファング3、マイクもりょーかい!」

 

「よし、ベストを尽くすぞみんな。ホワイト・ディンゴ行くぞ!」

 

ホワイト・ディンゴ隊の隊員である、レオン・リーフェイ中尉、マクシミリアン・バーガー中尉は、隊長であるマスター・P・レイヤー大尉の作戦説明を聞いたのちそう言うと、三人が乗るジム高軌道型を乗せたベースジャバーは、護衛のアッシマー部隊と共に市内へと、突撃して行った。

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