ゴールドシチー「マ、マネジ…」
マネジ「……!」
シチーを泥まみれにしているテツマに対して、マネジは怒りにみちた目で睨みつけていたが、テツマは小馬鹿にしていた。
テツマ「よう。わざわざ学校まで乗り込んでくるなんて熱心なこった」
マネジ「あなた一体どういうつもりなの!? シチーにもし何かの事があったら責任取れるんでしょうね!?」
テツマ「いいや? 取るつもりなんかないぜ? ていうか、なんでオレが取らなきゃならねぇ」
テツマの無責任な発言に怒りを通り越して呆然とするマネジとトレーナー達。
テツマ「全てはこいつが決めた事。断る選択肢も与えた。そうだろう? シチーさんよ」
ゴールドシチー「…そうだよ。マネジ。ほっといて」
ゴールドシチーがそう言うとマネジは首を横に振った。
マネジ「…ダメよシチー」
ゴールドシチー「!」
マネジ「もう仕方のない事なの。あなたは普通のウマ娘とは違う。あなたを見た目で判断するのは仕方のない事なの」
テツマ「あんたの言う見た目で判断してねぇ奴ならここにいるぜ」
マネジの発言をテツマが遮った。
テツマ「分かるぜ。ケガなんてされちゃ、金にならねぇからそりゃあ困るよな」
マネジ「お、お金の問題じゃないの! 私はシチーの為を想って…!」
テツマ「自分の為。じゃないのか」
テツマの言葉に皆が驚いた。
テツマ「これだけは言っとくぜ。本当にトップモデルにしてぇんだったらな、楽な方向に行こうとするな」
「!?」
マネジ「あ、あなたに何が分かるのよ!!」
テツマ「モデルの事は確かに全然分かんねぇし、分かりたくもねぇ。だがな」
テツマはマネジを見つめた。
テツマ「レースもモデルも、トップになりてぇんならやる事はほぼ同じ。トップになるまで戦い続けるしかねぇんだよ。身を粉にしてな」
そう言ってテツマはシチーを見つめた。
テツマ「そんなに諦めてほしいならな。こいつが降参するのを祈ってろ」
ゴールドシチー「だ、誰が降参なんか…」
テツマ「そうかい。じゃあ続きを始めようか」
そう言ってトレーニングは続いた。テツマは無情にも泥団子を投げ続け、シチーは何度もぶつけられ、遂に膝が折れた。
「ああ…シチーちゃんが泥だらけに…」
「見てられない…」
と、トレーナー達は目をそらす。
マネジ「シチー! もうやめなさい! これでわかったでしょ! あなたにはモデルの仕事をやるべきなのよ!!」
テツマは冷たい視線をぶつける。
テツマ「…ホントに分かってねぇな」
テツマがそう呟くと担当ウマ娘たちとジョーダン、そしてシチーが反応した。
テツマ「どうした。もう終わりか?」
テツマがシチーにそう問いかける。
テツマ「お前も薄々分かってるだろうがな。あの姉ちゃんがあそこまで諦めろつってんのは、モデル一本に絞らねぇといけないくらいお前が弱ぇって事なんだよ」
「!」
テツマの言葉にジョーダン、マネジとギャラリーは驚いていたが、ヒシアマゾン達は何も言わずにテツマを見つめていた。
テツマ「…これで立ち上がれねぇようじゃもう見込みはねぇ。諦めろ!」
諦めろという言葉にシチーが歯ぎしりをして足に力を入れて立ち上がろうとした。
マネジ「シチー! 弱くはないけれど、もう諦め…」
トーセンジョーダン「シチー!!! 諦めんなー!!!」
「!?」
ジョーダンが涙ながらにそう叫んだ。
トーセンジョーダン「このままこいつに言いたい放題言われていいの!? まだやれる!! がんばれー!!!」
ジョーダンの言葉にチケットもうなずいた。
ウイニングチケット「そうだよシチー!! アタシ達がついてるよー!!」
ヒシアマゾン「シチー!!」
マチカネフクキタル「シチーさん!!!」
と、他の担当ウマ娘たちもシチーを応援していて、マネジも野次ウマたちは呆然としていた。
ゴールドシチー「…へへ」
シチーは立ち上がって笑みを浮かべたが、目にはうっすらと涙が浮かんでいた。その顔を見た観客たちとマネジは心を打たれた。
ゴールドシチー「アタシはまだ…やれる!!」
テツマ「……」
シチーの顔をじっと見つめるテツマ。
テツマ「今、諦めればもう苦しい思いはしなくていいんだぜ?」
ゴールドシチー「何とでも! さあ、来い!!」
シチーの力強い言葉にテツマは口角を上げた。
テツマ「…じゃあ、遠慮なく行かせて貰うぜ!!」
そう言ってテツマは思いっきり泥団子をぶん投げると、シチーはかわした。
トーセンジョーダン「シチー!!」
ゴールドシチー「調子出てきた! もっと来…」
シチーが喋った次の瞬間、モロに泥団子が当たった。
テツマ「喋り過ぎだ」
ゴールドシチー「…やってくれるじゃん!」
ウイニングチケット「うおーっ!! こうなったらアタシもやるーっ!!!」
メジロライアン「チ、チケゾーいつの間に!?」
マチカネフクキタル「こうなったら私たちも!」
サクラバクシンオー「バクシーン!!」
と、このまま全員でトレーニングというなの泥合戦をすることとなった。まさかの展開にギャラリーは呆然としていたが、マネジは今まで見た事のないシチーを見てうつむいていた。
*****
そして…
「ハァ…ハァ…」
「シチー…」
シチーはフィールドの外のターフの上で大の字になっていて、ジョーダンが寄り添っていた。他のウマ娘たちもくたくたになったのか、座り込んだりしていた。するとテツマはシチーに近づいた。
ゴールドシチー「ま、まだ…やれる…」
テツマ「時間切れだ。そろそろ片付けねぇとあの副会長がうるせぇんだ」
テツマはシチーを見つめた。
テツマ「…吹っ切れたみてぇだな」
ゴールドシチー「うん…。あんたに発破をかけられれば、かけられるほど、諦めたくなくなるんだ」
テツマ「本当にひねくれてやがる」
ゴールドシチー「アンタに言われたくねーよ!!」
その時、マネジがやってきた。
ゴールドシチー「マネジ…」
テツマ「そんな顔しなくてもゲームは終わりだ。返してやるぜ」
マネジ「…あなたをトップモデルに導く。その為に無茶をしないでほしい。その考えは今も変わってないわ」
マネジがそう言うと、テツマやシチーはマネジを見つめた。
マネジ「…だけど、今日のあなたのトレーニングを見て、私が一人で突っ走ってたことに気づいたわ。本当にごめんなさい」
ゴールドシチー「マネジ…」
そしてマネジはテツマを見つめた。
マネジ「…あなたにも迷惑かけたわね。本当にごめんなさい」
テツマ「そりゃいいが、一つだけいいかい」
マネジ「…何かしら」
テツマがまた余計な事を言うんじゃないかとヒシアマ達は懸念して、マネジもそれに気づいていた。するとテツマは目を細めた。
テツマ「あんたの社長には事前にこのトレーニングをやっていいか、事前に許可は取ってるぜ」
マネジ・ゴールドシチー「は?」
テツマ「大歓迎だったし、あのギャラリーの中にカメラマンがいたの気づいてなかったのか?」
マネジ「シ、シチーばっかり見てて気づいてなかった…」
テツマ「まあ、それもそうだし、あんた結構周りが見えてねぇところがあるから気を付けな。あばよ」
そう言ってテツマは去っていった。
トーセンジョーダン「マ、マジで何なのアイツ…」
ゴールドシチー「……」
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後日…。
テツマ「……」
ゴールドシチー「これ、入部届」
トーセンジョーダン「うちも。シチーが心配だから」
シチーとジョーダンが入部届を手にテツマのトレーナー室の所にやってきた。
テツマ「言っとくがよほどのことがねぇ限りは、トレーニング見てねぇぜ」
ゴールドシチー「いいよ。それでも」
トーセンジョーダン「そういう事だからよろしく~」
そう言ってシチーとジョーダンはテツマに入部届を押し付けて中にずがずがと入った次の瞬間、シチーのスマホが鳴った。
ゴールドシチー「マネジ…? この時間帯は入れるなって言ったのに…」
シチーがスマホのメールを見ると、青ざめていた。
トーセンジョーダン「え、どしたんシチー…」
テツマ「……」
1時間後。
マネジ「…お力を貸して貰えませんか」
ゴールドシチー「…マジでゴメン」
テツマ・竜「……」
マネジが巨額の報酬に目が眩んで、結構ヤバい仕事を引き受けてしまったのだ。断ると結構厄介な事になるので、今まで色々解決してきたテツマと竜に何とかできないかお願いすることになったのだ。
テツマ「あんたの減給で手を打ってやるぜ」
ウイニングチケット「テツマくん!!!」
マネジ「…これもシチーの為…これもシチーの為…!」
ゴールドシチー「いや、マネジも乗るなぁ!!!」
とまあ、こんな感じでテツマチームは優勝を目指して頑張るのであった…。
おしまい