大地の巨人達   作:親衛隊諜報部

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大地の戦い:2

アフリカ中部レイク・ヴォグトリアシティー

 

アフリカ最大の湖である、ヴィクトリア湖上に作られたこの街は、軌道エレベーターのステーションを有し、数少ない宇宙と地球の物理的な架け橋となっている街である。

 

その為、この街には地球に駐在している多くのスペーシアンと、その元で働く貧しいアーシアン達が多数住む街となって居た…

 

一週間前までは…

 

強襲揚陸艦アルビオン

 

ブリッジ

 

「…」

 

「…」

 

強襲揚陸艦アルビオンの艦長である、ヨーロッパ連邦軍正規軍所属のエイパー・シナプス大佐とその部下達は、目の前で、軌道エレベーター施設を除く、すべての街や建物が、火に包まれ炎上しているレイク・ヴィクトリアシティーを見て言葉を失って居た。

 

「見事な働きだな、これで地球に寄生する虫ケラ共も、あの世で自分達の存在が、いかに罪深いか自覚していることだろう」

 

一方で、ティターンズ地上軍総司令官であり、この惨状を引き起こした張本人であるバスク・オム大佐は、満足そうな様子でそう言った。

 

すると

 

「バスク…大佐、貴官はこの様な…民間人をも平気で犠牲にした作戦を行なって、なんとも思わ無いのですか?」

 

あまりの惨劇に見かねたシナプス大佐は、思わずそうバスクに聞いた。

 

すると

 

「当たり前だ、奴らは我が母なる故郷である地球を食い潰す虫ケラと、それに同調する売女共だ。死んで当然、いや死なねばならん連中なのだよ」

 

バスクは、さも当たり前の様な様子でそうシナプス大佐に言い放ち、それを聞いたシナプス大佐は、まるでバスクを軽蔑するかの様な視線を向けた。

 

だが、作戦の成功により機嫌が良いのか、バスクはそれに対して余裕の笑みを浮かべると、徐に自分の横に立つ、一人の女性に目を向けた。

 

「それはそうと、突然の実戦投入であったが、奴ら、良い働きをするな…そうは思わんかね、ウィンストン博士?」

 

「え、えぇ…そうですね…」

 

すると、バスクにそう聞かれた女性、元オックスアース社の研究機関である、ヴァナディース機関の研究員であり、現在はバスクら地上軍とティターンズ最高総司令部が、多額の投資をしている、オーガスタ研究所の主任研究員である、ベルメリア・ウィンストン博士は、映像に映る炎上するレイク・ヴィクトリアシティー、そして3機の黒いガンダムを、その酷く悲惨な光景、罪悪感からか、映像から目を背けると、そう言った。

 

「さて、街の虫ケラ共もあらかた片付きはしたが、まだ生き残っているやつもいるだろう。軍用オートマトンをキルモードで使用し、生き残りは殲滅する」

 

だが、バスクは彼女の反応には見向きもせず、今度は軍用オートマトンを市内に突入させる様、命令を下した。

 

レイク・ヴィクトリアシティー市内

 

バスクの苛烈な作戦手腕により、軌道エレベーター施設以外のすべてのものが、炎と残骸、そして死体だらけとなっている街と化した街中で、マラサイとハイザックで編成された中隊規模のMS部隊、そしてこの街に駐留して居たほとんどの戦力を殲滅した、ティターンズお抱えのGUND-ARMの軍事転用研究所である、オーガスタ研究所で開発された3機のガンダム、開発コードネーム、Mk-IIと呼ばれるガンダムが展開して居た。

 

「…あれだけ居た敵をこうも簡単に…だがそれよりも…」

 

「これが…魔女か…」

 

その、残虐かつ圧倒的な戦いを見たティターンズの兵士達は、今日ほど自分達がティターンズであった事が幸運だった事を実感していた。

 

一方

 

アメリカ西海岸カリフォルニア州

 

ロサンゼルス

 

西海岸の中でも最大の都市である、ロサンゼルスの市内は現在、戦場の街と化して居た。

 

西からオセアニア方面軍、東から北米方面軍が突入する前に、ブラン・ブルターク中佐率いるアッシマー部隊が、事前に対空対艦防御施設や、航空基地などを潰して居たおかげまで、多少の抵抗はあったものの、市内への突入そのものは成功し、沿岸部や都市内には、蜂の巣にされ、破壊された両軍のMSや、転がって居た。

 

「ぐぁあ!!」

 

「狙撃だ!気をつけ…!」

 

そして、市街戦を行なっている敵のMSである、デュランザとデミトレーナーが、上空に陣取るマイクこと、マクシミリアン中尉が操る、ジムスナイパー3の狙撃によって破壊された。

 

「いっちょ、上りっと」

 

『マイク、可能な限り市街の建物には被害を出すなよ』

 

「分かってますよ隊長」

 

一方、マイクが上空から狙撃による援護射撃を行っている一方、レオン、レイヤーの二人は、ビルとビルの合間を縫って、できる限り建物に被害を与えないよう注意しながら、市街戦を戦って居た。

 

「クソ、隙がない!」

 

「連携した攻撃で攻めてくる…ある意味、エース相手に戦うより厄介だ!」

 

そしてその連携を重視した攻めの戦いと、レイヤーの高い洞察力と統率力による隙のない戦い方で、ベネリット軍は苦戦を強いられて居た。

 

司令部

 

「市内地の防衛戦突破されました!」

 

「第五MS小隊壊滅!」

 

海上からの、ティターンズ 部隊の強襲攻撃後、急速に悪化してゆく戦況が、次々と司令部に入っていた。

 

するとそれを聞いた司令官は、オモロに立ち上がった。

 

「司令、どうなさいましたか?」

 

「…すぐ戻る」

 

そう聞いてきた将校に、司令官はそう言いながら、何やら分厚い封筒をその将校のポケットに突っ込むと、そのまま司令所を出て行った。

 

そしてそれっきり、司令官は帰って来なかった。

 

 

その頃

 

「何か妙だな…」

 

「どうかしましたか、隊長?」

 

「敵の動きに、統率と士気が見られなくなっている…一体どうしたのだ?」

 

レイヤーは、敵の動きに士気と積極性、そしてわずかだが統制が無くなっている事に気づいた。

 

確かに、この押されている戦況、士気を保つと言うのが難しい事ではあるが、一方でいまだに司令施設がある、中心地は健在、それゆえに統制が落ちるなど、今の戦況であっても考えられなかった。

 

「もしかしたら…航空部隊、周囲の警戒を強めろ!」

 

すると、ある一つの結論に至ったレイヤーは、自分の指揮が及ぶ航空部隊にそう命令した。

 

その頃

 

「クソ…アーシアンの軍隊如きに、この醜態…」

 

兵士の一人を買収し、さっさとこの場から逃げ出そうと、脱出用軍用機に乗り込んだ司令官は、忌々しそうにそう述べた。

 

「ロサンゼルスでは負けたが…カリフォルニアではこうはいかんぞ、アーシアンめ」

 

この借りは必ず返す、そう決意した司令官は、パイロットに機体を出すよう命令すると、機体は離陸し、カリフォルニアを目指して飛んでいった。

 

だがその時

 

「なっ!なんだ!?」

 

突如、機体のエンジンにビームが着弾、エンジンを撃ち抜かれた軍用機は出力を失い、重力に引っ張られ、落下して行った。

 

「エンジン被弾、出力確保できません!!」

 

「何としても安定させろ!!」

 

だが、司令官の檄も無なくしく、機体は安定を取り戻す事なく、市街地の中心に不時着した。

 

「あぁ…クソ…」

 

運良く司令官は生きており、ヨロヨロと、機体の中から這い出た。

 

しかし

 

『そこまでまだ』

 

瞬く間にレオンとレイヤーが乗る機体に取り囲まれた。

 

『こちらは、ホワイトファング隊のマスターPレイヤーだ。見ての通り貴官は我々の包囲下にある。これ以上の無駄な犠牲を避ける為、投降し、市内の全部隊に対して、攻撃停止命令を布告する様要請したい』

 

「…クッ」

 

こうして、ホワイトファング隊の活躍により、現地司令官を捕らえる事に成功したティターンズのオセアニア方面軍および、北米方面軍は、西海岸の要所であるロサンゼルスの攻略に成功した。

 

その頃

 

ベルリン中心地

 

ティターンズ本部(旧ヨーロッパ連邦軍本部)

 

「お待ちしておりました、クルーヘル中佐」

 

「ジャミトフ閣下より呼び出されてここに来た、命令書はこれだ」

 

「確認いたしました。それでは、地下総司令部へご案内します」

 

リドリック・クルーヘル中佐

 

ティターンズの兵士が出迎えた彼は、元ドミニコス隊のメンバーでありながら、とある事情でジャミトフ・ハイマンより気に入られ、当時、まだ結成へ向けて動き出して居たばかりのティターンズへと入った、所謂ティターンズの古参メンバーの一人である。

 

普段は、ティターンズ 宇宙軍の本部がある、グリプス2に駐屯するMS部隊を統括して居るが、今回ジャミトフより秘匿命令を伝えると知らされ、地球へと降りて来たのだ。

 

(秘匿命令…ジャミトフ閣下からは、本部に来た時に口頭で伝えると言われたが…一体なんだ?)

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