荒垣 大助(あらがき だいすけ)
中央トレセン学園に所属する中年男性トレーナー。40歳。
シンボリルドルフ、シリウスシンボリ、マルゼンスキー、シーキングザパール、ミスターシービーといったベテランウマ娘を主に担当している。
短気で口が悪くぶっきらぼうだが、面倒見は良い為仲間たちからの信頼は厚い。
それ故に人から頼られる事や無茶ぶりさせられることも多い…。
高校生の娘がいる。
シンボリルドルフ
飛鳥がゴールドシップ達と出会う5年前…。
トレセン学園。この日はデビューを目指して正規トレーナーに自分の実力をアピールする選抜レースの日だった。
だが、レース会場は異様な空気に包まれていた。
「1着はシンボリルドルフ! 2着とは大差がつきました!」
圧倒的な実力で他の出走者たちを蹴散らしたウマ娘達がいた。彼女の名前はシンボリルドルフ。後に『皇帝』と呼ばれ、トレセン学園の生徒会長となるウマ娘だ。
彼女は入学して早々、多くの人々の度肝を抜き、ライバルたちに絶望させた…。
「マジかよ…」
「噂には聞いていたけど、ここまでだなんて…」
「こんなの見せられたら、他のウマ娘達なんかスカウトできないよ…」
そう、ルドルフが大差で勝利したことにより、他のウマ娘は見向きもされず、トレーナー達は彼女に釘付けになっていた。
「……」
一部をのぞいて…。
*****
そしてスカウトの時間になったが、皆しり込みをしていた。
「確かに強い事は強いけど…」
「あの実力で勝たせられなかったら、トレーナーとして無能になるって事だよな…」
と、皆が困惑していた。そして遠くから2人の男性トレーナーがルドルフを見ていた。
「荒垣くんはどうしますか?」
「……」
短髪の中年男性トレーナー・増田が話しかけると、同じく短髪で無精ひげを生やした男性トレーナー・荒垣大助が一息ついた。
「冗談じゃねぇ。オレはいらねぇよ」
その会話が聞こえていたのか、ルドルフも他のトレーナー達も大助と増田を見ていたが、大助は気にする様子がなかった。
大助「ああいうタイプは挫折でもしない限り成長しねぇよ。それに何でもかんでも一人でやろうとするタイプだ。育て甲斐がないんだよ」
増田「そうですか。相性が良いと思いますけどね」
大助「冗談じゃねぇ。お前がやれよ」
増田「僕よりも荒垣くんの方が…」
そう言って大助はその場を去ると、増田も追いかけた。
シンボリルドルフ「……」
ルドルフは大助の姿を見つめていた。
***********
暫くして、大助が食堂に行くとルドルフと鉢合わせした。
シンボリルドルフ「あなたは…」
大助「……」
ルドルフが話しかけようとするが、大助は無視してその場を通り過ぎた。
シンボリルドルフ「待って貰えますか」
ルドルフの言葉に大助は脚を止めた。
シンボリルドルフ「此間の話は聞かせて貰いました。大変興味深いのでお時間は…」
大助「お前は何か勘違いしているようだな」
シンボリルドルフ「…え?」
大助はルドルフを見つめた。
大助「お前は選ばれる側だ。選ぶ側じゃねぇ。身の程を弁えろクソガキ」
「!」
大助の暴言にルドルフは目を大きく開くと、その場にいたトレーナー達が突っかかった。
「おい荒垣! なんだその口は!!」
「クソガキだと!? お前誰に向かって…」
大助「シンボリ家の娘だろう? だからこいつもこんな上から目線なんだ」
「!」
大助「いいかよく覚えとけ。レースに勝ちてぇなら強いだけじゃダメだ。口の利き方も学びなおしてこい!」
そう言って大助は去っていった。
**************
大助のトレーナー室。ルドルフへの暴言ですっかり立場が悪くなったが、大助はなんら後悔していなかった。
そんな時、ノックする音が聞こえた。
「増田です。入っても宜しいでしょうか」
大助「…ああ」
そう言って中に入れたが、増田だけではなくルドルフもいたのだ。
大助「…何しに来た」
シンボリルドルフ「荒垣トレーナー。先日は大変失礼いたしました。ご無礼をお許しください…」
ルドルフが頭を下げると、大助は片眉を上げた。
大助「…増田! てめえが何かしたのか!?」
増田「そうですね。ルドルフさんからあなたと契約を結びたいとご相談を受けましたので…」
大助「はぁ!!?」
増田の言葉に大助が驚いた。
シンボリルドルフ「荒垣トレーナー。あなたの言葉を聞いて、私は思い上がっていました。その事についてご教授くださったこと。心より感謝しています」
大助「んな事思ってねぇだろうがよ…」
ルドルフの態度を見て大助はとてつもなく嫌な予感がしていた。
シンボリルドルフ「是非、荒垣トレーナーの元でご指導ご鞭撻をお願いしたいです!」
大助「増田ァ! 何仕込みやがった!!」
増田「そこまで言うのなら、あなたが指導するべきだと思いますが? 無能とか言われても気にしないでしょう?」
大助「…ああ、そうだけどよ。シンボリ家のガキとなりゃ、あの年寄共がうるせェんだよ」
「誰が年寄だって?」
大助「あんただ」
「ちょ、少しは否定しないか!」
一人の女性が現れたが、大助があっさり答えると女性は吠えた。
「ははうえはとしよりではないぞ!?」
増田「こんにちは。やよいさん」
ぷりぷりと怒る少女、秋川やよいに増田が挨拶をした。この女性は秋川やよいの母親にしてトレセン学園の理事長だった。ちなみにキャラはダシマのイメージで。
「アタシも賛成だよ。担当していた子も皆卒業して手が空いているんじゃないかい?」
大助「…で、強制的に契約させるんだろ?」
「人聞きの悪い。一方的にしちゃいないだろ?」
大助「いつかパワハラで訴えられちまえよ…」
「全く。娘の紬ちゃんは素直でかわいいのに、あんたはどうして可愛くないんだろうねぇ!?」
大助「うるせェよ」
「とにかく。他のトレーナー達は様々な事情でしり込みしてるし、そういう意味じゃこの子の面倒を見れるのはアンタしかいないから、契約を結んでもらうよ!」
大助「クソッ…」
増田「まあ、出来る事があったら協力しますよ」
大助「当たり前だ!!」
こうして、大助はルドルフと契約を結ぶことになった…。
***********
5年後。
シンボリルドルフ「…そういう事情があって、私と荒垣トレーナーは契約を結ぶことになったんだ」
トウカイテイオー「カイチョーにクソガキって言うなんて!」
大助のトレーナー室にてルドルフと後輩であるトウカイテイオーが会話をしていたが、クソガキ呼ばわりした事についてテイオーは大助に激怒していた。
大助「…そういう意味じゃお前はルドルフ以上にクソガキだよ」
トウカイテイオー「もー!!」
シンボリルドルフ「まあ、そういう意味では…飛鳥くんには本当に驚かされたよ。荒垣トレーナーと似たような事を言ったのだからな…」
そう言ってルドルフは心の底から微笑むのだった。
おしまい