河川敷で出会った少年・黒島太一の事が気になったクリーク達は増田から衝撃の事実を聞かされていた。
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増田のトレーナー室を出た4人はカフェテリアで話し合っていた。
タマモクロス「あいつ…何かあると思っていたけど…」
イナリワン「思っていた以上に重ぇな…にしても…泣かせるじゃねぇか! 妹の為にあそこまで命を懸けるなんてよぉ!!」
タマモクロス「うちも同感や!!」
太一の過去を聞かされてイナリワンとタマモクロスは思い切り同情していた。
オグリキャップ「しかし、どうすればいい…。そんな同情をされても嬉しくはないだろうし…」
タマモクロス「せやな。うちかてそんな同情されて手加減されても嬉しくないわ」
そんな中、クリークは考えていた。
イナリワン「…クリーク? どうした?」
スーパークリーク「……」
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翌日。スーパークリークを筆頭に4人が太一の教室に乗り込んだ。クリーク以外の3人が少し困り顔だった。
「ク、クリーク先輩!?」
「どうして4年生の教室に…」
スーパークリーク「黒島太一くんはいますか?」
クリークが太一を探している事を伝えると、皆が驚いていたが肝心の太一は自分を探していると思っていないのか、次の授業の準備をしている。
「お、おい! 黒島!」
「黒島くん!」
太一「?」
クラスメイトに呼ばれて太一が彼らを見ると、クリーク達がいるのに気づいた。
太一「あなた達は…」
タマモクロス「悪いな。クリークがアンタに用があんねん。一緒に来て貰うで」
太一「…分かりました」
そう言って太一はクリーク達と一緒に教室を出ていくと、クラスメイトは何事かと見つめていた。約一名を除いて…。
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太一「……!?」
スーパークリーク「私と一緒に『ダシマカップ』に出ましょう」
クリークからのまさかの誘いに太一は目を大きく開いた。
タマモクロス「…気持ちは分かるで。ベテランでトップウマ娘から声を懸けられるなんて思わんかったやろう」
太一「何故オレに?」
スーパークリーク「増田トレーナーからお話は聞かせて貰いました」
太一「!?」
イナリワン「ちょ、クリーク!」
クリークが増田の話をするとイナリが慌てた。おそらく過去の話を聞いてチームを組もうとしているのだと太一も判断し、俯いた。
太一「…そうですか。それでしたらもう…」
スーパークリーク「このトレセン学園で、トレーナーとして真面目に頑張るんですよね?」
太一「それは勿論です。妹の学費と生活費がありますので…」
「!」
妹の事しか考えていない事に気づいた4人。中でもタマモクロスが険しい表情をしていた。まるで他人事とは思えなかった。
スーパークリーク「…太一くん」
「!」
太一の心情を察したのか、クリークは優しい声で太一を諭そうとする。
スーパークリーク「確かに私はベテランで、経験もあなたよりずっとあります。だからこそ、私達の身を案じてくれているんですよね?」
太一「それもそうですが、あなた程の実力のあるウマ娘と組んでも、トレーナーの評価もされにくいです。恐らくですが勝てば良いというものでは…」
太一の言葉にイナリワンも反応した。
イナリワン「それは違うぜ。太一」
「!」
イナリワン「確かに勝てばいいってもんじゃねぇし、お前は確かに新人トレーナーですらねぇ。だが、クリークと組まない理由にはなってねぇ」
タマモクロス「せや。こういう時はな。クリークから学べばええねん」
太一「…!?」
タマモクロスの言葉に太一の目が大きく開いた。
タマモクロス「ええか! トレーナーとウマ娘は一心同体、いわば『戦友』や! 片方が辛い時が片方が支え、助け合う! 苦しい時も辛い時もせや! トレーナーが一方的にウマ娘を何とかしようっちゅうんは思い上がった行為や! そういう奴はお調子に乗って最後に痛い目にあう! トレーナーになるんなら、それくらいは覚えとき!」
と、タマモクロスが力説するも太一はまだ迷いがあった。
タマモクロス「先に言っとくで。もしここでスカウトを断ってもな。ここにおる限り、クリークから逃げられると思わんほうがええで」
太一「?」
太一がタマモクロスを見つめる。
タマモクロス「普段はこうやって大人しいけどな。こう見えて結構頑固やねん。一度決めた事はよほどの事がない限り覆らん。このまま契約した方が身の為やで」
太一「いえ、そうではなくて…」
イナリワン「じゃあなんでい?」
太一「何故そこまでして、オレの事を…」
太一の言葉にクリークが口角を上げた。
スーパークリーク「増田トレーナーからお話を聞いて、あなたにトレーナーとしての素質を感じたからです」
太一「……」
スーパークリーク「妹さんの為に自分を犠牲にするのもそうですが、妹さんの為に数々の実績をあげていましたが、人の為に頑張る事がとても大事なんです。なので、出来る事があれば私が教えます。なので…私と契約してください」
クリークの真剣なお願いに太一はもう断り切れなかった。
太一「その前に一つ確認したい事がございます。トレーナーさんは…」
タマモクロス「あー。やっぱそれやな。安心しい。クリークのトレーナーは昨年定年退職を迎えて今フリーや」
太一「…そうですか」
太一は迷ったが、妹や増田の為にももうこれ以上立ち止まる訳にはいかなかった。
太一「分かりました。オレで宜しければ、これからお世話になります」
スーパークリーク「はい♪ 一生懸命頑張りましょうね♪」
スーパークリークの逆指名に皆が驚き、その噂はすぐに学園全体に広まった。
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その後。太一はエントリーを済ませようと、受付であるトレセン学園の学生支援センターにクリークと共に来ていたが、タマモクロス達が現れた。
タマモクロス「太一―。うちらもあんたのチームでダシマカップに出るわ」
太一「!?」
タマモクロスの言葉に太一とクリークは驚いていた。
スーパークリーク「あら? タマちゃん達は春の天皇賞があるんじゃ…」
タマモクロス「勿論それも出るけど、何か放っておけなくてな」
オグリキャップ「私達も力を貸したいんだ」
イナリワン「それに今、普通科の一丈字飛鳥って奴のチームが絶好調で、メンバーの殆どが中等部だろ? あのまま勝たせたら調子に乗って、これからの練習に身が入らねぇだろ」
タマモクロス「やっぱ強力なライバルは必要や思うてな」
タマモクロス達の協力は嬉しいが、太一は4人も面倒見れるか不安だった。
オグリキャップ「心配するな。私達のトレーナーも協力してくれる。ダシマカップでの指揮は君が取る事になるが…」
太一「本当によろしいんですか…?」
するとオグリのトレーナーが前に出た。
オグリT「ああ。まあ、正直言ってオグリ達にはTSシリーズを中心に頑張ってほしい気持ちはあったけど、もう十分に夢は見させてもらった。今度は彼女のやりたい事を応援したいんだ」
タマT「増田はんが連れてきた生徒なら間違いないしのう。実際、前にも連れてきたことがあったけど、その子も出世したしのう」
イナリT「それに後輩たちもそろそろ育てねぇとな。そういう事だ。イナリ達をよろしく頼む」
3人のトレーナーにもお願いされ、太一は意を決して4人とエントリーを済ませた。
ただ、これによって彼の元に沢山トラブルが起こるのだが、それはまた別の話…。
おしまい