テツマがシチーとマネージャーに啖呵を切った後日。テツマは全く気にすることなく、ダシマカップの観戦をしていた。
エルコンドルパサー「1次予選の影響か、参加者も一気に増えたデース…」
テツマ「相手にとって不足はねぇがな…」
そんな時だった。
「ねえ」
テツマ「?」
テツマが振り向いた次の瞬間、ウマ娘がいきなりビンタをしようとしてきたが、テツマは受け止めた。
「……っ!」
テツマ「随分なご挨拶だな」
エルコンドルパサー「ジョ、ジョーダン先輩!!」
怒りに満ちているウマ娘・トーセンジョーダンだったが、テツマは冷徹な表情を浮かべたままだった。
テツマ「プロレス仲間か?」
エルコンドルパサー「いや、全然違いマス…」
トーセンジョーダン「あんた…シチーに何言ったの?」
テツマ「あいつのダチか…」
「ジョーダン! 何してんの!!」
トーセンジョーダン「シチー!」
ゴールドシチーが止めに入ると、ジョーダンはばつが悪そうにしていた。
ゴールドシチー「アンタ、人間に手を出したらどうなるか分かってるでしょ!」
トーセンジョーダン「だ、だって…」
ゴールドシチー「…とにかくアタシの事はいいから!」
トーセンジョーダン「やだ! こいつに言われてからシチーずっと楽しそうじゃないじゃん!」
テツマ「……」
ジョーダンの言葉にテツマは思い当たる節があるのか、険しい表情になった。
エルコンドルパサー「え…? ト、トレーナーさん。何を言ったんですか…?」
テツマ「お前みたいな奴には負けねぇつった」
とんでもない挑発をしていて、エルは青ざめるとジョーダンは激怒していた。
トーセンジョーダン「言わせておけばチョーシのんなよ! 確かにモデルの二束わらじで練習する時間も限られてっけど、シチーが本気出したらこんなもんじゃ…」
テツマ「それはそうとあの口うるせぇマネージャーとまだつるんでんのか?」
トーセンジョーダン「コラー!! 無視すんなー!!」
ジョーダンを無視して、テツマはシチーと話す。
ゴールドシチー「…うん。口うるさいけど、モデルの仕事を紹介してくれたのマネジだから」
テツマ「…そうか」
シチーの言葉にテツマはもう何も話すことはないと言わんばかりに呟いた。
テツマ「で、話はそれだけか?」
ゴールドシチー「…まだある」
テツマ「さっさとしてくれ。こっちも暇じゃねぇんだ」
エルコンドルパサー「ト、トレーナーさん!」
するとシチーはテツマを見つめた。
ゴールドシチー「アンタさ…。女の子に興味ないの? モデルとか…」
テツマ「なんだ? オレがゲイだって言いてぇのか?」
ゴールドシチー「ち、ちげーし! その…自分で言うのもアレだけど、モデルやってて色んな人に声かけられるんだけど、あんたは全然そんな事なくて…」
テツマ「悪ぃな。派手な女にいい思い出がねぇし、ましてや『弱いウマ娘』には眼中にねぇんだ」
弱いウマ娘発言にシチーはキレ、エルとジョーダンが青ざめた。
テツマ「何だその目は。負けたのは事実だろう?」
ゴールドシチー「…そうだね。でもまあ、これであんたの事が良く分かったわ」
テツマ「やるってんなら容赦しねぇぜ」
エルコンドルパサー「ト、トレーナーさん! ケンカはマズいですよ!」
トーセンジョーダン「ていうか、ウマ娘相手に勝てる訳ねーじゃん!」
テツマ「真正面から行けば確かに勝ち目はねぇ」
「え!?」
テツマ「だが、やろうと思えばいくらでも方法はあるさ。自慢のパワーも当たらなきゃ何の意味もねぇんだからな…」
テツマの声色にエルとジョーダンが震え上がったが、
ゴールドシチー「って違う!! ケンカなんてしねーし!! と、とにかく! アンタちょっと面貸せ」
テツマ「やっぱりケンカじゃねーか」
ゴールドシチー「ちーがーうー!! アタシの走りを見ろつってんの!」
テツマ「……」
シチーの言葉にテツマはシチーを睨みつける。
ゴールドシチー「な、何だよ…」
テツマ「それよりもいい考えがある。数日待ってろ」
エルコンドルパサー「え、ちょ、トレーナーさん!?」
テツマが去っていくとエルも追いかけていった。シチーとジョーダンはそんなテツマを見つめていた。
そして数日後、テツマはシチーを呼び出したが、ジョーダンも来た。テツマは私物のジャージを着ている。
テツマ「お友達がそんなに心配か?」
トーセンジョーダン「当たり前じゃん!!」
テツマ「…まあいいさ。ついてきな」
そう言ってテツマが連れてきたのは、泥のフィールドだった。ヒシアマ達もいたのだが、バクシンオー以外気まずそうにしている。ちなみにヒシアマ達もジャージを着ている。
トーセンジョーダン「え!? な、なにこれ…」
テツマ「すぐに見たら分かるさ。ジャージに着替えてきな」
ゴールドシチー「…一体何をする気なの?」
テツマ「着替えてきたら説明してやるが、逃げるなら今のうちだぜ」
ゴールドシチー「…着替えてくる」
そう言ってシチーは着替えて行った。
テツマ「別に来る必要なんざなかったんだぜ?」
ウイニングチケット「やだ!!」
トーセンジョーダン「え、ちょっとホントに何させるつもりなの!?」
するとテツマはジョーダンを見つめた。
トーセンジョーダン「な、何だよ…」
***
そしてシチーがジャージに着替えてきた。
テツマ「来たか」
ゴールドシチー「…着替えてきたよ」
テツマ「じゃあさっさと始めるぜ。その泥のフィールドに入れ」
「!?」
トーセンジョーダン「は、はぁ!? 何言ってんの!? こんな肥溜めみたいな所…」
ジョーダンが止めようとしたが、シチーは無言で入った。
トーセンジョーダン「シチー!」
テツマ「よし」
するとテツマも準備してシチーの前に立ったが、横には無数の泥団子が置いてあった。
テツマ「じゃあ簡単に説明するぜ。今からオレが投げる泥団子をかわせ。それだけだ」
ゴールドシチー「…それだけ?」
テツマ「ああ。それだけだ。それじゃ早速行くぜ」
そう言ってテツマは思いっきりシチーの顔にめがけて泥団子を投げると、シチーは手で顔を防いだが、体に泥がかかってしまった。
トーセンジョーダン「シチー!!」
テツマ「そのご自慢の顔を泥だらけにしたくなきゃ、しっかり避けるんだな」
そう言ってテツマは泥団子を次々と投げて行った。
サクラバクシンオー「私も泥団子をバクシン的に作りますよ!!」
ナイスネイチャ「……」
なんとなくやりたい事が分かり、シチーはかわし続けていたが、体勢を崩して体の半分が泥まみれになってしまった。しかも髪の毛にも泥がついている。
トーセンジョーダン「シチー! 大丈夫!?」
ゴールドシチー「へ、平気…うわっ!」
シチーが立ち上がろうとするが、泥に引き寄せられて体勢を崩す。そして追い打ちをかけるかのように頭に泥団子をぶつけられた。
テツマ「どうした。もうへばったのか?」
ゴールドシチー「ま、まだまだ…!!」
と、シチーが必死に泥団子をかわすのをヒシアマ達は見守っていた。すると他のウマ娘たちやトレーナー達がテツマ達に気づいた。
「おい、あれゴールドシチーじゃねぇか!?」
「ホントだ! でもなんか泥だらけだぞ!!」
「あいつ…!!」
「おい! 何やってるんだ!!」
一斉に集まっていた。
「おいお前! シチーちゃんに何やってるんだ!!」
テツマ「知れた事。我慢比べだよ」
「我慢比べ…?」
テツマ「グズグズしててうざってぇから、引導を渡してやろうと思ってんだよ」
テツマの発言に皆が驚いた。
「な、何て奴だ!!」
「おい! 今すぐやめろ!!」
「シチーちゃんに何かあったらどうするんだ!!」
「責任取れねぇだろ!!」
と、一斉にテツマを責めたてた。
「ヒシアマゾン達もどうして止めないんだよ!!」
「シチーちゃんが可哀想だと思わないのか!!?」
ついにはヒシアマゾン達にもあたる始末。
テツマ「バカな奴だ。オレ一人の責任にしとけば良かったのによ」
ヒシアマゾン「そんな訳にはいかないよ!」
そんな時だった。
「シチー!!」
マネージャーがやってきた。
つづく