ヒシアマゾン、ナイスネイチャが仲間になり、テツマチームも本格的にダシマカップで名乗りを上げ始めた。
ナイスネイチャ「やっぱりヒシアマ先輩もチケゾー先輩も凄いなぁ…」
TSシリーズで重賞での勝利を経験しているヒシアマゾンとウイニングチケットはすぐにダシマカップでも大活躍だった。それに対してネイチャは競争倍率が多い中で、躓いているようだった。
テツマ「お前もそう言われるようにするんだな」
ナイスネイチャ「は、はい…」
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そんなある日の事。テツマは河川敷で自分自身のトレーニングをしていると、一人のウマ娘と遭遇した。
「あれ? チケゾーのトレーナーさん…?」
テツマ「……」
そのウマ娘が呟くと、テツマは彼女の方を見た。
「あっ! お、おはようございます!」
テツマ「…チケットの知り合いか?」
「そ、そうなんですよ! あ、自己紹介まだでしたね! メジロライアンです!」
テツマ「メジロ…」
メジロという単語にテツマが反応した。
メジロライアン「あっ! あたしはもう行くので、お散歩楽しんでください!」
そう言ってライアンは去っていったが、テツマも特に気にする事なく去っていった。
ちなみにこの後ライアンは遅刻しそうになった。
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放課後、この日はヒシアマ達の出走するコースはなく、フリーだった。テツマはトレセン学園のトレーニングルームでトレーニングをしようとすると、
「あれ!? 君は今朝の!!」
メジロライアンがいた。
テツマ「…メジロライアン」
メジロライアン「そ、そうです! ここには何しに来たんですか!?」
テツマ「今から帰る所だ」
メジロライアン「いや、トレーニングしに来たんですよね!? 絶対そうでしょう!!」
テツマ「気が変わった」
メジロライアン「あ、もしかしてあたし、うざかったですか!?」
テツマ「暑苦しい」
メジロライアン「ガーン!!!」
***
メジロライアン「…その、昔から体を動かす事くらいしか取り柄が無くて、それを極め続けた結果、こんな感じになっちゃったんです…」
なんやかんやでライアンの話を聞くことになったテツマ。
テツマ「それにしちゃあ、距離が近すぎるだろう」
メジロライアン「そ、そうですよね…。すみません…」
テツマの指摘にライアンはとにかく落ち込んだ。
メジロライアン「あ、えっと…。トレーニングしに来たんですよね!?」
テツマ「いや、もう帰る所だ」
メジロライアン「ううう…。あ、あの! こう見えてあたし! 筋トレを教える事には自信あるんですよ!?」
テツマ「ウマ娘と人間で差があるだろう」
メジロライアン「まあ、確かにそうなんですけど…。と、とにかくやってみましょう!」
テツマは正直ほっといて欲しかったが、このまま強引に帰ってチケット達に知られたら余計に面倒な事になりそうだったので、渋々付き合う事にした。
メジロライアン「トレーナーさん。結構筋トレとかされてるんですか!?」
テツマ「…それなりにはな」
メジロライアン「やっぱり! あたしの目に狂いはありませんでした! 筋肉が歓喜の声をあげてますよ!」
テツマ「それは分からねぇがな…」
とまあ、この日はずっとライアンに付き合っていた。
メジロライアン「お疲れさまでした!」
テツマ「…ああ」
なんだかんだ言って最後までやりきったテツマ。
メジロライアン「トレーナーさん…。結構ついてこれてましたね。他の人だったら3分の1にしてたんですけど」
テツマ「そうかい…」
テツマはライアンを見つめた。
メジロライアン「ど、どうされました?」
テツマ「これだけ詳しいって事は、将来はフィジカルトレーナーにでもなるのか?」
メジロライアン「い、いや…その…」
テツマの言葉にライアンは困惑していた。どこか都合が悪そうに感じる。
テツマ「…まあいいさ。オレはもう帰る」
メジロライアン「は、はい! お疲れさまでした!」
そう言ってテツマは去っていった。
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そんなある日の事。高等部を対象に選抜レースが行われることとなった。まだトレーナーがついていないウマ娘が対象となっているが、担当トレーナーがついているウマ娘も腕試しで出る事が可能なのだ。
テツマは視察の為に来ていたが、ヒシアマ達もついてきていたのだ。
「ライアンちゃーん! がんばってー!!」
「応援してるぞー」
今回の選抜レースにはライアンも参加していた。
ウイニングチケット「ライアーン! ファイトー!!」
チケットも声をかけるが、テツマはチケットの声の大きさにうんざりしていた。
そんなこんなでレースが行われたが、ライアンが出遅れてしまった。
ウイニングチケット「あれ!?」
ライアンが出遅れた事に皆が違和感を感じていたが、テツマのみは心当たりがあった。
テツマ「…家か」
ナイスネイチャ「え?」
***
翌日。この日もヒシアマ達の出番はなく、フリーだった。テツマは気晴らしに高台まで行ってみると、そこにメジロライアンの姿があった。だが、テツマは帰ろうとした。
メジロライアン「あ、あの! 帰らなくて結構ですよ!? あたしが帰りますので!!」
テツマはじっとライアンを見つめていると、ライアンは気まずそうにしていた。
メジロライアン「…選抜レース、見に来てましたよね。すみません。あんな無様な結果を晒して」
テツマ「あんたは何故この学園に来た」
メジロライアン「…え?」
テツマの言葉にライアンは目を見開いた。
テツマ「家の為か?」
メジロライアン「……っ!」
テツマ「答えたくないなら答えなくていいぜ。言う程興味ねぇからな」
テツマの言葉にライアンは俯くと、答える意思はないと思い、テツマは去っていった。
テツマ「まあ、これだけ言っとくぜ」
メジロライアン「?」
テツマ「勝負ってのは誰かの為にやるもんじゃねぇ。自分が勝つ為にやるんだ。それが出来ないならやめときな」
そう言ってテツマが去ろうとすると、ライアンは思わず引き留める。
メジロライアン「待って!!」
**********
「…あたしだってそりゃあ、勝ちたいですよ。メジロのウマ娘だもん」
「……」
ベンチでテツマとライアンが話をしていた。
メジロライアン「けど、マックイーン達みたいに勝ちたいっていう感じじゃなくて…」
テツマ「ハァ…」
メジロライアン「え?」
テツマがため息をついたので、ライアンが困惑した。
メジロライアン「え、ど、どうしたんですか? いくら何でもため息をつくことは…」
テツマ「…うちのチームにナイスネイチャって奴がいるんだけどな」
メジロライアン「ネ、ネイチャちゃん?」
テツマ「あんたに負けず劣らずの卑屈女でな…」
メジロライアン「ひ、卑屈女…」
テツマからの思わぬ暴言にライアンは涙目になった。
テツマ「事実だろう」
メジロライアン「…た、確かにそうですよ。年下のマックイーンに対して色々劣等感を抱いてる卑屈女です」
ライアンの言葉にテツマは目を細めた。
テツマ「そのマックイーンって奴もメジロか?」
メジロライアン「はい…。まだ2年生なんですけど、あたしと違って天才でメジロからも『秘蔵っ子』として期待されてるんです。1年生ながら優秀なウマ娘が選出される遠征チームにも選ばれるほどの実力者で…」
テツマ「遠征チーム…今はいねぇって事か」
メジロライアン「は、はい…。で、話は戻るんですけど、勝ちたい気持ちは勿論あるんですけど、マックイーンには色々敵わなくて…」
テツマ「理由になってねぇぜ」
メジロライアン「え?」
ライアンがテツマを見つめると、テツマはライアンを見つめた。
テツマ「本当に敵わねぇかどうかは、そのマックイーンって奴に勝ってからでも考えられるだろ。レースに出るからには勝つ事だけ考えろ」
メジロライアン「……!」
テツマ「お前にいちゃもんをつけてきた奴だってそうだ。試合前に暴言を吐いたことに関してはアウトだが、勝とうとする姿勢としてはあいつの方が正しい。最後まで勝とうとしていたから速さも落ちてはいなかったんだ」
するとテツマは一息ついて立ち上がる。
テツマ「…力の差はあっても、マックイーンって奴に勝ちたいんだろ?」
メジロライアン「え?」
テツマ「どうなんだ」
メジロライアン「う、うん! 勝ちたい!! 勝ちたいよ!!」
テツマ「じゃあ勝てるようにするんだな。オレはもう行くぜ」
テツマがそう言って去ろうとすると、チケット達が隠れて見ていて無表情になった。
テツマ「オレがまた騒ぎを起こすと思ったのか?」
ナイスネイチャ「い、いやー…その…あははははは」
ウイニングチケット「話全部聞いてたけど、感動したああああ~~~~!!!!」
メジロライアン「全部聞いてたの!? ちょっとそれは恥ずかしいなあ…」
ライアンがモジモジしていた。
テツマ「話がしてぇなら好きにしな。オレはもう帰るぜ」
ウイニングチケット「あ、そうだライアン! 今、トレーナーさんがいなくてフリーなんでしょ!?」
メジロライアン「え? あ、うん…」
ウイニングチケット「だったらさ! あたし達と一緒にダシマカップ出ようよ!」
チケットの言葉にネイチャが驚くと、テツマは眉を顰めた。
テツマ「おいおい。うちは駆け込み寺じゃねぇんだぜ」
メジロライアン「あ、あのう…」
テツマ「…出たいのか?」
いつもなら『あたしがいても迷惑』という所なのに、何故か引き下がっていた。
メジロライアン「だ、だめですか…?」
テツマ「こういう時こそ、あたしなんか出てもって言う所だぜ」
メジロライアン「卑屈な所も直したいので」
ヒシアマゾン「決まりだね!」
メジロライアン「レ、レースには勿論出るけど、フィジカルトレーナーとしても頑張るから!」
テツマ「まずレースに勝て」
そんなこんなでライアンが仲間になったが、驚かれたのは言うまでもない。
おしまい